2020年8月31日月曜日

パスタ・フレスカ入門、ニョッキからオレッキエッテ、トロフィエへ。

今日のお題は、今月の「総合解説」から、エミリア・ロマーニャ地方の食文化の話(P.14)。
イタリア各州の伝統料理が1冊にまとまった地方料理のお勧め本、

には、エミリア・ロマーニャの食卓の女王はパスタ・フレスカ、とあります。
もはや伝説のタリアテッレだけでなく、
特に有名なのは、ラビオリやトルテッリ、トルテッリーニ、アノリーニ、カッペッレッティなど、詰め物入りパスタです。
詰め物のベースはパルミジャーノ、肉、野菜で、バリエーションは無数にあります。
そしてもう一つ、この地方に君臨しているのは豚肉です。
ザンポーネやコテキーノなど、各種のサラミに加工されるモーラ・ロマニョーラという品種が知られてます。
モーラ・ロマニョーラ。



エミリア・ロマーニャのパスタ・フレスカについて知る前に、いい機会なので、パスタについて入門編を少々。

スローフードの“スクオラ・ディ・クチーナ”シリーズの『パスタ・フレスケ・エ・ニョッキ』
によると、

パスタは詰め物なしの板状のパスタ・リッシャpasta lisciaと、詰め物入りのパスタ・リピエーナpasta ripienaに大別されます。

そもそも一番最初は、ニョッキgnocchiでした。
スパゲッティと同様、ニョッキも単数形はニョッコですがgnocco、常に複数形で使います。
ニョッコとは、ゆでてソースを絡めやすいように筒型や丸型の小分けにした小さな練り生地のことです。
ニョッキは北~中央イタリアの山間部を中心にイタリア中に広まったじゃがいもの家庭料理。じゃがいもだけでなく、栗の粉、カボチャ、セモリナ粉、軟質小麦粉、ポレンタ、パンのニョッキも作られました。地方によってはカネデルリやクネーデルなど他の名前もつけられましたが定着しませんでした。
初期のニョッキには、フォークで筋を付けてソースを絡めやすくするなどの工夫が見られます。
じゃがいものニョッキ。


じゃがいもではなく小麦粉をこねてニョッキにし、ソースをからめやすくするために道具も使わずに指で成形するパスタ、オレッキエッテ。
ニョッキから変化した最初のパスタの中でも、硬質小麦粉のパスタ、オレッキエッテは最もベーシック。
ソースはプーリアの野菜、チーメ・ディ・ラパ。

リグーリアの硬質小麦粉のトロフィーエも製法から考えるとオレッキエッテの仲間。
ソースはペースト・ジェノベーゼ。
トロフィーエ。

南イタリアのパスタは硬質小麦粉と水で作られていますが、北イタリアでは、硬質小麦ではなく軟質小麦を栽培していました。
硬質小麦粉の麺は崩れにくく、細長く伸ばすことができ、煮崩れもしにくい麺になりましたが、変形させにくく、あまり細かい細工には適しません。
これは粉に水を加えてこねたことによるグルテンとでんぷんの作用でした。
一方、軟質小麦粉にはグルテンが少なく、でんぷんは水に溶けるので、軟質小麦粉と水の生地は長く形を保つことができません。
硬質小麦粉のパスタ。


硬質小麦と軟質小麦について分けて考えるのが、パスタ入門の第一歩。
次回に続きます。


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スクオラ・ディ・クチーナ”シリーズ
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2020年8月30日日曜日

 最先端の未来の車を生み出す一方で、ストリートフードも愛されるエミリア・ロマーニャ

今月の地方料理、1つめはエミリア・ロマーニャです。

スローフードの地方料理書の最終形態、『イタリア・イン・クチーナ

によると、
少し前まではエミリア地方は車とアルティジャナーレの重要な企業が誕生した地方で、ロマーニャ地方は農業と海辺の観光の地、と言われていた。
しかし現在、ロマーニャ地方は生物多様性に取り組むなど、農業食品の分野で大きな変化を迎えている。

エミリア・ロマーニャ自動車大学

ジベッロのクラテッロ、フェリーノ・サラミ、ピアチェンツァのコッパ、パルマの生ハム、ボローニャのモルタデッラ、パルミジャーノ・レッジャーノなどの豚肉の加工品や乳製品がエミリア・ロマーニャの特産物として知られている。


未来の車を作っている一方で、何世紀も続く伝統を守った食品も作り続けている地方。
伝統と未来を両立させるために、伝統食材は放おっておくと消えてしまうと、職人技の高い評価など、過去と未来をつなぐあらゆる努力をしている。

地域の努力がそのまま現れているのが料理。
その一例が1747年の製造の記録も残っているモデナのバルサミコ酢。
リチェッタは造り手が代々受け継いで守ってきた。

世界一高いビネガーがある地方を代表する料理として取り上げたのは、ストリートフードのピアディーナpiadinaリチェッタは「総合解説」1/2月号p.14。


ストリート・フード・アッラ・イタリアーナ』でリチェッタを紹介しているのは20年間ピアディーナを売っている下の動画のマリアさんのピアディーナ。

ストリートフードだけでなく、リストランテでもピアディーナを出す。
ピアディーナ発祥の店と主張するラヴェンナのリストランテ・カ・デ・ヴェン。1枚ずつ店名のスタンプを押している。

やっぱりストリートフードはこのスタイル。


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ストリート・フード・アッラ・イタリアーナ
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2020年8月29日土曜日

トスカーナの夏の料理、パンツァネッラ

フィレンツェのフレスコバルティの次は、ルフィーノのトスカーナの話。


ナポリやシチリアなど南イタリアの移民はアメリカ大陸を目指して大量に移民しました。ニューヨークのリトルイタリーやマフィアの映画やドラマで、その後の拡大の様子はすっかりおなじみです。
一方、トスカーナや、エミリア・ロマーニャなど中部~北部のイタリア人はイギリスを目指しました。
スパゲッティやピッツァが世界中に広まってイタリアの食文化の象徴になったのと同じくらい、キアンティのワインもイタリアの象徴として広まりました。
その背後にはワインメーカーたちのビジネスマンとしての知的な戦略と素晴らしい力があることを感じます。マルサラを初めてしてイタリアのワインを世界中に売るのは、イギリスのおはこ。

素朴で質素な家庭料理から生まれた南伊の料理とは明らかに違うステイタスが、トスカーナのワインにはありました。
常に上質のものを探求するワインの世界は、トスカーナの歴史と貴族社会を背景に発展してきました。

トスカーナのぶどう畑は世界中の人が憧れるイタリアの姿。
私も始めてイタリアを訪れた時は、トスカーナの田園地方に糸杉が立ち並ぶ姿を見て、ダ・ビンチの絵と同じだと感動したものです。


イタリア最古のカンティーナの一つとして、トスカーナの食文化の真の姿を世界中に伝えたい、という熱い思いから生まれた本です。
リチェッタより、その背景にあるものの説明に熱が入りがちな傾向はあるものの、トスカーナの食文化ならルフィーノにおまかせを、というプライドと覚悟はひしひしと感じます。

トスカーナ料理は、やはりまず、パーネ・ショッコの話からはじまります。
小麦はメソポタミアで人間が最初に栽培した穀物で、パンは古代文明の基本の食物、という有名な話から、キリスト教の教えでは、パンは神の愛や奇跡のシンボルと、フィレンツェピサの戦争で塩の物流を止められたことから塩が入らないパン、パーネ・ショッコが生まれた、だいたいここまでがセットでパーネ・ショッコのフリ。
パーネ・トスカーノDOP。

北イタリアで、豚肉を塩漬けにして保存する生ハムなどは、北伊の山の中では塩が高価で手に入らなかったことから、スモークして保存するスペックのような豚肉の保存食が考え出されたことを思い出すエピソードです。
無名の天才農民がピンチの時に考え出した食べ物でした。
フィレンツェ料理との相性もバッチリで、フィレンツェの食卓には常にこのパンが上るようになりました。
倹約家のフィレンツェの人たちは、古くなって固くなったパンも、すべて無駄なく食べました。その結果、フィレンツェ料理には、古くなったパーネ・ショッコを使う料理が多数出現したのです。
きょうの料理は、そんなパーネ・ショッコを使ったトスカーナの農民の純粋な伝統料理、パンツァネッラですpanzanella。トスカーナでは夏にだけ作る料理。火は使いません。

材料/4人分
固くなったパーネ・トスカーノ・・400g
熟したトマト・・500g
赤玉ねぎ・・1個
バジリコ・・15枚
ワインビネガー

・パンを幅1cmにスライスして耐熱皿に敷き込む。
・水250mlをかけて40~45分休ませる。
・玉ねぎをスライスして頻繁に混ぜながら水70ml、ビネガー70mlに15~20分浸す。
・きゅうりの皮をむき、縦に半分に切って輪切りにする。トマトは小角切りにする。
・パンを崩し、水気を切ったトマトと玉ねぎに加える。きゅうりとちぎったバジリコを加えて混ぜ、1時間休ませる。油40gとビネガー15g、塩、こしょうを加えて混ぜる。


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ルフィーノのトスカーナ
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 ===移民しましたが、==========同じくらい、========================

2020年8月28日金曜日

フレスコバルディ公爵は年間1100万本のワインを製造するワイナリーの社長に5歳でなった。愛犬の名はブルネッロ。


今日の「総合解説」のお題は、今月から始まった『クチーナ・イタリアーナ』の新連載、グランディ・ファミリアです。
イタリアの食品業界の華麗なる一族を紹介するというこの記事、1回目は、ワイン業界から。
イタリアのワイン業界をリードする、えげつないまでに華麗なある名門一族。
初回に選ばれたのは、フレスコバルディです。
フィレンツェの35代目の公爵で、自宅はフィレンツェのドームで知られる天才建築家ブルネレスキが設計したサント・スピリト聖堂の隣、というだけで、庶民はもう別世界すぎてついていけなくなります。
フレスコバルディのフィレンツェ。

2017年にはドイツの出版社によってワイン・ファミリー・オブ・ジ・イヤーに選出。

フレスコバルディ家はルネサンスの時代にワイン造りを始め、イギリスのヘンリー8世も大好きなワインでした。
ワイン造り以外にもアーティストの後援や街の開発事業にも熱心で、小さなメディチ家のようだったのですね。
記事には、フレスコバルディ家の35代目公爵の華麗なる経歴が、数行でさらっと紹介されていました。
ランベルト・フレスコバルディ公爵は、イタリアに1400haのぶどう畑を所有し、年間1100万本のワインを製造するワイナリー、フレスコバルディの社長に5歳でなった。
それ以来、増え続ける一族を全部まとめて王国を築きあげてきたすごい人。
フレスコバルディのぶどう畑↓

最新作、ニポッツァーノ↓

キアンティ地区の名門ワイナリー、ルフィーノもトスカーナ料理の素晴らしい本を出しています。

実は、素晴らしい本ですが、今まで紹介する機会がなくて、幻の本になってました。
次回はこの本の紹介です。

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総合解説

ルフィーノのトスカーナ

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2020年8月27日木曜日

トレンティーノ地方の風景の中で食べるストーロの粉のポレンタは、南のポレンタとは全く別物。

ポレンタは北イタリアの食べ物ですが、南イタリアのストリートフードが面白すぎて、また脱線してしまいました。
北イタリアではいったいどんな風にポレンタを食べているんでょうか。

美味しいとうもろこしの粉で知られるトレンティーノのストーロのアグリトゥーリズモ。↓
南伊と比べると別世界感が。

トレンティーノ地方の庶民が食べているもの↓
昼間は外も出歩けないような灼熱の世界と比べると、天国だー。

最後に登場した料理はマスのフライドポレンタ添え。

次はトレンティーノのもっとリッチピーポーの食事。
ミシュラン2つ星店、ロカンダ・マルゴンです。↓
トレンティーノの上質スプマンテで知られるカンティーナ・フェラーリを所有するルネッリ・グループの社長夫人が住んでいた家を改装した店。
シェフはマルケージとベルトンで修行した人。
料理は伝統に敬意を払ったクチーナ・クレアティーバ。
地元トレンティーノを愛し、料理にはその食材を使う。
ポレンタの粉はもちろんストーロ渓谷産。
アペリティーボにはとレンティングラナと一緒にカリッと薄焼きにしてスプマンテに添えます。
ロカンダ・マルドン。↓

トレント地方のアルタ・クチーナのポイントは放牧場のチーズのトレンティングラナ。↓

夏の放牧場(マルガ)↓

ハイジとペーターの世界だった。
ちょっと涼しくなった?


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総合解説
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2020年8月26日水曜日

揚げ物天国のナポリのポレンタはスカリオッツィ。ナポリの本格派、ティンパニ&テンプラのリチェッタ。

ポレンタは東北イタリアの質素な食べ物というイメージがあるけど、
南イタリアにもあります。
もちろん、残り物をおいしくて安いストリートフードに替えるのが得意のナポリ料理にもあります。
さらにナポリと言えば、揚げ物屋friggitoriaの伝統で知られる街。↓

フリットが美味しいことで知られるポレンタが残ったら、ナポリのフリッジトリアは揚げずにはいられない。
数日たって水分が抜けたポレンタで作ります。
Friggitoria VomeroのFBはこちら


ナポリの具入りポレンタのフリットのスカリオッツィScagliozziに対して、プーリアやシチリアにもプレーンなポレンタを揚げたスカリオッツェScagliozzeがあります。
こちらがルーツだという説も。
プーリアの人も愛すべき強烈さ(www)。↓

ナポリ風スカリオッッィのリチェッタは、クレアパッソのおすすめ本、
ストリート・フード・アッラ・イタリアーナ から、カンパーニアの伝統料理の店、“ティンパニ&テンプラ”のリチェッタをどうぞ。
この本でも一押しの店、ティンパニ&テンプラはナポリ中心部のナポリの真髄を感じるスペイン地区にある、超本格派の店。↓
ティンパノはティンバッロのことでパスタを意味し、テンプラはフリットのこと。
つまり店名は、パスタとフリットというナポリ料理の2本の柱を表しています。
ストリートフードにもこだわるこの店は、パスタも手づかみで食べれるものを出す、というのがこの店のポリシー。
その1例が南イタリアの伝統料理、ティンバッロ。


それでは、この店のスカリオッツィScagliozziのリチェッタをどうぞ。
材料/10~15個分
とうもろこしの粉・・350g
生ハムかパンチェッタ・・150g
カチョカバッロ・・100g
カルマッシャーノのペコリーノ(6ヶ月熟成)・・50g
ラード・・大さじ1
にんにく・・2かけ
セロリ・・2本
イタリアンパセリ・・1房
ローリエ・・3枚
粗挽きこしょう・・小さじ1/2、塩
EVオリーブオイル、揚げ油・・3L

・鍋に水750ml、ラード、ローリエ、皮をむいたにんにく、セロリ、塩を入れて弱火にかけ、約1時間軽く沸騰させる。
・火から下ろし、ダマにならないようにホイッパーでかき混ぜながらとうもろこしの粉を振り入れる。
・粉が溶けたら再び弱火にかけ、木べらでかき混ぜながら50~60分煮る。
・ポレンタが煮詰まったら火を止めて数分置き、おろしたチーズ、イタリアンパセリのみじん切り、粗く刻んだ生ハムを加えてマンテカーレする。
・ポレンタをバットに厚さ1cmに広げて冷まし、小さな三角形(または拍子木型や円形)に切る。160℃のたっぷりの油で揚げる。
・きつね色になったらシートに取り出して油を切り、混ぜた塩、こしょうを散らしてサーブする。

カンパーニアのチーズ、ペコリーノ・ディ・カルマッシャーノ↓



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2020年8月25日火曜日

ポレンタ・ソッフィアータなんてイタリア語でいうからわからなかったけど、トルティーヤ・チップスのことだった。

ポレンタの話、続けます。
今月の「総合解説」の料理(P.3)ポレンタ・ソッフィアータpolenta soffiataは、始めて聞く料理名でした。

ソッフィアータは、風が吹くとか、息を吹き込む、という意味の言葉。
ポレンタは、粥状のソフトポレンタ、それを固めてグリルやフリットにしてクロスティーニやチップスなどにします。
ソッフィアータは、チップスを揚げて、ふーっと息を吹き込んだかのように膨らませたもの。
詳しい作り方は「総合解説」P.3を御覧ください。P.4の写真の①がソフトポレンタ、③は電子レンジで加熱した状態、それを揚げると④のソッフィアータになります。

さらに、このリチェッタの一番最後にさらっと書いてあることを読んで、納得しました。
「ワカモレやクリームチーズを添えてテキーラベースのカクテルなどと一緒にサーブする」

そうですよ、ポレンタはとうもろこしでできてるんですからテキーラに合うに違いない。
別名トルタティーヤ・チップスとも言う。

総合解説2012年2月号によると、ラツィオやアブルッツォでは柔らかいポレンタを食べ、ベルガモやベローナでは固めたポレンタを食べるそうです。
ポレンタの固さは粉の細かさや水の量によって変わります。
とうもろこしの粉だけでなく、とうもろこしとそば粉や、とうもろこしと小麦粉など、2種類の粉をミックスしたり、ヴァルテッリーナの“タラーニャ”のようにそば粉とチーズがベースのポレンタもあります。
トレンティーナ地方のロンバルディアとの州境に近いストロという渓谷で作られるポレンタの粉は最高だと言われています。
ストロのポレンタ祭り↓

トラディツィオーネ・グスト・パッシオーネ/1巻北・中央イタリア 英語版』によると、ピエモンテのアスティ県にあるブッビオでもポレンタ祭りが開催されています。
ブッビオのポレンタは大きさで勝負。↓ 

ここでポレンタの基本知識を少し。
まず、ポレンタの原料はとうもろこしの粉。
とうもろこしを外皮ごと挽いた全粒粉integrale、皮を取って粗く挽いたブラマータbramata、細かく挽いたフィオレットfiorettoの各タイプがある。

グルテンを含まず、タンパク質は小麦粉より多い。

昔は農家の日常の食べ物だったが、現在では特別な料理とみなされている。

・ポレンタを煮る鍋、パイオロpaioloは銅製で暖炉に吊るす事を考えて作られた形をしている。
・煮ている間は木べらpaletta di legnoで常にかき混ぜるが、熱いポレンタから適度に離れるように十分な長さが必要。
・煮上がったポレンタをあけるカッティングボードはtagliere di legnoは、鍋から直接ポレンタをあける板。張り付かないようにぬらしてから使う。

次は南イタリアのポレンタの話。

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2020年8月24日月曜日

新世界から伝わったとうもろこしの粉から作るポレンタを、古代ローマ人が日常的に食べていたって、どうして?揚げポレンタのキノコのクロスティーニ。

今月の「総合解説」から、きょうの料理は“ポレンタ・ソッフィアータ”。
今日のお題はポレンタです。
北イタリアの山の料理、ポレンタは、小麦粉が育たない地方では、パン、パスタ、米に次ぐ、第4のコントルノ。
銅鍋でかき混ぜながら40分煮た昔ながらの伝統的なポレンタ

今どきのポレンタは、インスタント・ポレンタの粉で5~10分で出来上がり。

ポレンタを自動でかき混ぜる電動ニーダーもある。
ポレンタは揚げたりグリルしたりローストして具をのせればクロスティーニに。
ポレンタには大抵の食材が合う。
揚げたり、ニョッキにしたり、オーブン焼きのパスティッチョ、粉を煮る時に牛乳、バター、チーズを加えるなど、アレンジは無数。
伝統的な地方料理もトレンティーノからカンパーニアまで各地にある。

揚げポレンタのきのこのクロスティーニFried Polenta Crostini

材料/
インスタント・ポレンタの粉・・1袋
水、塩
揚げ油
好みのきのこのトリフォラート

・パッケージの説明に従って柔らかいポレンタを作る。最初はゆるくても煮ているうちに固くなる。
・テリーヌ型に油を塗ってポレンタを流し入れる。ラップで覆って冷ます。冷めて固まったら取り出してスライスする。
・両面をきつね色に揚げてシートに取り、きのこのトリフォラート、ミートソース、トマトソース、トスカーナ風鶏レバー、ズッキーニのソテー、ゴルゴンゾーラ、サルシッチャなど好みの具をのせる。


総合解説2012年2月号のポレンタの記事によると(p.14)、
そもそも、とうもろこしの粉から作るポレンタだが、アメリカ大陸の発見前から存在した料理で、古代ローマ人は日常的にポレンタを食べていた。
ポレンタは、古代ローマ時代はラテン語で粥という意味の“プルスplus”と呼ばれていた。
水と火と粉があればできる、熱くて柔らかくて腹持ちがよい料理、お粥、それが、新世界からとうもろこしが伝わると、革命が起きる。

その色から金に例えられたとうもろこしは、鋤も使わずに栽培できて、
たった3ヶ月で収穫でき、どんな植物より豊かに実り、一国の国民丸ごとの腹を満たすほどだったので、インカ帝国では太陽と一緒にあがめられた。
イタリアに伝わったとうもろこしはヴェネトを始めとして北部や中部に広まった。
18世紀の民衆の主食は質素なポレンタだった。
ベネトのとうもろこしの栽培↓


ポレンタの話、次回に続きます。

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2020年8月23日日曜日

ローマのロマネスコとエイヒレのスープは金曜日の料理。シチリアの紫カリフラワーとロマネスコでミネストローネがアートに。

今日のお題はミネストローネ。
普通なら、旬の野菜、香味野菜、いんげん豆などを一緒に煮るので、出来上がりはごった煮感あふれるこんな感じ↓

でも、今月は12月号。家庭料理感一杯のこの料理を、豪華なクリスマスのご馳走に変身させるには、どうすればいいのか。
今月の「総合解説」P.5のリチェッタ、“野菜のミネストローネ”には、この問題を解決するヒントが詰まっています。

その1は、ロマネスココ。
ミネストローネのブロッコリーがロマネスコになるだけで、ご馳走感上昇です。
ちなみに上の動画の、ロマネスコのクリームスープのリチェッタは、

・ロマネスコ1個、1kgを小房に分ける。
・玉ねぎ1/4個のみじん切りを油でソッフリットにし、ロマネスコを加えてなじませる。
・ブロードか湯400mlと塩を加え、蓋をして25分ゆでる。
・ロマネスコが柔らかくなったら飾り用に少量別にし、残りはブロードごとミキサーに入れて撹拌してクリーム状にする。
・パンチェッタかベーコンの小角切り80gを炒めて取り出す。
・同じフライパンにスライスしたパンを入れて焼く。
・皿にロマネスコのクリームを入れてパンチェッタとロマネスコを加える。


によると、ローマの曜日別料理の伝統によると、ニョッキは木曜日、トリッパは土曜日、コーダ・アッラ・バッチナーラは牛を捌く日の水曜日、火曜日はひよこ豆とアサリのスープの日、金曜日は、ロマネスコとエイヒレのミネストラの日でした。

ロマネスコとエイヒレのミネストラ↓


季節的には冬の料理ですが・・・。

・セロリ2本、にんじん小1本、玉ねぎ小1個、エイヒレ2枚でアクを取りながらブロードをとる。
・ロマネスコを小さく切る。
・にんにく、唐辛子少々、イタリアンパセリの茎を油でソッフリットにしてアンチョビを溶かす。ロマネスコを加えてなじませ、トマトのパッサータとブロードを少しずつ加えて煮る。
・ブロードからエイヒレを取り出し、軟骨からは身をはがしてほぐし、ブロードに加える。
・塩を加え、スパゲッティを折って加えてゆでる。
・皿に盛り付けてチーズと油をかける。

ミネストローネに話を戻します。
素朴なミネストローネをクリスマス料理にする裏技、その2は、紫カリフラワー。

これはシチリアの紫カリフラワー↓
白いものより美味しいそうです。

ロマネスコと紫カリフラワーが揃うと、もう無敵のミネストローネになりますが、
さらにもう1技。カボチャとじゃがいをくり抜き機で球形にくり抜きます。
こんな具がごろごろしてるスープは、まさに宝石箱です。


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2020年8月22日土曜日

ボッタルガのスパゲッティ、キャビアのスパゲッティのベースはスパゲッティ・カーチョ・エ・ペペ

今月の「総合解説」2018年11/12月号から、まずイクラのパスタを紹介しましたが、次は、イタリアのもっと一般期な魚卵のパスタです。

料理はスパゲットーニ・カーチョ・エ・ペへ・エ・ボッタルガ。リチェッタはP.5にあります。
カーチョ・エ・ペペはこれまでにも度々取り上げてきたので(こちらこちら)、もうネタはないかな、と思っていたのですが、今回は、ボッタルガ入りと、12月号にふさわしく、ちょっと豪華な食材を絡めてきました。
魚卵は基本的にマイナーな食材のイタリア料理。
でも、かなり普及している魚卵、それがボッタルガです。
手作りボッタルガ↓

魚卵(動画ではスズキの卵)を密閉容器に入れて粗塩で覆い、冷蔵庫で最低2日寝かせる。
皮をむいておろし、スパゲッティに散らす。

ボッタルがと言えば、サルデーニャ。サルデーニャでは、サルデーニャのキャビアと呼ばれています。

そうですよね。日本では魚卵と聞いてまずキャビアを思い浮かべる、という人はあまりいないかもですが、欧米では、まずキャビア。

キャビアの作り方は知ってますか?
特定の品種のチョウザメの卵を絞り出したら塩水漬けにします。

超高価な食材、キャビアも、クリスマスのディナーなら使っちゃう。

「総合解説」のカーチョ・エ・ペペ・エ・ボッタルガは、ベースはシンプルで素朴なカーチョ・エ・ぺぺだけど、トッピング次第でゴージャスにもなる典型的なパスタ。

そう言えば、以前、シンプルなパスタの代表としてナポリのコラトゥーラのスパゲッティを紹介しましたが、ローマのシンプルなパスたならカーチョ・エ・ぺぺでしょうか。
リチェッタはほとんど訳したと思っていたら、大御所、パオロ・ペトローニ先生の本、『スパゲッティ・アモーレ・ミオ

はまだでした。
誰もが知っていて語り尽くされた料理ですが、簡単なのでちゃちゃっと訳します。
スパゲッティ・カーチョ・エ・ぺぺSpaghetti cacio e pepe
材料/4人分
スパゲッティ・・350g
おろしたペコリーノ・ロマーノ(熟成期間が短めのもの)・・150g
粒黒こしょう、塩

・スパゲッティをアルデンテにゆで、水気を多めに残して取り出す。
・熱したボールにパスタを入れ、チーズの半量とたっぷりの挽きたてのこしょうをかけてよくマンテカーレする。
・皿に盛り付けて残りのチーズを散らす。
スパゲッティ・カーチョ・エ・ぺぺ


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スパゲッティ・アモーレ・ミオ
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2020年8月21日金曜日

サルメリーノの卵のパスタは、画期的な料理だった。マスの卵のスパゲッティ。

総合解説」2018年11/12月号発売しました。
最初の記事は、『クチーナ・イタリアーナ』11・12月号のリチェッタです。

クリスマスと新年の2大イベントがある12月は豪華な食材の料理が増える時期。
そのせいか、今月は、始めてイクラのパスタが登場しました。
ちなみにこらのページでクリスマスの食材として挙げているのは、イクラの他に、アンコウの肝にコウイカの卵。
長年訳してますが、これだけたっぷりイクラを使ったパスタのリチェッタを訳すのは初です。

サケとマスの違い自体よくわかっていないけど、鮭の卵という言い方はしない。
『クチーナ・イタリアーナ』では“サルメリーノ”の卵と呼んでいた。
マスの卵を絞る↓

イクラと組み合わせたパスタは手打ちのタリアテッレ。リチェッタは「総合解説」2018年11/12月号p.4
もう一つ、ピスタチオも組み合わせてさらにゴージャスに。
しかもピスタチオペーストは手作り。
ピスタチオのペーストは、麺にもソースにも加えています。

ピスタチオと言えば、シチリア料理。
ピスタチオのペーストのスパゲッティ

ピスタチオの緑色が麺に加わると、イクラのオレンジが際立ちます。

材料/4人分
スパゲッティ・・320g
殻むきピスタチオ・・200g
羊のリコッタ・・大さじ1強
バジリコ・・4枚
パルミジャーノ・・40g、塩
EVオリーブオイル・・50ml

・ピスタチオ、パルミジャーノ、バジリコ、オイルの半量をミキサーにかけ、残りのオイルを加えて均質のペーストにする。
・パスタをゆでる。
・フライパンにペーストを入れて弱火にかけ、リコッタとパスタのゆで汁を加えてクリーミーなソースにする。
・ゆで上がったパスタとゆで汁を加えてあえ、皿に盛り付ける。

マスの卵のスパゲッティSpaghetti e uova di trota

マスの卵の動画はあってもイクラのパスタはない。

・マスの卵から膜を取り除く。
・エシャロットのみじん切り少々を油とバターで炒める。
・卵を加えて弱火でさっと炒める。
・生クリーム大さじ2を加える。
・スパゲッティを加えてあえる。

どうやらサケ・マスの卵を生で食べるという習慣がない。
この料理はクリスマス料理になるくらいかなり画期的なリチェッタだった。
マスの卵を食べる↓

ビネガーをたらしてパンと一緒に。
そう言えば、プーリアでウニをパンとワインと一緒に食べた時も悪くない、と思ったものでした。

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総合解説
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2020年8月20日木曜日

シチリアのアルティジャナーレのジェラートはナポリのピッツァのようなもの。唯一無二の食べ物。

総合解説」2018年11/12月号発売しました。
お得なPDF版もあります。
今月の「総合解説」はクリスマスを含む年末号。
一年で一番豪華な料理を作る季節です。
興味深い料理が色々ありましたが、今、リアルの季節は真夏なので、シチリアの冷たいデザートの話、続けます。
今日のお題はジェラート。

シチリアのアルティジャナーレのジェラートメーカー、シージェル。

シチリアのジェラートはナポリのピッツァのような唯一無二のもの。

「総合解説」07/08年9月号(品切れ)には、『ガンベロ・ロッソ』が選んだジェラート・ベスト10が。
10位に選ばれたのはノートのカフェ・シチリア。
店のwebページはこちら
店主のコッラード・アッセンツァ(下の動画で語っている人)は、スローフードにシチリアを代表する料理人として選ばれています。 

9位はローマのアル・セッティモ・ジェーロ。
店のwebページはこちら

ジェラートの歴史↓
シチリアのエトナ山の雪や氷に柑橘フルーツの果汁をかけて食べたのが始まり、という説や、トスカーナでカテリーナ・デ・メディチが主催した品評会で発表された新作のドルチェが最初のジェラートなどの説が伝わっています。
彼女がパリに連れて行った職人によってジェラートはフランスにも広まったと言われています。
脂肪分を含まないジェラートことソルベットはアラブ人によって伝わりました。
17世紀後半にフランスで現在知られているジェラートのリチェッタを確立したのはシチリア人のフランチェスコ・プロコピオ。
1686年にパリに渡ってヨーロッパで最初のカフェ・プロコピオを開き、フルーツのソルベットやジェラートが大ヒットします。

この歴史を見る限り、ジェラートはシチリアで生まれてはぐくまれた食べ物と言えるかも。
パリのカフェでもシチリアの習慣に忠実に、グラニータとブリオッシュを出してるんですね。
シチリアのブリオッシュはハンバーガー級の大きさ。


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総合解説
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2020年8月19日水曜日

シチリアならではのグラニータ。ブラッドオレンジのグラニータ、アーモンドのグラニータ。

イタリア料理のイギリスの師匠の本、
には、グラニータについて、こんなことが書いてありました。

グラニータはイタリア中に広まっているが、中心地は南イタリアとシチリアだ。
有名なフレーバーは、コーヒーとレモンの2つ。
中でも、南イタリアで年初の季節に広まっているのが、ブラッドオレンジのグラニータだ。
シチリアのオレンジは、アラブ人によって、紀元前1000年頃伝わった。


という訳で、ブラッドオレンジのグラニータGranita di arance rosseのリチェッタをどうぞ。
材料/6人分
グラニュー糖・・100g
赤いオレンジの果汁・・400ml、約5個分
グランマニエ、ウオッカ、ラム酒・・大さじ2
オレンジの皮のすりおろし(色付き部分のみ)・・2個分

・砂糖とオレンジの果汁100mlを小鍋に入れて溶かし、残りの果汁、リキュール、オレンジの皮を加えてよく混ぜる。
・製氷皿に流し入れて厚さ3cm以上にし、砕きやすいように冷凍庫で急速に一晩冷やす。
・表面をフォークで細かく砕き、冷凍庫で最低2時間冷やす。
・再びフォークで砕いて冷凍庫で冷やしたコッパに盛り付ける。

次は、グラニータが人気のパスティッチェリーアのオーナーの言葉。
シチリアを象徴するグラニータは、アーモンドのグラニータだ、というのがとても印象に残りました。


リチェッタは、シチリア料理の小さな愛すべきシリーズ“ブランカート・クチーナ・シチリアーナ”シリーズのパスティッチェリーア・シチリアーナ』からです。


アーモンドのグラニータGranita di mandorle
材料/4人分
殻むきアーモンド・・150g
殻むきビターアーモンド・・20g
砂糖・・150g

・水1Lを沸騰させて冷ます。
・アーモンドをさっとゆでて皮をむき、砂糖と一緒に乳鉢ですり潰して細かいペーストにする。
・さらに裏漉しして熱湯に入れ、時々かき混ぜながら冷凍庫で2時間冷やして柔らかいシャーベット状にする。


シチリアではコーヒーやレモンのグラニータばかり食べていた気がするけど、アーモンドのグラニータを食べなかったなんて、残念~ !!
シチリアで食べないでどこで食べるんだ~!!


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2020年8月18日火曜日

シチリアの冷たいコーヒーのアレンジ、シェケラート・ベイリーズ、ティラミスの食後酒、コーヒーのグラニータ・コン・パンナ。

カフェ・フレッド、カフェ・シェケラート、そしてコーヒーのグラニータと、シチリアには、冷たいコーヒーのバリエーションがたくさんあります。
シェケラートのバリエーションの一つは、コーヒーリキュールを加えたカクテル。
イリーのシェケラート・ベイリーズshakerato baileys

・グラスを氷で冷やす
・エスプレッソを2杯いれる。
・シェイカーのグラスに氷、ベイリーズ25ml、コーヒーを加えてシェイクする。
・ストレーナーで漉しながらグラスに注ぐ。
ベイリーズだけでなく、アマレット・ディ・サロンノでもよい。
総合解説2012年8月号には、ティラミスの食後酒版も。

それは、カスタードのジェラート2玉、サボイアルディ2枚、エスプレッソ20~25ml、
低脂肪ココア小さじ1をミキサーで5~10秒撹拌し、グラスに注いでココアを振りかける、というもの。

ティラミスのカクテル、ティラミスティーニtiramisutini

・グラスに氷を入れる。
・ウオッカ、フラ・アンジェリコ・リキュール、アイリッシュクリーム、冷たいエスプレッソをシェイクする。
・カクテルグラスにチョコレートシロップを細く渦巻状に垂らす。カクテルを注いでグラスにサボイアルディを1枚のせる。

 冷たいコーヒーの最終形態はグラニータ。
今回は、カターニアのエトナ山の麓の街、アチレアーレでグラニータの殿堂と呼ばれている有名なパスティッチェリーア、ネバローリNevaroliのオーナーが説明するリチェッタをどうぞ。
オーナーは、グラニータの材料は水と砂糖と情熱だ、と語っています。シチリアを象徴するグラニータはアーモンドのグラニータ、とも。
シチリアの人は朝食だけでなく、昼も夜も、一年中グラニータを食べるので、冬はコーヒーやピスタチオ、コーヒーやチョコレートのグラニータ、夏はいちじくや桑の実、桃やいちごのグラニータなど、季節の食材を使います。
店はグラニータの元祖とも言われていて、まだ冷蔵庫がない時代に、エトナ山の氷で冷やして作っていたそうです。

ネバローリ↓

同店のグラニータ。

秘密は手動のマンテカトゥーラ。
コーヒーの中に空気が入ることによって量も色も変わるので、とても繊細な作業になる。グラニータの状態を見守りながら、機械をこまめに止めながらマンテカーレする。

コーヒーのグラニータ・コン・パンナ

総合解説201手2年8月号から、シチリア風グラニータ・コン・パンナGranita siciiana con pannaのリチェッタをどうぞ。

材料/4人分
濃いコーヒー・・200ml
グラニュー糖・・150g
生クリーム・・300ml
バニラビーンズ・・1本
粉糖・・30g

・鍋にグラニュー糖、切込みを入れたバニラビーンズ、水500mlを入れて沸騰させ、2分煮てシロップにして冷ます。
・バニラを取り除いてコーヒーを加える。
・製氷皿に移し、時々ホイッパーかフォーでかき混ぜながら冷凍庫で冷やす。
・サーブする直前に生クリームに粉糖を加えてホイップする。
・グラニータをコッパに盛り付けてホイップクリームをのせる。


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2020年8月17日月曜日

冷たいコーヒーも、今はフレッド・エスプレッソ、フレッド・カプチーノの時代になっていた。


シチリアの、中でも、メッシーナ、カターニア、シラクーザ各県の典型的な夏の朝食でtioche con il tuppo、バールで、ブリオッシュ・コン・トゥッポを浸して食べるんだそうですが、シンプルに硬質小麦粉のパンを浸すこともあるそうです。
果汁をニュートラルな澱粉のカッルーベの粉やコーンスターチでつないで溶けにくくすることもあるそうです。

メッシーナのバール・トリノでグラニータの朝食

シチリア以外の朝食

コーヒーのグラニータ、ホイップクリーム、ブリオッシュのシチリアの朝食。

総合解説2012年8月号によると、トリエステのイリーコーヒー大学によると、バールのカフェ・フレッドことアイスコーヒーのベースは、コーヒー7gで30秒抽出した普通のエスプレッソコーヒー20~25ml。
モカを使ってもよいが、アロマが弱く、味の強い珈琲になるそうです。

ギリシャのバリスタチャンピオン、ミカリスが作る
フレッド・エスプレッソにフレッド・カプチーノ。

freddo espressoフレッド・エスプレッソ
・粉40~42gでダブルのエスプレッソをいれる。
・砂糖を入れたい時は氷を加える前に大さじ1程度を加えて撹拌するが、お勧めは砂糖なし。
・グラスに氷を入れて砂糖を加えていないエスプレッソを注ぐ。

freddo cappuccinoフレッド・カプチーノ
・粉40~42gでダブルのエスプレッソをいれる。
・砂糖を入れたい時は氷を加える前に大さじ1程度を加えて撹拌するが、お勧めは砂糖なし。
・グラスに氷を入れて泡立てたミルクを加える。

どちらも短いストローで飲んでます。

freddo flat whiteフレッド・フラット・ホワイト
・粉40~42gでダブルのエスプレッソをいれる。
・少量の氷を加えてじっくり撹拌する。
・グラスのミルクの上に注いで2段にする。

caffè shakeratoカフェ・シェケラート
・グラスに氷、砂糖、エスプレッソをいれる。
・シェーカーをかぶせて裏返し、シェイクする。



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総合解説
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2020年8月16日日曜日

モンタルバーノのアランチーノは有名すぎて、ドラマを見たことなくても一度は食べてみたくなる。

アランチーニの話になると必ず登場する話題、1つ忘れていました。
モンタルバーノです。
詳細は今月の「総合解説」P.33を御覧ください。
アンドレア・カミレッリ原作のシチリアの壮大で美しい風景を舞台に、シチリアの人々の暮らしや食べ物も垣間見れる人気TVシリーズ、刑事モンタルバノに登場して、その象徴となった食べ物です。

舞台はラグーザ。
聖地巡礼のツアーには世界中からファンが参加する。


シチリアの検死官の朝食。


人情に熱い独身刑事が、新年に家政婦の家に招かれてごちそうになるのが、刑事の大好物で家政婦が作るアランチーノ。
シリーズを見たことのない私でも昔から知っているくらい有名。

シチリア人も、アランチーニというタイトルに心を鷲掴みされる人が続出のようで、本の通り作ってみた動画がたくさんupされてます。
モンタルバーノのアランチーニGli arancini di Montalbano


今回の「総合解説」には、このアランチーノについて、ちょっと詳しい情報が。
それによると
ヴィテッローネと豚肉を1対1の割合で混ぜてメッザルーナで刻み、とろ火でコトコト煮込んで2日かけて作る大作。
ちなみにリゾットにサフランを加えるのはパレルモ風、サフランは加えないでラグーで赤みを加えるのはカターニア風。
アランチーニのリチェッタは「総合解説」P.34。

モンタルバーノのアランチーニArancini di Montalbano
材料/16個分
ラグー;
仔牛肉・・150g
豚肉(サルシッチャ)・・150g
玉ねぎ・セロリ・人参のみじん切り
トマトのパッサータ・・400g
油、塩

アランチーニ;
米・・500g
玉ねぎ・・小1個
白ワイン
ブロード・ディ・カルネ
卵・・2個
グリーンピース・・80g
小さく切ったサラミ・・80g
ベシャメル
塩、小麦粉、卵白、パン粉
揚げ油

・香味野菜と2種類の肉を弱火で1.5時間炒める。
・リゾットを作る。米を炒めてワインをかけ、アルコール分を飛ばす。ブロード・ディ・カルネをかけながらリゾットに煮る。サフランは加えず、白いリゾットにする。
・ラグーにサラミとベシャメルを加える。
・リゾットに卵2個を加える。
・リゾットにラグーを詰めて丸め、小麦粉、溶いた卵白、パン粉をまぶして油で揚げる。

おまけの動画はカターニアの伝統的なパスティッチェリア、スピネッラ。
webページはこちら
アランチーニもある。





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2020年8月15日土曜日

アランチーニのルーツは、手で食べていたアラブのクスクス。これにパン粉をつけて揚げると持ち運びできるようになった。クスクスのアランチーニ。

今月の「総合解説」から、今日のお題は、シチリアのソールフード、“アランチーニ・ディ・リーゾ”(P.33)です。

これまでにも度々取り上げていますが、だいたい、いつも必ず話題になるのが、男性名詞の“アランチーノ”という名前と球形のパレルモ派と、女性名詞のアランチーナでコーン形のカターニア派の2大流派がある、ということ。
しかも専門家はシチリアの方言では男性名詞だけど、イタリア語では果物は女性名詞なので、どちらも正しい、という曖昧な説でいつもお茶を濁す。

12月13日のサンタ・ルチアの日は、パレルモではアランチーニの日。

そう言えば、サンタ・ルチアはナポリの漁師町としておなじみ名前だけど、聖ルチアは殉教したれっきとした聖女でした。
こちらのページには、サンタ・ルチアの日になぜアランチーニを食べるのかについて、こんなことが書かれていました。
1646年の12月13日、飢饉で苦しんでいたパレルモの港に、小麦を積んだ船が到着したのだそうです。飢饉が終わった奇跡を祝して、小麦を粉にする間も惜しんで、小麦粉で作られたパスタやパンを食べるのではなく、小麦以外の穀物を食べた、ということにあやかっているのだそうです。この日は、パレルモ中のパン屋は休みで、揚げ物屋だけが営業するのだそうです。
毎回同じ話題でアランチーニの話題は出尽くしたかな、と思っていましたが、今月号には、新節が披露されていました。
アランチーニのルーツは、アラブに支配された時代のクスクスを手のひらで丸めて、子羊肉と野菜の煮汁をかけて食べた料理だというのです。
クスクスを手で食べる。↓

これに時代ともにトマトが加わり、パン粉をつけて揚げるようになると、持ち運びしやすい料理になって、メッシーナとレッジョ・カラブリアを渡し船で行き来する人々の定番の食事になったのでした。

おまけのリチェッタはメカジキ入りクスクスのアランチーニArancini di cous cous

 con ragù di pesce spada。(リチェッタは1:20~)


・サフランを溶いた湯をボールに入れたクスクスにかけてバターを加える。
・覆いをして5分休ませ、粒をほぐして冷ます。
・パルミジャーノ少々を加える。
・少量ずつ手のひらに取ってメカジキのラグーとパスタ・フィラータのチーズの小片を詰めて閉じる。冷蔵庫で休ませる。
・小麦粉、水、塩少々を混ぜて衣にする。
・アランチーニに衣とパン粉をつけて油で揚げる。

シチリアと本土を結ぶフェリー。

今月の「総合解説」P.6には“クスクスとナスのクロケッテ”のリチェッタも。


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2020年8月14日金曜日

ピエモンテのヴィテッロ・トンナートがお勧めの店。ランゲ地方の夏の料理、カルピオーネ・アッラ・ピエモンテーゼ。

今日は、今月の「総合解説」から、ヴィテッロ・トンナート・アッラ・アンティカがおいしいピエモンテのレストランとして紹介された店(詳細はP.32)と、ピエモンテへの、バーチャルツアーです。

まずはアルバのラ・ピオーラLa Piola。ピオーラとは地元の言葉でオステリアのこと。
webページはこちら
本格的ランゲ料理の地域を代表する有名店です。
とは言っても、周りはこの地方を代表する有名店ばかり。

黒板にずらっと書かれたランゲ料理のリストが名物。

世界遺産のランゲ・ロエーロ地方

同じくランゲ・ロエーロ地方の郊外

次は旧鉄道駅を改装した7年前までは駅だったアスティのオテリア。アイ・ビナーリ。Ai Binari
webページはこちら

アスティ

最後は1999年オープンのトリノのレ・プトレッレLe Putrelle。webページはこちら

おまけのリチェッタは、アイ・ビナーリの動画にも出てきたランゲ地方の夏の料理、
ピエモンテ風カルピオーネcarpione alla piemonteseです。

材料/鶏胸肉の薄切り・・4枚
卵・・5個
ズッキーニ・・5本
パン粉
玉ねぎ・・1個
にんにく・・1かけ
セージ、ローリエ
ビネガー・・1カップ
白ワイン・・1カップ
オリーブオイル

・鶏胸肉(子牛、七面鳥、魚でもよい)に溶き卵とパン粉をまぶし、熱したオリーブオイルで片面2分揚げる。焼き色がついたらシートに取る。
・油を切ってオーブン皿に並べ、
・ズッキーニは半分に切ってくし切りにし、油で揚げる。表面に焼き色がついたらシートに取って油を切る。
・その間にフライパンで目玉焼きを作る。卵を割り入れ、とろ火にして蓋をして焼く。皿に取り、油を切って切り分ける。
・オーブン皿に目玉焼きとズッキーニを入れる。
・カルピオーネのマリネ液を作る。玉ねぎ1個を薄切りにする。にんにくを半分に切る(後で取り除く)。
・玉ねぎとハーブ(セージ、ローリエ2枚)を油でソッフリットにする。
・白ワイン1カップと同量のビネガーをかけて2分沸騰させる。玉ねぎが柔らかくなりすぎない程度に煮る。これをオーブン皿にかけて冷蔵庫で12~24時間マリネする。

リチェッタのバリエーションは作る人の数だけあります。


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総合解説
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2020年8月13日木曜日

ローストビーフに匹敵するポピュラーな料理になったヴィテッロ・トンナートの変遷からイタリア料理の歴史が見える。

今月の「総合解説」から、今日のお題は、ピエモンテの夏の定番料理、ヴィテッロ・トンナートですVitello tonnato。(P.30)



「総合解説」のこの記事のタイトルは、「ヴィテッロ・トンナート・アッラ・アンティカ」です。ヴィテッロ・トンナートはフォーマルなビュッフェの人気の1品で、前菜、または夏のセコンドという地位を確立しています。
現代のヴィテッロ・トンナートはローストビーフに匹敵するポピュラーな料理です。

18世紀に生まれた歴史のある料理ですが、一斉を風靡したのは80年代。現代の姿になったのは19世紀という、古いんだか新しいんだか、実はよくわからない料理。

でも、歴史的な料理書に残されたリチェッタをたどると、その変遷が見えてきます。
総合解説」13/14年8月号にの内容を大雑把にまとめると、
まず、最初のリチェッタは19世紀末に書かれたペレグリーノ・アルトゥージの有名な本に登場しました。
ところが、当時はツナはまだ知られていなかったのです。
ただし、マグロ料理はルネサンス時代には登場しています。

逆に、肉料理はまだ特別な機会に食べるもので、部位は主に内臓などの質素な部位でした。
当時の記録によると、マグロは領主の食料庫の中で見かけることができたそうですが、それはマッタンツァで獲ったマグロの中トロの塩漬けや干物を、バッカラのように戻して使っていました。あるいはリグーリア産マグロのオイル漬けだったそうです。


オイル漬けの缶詰が出回るようになったのは、19世紀末。
この時点で初めてマヨネーズの入らないヴィテッロ・トンナートが登場しました。
1900年代になると、ゆで卵の黄身が加わり、それが50~60年代にはマヨネーズに変わります。
このバージョンは人気になりました。

そう、アンティカとモダンなヴィテッロ・トンナートを分けているのは、マヨネーズが入るか入らないかです。
今月の「総合解説」で紹介しているリチェッタは、マヨネーズが入らないリチェッタです。

ヴィテッロ・トンナートは、リグーリアからアンチョビの塩漬けと一緒に塩を仕入れていた塩商人によって、クーネオで誕生したと言われています。

ヴィテッロ・トンナート・アッラ・アンティカ↓


マヨネーズの代わりに加えたのは、ピエモンテ料理にはよく登場するカンタブリコのアンチョビ、レモンまたはビネガー、ケッパー。
カンタブリコのアンチョビ↓

ヴィテッロ・トンナートに使うのは子牛のもも肉ですが、最近では、豚のロース肉を使うバージョン、マイアーレ・トンナートも普及してきた。

豚ロース肉のサルサ・トンナータがけLonza di maiale con salsa tonnata

材料/8人分
・鍋に油を入れて強火で熱し、豚ロース900gの表面全体を焼く。
・網を敷いた天板に肉をのせ、70℃のオーブンで1時間焼いて冷ます。
・室温の卵1個、マスタード小さじ1(好みで)、レモン汁大さじ1、EVオリーブオイル200g、塩、ビネガー大さじ1を撹拌してマヨネーズを作る。
・ツナ、アンチョビ6枚、塩抜きしたケッパー30gをミキサーにかけてマヨネーズを加え、冷蔵庫に入れておく。
・肉をスライスしてサルサ・トンナータをかける。

そもそもは、海のないピエモンテでアンチョビとツナから生まれた料理。
応用が自在なところがこの料理の魅力でしょうか。

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2020年8月12日水曜日

魚のフリット・ミスト。フリット・ディ・パランツァ、フリット・ネル・コーノ、アンコウのフリット。

今月の「総合解説」から、次は魚のフリットです。
イタリア人は自らを揚げ物のマエストロと自負するくらい揚げ物好き。
内臓から残り物まで、何でもおいしい1品に変えてしまいます。
「総合解説」にも度々フリットの記事は登場しています。

イタリアの沿岸部の名物料理、アンティパスト・ディ・マーレantipaasto di mareは、
港や季節ごとに魚は変わるものの、イタリア中に広まっています。


魚の前菜の代表は、新鮮な魚のグリルやフリット、イン・サオール、イワシやアンチョビなどのオイル漬けや塩漬け。タコのサラダやマリネ、エビと白いいんげんのサラダ、
魚のフリット・ミストには、おなじみの魚貝の他に、バッカラなども加わります。
イタリアの魚のフリットの中でも有名なのは、フリット・ディ・パランツァFrittura di paranza。

パランツァとは、小型の漁船の網に残った小魚のこと。


ちょっと長いけどフリット・ミストの基本が詳しい動画↓

ビーチリゾートの定番のストリートフードはコーン入りフリット・ミストfritto misto nel cono
魚はパランツァのフリットと同じでも、初夏のバカンスの雰囲気がぐーんとアップ。



今月の「総合解説」のフリットは、アンコウのスパイス揚げと、最近よく聞くブラッディ・マリー風マヨネーズを添えた白身魚のフリット(p.24)。
先月の「総合解説」の印象に残った魚のフリットは、ホウボウをサフランで黄金色にしてソラマメのソースを添えた美しい1品でした(p.3)。
アンコウのフリットBocconcini di coda di rospo impanati e fritti 。

材料/4人分
アンコウ・・1尾、1kg
卵・・2個
0番の小麦粉、パン粉
揚げ油
塩、こしょう
レモン・・1/4個

・アンコウは背骨に沿って2本に切り、さらに一口大のボッコンチーニに切る。
・卵に塩、胡椒を加えて溶く。
・アンコウに小麦粉、溶き卵、パン粉をつけて油で少量ずつ揚げる。レモンを添えてサーブする。

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総合解説」PDF版もあります。

クチーナ・レジョナーレ・ソフィー・ブレイムブリッジ

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2020年8月11日火曜日

アマルフィ海岸の人気メニュー、シーフードのシャラティエリ大ヒットの影には、パスタ職人の情熱があった。

タコ・イカのパスタの最後はシャラティエリ。
シャラティエリは、アマルフィ出身のエンリコ・コゼンティーノシェフが1978年にコンクールのために考え出した、歴史の浅い手打ちパスタです。
なのにカンパーニアのパスタとして知れ渡っています。
このことがいつもひかかっていました。
シャラティエリはカンパーニアの農作物による伝統食材としても認定されています。
誕生したアマルフィという場所柄のおかげで、魚貝と相性のよいパスタとして知られています。
長さ約10cmのフジッリタイプのパスタです。

シャラティエリの考案者エンリコ・コゼンティーノが作るシャラティエリ。↓


こちらのページにこんなことが書かれていました。

アルティジャナーレのパスタ・メーカー、別名パスタ職人のミンモとして知られるドメニコ・スコリアミリオが1970年に創業した“Tortellino pasta fresca”(facebook)は、パスタ作りに情熱を燃やすミンモの元でカンパーニアを代表するパスタメーカーに成長し、そのパスタ、シャラティエリも大ヒットして、特にミンモのパスタのお得意先、アマルフィ海岸などの海辺のレストランで爆発的に人気が出たのだそうです。

トルテッリーノ・パスタ・フレスカのパスタ↓


シャラティエッリはシェフとパスタ職人が生み出した、パスタメーカーのヒット商品だったんですね。
最新作はレモンやイカスミ入のシャラティエリ↓

シャラティエリの謎はちょっとすっきりしたけど、トルテッリーノ・パスタ・フレスカはwebページがなくて、まだ謎が多いパスタメーカー。

シーフードのシャラティエリScialatielli con frutti di mare
 



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総合解説
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2020年8月10日月曜日

タコのパスタ。小ダコのルチアーナ風のパスタ、タコのラグーのパスタ。おまけはプロボローネのチップス。

お題はタコ料理だったはずが、というか、タコのパスタの話だったはずが、イイダコのベネチア風あたりから、いつの間にかチケッティやバカーロの話に。
一番最初に紹介した南イタリアを代表するタコ料理、ナポリのタコのルチアーナは、パスタソースにもなります。
そこでまずは小ダコのルチアーナ風のパスタSpaghetti con polpetti alla luciana

材料
スパゲットーニ・・500g
ホールトマト・・1.2kg
小ダコ・・1kg
アンチョビのオイル漬け・・5尾
にんにく、唐辛子
塩、こしょう、オレガノ

・油ににんにく、唐辛子1/2本、アンチョビ、種をとった黒オリーブを入れて熱し、粗く切った(小さく切りすぎない)小ダコを加える。
・白ワイン1/2カップをかけてアルコール分を飛ばし、粗挽きこしょうを加える。
蓋をして5分熱する。
・トマト、塩、オレガノを加える。水は加えない。
・蓋をして火を弱め、20分煮る。
・パスタをゆでてソースであえ、皿に盛り付けてソースをかける。

次はもっと大きなサイズのタコで作るタコのラグーのパスタPasta al ragù di polpo


材料/4人分
好みのパスタ・・400g
タコ・・800g
にんじん・・1本
玉ねぎ・・1/2個
赤ワイン・・1カップ
セロリ・・1本
にんにく・・1かけ
トマトペースト・・大さじ1
トマトのパッサータ・・大さじ4
イタリアンパセリ・・1房
EVオリーブオイル、塩

・タコを下処理して吸盤の幅程度に小さく切る。
・フライパンに油、潰したにんにく、イタリアンパセリの茎を熱し、タコを入れてじっくり炒める(約30分)。
・パセリの茎とにんにくを取り除く。
・赤ワインをかけてデグラッサーレしながらアルコール分を飛ばす。
・粗く刻んだ香味野菜、トマトペースト、パッサータを加える。塩は加えない、ソースの状態を見て、必要ならトマトは加えずに水を加える。
・パスタをゆでる。
・仕上げにセロリの葉のみじん切り、レモンの皮のすりおろし、唐辛子などで味を調える。
・パスタとゆで汁少々を加える。

おまけの動画はプロボローネのチップス。
ポルトガル語だけど、ブラジル?

発端は、今月の「総合解説」のタコのカルボナーラのリチェッタ(P.18)。
その中に、プロボローネのチップスなるものがありました。
プロボローネは南イタリアのチーズ、カチョカバッロの一種で、ナポリ料理には必須の食材(特にプロボローネ・デル・モナコなど)でもあります。
それが南米では、ポテトチップスに変わるスナックとして大人気なんだそうです。
プロボローネのチップスの動画はポルトガル語ばかりでイタリア語は見つからないし。
チップスはスライスしてレンジでチン(高温で30秒程度)するだけでできるし、砕いてパスタに入れれば、隠し味にもなります。
カルボナーラなら歯ごたえの違いも楽しめます。
プロボローネのチップス↓



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総合解説
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2020年8月9日日曜日

ベネチアのオステリア料理チケッティは、別名ベネチア風前菜。ナポリのモッツァレラ・イン・カロッツァもチケッティになるとベネチア料理。

“モスカルディーニのベネチア風”の話題を取り上げた時、この料理がベネチア風アンティパストの1品、ということを知りました。
で、当然ながら、ベネチア風アンティパストとは?、という疑問が湧き上がります。
ベネチア風アンティパストとは、ベネチアのオステリア(バカーロ)やレストランでは定番の前菜たちのことで、ベネチアではチケッティcicchettiと呼ばれています。
つまり、ゆで卵からタコまで、あらゆるチケッティがベネチア風アンティパストなのでした。
ジャッロザッフラーノのこちらのページによると、バカロの語源は酒の神バッカス、あるいは「騒ぐ」という意味のfar bacareで、立ち飲み専門の小さな店でぎゅうぎゅうになって、小さな格安のツマミ(チケッティ)でお腹を満たしながら騒ぐ、というスタイルのこと。
ベネチア料理の本も、前菜(チケッティ)はすごい量で、とても全部は紹介しきれません。
このチケッティをオンブラと呼ばれるグラスワインと一緒に味わえるのが、バカロです。
バカロ巡りはベネチアの旅の大きな魅力の一つ。
モスカルディーニのベネチア風も、モッツァレッラ・イン・カロッツァ・ベネチア風もあります。
ベネチアとナポリの違いは具がハムとアンチョビ(好みで)など。

物価が高いベネチアでバカロ巡りはお手頃価格でかなりお得。

市場で売られている魚の調理後の姿。

コウイカの卵もベネチア風前菜の定番。
コウイカ(卵も)の下処理。↓
 

チケッティ版モッツァレラ・イン・カロッツァ  mozzarella in carozza


材料/
卵黄・・2個
小麦粉・・400g
牛乳・・300ml
塩、揚げ油
食パン
モッツァレラ
ハムかアンチョビ

の“ベネチア”にはチケッティのリチェッタがたっぷり載っています。

モスカルディーニの前菜Polpetti in antipasto
モスカルディーニ(ポルペッティ)はベネチア訛りにすると、folpeti(フォルペッティ)
材料
モスカルディーニ・・12杯
オリーブオイル・・大さじ4
レモン・・2個
イタリアパセリ
塩、こしょう

・熱湯でタコを15~20分ゆでる。
・タコを縦に半分に切り、皿に頭を中央にして盛り付ける。
・油、塩、こしょう、レモン1個の汁を撹拌してタコにかける。
レモンのくし切り、イタリアンパセリを添えてサーブする。


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2020年8月8日土曜日

イタリアの小ダコ料理はナポリだけじゃない。ベネチアも美味しい。モスカルディーニ・アッラ・ブザラ

今月の「総合解説」、タコ・イカのパスタから、ナポリのアッラ・ルチアーナの次は、ベネチア風。
小ダコ“ポルペッティpolpetti“のことを“フォルペッティ”と呼ぶのがベネチア訛り。
小ダコはベネチアだけでなく、moscardini/モスカルディーニとも呼ばれてイタリア中で人気の庶民的な食材。

モスカルディーニはベネチアの潟にある町、カオルレの特産品で、アドリア海名物。

カオルレ↓

モスカルディーニ・アッラ・ブザラMoscardini alla busara。

ベネチア風前菜には欠かせない1品で、伝統的には白いポレンタを添えます。
ブザラとはベネトやフリウリのアドリア海の甲殻類やイタ・タコの調理方法。
バリエーションは豊富にあります。
ブザラとは“嘘bugia”という意味で、売り物にならないような魚がトマトのおかげて美味しくなったので、イカサマをした、という意味があったとか(こちらのページより)。

材料/4人分
ポレンタ;
白いポレンタの粉(ブラマータ)・・250g
水・・1L
粗塩・・3g
EVオリーブオイル・・6g
モスカルディーニ;
モスカルディーニ・・600g
EVオリーブオイル・・20g
皮つきにんにく・・1かけ
白ワイン・・200ml
トマトペースト・・25g
生唐辛子(または粉唐辛子)・・1本
塩、イタリアンパセリのみじん切り

・ベネトの白いポレンタはマイルドな味で魚料理に合う。

・水を沸騰させて塩と油少々を加える。玉ができないようにホイッパーで混ぜながらポレンタの粉を少しずつ加え、全部加えたらとろ火にして木べらで混ぜながら50分煮る。
・鍋に湯を沸かして塩を加え、下ごしらえしたモスカルディーニを入れる。再沸騰したら約20分ゆでる(100gのモスカルディーニの場合)。
・フライパンに油、にんにく、唐辛子少々をソッフリットにする。
・縦に半分に切ったモスカルディーニを加えて2~3分炒める。
・白ワインで溶いたトマトペーストを加える。弱火で煮汁がソース状になるまで煮詰める。
・皿に盛り付けてポレンタを添え、イタリアンパセリのみじん切りを散らす。

ベネトのオステリアのタコの前菜


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総合解説
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2020年8月7日金曜日

タコはタコの水分で煮る、がサンタ・ルチアの漁師の掟。タコのルチアーナ。冬のナポリのストリートフード、タコのブロード。

今月の「総合解説」のパスタから(P.17)、今日のお題はタコのパスタ。
ちらっと書いてますが、南イタリアで一番有名なタコ料理は、ナポリのポルポ・アッラ・ルチアーナPolpo alla luciana。

漁師たちが住む地区、サンタ・ルチアはナポリのシンボルのような場所。

ルチアーナとはサンタ・ルチア地区の漁師のこと。
この地区はタコ壺を使ったタコ漁が盛んで、このタコ料理もこの地区で生まれた。
タコのルチアーナ風の秘密は、温度を一定に保つことができるテラコッタの鍋で煮ることと、水は加えず、蓋も開けず、「タコはタコの水分でじっくり煮ること」
こうしてことこと煮ると、タコは柔らかく風味豊かに煮上がる。

ナポリ人のタコ好きがよく分かるナポリのストリートフード、タコのブロードo broro e porpo。↓
この料理を出している店はナポリ人からも一目置かれている。

タコのルチアーナpolpo alla luciana


材料/
タコ・・1杯、1kg
ミニトマト・・300g(タコの1/3)
塩抜きしたケッパー・・10~12粒
グリーンオリーブ・・20~30粒
にんにく・・1かけ
唐辛子
イタリアンパセリ・・1握り
塩、EVオリーブオイル

・タコを下拵えして、トマトは小さく切る。
・テラコッタの鍋は直火にかけずに網を敷く。油、にんにく、唐辛子、ケッパー、イタリアンパセリの茎を入れて弱火でソッフリットにする。
・タコは頭を持って足の先からゆっくり鍋に入れる。オリーブとトマト、塩を加える。
・全部の材料を加えたら火をやや強めて蓋をし、タコの水分を出しながら25分煮る。タコを裏返し、蓋をして弱火で20分煮る。
・火を止めて蓋を取り、15分休ませる。足が煮汁に沈むようにする。
イタリアンパセリの葉のみじん切りを加える。
・ゆで時間はタコの大きさで変わる。
・丸ごとのタコと煮汁にパンを添えてサーブする。

一般的に前菜としてサーブしますが、パスタのソースにもなります。

タコのブロードは歌まであった。

『ストリートフード』のお手頃価格のおすすめ本、
ストリート・フード・アッラ・イタリアーナ』によると、タコのブロードbrodo di polpoは、今では屋台はほとんど姿を消してしまったナポリの冬の名物スリートフードで、質素な庶民の料理の象徴でした。
材料/7~8人分
タコ・・1杯、約1kg
玉ねぎ・・1個
セロリ・・3本
皮をむいたにんじん・・1本
皮をむいたにんにく・・1かけ
アマルフィのレモン・・2個
黒粒こしょう・・10粒
クローブ・・3個
水・・3L
粗塩・・小さじ1

・鍋に水、セロリ、にんじん、クローブを刺した玉ねぎ、にんにく、粒こしょう、塩を入れて弱火で沸騰させ、蓋を取って45分煮る。
・下処理したタコを沸騰したブロードに入れ、再沸騰してから約15分ゆでる。
・タコを取り出してざるに入れ、水気を切る。温かいうちにボールに移して覆いをする。
・ゆで汁のブロードを約2Lに煮詰め、ゆでてカットしたタコ1片を入れたカップにレードル2杯ずつ注ぐ。
・レモン1/4個をカップに絞ってからタコとブロードを食べる。


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ストリート・フード・アッラ・イタリアーナ
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