今日のお題は、今月の「総合解説」から、エミリア・ロマーニャ地方の食文化の話(P.14)。
イタリア各州の伝統料理が1冊にまとまった地方料理のお勧め本、
には、エミリア・ロマーニャの食卓の女王はパスタ・フレスカ、とあります。
もはや伝説のタリアテッレだけでなく、
特に有名なのは、ラビオリやトルテッリ、トルテッリーニ、アノリーニ、カッペッレッティなど、詰め物入りパスタです。
詰め物のベースはパルミジャーノ、肉、野菜で、バリエーションは無数にあります。
そしてもう一つ、この地方に君臨しているのは豚肉です。
ザンポーネやコテキーノなど、各種のサラミに加工されるモーラ・ロマニョーラという品種が知られてます。
モーラ・ロマニョーラ。
エミリア・ロマーニャのパスタ・フレスカについて知る前に、いい機会なので、パスタについて入門編を少々。
スローフードの“スクオラ・ディ・クチーナ”シリーズの『パスタ・フレスケ・エ・ニョッキ』
によると、
によると、
パスタは詰め物なしの板状のパスタ・リッシャpasta lisciaと、詰め物入りのパスタ・リピエーナpasta ripienaに大別されます。
そもそも一番最初は、ニョッキgnocchiでした。
スパゲッティと同様、ニョッキも単数形はニョッコですがgnocco、常に複数形で使います。
ニョッコとは、ゆでてソースを絡めやすいように筒型や丸型の小分けにした小さな練り生地のことです。
ニョッキは北~中央イタリアの山間部を中心にイタリア中に広まったじゃがいもの家庭料理。じゃがいもだけでなく、栗の粉、カボチャ、セモリナ粉、軟質小麦粉、ポレンタ、パンのニョッキも作られました。地方によってはカネデルリやクネーデルなど他の名前もつけられましたが定着しませんでした。
初期のニョッキには、フォークで筋を付けてソースを絡めやすくするなどの工夫が見られます。
じゃがいものニョッキ。
じゃがいもではなく小麦粉をこねてニョッキにし、ソースをからめやすくするために道具も使わずに指で成形するパスタ、オレッキエッテ。
ニョッキから変化した最初のパスタの中でも、硬質小麦粉のパスタ、オレッキエッテは最もベーシック。
ソースはプーリアの野菜、チーメ・ディ・ラパ。
リグーリアの硬質小麦粉のトロフィーエも製法から考えるとオレッキエッテの仲間。
ソースはペースト・ジェノベーゼ。
トロフィーエ。
南イタリアのパスタは硬質小麦粉と水で作られていますが、北イタリアでは、硬質小麦ではなく軟質小麦を栽培していました。
硬質小麦粉の麺は崩れにくく、細長く伸ばすことができ、煮崩れもしにくい麺になりましたが、変形させにくく、あまり細かい細工には適しません。
これは粉に水を加えてこねたことによるグルテンとでんぷんの作用でした。
一方、軟質小麦粉にはグルテンが少なく、でんぷんは水に溶けるので、軟質小麦粉と水の生地は長く形を保つことができません。
硬質小麦粉のパスタ。
硬質小麦と軟質小麦について分けて考えるのが、パスタ入門の第一歩。
次回に続きます。
「総合解説」
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