ストリートフードの話、その3。
『ガンベロ・ロッソ』の記事の解説です。
今日は、パレルモの脾臓のパニーノ pani ca' meusa 。
脾臓って何、て話ですよねえ。
人間の場合、お腹の左上の、胃の裏側にあるんだそうで。
血液やリンバ液に関係する器官だとか。
牛の脾臓は、日本ではホルモンの一つのチレ。
イタリア語では、ミルザ milza 。
パレルモの方言では、メウサ meusa 。
カットしたミルザ, photo by Graham Holliday
イタリアでもパレルモでしか見かけないこの脾臓のパニーノには、こんな歴史があります。
中世のパレルモでは、食肉処理場で多くのユダヤ人が働いていました。
ところが、ユダヤの戒律では、畜殺によってお金を得てはいけないとされています。
そこで、お金の代わりに家畜の内臓を現物支給で受け取っていたのです。
彼らはそれをゆでて、ユダヤ人以外の人たち、つまりキリスト教徒に売ってお金に換えました。
パレルモの人たちのお気に入り、脾臓のパニーノは、ゆでた内臓をラードで煮て、それをチーズと一緒にパンにはさんだもの。
街角でひっそり売られていたりもしますが、有名なのは、なんと言ってもアンティカ・フォカッチェリーア・サン・フランチェスコ。
パレルモ料理に興味がある人なら、必ず一度は訪れる店。
アンティカ・フォカッチェリーア・サン・フランチェスコ, photo by Federico Saggini
店内のミルザのパニーノの売り場, photo by Franco Pecchio
ミルザの鍋, photo by Federico Saggini
上がミルザのパニーノの“マリタータ”、下はアランチーネ
ミルザをアップで
ミルザのパニーノは、プレーンの“スキエッタ schietta ”と、細く下ろしたチーズをたっぷりはさんだ“マリタータ maritata ”の2種類。
脾臓は子牛のもの。
肺など他の部位も入れます。
これらを油とラードでソッフリットにするので、油でギトギトでかなり男前な味。
パレルモの街角の屋台
この他に、トスカーナのランブレドットのパニーノ、ローマのポルケッタのパニーノ、レッコのチーズのフォカッチャなど、まだまだイタリア風ストリートフードはありますが、今回はここまで。
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関連誌;『ガンベロ・ロッソ』2007年9月号
“ストリートフード”のリチェッタは、「総合解説」'06&'07年9月号、P.9に載っています。
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2008年11月12日水曜日
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3 件のコメント:
脾臓をゆでてラードで煮る?こ、こわい。
でも食べてみたい。なにかたとえる味はない?
くるりさん
あれはやっぱり“臓物”です。火を通したレバーをもっと硬くして、味を薄くしたみたいな・・・。それにチーズを山盛りにのせるんですよお。働く男の食べ物です。ちなみに、パンも油をかけて焼いてあるので油ギッシュ。一度食べてみそ。案外気に入るかも。
ドラマ版ハンニバル見てて内蔵関連の料理を調べてたらこのブログを発見。食べてみたいなと思いました。
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