今日は野菜の話。
『ヴィエ・デル・グスト』の解説です。
ラディッキオと言えば、有名なのはラディッキオ・ロッソ・ディ・トレヴィーゾRadicchio Rosso di Treviso。
ラディッキオ・ロッソ・ディ・トレヴィーゾには2種類あって、「トレヴィーゾの剣Spada di Treviso」、通称スパドーネSpadoneと呼ばれるあの美しい形をしているのは、“タルディーヴォ”種。
タルディーヴォ
もう1種類は、白菜のような形の“プレコーチェ”種。
プレコーチェ
タルディーヴォは「晩生」、プレコーチェは「早生」という意味。
タルディーヴォは、最低2回霜が降りた後に一度収穫してから軟白栽培を行いますが、プレコーチェは行わず、タルディーヴォより早く(秋口から)市場に出ます。
タルディーヴォはプレコーチェより肉厚でシャキシャキ感があり、ほろ苦さも強く、値段の高い上級品。
手間暇かけて作り出す美しい形と味に、人は魅了されてしまうんですねえ。
ラディッキオ・ロッソ・ディ・トレヴィーゾは、IGPのラディッキオです。
IGP(Indicazione geografica protetta)とは、EUが産地を認定した農業製品や食品で、生産、加工のどれかがその地区で行われている製品です。
ちなみに、DOPは生産も加工もその地区で行われている製品。
IGPのラディッキオは他にも、ラディッキオ・ディ・キオッジャ、ラディッキオ・ディ・ヴェローナなどがあります。
ラディッキオについては、以前、このブログでも取り上げています。
こちらのページ
タルディーヴォは、畑の土から収穫する時は、黒ずんだ赤紫と緑色の伸び切った葉の、何ともみすぼらしい姿をしています。
それを温かい湧水に浸すと、株の一番内側で、新しい芽が伸びてきます。
そして20日程経ってみすぼらしい葉をはがすと、中から、光を浴びずに育った(つまり葉緑素がない)、赤と白の剣の形をしたみずみずしいラディッキオが現れます。
ラディッキオは冬に出回るので「冬の花fiori d'inverno」と呼ばれますが、冬にもう一度芽を出すためには、実は畑で成長する夏の期間が大切。
この間にしっかり成長して、養分を蓄えておかないとならないんですねえ。
育てるのも調理するのも、手間と経験が必要な野菜です。
タルディーヴォと同じように、その美しさが際立っているのが、ラディッキオ・ヴァリエガート・ディ・カステルフランコRadicchio Variegato di Castelfranco。
これもIGPです。
“ヴァリエガート”とは、「いろいろな色の」という意味。
こちらは別名、“カステルフランコのバラRosa di Castelfranco”、と呼ばれています。
ヴァリエガートは、19世紀頃に、ラディッキオとスカローラを交配させて作られた品種です。
スカローラはエンダイプの一種。
ややこしい話ですが、イタリアでは、エンダイプはインディーヴィアindivia、スカローラはscarolaで、仲間だけれど、別の野菜です。
イタリアではエンダイプよりスカローラの方が生産量も多く、一般的。
エンダイブとレタスを足して割ったような姿で、炒めたり煮たり、様々な料理に使われています。
ラディッキオ・ヴァリエガート・ディ・カステルフランコも、軟白栽培を行う野菜。
方法は、タルディーヴォよりバリエーションがあって、湧水式、ハウス式などがあります。
↓この動画の最初に登場する場面、上はタルディーヴォで下はヴァリエガート。
1:40からタルディーヴォの栽培、料理などの話。
↓カステルフランコはトレヴィーゾ県の町。
だからタルディーヴォもヴァリエガートも、共にトレヴィーゾの名物。
(前後にCMあり)
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関連誌;『ヴィエ・デル・グスト』2009年2月号
“タルディーヴォとヴァリエガート”の記事の解説は、「総合解説」'08&'09年2月号に載っています。
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2011年8月1日月曜日
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