イタリアの天日塩の話、その2です。
プーリアにあるヨーロッパ最大級の塩田、マルゲリータ・ディ・サヴォイア。
マルゲリータ・ディ・サヴォイア塩田
この塩田の塩は、イタリアタバコ公社が設立したATISALEという企業によって、イタリア中のタバッキや大手流通業者を通して販売されています。
工業用の製品もあり、輸出もしています。
ちなみに、ATISALEの株式は、2003年にSALAPIA SALEという地元の企業が100%買収しています。
ATISALEはマルゲリータ・ディ・サヴォイア以外の塩も扱っていますが、マルゲリータ・ディ・サヴォイアの塩の一部は、“プーリアの塩”として販売しています。
こんな商品
↓
atisale.com/Sapori di Puglia
こちらは様々な天日塩。
↓
atisale.com/Sale Marino Chef
これらの塩の名前を見ると、“Iodato”という言葉がやたらに多いと思いませんか?
iodatoとは、「ヨウ素を加えた」という意味です。
塩にヨウ素を加える?
どういうことでしょうか。
財団法人塩事業センターのhpに、こんな説明がありました。
↓
shiojigyo.com
「ヨウ素(ヨード)が不足する国や地域では、ヨウ素欠乏症を防ぐために食用塩にヨウ素が添加されることがあります。
日本人はヨウ素を含む海藻類をよく食べますのでヨウ素の摂取不足から起こる病気にかかる心配はありません。
なお、ヨウ素(ヨウ化物)は日本では食品添加物として認められていませんので、国内で生産、販売される食用塩に添加すること、添加された食用塩を輸入することは禁止されています。 」
ほお~、海藻をあまり食べないイタリアでは、ヨウ素入りの塩も必要なんですねー。
国によっては国産のすべての塩にヨウ素を添加しているところもあります。
イタリア暮らしが長いみなさん、ヨウ素、摂ってますか?
マルゲリータ・ディ・サヴォイア塩田は、規模が大きいだけあって、完全に機械化されています。
品質管理がしっかりしていて上質の塩を生産している、という評価のよう。
ただ、味についての評価は、ネット上では見つからないですねえ。
やはり大量生産品。
個性よりも価格や安定性で勝負、ということなのかもしれません。
味の個性という点で特徴的なのが、マルゲリータ・ディ・サヴォイアと同じくアドリア海に面した、ロマーニャ地方のチェルヴィアの塩田の塩。
この塩は、“sale dolce~甘い塩”と呼ばれています。
salinadicervia.itによると、苦みの元となる硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸カリウム、塩化マグネシウムなどの含有量が少ないからなんだそうです。
この塩田の面積は827ヘクタール(ちなみにマルゲリータ・ディ・サヴォイアは4500ヘクタール)。
昔ながらの製法で天日塩を作っていたのですが、塩が国の専売品になって効率が重視されるようになり、一時閉鎖されたこともあります。
その期間は1999年から2003年。
わずか5年前まで閉鎖されていたんですねー!
2003年に、チェルヴィアの塩田は国からチェルヴィア市に譲渡されました。
現在この塩田は、Parco della Salina di Cerviaという公共出資主体の企業によって運営されています。
塩田の素晴らしい自然と伝統的な製法で作る塩、それらを守っていくというのが目的。
チェルヴィアの塩田
チェルヴィアの塩の話、次回に続きます。
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関連誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2006年11月号(クレアパッソで販売中)
“世界の塩、イタリアの塩”の解説は、「総合解説」'06&'07年11月号、P.16に載っています。
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