今日はチーズの話。
『ア・ターヴォラ』の解説です。
記事で取り上げているのは、シチリアのマイオルキーノMaiorchinoというチーズです。
こんなチーズ。
産地は、シチリア東部、メッシーナ県の山岳部。
羊乳がベースのペコリーノの一種で、山羊乳も加えています。
生産量がとても少ない貴重なチーズ。
このチーズには、特徴が2つあります。
1つは、ドッピア・スプルガトゥーラdoppia spurgatura、という製造方法。
“ドッピア”とは、「ダブル」という意味。
“スプルガトゥーラ”とは、「排出」という意味で、カード(凝乳)からホエイを出す作業のことを指します。
つまり、「ホエイの排出を2回行う」製法です。
↓普通、手作りのペコリーノはこのくらいのサイズで、スプルガトゥーラはこんな感じ。
(2:04からはリコッタ)
一方、マイオルキーノは直径30~35cmと、ペコリーノの中では最大級。
だからスプルガトゥーラも大変です。
↓金属の細い棒を刺して穴をあけながらながら、手で押して水分を出していきます。
忍耐が必要な、ローテクのチーズ造り。
その辺りが、とても高く評価されています。
このチーズのもう1つの特徴は、チーズ転がしレース。
産地のノヴァーラ・ディ・シチーリアNovara di Siciliaという町で、毎年カーニバルの時期に行われる伝統的なレースです。
町の中で、1.5kmに渡ってマイオルキーノを転がして、その速さを競うというもの。
数週間かけて予選を行うほど人気のある行事です。
↓今年は、日本の芸人さんが参加したようですね。
なかなか面白そうなレースですねえ。
数が少なくて評価の高いマイオルキーノ。
遭遇したら、ぜひ味見を。
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関連誌;『ア・ターヴォラ』2008年2月号
“マイオルキーノ”の記事は、「総合解説」'08&'09年2月号に載っています。
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2011年7月25日月曜日
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