さて、前回の質問、有名なローマ料理で、プルスの末裔のようなポレンタ料理はなんでしょう。
元来ポレンタとは、粉を水で煮たお粥のような食べ物のことで、とうもろこしの粉とは関係なかったということを忘れずに。
セモリナ粉の料理というヒントは、ちょっと簡単すぎましたかねー。
私自身、ローマのセモリナ粉の料理というと、あれしか思い浮かびませんわー。
そう、あれでんがな。
ニョッキ・アッラ・ロマーナ。
丸く抜くのが一般的ですが、レンガ型にすると、ポレンタ感がアップ。
Lo Gnoccho Alla Romana / Ron Dollete
ニョッキという言葉が書籍に初めて登場したのは16世紀。
ローマでは、古代以来、穀物をすりつぶして作った粉を水に溶いて煮る“プルス”が広く普及していました。
トスカーナ人には豆喰いとう呼び方がありますがせ、ローマ人はプルス喰い(プルティファージ)と呼ばれたほどです。
粉と水を前にしたイタリア人は、これをプルス(ポレンタ)とパスタの2種類に進化させたんですねー。
水に溶いて煮ればポレンタになり、台の上でこねればパスタやパンになる。
その後、パスタは乾麺へと進化して、保存と輸送に耐えて大量生産できる食べ物になり、世界進出を成功させました。
ところがポレンタは、煮るのに時間がかる昔ながらの形を守り、時代の進化から取り残されました。
各家庭で、お母さんが40分かけてかき混ぜながら毎日煮る料理。
こういう料理が生き残るには、作る人の思い入れがどれだけ強いかにかかっていますよねー。
それに価値を見出す人が多ければ生き残りますが、さて、ポレンタはどうなっていくのでしょう。
ポレンタの香りが家庭の香りの思い出、と言う人が残っている間は消えないだろうなあ。
さらに、有名シェフたちの創造力が、どれだけ刺激されるかもポイント。
例えば、カルロ・クラッコシェフは、著書『クールにしたいならエシャロットを使う』の中で、アマランサスのポレンタを紹介しています。
アマランサスって?
ググってちょ。
さらに、定番のポレンタに使う粉は八列とうもろこしの粉だそうですよ。
こんなとうもろこし
食べたければ北海道に行くしかないって言われると、超食べたいじゃん。
メキシコ料理のトルティーヤ用に粉にして売ってるそうなので、イタリアンの皆さんも、ぜひポレンタに挑戦して、カルロ・クラッコばりのポレンタを作ってください。
“カルロのポレンタ”、“アマランサスのポレンタ”のリチッタは本に載ってますよー。
-------------------------------------------------------
関連雑誌;『サーレ・エ・ペペ』、“ポレンタ”の記事とリチェッタは「総合解説」2012年2月号に載っています。
[creapasso.comへ戻る]
=====================================
登録:
コメントの投稿 (Atom)
南チロルはドイツと南イタリアが融合した面白い地方。ワインの収穫後の新ワインを味わう時は、ご近所みんなでパーティー!
今日のお題は、アルト・アディジェの料理です。 イタリア最北の州、アルト・アディジェ、別名南チロルsud tirolは、海だけじゃなく、山もあるイタリア料理を象徴する地方。最近では、アルプスへの注目度も上がっています。 南チロルのトルゲレンの祭り。 下の動画のタイトルは、“ビギナー...
-
グラナ・パダーノの話、その2です。 イタリアで流通しているハードチーズの50%近くを占めるグラナ・パダーノ(AC Nielsen調べ)。 2008年の生産量は、435万5347個でした。 平均的な販売価格は11.05ユーロ/㎏。 イタリアの硬質チーズの平均価格は12.70ユーロな...
-
今日はブラザートの話。 『ラ・クチーナ・イタリアーナ』の記事の解説です。 バローロのブラザート, photo by Silvio 記事によると、 ブラザート brasato は、イタリア語で「炭」という意味の“ブラーチェ brace ”の古い呼び方、“ブラーザ brasa ”が...
-
軽い気持ちで手にとった本、『 スーゴとソース 』 ところが、考えれば考えるほど、わからなくなってきました。 スーゴって何?ソースって何? “スーゴ”は、イタリア料理の基本の言葉の一つ。 スーゴ・ディ・カルネsugo di carne、 スーゴ・ディ・ポ...
0 件のコメント:
コメントを投稿