今日はズッパ・ディ・ペッシェ zuppa di pesce の話。
『ラ・クチーナ・イタリアーナ』の記事の解説です。
ズッパ・ディ・ペッシェ, photo by lucadea
記事では、リヴォルノのカッチュッコ cacciucco や、マルケのブロデット brodetto などの有名どころの他に、ジェノヴァのアンコウのズッパ、メッシーナのシラスのズッパなど、ちょっと変わったものも紹介しています。
その中から、きのうのレッコのフォカッチャつながりで、リグーリアのズッパ・ディ・ペッシェ、チュッピン ciuppin の話でも。
このチュッピン、様々な魚をごっちゃごちゃに煮て、煮汁ごとどーんと盛り付けるイタリアのズッパ・ディ・ペッシェの中では、ちょっと異色。
その特徴は、魚と煮汁を一緒に裏漉ししてしまうこと。
でも、リチェッタはさまざまで、魚を漉さないバージョンや、トマトを入れないバージョンなどもあります。
このチュッピンは煮汁がかなり少ないタイプのよう, photo by Adriano Santi
チュッピンという名前の語源は、ズッペッタ(ズッパより汁の割合が少ない具中心のズッパ)という意味の suppin という言葉だとか。
他のズッパ・ディ・ペッシェ同様、売り物にならない魚と硬くなったパンで作る質素な料理が元祖。
この料理、多分、最大の長所は「食べやすい」ということ。
普通、ズッパ・ディ・ペッシェを食べる時は、手がギトギトになって山のように紙ナプキンを消費するけれど、このチュッピンは、その心配がない。
煮る時に水の量を少なくすれば、パスタのソースにすることもできます。
逆に、最大の欠点は、残念ながら見栄えが地味。
派手で賑やかなズッパ・ディ・ペッシェの楽しさが、ちょっと足りないんですよねー。
水分とトマトが多めのチュッピン(左の魚が主な材料)
www.magiarge.it
魚を裏漉ししないで別の皿に盛り付けるタイプのチュッピン
www.prezzemoloefinocchio.it
見かけは地味なチュッピン。
でも、これがアメリカに伝わって、今ではサンフランシスあたりの名物料理の一つになっている、と聞けば、ちょっと見直してしまいませんか。
ただし、正確には、伝わったのは料理の名前だけですが。
アメリカでは、イタリア風魚のスープ、つまりズッパ・ディ・ペッシェのことを“チョッピーノ cioppino ”と呼ぶのですが、その語源が“チュッピン”、というのが定説。
なんでも、リグーリアからサンフランシスコに移民した人たちが伝えたんだとか。
ただし別の説もあって、それは、鍋に材料をあれこれ入れる“chip in” という英語を、移民がイタリア訛りでチョッピーノと言っていたのが料理の名前になった、というもの。
うーん、チュッピン説のほうが歴史が感じられるなあ。
サンフランシスコのチョッピーノ, photo by Emma van Niekerk
ハワイのチョッピーノ, photo by titaniumgirl
カレーやラーメンのように、外国から伝わってその国の料理に溶け込んだもの、色々あるんですねえ。
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関連誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2006年7月号(クレアパッソで販売中)
“ズッパ・ディ・ペッシェ”のリチェッタは、「総合解説」'06&'07年7月号、P.4に載っています。
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2008年8月1日金曜日
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2 件のコメント:
トスカーナとリグリアで修業をしたシェフの店でズッパディペッシェがあったので、これはチュッピンですか?と聞いたら、いやそんなに入ってないですと???な答えが。流れからすると、どうやら「十品」と勘違いされたようです。それ以上その話題には触れませんでした(汗)
ところで素材は違いますが、大量にかにをもらったのでそんな感じでソースを作ってみたら、どうも雑味が強い気がしました。裏ごししないバージョンの方も作ったのですが、そちらの方がおいしく感じられました。もちろん素人なんでやり方に問題ありだったんだと思いますが、あるいは単なる漉し方の問題か(笑)
「十品」(笑)。なるほど、ありがちな空耳ですねー。
カニ、裏ごししたのもしないのも、美味しそうだなあ。やっぱり味が違うもんなんですね。最近カニ食べてないなあ~。あ、小さなワタリガニのから揚げ、食べたっけ。モレーケ食べてる気分でした。
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