スローフードのスクオラ・ディ・クチーナ”シリーズの『パスタ・フレスケ・エ・ニョッキ』から、
パスタ・フレスカ入門編です。オレッキエッテはプーリアのチーメ・ディ・ラパのソースのためのパスタ、トロフィエはリグーリアのペースト・ジェノベーゼのためと、各パスタには最適の地元の産物を使ったソースがあります。
それでは、エミリア・ロマーニャのパスタとソースは何でしょう。
エミリア・ロマーニャは、農産物が豊富で、交通の要所でもあったので輸送網が発達し、各都市には支配者の大公たちが力を競う宮廷がありました。
つまり、イタリアの他の地方と違って、貧しくて質素な家庭料理という要素はそれほど重要ではなく、残り物を工夫してやりくりするより、毎日市場で新鮮な食材が手に入るという、とても恵まれた豊かな地方です。
この地方のご当地ソースはラグーです。
ラグーには、硬質小麦そしてパスタ・セッカの産地、カンパーニアのものと、軟質小麦つまりパスタ・フレスカの産地、ボロニェーゼの2種類が知られています。
ラグー・ボロニェーゼのためのパスタは、エミリア・ロマーニャの主婦が麺棒で伸ばすパスタ・リッシャのタリアテッレです。
タリアテッレはラグーのためのパスタです。
タリアテッレを知るには、北イタリアの主流、軟質小麦粉のパスタを知る必要があります。
硬質小麦粉と水をこねた生地は、グルテンのおかげで加工しにくい安定した形の、煮ても形を保つ生地になります。
軟質小麦粉と水の生地はグルテンが少ないく、でんぷんがゆで汁に溶け出るので柔らかくて粘つく生地になります。
基本的に、煮崩れても問題ないミネストラなどの、もっとも質素で原子的な料理以外には使われません。
水ではなく湯を加えるてこねると、でんぷんがゼリー化し,生地に腰が出ます。米の麺などオリエントの料理でよく使われている製法です。
軟質小麦粉と湯をこねた生地は、製法が複雑で家庭料理に取り入れにくい欠点があります。
軟質小麦粉と卵の生地は、卵黄のレクチンのおかげで形を変えやすく、煮崩れしにくい生地になります。クーネオのタヤリンなど、卵白は加えずに卵黄だけをたくさん加えるパスタもあります。
軟質小麦粉のパスタは、軟質小麦と水や湯をこねて作る白くて曲げやすい、弾力のある生地のパスタです。ニョケッティのようなシンプルな形の、薄すぎないパスタが適しています。香りはほぼなく、ゆでると膨らんで弾力が増し、ソースがからみにくくなります。
軟質小麦粉と卵のパスタは、鮮やかな色でなめらかな手触りで、加工しにくいけれど、薄く伸ばすことができるのでどんな詰め物でも包むことができ、ゆでてもアルデンテを保つ、卵の強い香りの麺になります。麺棒で伸ばすと表面がざらざらになる、という特徴もありました。
北イタリアでは、このタイプの生地が普及します。
エミリア・ロマーニャのパスタもまさにこのタイプです。
南イタリアのセモリナ粉の乾麺は、麺の表面をざらざらにするために、つるつるになるテフロンではなく、ブロンドのダイスを通して麺を成形しました。
北イタリアではパスタマシンを通したつるつるの麺ではなく、木製の麺棒と台で伸ばしてザラザラにしました。
パスタ・フレスカの基礎知識はまだまだありますが、長くなったので今日はここまで
タリアテッレ
「総合解説」
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