今月の「総合解説」から、今日のお題は、ピエモンテの夏の定番料理、ヴィテッロ・トンナートですVitello tonnato。(P.30)
「総合解説」のこの記事のタイトルは、「ヴィテッロ・トンナート・アッラ・アンティカ」です。ヴィテッロ・トンナートはフォーマルなビュッフェの人気の1品で、前菜、または夏のセコンドという地位を確立しています。
現代のヴィテッロ・トンナートはローストビーフに匹敵するポピュラーな料理です。
18世紀に生まれた歴史のある料理ですが、一斉を風靡したのは80年代。現代の姿になったのは19世紀という、古いんだか新しいんだか、実はよくわからない料理。
でも、歴史的な料理書に残されたリチェッタをたどると、その変遷が見えてきます。
「総合解説」13/14年8月号にの内容を大雑把にまとめると、
まず、最初のリチェッタは19世紀末に書かれたペレグリーノ・アルトゥージの有名な本に登場しました。
ところが、当時はツナはまだ知られていなかったのです。
ただし、マグロ料理はルネサンス時代には登場しています。
逆に、肉料理はまだ特別な機会に食べるもので、部位は主に内臓などの質素な部位でした。
当時の記録によると、マグロは領主の食料庫の中で見かけることができたそうですが、それはマッタンツァで獲ったマグロの中トロの塩漬けや干物を、バッカラのように戻して使っていました。あるいはリグーリア産マグロのオイル漬けだったそうです。
オイル漬けの缶詰が出回るようになったのは、19世紀末。
この時点で初めてマヨネーズの入らないヴィテッロ・トンナートが登場しました。
1900年代になると、ゆで卵の黄身が加わり、それが50~60年代にはマヨネーズに変わります。
このバージョンは人気になりました。
そう、アンティカとモダンなヴィテッロ・トンナートを分けているのは、マヨネーズが入るか入らないかです。
今月の「総合解説」で紹介しているリチェッタは、マヨネーズが入らないリチェッタです。
ヴィテッロ・トンナートは、リグーリアからアンチョビの塩漬けと一緒に塩を仕入れていた塩商人によって、クーネオで誕生したと言われています。
ヴィテッロ・トンナート・アッラ・アンティカ↓
マヨネーズの代わりに加えたのは、ピエモンテ料理にはよく登場するカンタブリコのアンチョビ、レモンまたはビネガー、ケッパー。
カンタブリコのアンチョビ↓
ヴィテッロ・トンナートに使うのは子牛のもも肉ですが、最近では、豚のロース肉を使うバージョン、マイアーレ・トンナートも普及してきた。
豚ロース肉のサルサ・トンナータがけLonza di maiale con salsa tonnata
材料/8人分
・鍋に油を入れて強火で熱し、豚ロース900gの表面全体を焼く。
・網を敷いた天板に肉をのせ、70℃のオーブンで1時間焼いて冷ます。
・室温の卵1個、マスタード小さじ1(好みで)、レモン汁大さじ1、EVオリーブオイル200g、塩、ビネガー大さじ1を撹拌してマヨネーズを作る。
・ツナ、アンチョビ6枚、塩抜きしたケッパー30gをミキサーにかけてマヨネーズを加え、冷蔵庫に入れておく。
・肉をスライスしてサルサ・トンナータをかける。
そもそもは、海のないピエモンテでアンチョビとツナから生まれた料理。
応用が自在なところがこの料理の魅力でしょうか。
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