2021年1月31日日曜日

パスタとソースの組み合わせは無限だが、歴史、文化、地理、伝統を外すと、奇妙ですぐに気づかれる。

新入荷の本、スローフードのスクオラ・ディ・クチーナシリーズの『パスタ・エ・スーゴ』

を読んでいるのですが、なかなかスーゴの話にならないので、ちょっと端折って、パスタとスーゴの組み合わせの話に移ります。
まず、いきなりこんな過激なことが書いてありました。
 パスタそれ自体は、犬の餌と同じで、特に人間のための食べ物というわけではない。
ソースそれ自体も、パスタと一緒になって初めて実態を持つ。
料理の構造の基礎を決めるのはパスタの形だ。
 完璧な組み合わせは、何世紀もかけてイタリア各地で、主婦や料理人によって試みられてきた。
常に探し求められていて、バリエーションは無限にある。
どの組み合わせも、歴史、文化、地理、伝統に基づいていて、それに外れると、“アサリのリガトーニ”のような、奇妙な料理になる。

スパゲッティはどんなソースにも合うパスタです。元々は、シンプルにチーズで味付けして食べていました。
Cacio e pepe ,Burro e fomaggio(北伊のパスタ・フレスカ用のソース),  Aglio olio e peperonicino,などが元もシンプルなソース。
ブッロ・エ・パルミジャーノ↓

フェットゥッチーネ・アルフレードとして知られるローマのレストランの名物パスタも、ブッロ・エ・フォルマッジョの一種。

ベースのパスタにグアンチャーレが加わるとグリーチャGriciaになります。
アマトリーチェの老舗レストランのシェフが作るグリーチャ↓


一般的にスパゲッティの入門編はカーチョ・エ・ペペから始まりますが、その次はブッロ・エ・フォルマッジョだったんですね。

グアンチャーレではなく卵を加えれば、カルボナーラ。
そして次は、トマトが登場してトマトソースの時代の到来です。
イタリア料理アカデミー会長のスパゲッティの本、『スパゲッティ・アモーレ・ミオ



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2021年1月30日土曜日

パスタのルーツは、地中海北部に広まった穴開きでない断面が丸いロングパスタ、つまりスパゲッティ。

パスタ・セッカの話です。

上質のパスタ・セッカのポイントは、小麦、ブロンズのダイス、低温長時間乾燥の3つですが、小麦とダイスまでざっと見た時点で、これは果てしない・・・、と気付きだしました。
しかも、乾燥は、この3つの中で、最も複雑な過程なんだそうです。
一番簡単な方法は、ナポリのような気候に恵まれた地域で行われていた方法、パスタを洗濯物のように広げて天日に当てて干す、という方法です。
天候に恵まれない北国では、高温で乾燥させる方法を取りました。
時には100℃以上にすることもありました。
工場では、常にアルデンテにゆで上がるパスタの開発が盛んになりました。

パスタの乾燥には3段階あるとか、この先の話は素人には複雑すぎるのでカットです。
つまり大手には有利でも、中小企業にはとても不利、こうしてアルティジャナーレの小さなパスタメーカーは姿を消していきます。
ところが、パスタは元々は専業主婦が家庭で手で打っていた食べ物でした。
忙しい現代の母親には作るのが難しいものです。
中小メーカーは、手打ちパスタ、つまりパスタ・フレスカに生き残る道を見出しました。
パスタ・フレスカがベースの乾麺のパスタは、オレッキエッテ、カバテッリ、ブシアーテ、フジッリなど、各種の地方料理のスペチャリタです。
乾麺のパスタのこの本のテーマは、なぜパスタの形はこんなに色々あるのか、というものですが、パスタは変化させやすい食べ物で、パスタの歴史は、種類が増えていく歴史でもあたのですね。

手打ちパスタ

パスタ・マシンで作るパスタ
綿棒で作るパスタ
工場で作られるショートパスタとロングパスタ。

様々な形のパスタは、ソースをからみやすくするのが、その最終目的。

乾麺のパスタは、ショートパスタpasta cortaとロングパスタpasta lungaに大別されます。
さらにログパスタは、穴あき、穴なし、平ら、断面が四角の4種類に分かれるんだそうです。
その違いがなぜ問題なのか、よくわからない?

パスタがロングかショートかは味の問題じゃなく、教養の問題なんだそうです↓。

この理論によると、パスタの基本は、穴開きでないロングパスタ。
つまりスパゲッティ。もっと細いカペッリ・ダンジェロやカッペッリーニもルーツは同じ、リグーリアやナポリのパスタメーカーが地中海北部中に広めたパスタ。

穴開きパスタのルーツは編み棒に巻きつけて作るマッケローニ・アル・フェッレット。

パスタの形やゆで方の考察はまだまだ続くのですが、大幅にカットして、次は、基本の乾麺のパスタ、つまり穴開きでないロングパスタとソースの話です。


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パスタ・エ・スーゴ

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2021年1月29日金曜日

家内制手工業だった時代のパスタに必要なものは主婦の腕。工場で大量生産される時代になると、製麺機と澄んだ水に変わった。やがて動物が動かす機械が考え出され、人間はいらなくなった。

美味しい量産タイプのパスタのポイントは、小麦、長時間乾燥、ダイスの3点でした。
今日は小麦について。
スローフードのスクオラ・ディ・クチーナシリーズの『パスタ・エ・スーゴ』には、
こう書いてあります。


小麦は、地中海文明のシンボルとされる穀物。
ただし人類が初めて栽培した小麦は、3種類あるスペルト小麦のうちの1つで、
柔らかいもみ殻に覆われているために粉にしにくい品種でした。
粉にしやすい品種、硬質小麦triticum durumと軟質小麦triticum aestivumが登場するのは5世紀末です。
硬質小麦はパスタに最適で、軟質小麦はパンに最適。
さらに北部では、気温が低くて日照不足のため、硬質小麦の栽培に適しませんでした。
硬質小麦や軟質小麦についてはパスタ・フレスカの歴史の話の時にも説明しています。
パスタの歴史の話なら、この本。パスタ・レボリューション


人間が粉にできる穀物が増えるにつれて、パスタの種類は無限に増えていきました。
ただし、イタリアでは、パスタといえば硬質小麦の製品のみを意味します。
イタリアでは、年間一人あたり約25kgのパスタを消費しています。
100gあたり約350kcal、75~79%が炭水化物で、1日に必要なカロリーの60%にあたります。残りは動物性脂肪が1.5%、植物性たんぱく質が10~12%。はパスタは血は糖値を上昇させるグリセミック負荷が低い食物とみなされています。
パスタを美味しいいただくには、アルデンテにゆでて、野菜や豆などとシンプルな味付けで食べるのが、体にもよいでしょう。
軟質小麦粉のパスタは卵を加えるので、栄養価、特にコレステロール値が硬質小麦粉のパスタとは違うものになります。

乾麺のパスタの歴史

パスタは、そもそも、家庭で作る食べ物でした。
主婦が毎日手作りしていたのです。
小麦粉、卵、水をこねる段階で様々な形が考え出されました。
それを保存や輸送のために乾燥する方法が確立されると、パスタは1軒の家庭の食べ物から、製造所で作る大量生産品になります。
そのためには、小麦も大量に必要で、麺を作る機械も発明されました。
この時代以降、パスタに必要なものは、ダイス、澄んだ水、おいしい空気、と変化していきます。

製麺機で作るようになっても、必要な人数は、横木の下に生地をセットする係と横木を下げる係の二人だけでした。
やがて動物の動力で動く機会が発明されます。
とうとう人間は必要なくなりました。

19世紀になって、ブロンズのダイスが発明されると、穴開きパスタに革命が起きます。
パスタ工場での基本的な製造過程は、粉にする、こねる、ダイスを通す、乾燥させる、でしたが、テフロンに変わるブロンズのダイスが発明されると、そこにデザイナーとエンジニアが登場するようになります↓

ブロンズのダイス以来、革命的大発明は生まれていません。
パスタ業界では待ち焦がれているんだろうなあ。

世界最大のバリラのパスタ工場での製造過程。
粉を入れるとパッケージに入った製品が出てくる。

パスタの歴史の話は、


さて、次は乾燥の話です。

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パスタ・レボリューション
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2021年1月28日木曜日

プルチネッラが手づかみで食べているスパゲッティが適度なアルデンテなんですと。

新入荷のスローフードのスクオラ・ディ・クチーナシリーズの本、『パスタ・エ・スーゴ』は、なかなか面白い本ですよ。
これまでにも同シリーズからは、『パスタ・フレスケ・エ・ニョッキ』という本が出ています。
前者は生パスタ、後者は乾燥パスタの本です。


つまり、パスタにはフレスカ(生)とセッカ(乾)があり、さらにインドゥストリアーレ(量産品)とアルティジャナーレに分かれる、という大きな分類があり、この本では、量産品のパスタ・セッカについて詳細に語られています。
いい機会なので、ちょっと内容を訳してみます。
量産品のパスタ・セッカの代表は、もちろんスパゲッティです。
イタリアは、スパゲッティの世界最大の生産国で消費国。
ピッツァと共にメイド・イン・イタリーを代表する歴史の古い食べ物です。
シチリア西部に製麺所が初登場して以来、スパゲッティは地中海を制覇し、イタリア人を1つに結びつけつつ、世界中を植民地化していきました。
イタリア国内では、シチリアから海を経由して、リグーリア、そしてソレント半島へと伝わっていきます。
その間にジェノバ風とナポリ風(マカロニ)という2つの流派が生まれます。
乾麺のパスタの品質を決めるのは、硬質小麦、長時間の乾燥、ブロンズのダイスの3つです。
最高の乾燥方法は天日干しで、家庭で手作りするパスタもこの方法で作られていました。
アルティジャナーレのパスタの乾燥

初期のスパゲッティは、別名ヴェルミチェッリvermicelli、そしてシチリアの穴開きパスタ
ブカティーニbucatiniです。
細長い麺以外の初期の麺は、ラガーナlaganàとトリアtriaです。

天日で干した麺は2、3年保存できました。これを湯かブロード・ディ・カルネでゆでて戻すのですが、その戻し方は、アルデンテという硬さが大人気になります。
ナポリ人は、我々のゆで方にとても近い、と言いますが、具体的には、手づかみでスパゲッティを食べる姿が知られているナポリ喜劇の人気キャラクター、プルチネッラが食べているのがアルデンテのスパゲッティとも例えられる。
ただ、プルチネッラはナポリの最下層の市民の姿なんだとか。


保存のために乾燥させたパスタは、そのままでは食べることができません。ゆでて調味する必要があります。様々な形に整形されたパスタは、形ごとに最適のゆで方や調味の仕方が違います。
その点を中心にまめたのが、この本、『パスタ・エ・スーゴ』です。

そもそも小麦は、そのままでは食べることができません。
粉にして、水を加えて煮て粥状にして、酵母による発酵、加熱という複雑な過程を経て、長期間保存できて輸送できる食べものになります。
発酵させたものはパンになり、発酵させないものはパスタになりました。

このあたりまでのパスタの歴史は、パスタ・フレスカの歴史の中でも説明したことがありました。
次は、小麦についてです。

アルティジャナーレのパスタの伝統を守るグラニャーノのパスタメーカー、ジェンティーレ

グラニャーノのアルティジャナーレのパスタは、量産品のインドゥスリアーレのパスタとはまったく別物。




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2021年1月27日水曜日

アルデンテよりちょっとだけ柔らかい麺はアル・ジェンジーヴァ(歯茎)だって。

バリラの話題が出たところで、今月の「総合解説」から、パスタの話なんてどうでしょう。
P.22の“定番のパスタとオリジナルソース”の記事の解説です。

“アルデンテal dente”については、今さら、説明することなんてないと思っていましたが、以前、なにかの本で、“アル・デンテ”はナポリ人の好みにゆでたパスタの硬さを、ナポリ人が勝手に名付けた呼び方、という話を読んで、憮然としたことがあります。
つまりアルデンテはナポリ人の好みの硬さ、ということ。
この段階で、真剣に議論する気がなくなるなあと思っていたのですが、今月の『クチーナ・イタリアーナ』誌の見解はさらに愕然とするものでした。
まず、アルデンテは純粋主義者が好む硬さ、ときっぱり。
でも、笑えるのが、アル・デンテの他に、アッラ・ジェンジーヴァalla gengivaや、アル・キオードal chiodoなるものがあるというのです。
もしalla gengivaという言葉を知っていたら、あなたはまぎれもなく純粋主義者です。さもなければイタリア人の歯医者です。
ちなみにal denteのdenteは“歯”ですが、gengivaは“歯茎”です。
つまり歯茎で感じる程度にアルデンテよりやや長くゆでた状態だそうで。
アルデンテは腰と弾力が同時にあり、噛みごたえがある状態。
逆にアルデンテよりやや堅く、南伊の純粋主義者が好む硬さは、al chiodoアル・キオードと呼ぶんだそうです。
それぞれに、グルテンがゼラチン状になる前にゆで上げるとか、酵素の働きで消化しやすくなるとか、フライパンでマンテカーレするリチェッタに適しているとか、もっともらしいうんちくが添えられて、何の疑いもなく受け入れられそう。
だけど、生まれてはじめて聞きました。こんな言葉。
21世紀だなあ。
時代についていけない、と少し感じ始めたあなたにお薦めの本が入荷しました。
スローフードの、イタリア料理の入門書、“スクオラ・ディ・クチーナ”シリーズの、『パスタとソース』です。

詳細は次回。


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パスタとソース
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2021年1月26日火曜日

世界のパスタ産業をリードするバリラが何か思いつくと、世界中が影響される。

今日はバリラの話。
今月の「総合解説」P.13の記事の解説です。

言うまでもなく世界のパスタ産業をリードする、イタリアの家族経営の巨大グループ企業。
そのルーツは、1877年に ピエトロ・バリラがパルマで初めた小さなパンとパスタの店。
その後、グループが巨大になるに連れ、ピエトロは理想化され、もはや伝説の人物。

ピエトロは、パスタ業界に働きかけて、1967年にパスタの原料は硬質小麦のみ、という法律を制定させた人。

バリラの最新の野心作は3Dパスタ。
面白いけど、人の手のぬくもりを全く感じさせないパスタ。

こんなパスタを作る一方で、バリラのパスタに使う卵の80%は放し飼いの鶏の卵だったり、
アート・オブ・パスタ世界選手権を主催して、料理人に世界最高峰の腕前を競う場を提供している。



ライバル、ディ・チェコ社の地方料理のパスタの本、パスタ・ヴィアッジョ・イン・イタリア

アルティジャナーレのパスタの象徴、グラニャーノの代表的パスタメーカーの本、

そういえば、近所のスーパーではバリラのパスタが姿を消して、代わりにグラニャーノのパスタを売っている。
値段は高いけど、近所のスーパーで買うレベルじゃない美味しさ。ありがたやー。

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2021年1月25日月曜日

パスタ・フロッラは、世界で一番簡単な生地だけど、作る時、触らなければ触らないほどいいって、ベビーシッターが教えてくれた。

イタリアのお母さんや姑が、子供や嫁に料理を教えるような本、
マンマミーア
のズブリゾローナのページには、こんなことが書いてありました。
リチェッタは今月の「総合解説」P.12。

ベビーシッターのピエラは、家族の誕生日のためのケーキを次から次に作りながら、“パスタ・フロッラpasta frolla”は世界で一番簡単な生地だけど、作る時は注意が必要、と教えてくれた。
生地は手や部屋の熱を吸い取るからね。
手が熱ければ、ボールを氷に当てて作業をすること。
それか、手で触れないようにさっとミキサーにかけてもいいよ。
そうしないとうまくできないよ。
生地を休ませる時は、冬ならキッチンで、夏なら冷蔵庫で30分休ませる。
30分以上だと硬くなって、伸ばすときに結局温めすぎることになるからね。
つまり触らなければ触らないほどいい。

イタリアのベビーシッターは、時には母親のような料理のアドバイスもしてくれるんですね。
それでは本のズブリゾローナのリチェッタを訳してみます。

Torta sbrisolonaトルタ・ズブリゾローナ
材料/6人分
00番の小麦粉・・250g
コーンフラワー・・150g
砂糖・・200g
アーモンド・・200g
バター・・220g
卵黄・・2個
アニスリキュール・・大さじ1
ノーワックスレモン・・1個、塩

・台に振るった2種類の粉を盛り、砂糖と小片にしたバター(型用に少量残す)、卵黄、レモンの皮のすりおろし、塩少々、アニスリュールを加える。
・アーモンドをさっとトーストし、数粒は丸ごと残して残りは刻む。
・残りの材料にアーモンドを加え、手で固まりすぎないそぼろ状になるように混ぜる。
・天版にバターを塗って打ち粉をし、生地を手で広げる。180℃のオーブンで焼き色がつくまで(50分)焼く。好みで粉糖を散らしてサーブする。
再び巨匠イジニオ・マッサーリの動画です。

紹介し忘れていましたが、彼はマントヴァ出身。
マンヴァ名物のこのドルチェには思い入れも人一倍のはず。
次は巨匠が教える基本の生地、パスタ・フロッラpasta frolla。






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イジニオ・マッサーリ

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2021年1月24日日曜日

ズブリゾローナとパルミジャーノはナイフでスパッと切らない。チーズカッターで凸凹に割る。

今日の料理はドルチェ、ズブリゾローナsbrisorona。
リチェッタは今月の「総合解説」P.12にあります。

最初の動画はイタリアのパスティッチェーレ界の巨匠、イジニオ・マッサーリのズブリゾローナ。


ズブリゾローナ↓


ちなみに、2016年11/12月号の「総合解説」には、ズブリゾローナに関する詳しい説明があります。
ブログにもまとめてあります。
焼き上がったら手やナイフの柄で叩き割る、という言葉がやたら心に残りました。
それ以来、ズブリゾローナをナイフで切るのは邪道だと思っていたのですが、上の動画でマッサーリ師匠がパルミジャーノみたいにズブリゾローナを割っているのを見て、スッキリしました。ズブリゾローナはパルミジャーノ方式で割るんですね。

パルミジャーノのカット

思わず拍手が起こるのもわかるなあ。解体ショーだねこりゃ。

ズブリゾローナはマントヴァの、アーモンドととうもろこしの粉のクランブルケーキですが、マントヴァの農民は、アーモンドの代わりに安いヘーゼルナッツを使いました。今月の「総合解説」では、さらに徹底してカボチャの種で代用しています。
クリームを使わない地味な外見のケーキですが、「総合解説」のように中に真っ赤ないちごのコンポートを詰めると、がらっと印象が変わります。

最近面白さを発見した本
ダビデ・オルターニシェフのメイド・イン・イタリーには、

こんなことが書いてありました。

「ロンバルディアのドルチェは無視はできない。
パネットーネ・ミラネーゼのような世界中に知られるドルチェがあり、クレモナのトッローネやマントヴァのズブリゾローナのようなご当地ドルチェもある。ズブリゾローナはマントヴァの方言で「かけら」という意味だ。ゴンザーガ家の宮廷に伝わった17世紀頃に考え出されたと言われている。元々は質素なドルチェで、とうもろこしの粉、ラード、ヘーゼルナッツなど、農民の生活で伝統的な食材だけを使っていたが、最近では洗練されて、バターやアーモンドを使うようになった。
そしてこの後、殆ど知られていないけれどロンバルディアではよく知られた、ロンバルディアの農民が生み出したドルチェがずらっと登場します。
そういえば、マントヴァはロンバルディアの街で、シェフはロンバルディア(ミラノ)出身でした。

ゴンザーガ家の街、マントヴァ。
素晴らしい街ですねー。

マントヴァ料理は貧しい農民料理ではない。マントヴァはゴンザーガ家が作り上げた高貴な生まれの街。
その建築物の素晴らしさからルネサンスの宝石、と呼ばれます。

マントヴァ料理の評価を高めている店、“ダル・ペスカトーレ”。
webページはこちら

マントヴァの有名パスティッチェリーア、ラ・トゥル・ダル・スカーLa Tur dal Sucar

ズブリゾローナの話、次回に続きます。


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イジニオ・マッサーリ

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2021年1月23日土曜日

クスクスはもてなしとパーティーの料理で、平和の象徴。国際親善にも役立つ。クスクスは世界遺産にも登録されてる料理

今日紹介する料理はダビデ・オルダーニシェフの本から。
ダビデ・オルダーニシェフ。
イタリア料理界の新世代の代表として、やることなすこと注目を浴びてきたシェフが、世界中を旅して見つけだ新しいイタリア料理とは、というのを紹介しているいるのがこの本です。
地方料理ではなく、イタリア料理としてイタリア料理の価値を高める、という高い目標を掲げています。


オルダーニシェフの目指す新しいイタリア料理とは、出身地と家族の伝統にこだわらないイタリア料理です。
なんてこと言うんだ、今どきの若いもんは、なんて考えちゃう時点で、古いんだろうなあ。
まったく、キラキラ輝いてる怖いもの知らずの若い世代ですね。
こういう人物が出てきたおかげて、イタリア料理界は見事に世代交代に成功しました。

今日紹介するリチェッタは、この本から、“魚のクスクスcous cous con pesce”です。
シチリアのトラパニ地方と家族の伝統から生まれたてきたような、モダンな要素があまりないシチリアの伝統料理。
ご存知のように、この料理はアフリカとシチリアの結びつきから生まれた料理。
クスクスは家庭での手作りが前提。

料理の説明は・・・
「クスクスはアフリカ北部の、モロッコ、アルジェリア、チュニジア、リビアなどマグレブの国々の、ベルベル人の国民的料理だ。」から始まります。
マグレブは北アフリカのイスラムの国々で、その料理がイタリア料理に与えた影響は小さくはありません。マグレブの文化↓

ベルベル人とは↓


アラブ人を通してベルベルの料理はシチリアやサルデーニャの沿岸部に伝わり、特にチュニジアとの結びつきが強いシチリア西海岸では大人気になった。
トラパニのサン・ヴィート・ロ・カーポSan Vito lo Capoでは、毎年9月に“クスクス・フェスティバル”が開かれるほどだ。
クスクスは平和の象徴の料理として、国際交流にも役立っている」
このことを見出したのが、地方料理にとらわれない若手料理人、というのも意味深い。
北アフリカがこんなに複雑な民族問題を変えた地方だったとは、恥ずかしながら知らなかった。



それではリチェッタを訳してみます。
    Cous Cous con pesce魚のクスクス
《魚》
ブロード用魚各種(カサゴ、マダイ、ヒメジ、クロダイ、エビなど)・・1kg
にんじん・・2本
セロリ・・2本
玉ねぎ・・2個
にんにく・・1かけ
完熟トマトかホールトマト・・3、4個
刻みアーモンド・・50g
粉サフラン・・1袋
ローリエ・・2枚
イタリアンパセリ・・1把
EVオリーブオイル
塩、こしょう
《クスクス》
クスクス・・250g
水・・1L
EVオリーブオイル、塩

・魚の骨を取り除き、鍋に粗を入れて水で覆う。小さく切ったセロリ1本、玉ねぎ1個、にんじん、ローリエ1を加えて煮る。濾してブロードを取る。
・魚を小さく切る。
・残りの玉ねぎ、にんにく、イタリアンパセリのみじん切りを油でソッフリットにし、残りのローリエ、小角切りにしたトマト、最後に魚を加える。
・水で覆い、塩、こしょう、湯少々で溶いたサフラン、刻みアーモンドを加える。
・煮汁が濃いソース状になるまで煮込む。
・クスクスをボールに入れて油少々を加え、フォークで混ぜながら粒をほぐす。
・口の広いフライパンに水と油小さじ1を沸騰させ、クスクスを入れる。蓋をして火を止め、5分水分を吸わせる。
・バター50gを加え、フォークでかき混ぜながらて再び弱火で3、4分煮る。
・クスクスに魚のソースの一部をかけて皿に盛り付ける。
・たっぷりのソースと魚のブロードを添えてサーブする。

《クスクス》
・テラコッタの浅いボール、“マファラダmafaradda”にセモリナ粉一握りと塩を加えた水大さじ1を入れて手の平で円を描きながらこすり合わせて粉に水を吸わせ、小さな粒状にする。油も加えて粒がパラパラになるようにする。

ベルベル料理のクスクス。

クスクスはユネスコの文化遺産に登録された。









本ではクスクスの作り方に関しては写真を多用して、詳しく説明しています。
複雑な料理なので、写真がないと、説明が難しいかも。

今月の「総合解説」のクスクスのリチェッタはP.5

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メイド・イン・イタリー
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2021年1月22日金曜日

魚のスープと手作りクスクスを同時進行で作るシチリアのクスクス。

今月のリチェッタから、2品目はクスクス
リチェッタは、「総合解説」2019年5/6月号P.5。
クスクスは、イタリアではいまいち認知度が低いですが、立派にイタリアの地方料理。
シチリア料理です。

のシチリアには、パンテッレリア風クスクスのリチェッタが載っていて、こんなことが書いてありました。
パンテッレリア島では、クスクスはセモリナ粉をテラコッタのマファラーダmafarradaでこねて、クスクス鍋cuscusssieraで蒸して家庭で作る。

様々なシチリア料理書を見てみましたが、クスクスは手作りするもの、というのはシチリアでは普通のようで、料理書の大半が、クスクス作りにページを割いていました。
さらに、クスクスは基本はプリーモ・ピアットですが、シチリアのクスクスは、トラーパニ風に代表されるように魚料理に分類されることが多く、様々な魚介をたっぷり使う魚のクスクスが一般的。

セモリナ粉から作るトラパニ風クスクス テラコッタのクスクス鍋で作る正統派

インスタントクスクスで作るパンテッレリーア風クスクス 混ぜるだけの現実的料理。

毎年開催のトラパニ風クスクス祭りで知られるサン・ヴィート・ロ・カーポ

マザーラ風の家族のリチェッタのクスクス・トラパネーゼ↓
マザーラはガンベロ・ロッソで知られる漁師町。
トラパニ風クスクスが魚料理であることを思い出させます。
彼はこの料理がアラブの影響を受けているという歴史も熟知しているようです。

クスクスについ独自の観点から一番詳しく説明していた本は、ダビデ・オルダーニシェフの野心的なモダンイタリア料理の本、メイド・イン・イタリー

内容は、次回、訳してみます。



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2021年1月21日木曜日

日本のイタリア料理人はかなり勉強熱心だと思っていたけど、イタリアの若いシェフも半端じゃなかった。

総合解説」2019年5/6月号発売しました。
復活祭一色だった3/4月号は、冬が終わって暖かい季節が始まるワクワク感が溢れ出た料理が盛りだくさんでしたが、5/6月号は、本格的な春。
暖かくなるにつれてワクワク、ウキウキ感はますますアップしていきます。
もちろん今年がこんな春になるなんて誰も予想はできなかったので、
雑誌の中の世界では、たんたんと、いつものように春が巡ってきました。

黒月の最初の料理は、“エビのカルパッチョと桃”なんてどゔでしょう。
リチェッタは今月の「総合解説」P.3にあります。
カルパッチョはもちろん生の牛肉の料理ですが、本格的な牛肉のカルパッチョは、魚のカルパッチョよりレアな存在。

イタリアでは、本格的な和食の食材を使いこなすシェフがどんどん現れているようです。

下の動画は、ローマの高級ホテルのナポリ出身の注目の若手、フランチェスコ・アプレダシェフの和牛のカルパッチョ。
東京、ロンドン、ニューデリー、ムンバイで腕を磨いた地中海とオリエントを知るシェフ。
カルパッチョのリチェッタは昆布と鰹節で出汁を取るところから。
和牛のカルパッチョに出汁?
何ができるんでしょうか。
塩麹とか、和食の基本の食材を使ってたら、いきなり味噌にヘーゼルナッツのペーストを加えるなんて、斜め上行ってます。
和牛のカルパッチョにブリのカルパッチョを添えるなんて発想も、新鮮です。

きのう紹介した動画に、カリフラワーのカルパッチョがありましたが、カルパッチョという料理はかなり自由な解釈で使われています。
タコのカルパッチョあたりがおなじみですが、今回はエビのカルパッチョです。ただ薄く切るだけではありません。


これもエビのカルパッチョ。

イタリアのブランドエビ、シチリアはマザーラ(トラーパニ)のガンベロ・ロッソ↓


シチリア料理のお薦め本は、



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2021年1月20日水曜日

ミラノ郊外の人気のトラットリア、アンティカ・トラットリア・デル・ガッロ

ミラノ料理の本クチーナ・ミラネーゼ

が入荷したので、ついでなので、『プレミアーテ・トラットリエ

からミラノ郊外の店を紹介します。
ミラノからパヴィアに行く途中にある店です。
昔は旅人がサラミをつまみにワインを1杯飲むために立ち寄るような店だったそうです。
次第に料理がうまいと評判になり、4世代に受け継がれるうちに、ついにはイタリア最高峰のトラットリアと呼ばれるほどの人気店に。
アンティカ・トラットリア・デル・ガッロ↓

webページはこちら
ガッロ(雄鶏)という名前の通り、雄鶏のオブジェが店のあちこちに置かれているのが印象的。
店があるのはミラノ郊外のこんな場所。

この季節の北イタリアの、というかミラノ料理といえば、カスーラ。
サボイキャベツと豚肉の煮込みでポレンタを添えていただきます。

サボイキャベツが霜をかぶって美味しくなるのを待ち構えて作る料理。

Cassoeula/カッスーラ

豚足・・2本
豚の耳・・2枚
豚皮・・250g
豚のスペアリブ・・250g
サルシッチャ・ベルツィーニ・・8個
サボイキャベツ・・2kg
玉ねぎ・・1個
にんじん・・2本
セロリ・・2本
バター、白ワイン

香味野菜をバターでソッフリットにして白ワインを加え、表面を焼いた豚肉、と言うか、豚足に皮、耳、サルシッチャ、キャベツを加えて弱火で最低1時間煮る。肉が骨から簡単に外れるようになったら出来上がり。
豚の産毛を焼き取る作業が一番面倒だけど、捨てるところがない豚肉を徹底的に使う。


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プレミアーテ・トラットリエ
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2021年1月19日火曜日

新入荷本『現代ミラノ料理』、アレンジ自在なカリフラワーは、国際都市にふさわしい野菜だった。

地方料理書のお薦めシリーズ、グイド・トンマージのクチーナ・レジョナーレシリーズの新刊が出ました。
このシリーズは新刊が出るたびにとても楽しみな、一流の編集人たちが作る本。
今回はミラノです。

本には『cucina milanee contemporanea』現代ミラノ料理という副題がついています。
今回の本の大きな特徴は、イラストが多用されていて、見やすく、楽しくなっているということ。
冒頭のミラノ市長の献辞でも語られていますが、ミラノはここ数年で、すっかり、イタリア料理の首都というイメージが世界的に広まったそうです。
ミラノのおもてなしの心が世界に受け入れられたのだろうと、誇らしげに語っています。
国際都市として認められた余裕からか、世界中のイタリア料理好きをターゲットにしたモダンな本になっています。
イラストがとにかくカワイイし楽しい。
料理にはすべて旬の季節が記されています。
例えば、今日訳してみる料理、
3種のカリフラワーCavolfiore in tre modi”は11月~3月
となっています。
そしてリチェッタにはこんな解説が・・・。
ミラノではカリフラワーはいつでも一番手に入りやすい野菜。
ちょっと重い野菜だが、ボッリート、サラダ、フリットなど広く普及している。
今回は、クリーム、カルパッチョ、ミラノ風パン粉揚げの3種類を紹介する。
カリフラワーを料理するときのポイントは2つ。
1つはカリフラワーを買う時は、いつでも完璧に真っ白でぷっくり膨らんだものを選ぶこと。
てっぺんが黄色いものは選ばない。
2つめは、ゆでている間、時々ゆで汁を替えると消化しやすくなる。

材料/
カリフラワー・・2個
卵・・2個
パン粉
エシャロット・・1個
レモン汁・・1/2個分
セージ・・数枚
バター
EVオリーブオイル・・大さじ3
ビネガー・・大さじ4
マリネ用EVオリーブオイル
トラディツィオナーレ・ディ・モデナの8年熟成のバルサミコ酢

・カリフラワーを小房に分ける。
・パン粉揚げ用に形のきれいなもの2片は別にする。
・残りはビネガーを加えた湯でゆでる。5分後に鍋を替えてアルデンテにゆで上げる。レードル1杯のゆで汁を別にする。
・エシャロットのみじん切りを油小さじ1で弱火でソッフリットにする。
・アルデンテにゆでたカリフラワー、カリフラワーのソッフリット、残りの油、ゆで汁をミサーで撹拌してクリーム状にする。
・別にした生のカリフラワーの半量をピーラーで薄くスライスし、油とレモン汁でマリネする。
・残りのカリフラワーに卵とパン粉をつけてセージバターで焼く。
・皿にクリーム少々を流し入れ、その上にカリフラワーのカルパッチョを盛り付けてバルサミコ酢を垂らす。

最近のミラノではカリフラワーをちゃちゃっと3種類の方法で調理して1皿に盛り付けるのが流行り中。
グラティナーティ、カルパッチョ、フリッター。

カリフラワーは手に入りやすい食材で、カレーにも、パスタにも、サラダにも、各国の料理にアレンジ自在の多国籍食材。





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ミラノ
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2021年1月18日月曜日

『プレミアーテ・トラットリエ』から、プーリアのトラットリア


で紹介されている店はどれも美しくて、インテリアの本としても秀逸な本です。
本で紹介されているトラットリアの動画をどうぞ。
2軒めは、プーリアのブリンディジの店、チブスCIBUSです。
webページはこちら

店があるチェリエ・メッサピカはムルジェ(ムルジャ)地方の街。
本ではこの店のことを、ムルジェの宝と紹介しています。


ムルジェ地方

南イタリアの美食の中心地の一つ、ムルジェでは、オイルもパンもチーズももちろん料理も、何でも美味しい。

南イタリアのパスタで知られる店のリチェッタを集めた本、



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パスタ ; サポーリ・エ・プロフーミ・ダル・スッド
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2021年1月16日土曜日

ガンベロ・ロッソの新作、『プレミアーテ・トラットリエ』

ガンベロ・ロッソから新作が出ました。

このタイプの本は、スローフードの

オステリエ・ディ・イタリア』が知られています。


これは、スローフードにガンベロ・ロッソが真っ向勝負で挑んだ意欲的な本です。
スローフードの本はかなり大型で、永久保存版という意気込みが感じられる本です。
ガンベロ・ロッソは大分シュッとさせました。小型で軽くなって、送料がかなり現実的になりました。でも、内容は大型本に引けを取りません。凝縮されて濃厚になっています。
言語も英語とイタリア語併記で、あきらかに世界中の人に向けて、これがイタリアを代表するトラットリアだと発表するというガンベロ・ロッソの意地とプライドが詰まった本です。
かなり優秀なカメラマンが参加しているようで、写真はどれもセンスばつぐん。

この本で紹介しているシチリアの店は“ナンガラッルーニNANGALARRUNI”↓

パレルモのカステルブオノという村にある店です。
どんな田舎でも名店があれば探し出す、というガンベロ・ロッソの本気が感じられます。
こんな店↓

店主はこんな人↓


ガンベロ・ロッソが推す店だけあって、動画が豊富。


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オステリエ・ディ・イタリア

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2021年1月15日金曜日

パレルモの市場の裏にはビストロ・レトロ・ボッテガと呼ばれる人気の旨い店がある。

パレルモのレストランの話、ちょっと続きます。

詳細は今月の「総合解説」P.55
気合が入ってる店、フド・ボッテガ・シクーラ。
webページはこちら
上質の料理のファスト・フードの店。

パレルモのストリートフードとメルカートは、この街の2大グルメ。

古いアラブ人街にあるカーポ市場、ユダヤ人街に近く、パニーノの具にする脾臓などの内臓も売っている肉屋が有名なカーポ市場など、歴史的市場の屋台の裏には、ビストロ・レトロ・ボッテガと呼ばれる市民に人気の美味しい店が必ずある。
残念ながら動画は見つからなかったけど、たとえば、その一つ、ヴッチリアのオステリア・ダダリア。
店のwebページはこちら

ストリートフードの本のお薦めは『ストリート・フード・アッラ・イタリアーナ



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ストリート・フード・アッラ・イタリアーナ
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2021年1月14日木曜日

パレルモのバロックな交差点、クアトロ・カンティはシチリアのトレンドの発信地。

パレルモのレストランの話の続き。
今日はドルガバ行きつけの店。
ドルガバはシチリア推しのデザイナーだけど、シチリアの人もドルガバ大リスペクト。
パレルモの店の強力なセールスポイント、ドルガバ行きつけの店の1軒、
として紹介されているのは、リストランテ・ブアッタ・クチーナ・ポポラーナ。
webページなど詳細は「総合解説」2019年3/4月号P.55。

ブアッタ・クチーナ・ポポラーナ↓

クイントカント・ホテル・アンド・スパのロカンダ・デル・グスト↓

店かが入っているホテルも素敵で紹介したくなりました。
クアトロ・カンティにあるクイントカント・ホテルだって。

とりあえず、クアトロ・カンティに行ったら芸術的な交差点だけでなく。周囲の店も要チェック。

中でもお薦めはシチリア一と言われているパスティッチェリア・カペッロ。評判のセッテベーリは食べてみたい。

情熱に溢れる若者たちが初めた店、オステリア・バッラロのオープン↓
エノテカでは定番のストリートフード、リストランテでは地元のスローフードの家族経営の小さな造り手の食材を使った料理を出している。

シチリア料理のお手軽なシリーズ、“ブランカート・クチーナ・シチリアーナ”シリーズ



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ブランカート・クチーナ・シチリアーナ
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2021年1月13日水曜日

パレルモはドレスアップの方法を知らない美女だって。その心は、見せ方を知らないが、最後には驚かされる。

今月のグルメガイドの最後はパレルモです。
総合解説」2019年3/4月号P.53。

パレルモはドレスアップの方法を知らない美女、という言葉から始まるこの記事。
見せ方を知らないけど、結局最後には驚かされるんだそうです。
さらに、パレルモは10年ほど前からルネサンスが繰り返されてきたそうです。街の中心部では、若い飲食店経営者が新しい料理の流れを生み出しているそうです。

パレルモの中心部に新登場したカンノーリの屋台。

ヴィーニャ・デル・ガッロ↓はパレルモ大学主導のパレルモの植物園でシチリアの土着のぶどう品種を保護して広める計画。


パレルモのクアロ・カンティ↓は有名な観光名所だが、周辺には新しい飲食店もどんどんできている。

近隣の有名店、パスティッチェリーア・コスタはフルッタ・マルトラーナが有名。


シチリア料理のおすすめ本、『シチリア/クチーナ・ディ・カーザ・プラネタ
今日はここまで。
次回に続く。


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シチリア/クチーナ・ディ・カーザ・プラネタ
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2021年1月12日火曜日

カメリエーレの話は芸人なみに面白いけど、時にはすべる。

今日は『サーレ・エ・ペペ』のリビエラ・ポネンテのお薦め店から、動画があったお店の動画をどうぞ。
チェルボのリストランテ・サン・ジョルジョRistorante  San giorioです。
詳細は「総合解説」2019年3/4月号P.52


年配のカメリエーレのリラックスぶりが逆にかっこいいけど、
インサラータ・ルッサ のファンタジーな小話は、すべったなあ。
彼の得意の小話と思われますが、だいたいこんな内容。
ある倹約家の老夫婦が交通事故で死んでしまいますが、天国でも、自分たちは年金は安いし糖尿病だからと文句を言い続けます。
ところが、出てきた料理はかたっぱしから平らげて、あげくは、10年早く来るべきだった、なんて言ったんです。ちゃんちゃん。
まとめると1分で終わっちゃう話を、盛りに盛ったのでした。
映画『ライフ・イズ・ビューティフル』のロベルト・ベニーニのカメリエーレ。
料理人が帰った後にやってきて軽いものが食べたいというお客に、どうやって口先だけで隣のテーブルに出した料理を勧めるのか↓

主演だけでなく監督もして、アカデミー賞取った名作でした。

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2021年1月11日月曜日

ジェノバ風フリットミストには欠かせない玉ねぎのフリッター、フリッシュー。

リビエラ・ポネンテの料理、今日は、玉ねぎのフリッター、フリッシューfrisceu。
玉ねぎが主役のイタリアンな農民風アペタイザー。
ジェノヴァ料理です。
リチェッタは「総合解説」2019年3/4月号、P.51
イーストではなく泡立てた卵白でふくらませるリチェッタです。


州別の地方料理書のロングセラーシリーズ、グリバウド”のグランデ・クチーナ・レジョナーレ・イタリアーナ・シリーズのリグーリアには、

バッカラのフリッシューのリチェッタが載っていて、こんなコメントがあります。
ジェノバの揚げ物屋の定番料理。白ワインと一緒に食事やスナックとして食べる。

ジェノバ風フリット・ミスト↓

ジェノバのフリッジトリア。

ジェノバってナポリによく似たパワーがある街です。


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2021年1月10日日曜日

リグーリア風ピッツァ、サルデナイアはピッツァじゃなくてフオカッチャ。

リビエラ・ポネンテの料理、今日はサンレモ風サルデナイラsardenaira。
サルデナイラはいわば、リグーリア風ピッツァ。

モッツァレッラはのってないけど、アンチョビとオリーブがのってます。サルデナイアという名前も、サルディーネ(アンチョビのこと)からきています。

リグーリアてはピザのことをピッツァじゃなくてサルデナイラと呼ぶのでした。でもむしろ、ピッツァじゃなくてフォカッチャだそうです。

フォカッチャ生地にトマト、アンチョビ、にんにく、オリーブ、ケッパーのトッピング。
ニース、インペリア、サンレモなど、リビエラ・ポネンテのジェノバの影響力が強い街に広まった食べ物。
ピッツァ・アンドレアはサルデナイアにそっくりだけど、ピッツァ↓


ピサラディエールpissaladier↓もサルデナイアそっくりだけど、トッピングに玉ねぎが加わった南フランスはニースの料理。


たまにフランス料理の動画見ると、イタリア料理との違いが面白い。
サルデナイアのトマトの赤い色は強力。

リグーリアのフォカッチャの本、リグーリアの発酵生地』は近々入荷予定です。



フレンチリビエラの街はサントロペやニースやモナコ。




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リグーリアの発酵生地

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2021年1月9日土曜日

うさぎのフリット見てたらフライドチキン食べたくなった。昔、農家では鶏とうさぎを一緒に飼っていた。

リビエラ・ポネンテの料理、今日のお題はうさぎ肉です。
リチェッタは「総合解説」2019年3/4月号P.49。
ウサギ肉はイタリアでは鶏と共に一般的な家禽類。
リビエラ・ポネンテでは主に内陸部の農民料理です。
特にうさぎの飼育が盛んだった極東地区の街、サンレモの名前を取ったうさぎのサンレモ風は、別名うさぎのリグーリア風とも呼ばれて、リグーリアを代表する料理です。
リグーリアならではの食材、タジャスカオリーブと松の実がポイント。
煮汁はパスタのソースにするのが伝統的。

イタリアの料理の入門書には、一般的に、鶏のさばき方の次にうさぎのさばき方が載っています。市場に出回っているうぎ肉は2~5ヶ月例のもので、ピンク色でとても柔らかいのだそうです。鶏肉に似ているかも。

うさぎのリグーリア風↓

材料/
うさぎ・・1羽、1.5kg
松の実・・一握り
にんにく・・1かけ
白玉ねぎ・・1/2個
タイム・・大さじ1
ローズマリー・・1枝
セージ・・5、6枚
タジャスカオリーブ・・約150g
赤ワイン・・1/2カップ
塩、こしょう
EVオリーブオイル
《野菜のブロード》
白玉ねぎ・・1/2個
セロリ・・1/2本
にんじん・・1本
トマト・・(好みで)小2個
にんにく・・(好みで)1かけ
水・・1L

・野菜のブロードの材料を沸騰してから15分煮てブロードを取る。
・玉ねぎのみじん切りと皮付きにんにく、刻んだうさぎの脂身を油でソッフリットにし、
肉を加えて表面全体を2、3分焼く。タイム、セージ、ローズマリーのみじん切り、塩、こしょうを加えて混ぜ、松の実、オリーブを加えてなじませる。赤ワインをかけてアルコール分を飛ばし、野菜のブロードをかける。火を弱め、蓋をして45分煮る。必要ならブロードを足す。
・煮上がる10~15分前にうさぎのレバーを加える(好みで)

家庭料理の本、『マンマミーア

で紹介しているのはうさぎ肉のフリット。
フライドチキンのような家庭料理感のある美味しそうな料理でした。
うざのフリットのお祭りがある街があった。
トスカーナはピサ県のサン・ミニアートです。


うさぎのフリットconiglio fritto
材料/4人分
うさぎ・・1羽
卵・・3個
0番の小麦粉
ナツメグ
にんにく・・4かけ
ローズマリー
EVオリーブオイル、塩

・うさぎ肉は洗って小さく切り、肉たたきで叩いて広げる。
・おろしたナツメグ1/2個、にんにくの薄切り、たっぷりのローズマリーで最低6時間マリネする。
・小麦粉、塩とナツメグ少々を加えた溶き卵をつける。
・2枚のフライパンにEVオリーブオイルを熱し、肉をきつね色に揚げて取り出す。
・2つ目のフライパンに入れ、弱火で蓋をして揚げて完全に火を通す。
・油を切って季節のサラダを添えてサーブする。

うさぎ料理ばかり見てたから、口がすっかりうさぎのフリットになってる。
フライドチキン食べたい。


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マンマミーア
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2021年1月8日金曜日

ファリナータは高温の薪の竈で焼くので、ピッツェリアのファリナータが美味しいと言われている。

リビエラ・ポネンテを象徴する料理として選ばれた1品目は、“ファリナータfarinata”です。
リチェッタは「総合解説」2019年3/4月号p.49を御覧ください。
葉玉ねぎを加えたバリエーションの一種です。
ファリナータはリグーリアを代表するストリートフードで、質素な農民料理。アラブの食材ひよこ豆を使って、アラブとの交易が得意なジェノバ人が作り出した人気料理。

ジェノバのファリナータの有名店、sciamadde↓は、ナポリのピッツァの店とそっくりの雰囲気。客の笑い声が絶えない幸せな店。



ストリートフードのお薦め本ストリート・フード・アッラ・イタリアーナ』にもリチェッタはあります。
ファリナータは、ジェノバとピサの戦いの際に偶然生まれた料理、という言い伝えがあります。
ジェノバとピサは海洋国家としてライバル同士でした。海でつながっている隣同士で、リグーリアから地続きのトスカーナ北部の沿岸部ベルシーリア~リボルノあたりにも、チェチーナというファリナータにそっくの料理があります。
この地方ではピッツェリアのファリナータが美味しいと信じられているようです。高温の薪のかまどが必要なんですね。
ピッツェリアのファリナータを家庭で再現するリチェッタ↓

姑の料理の知恵が詰まった面白い本、『マンマミーア

ファリナータは素朴な農民料理で、作り方も超簡単。
『マンマ・ミーア』のリチェッタをどうぞ。
チェチーナcecina
材料/
ひよ豆の粉・・300g
EVオリーブオイル・・大さじ6
水1.5L
塩、こしょう

・大きなボールに水を入れ、ダマができないようにホイッパーでかき混ぜながらひよ豆の粉を少しずつ加える。
・粉が混ざったら油と塩小さじ1を加えて均質の生地にし、約30分休ませる。
・油を塗った型に生地を流し入れる。220℃のオーブンで表面に焼き色がつくまで焼く。こしょうをかけて熱いうちにサーブする。

マンマのアドバイスは、オーブンが熱すぎる時は、底の厚いフライパンにピーナッツ油を塗り、オーブンの底に入れて熱する。
・生地を流し入れ、生地が底から剥がれるようになるまで(15分)焼く。
・生地を裏返して反対側も焼く。
・熱々のうちにペースト、ストラッキーノやゴルゴンゾーラをのせてサーブする。



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マンマミーア
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2021年1月7日木曜日

リビエラ・ポネンテは、かつては南の人が出稼ぎに行った北の工業地帯から、リッチなシニアが太陽と花を求めてやってくるパラダイス。

今日のお題はリビエラ・ポネンテです。
海に囲まれたイタリアの沿岸部は、どこにも素敵な名前がついています。
リビエラは、ずばり沿岸という意味ですが、中でもリグーリアの沿岸部は、南フランスのニースから続く、北イタリアから近い高級リゾートとして、沿岸部の中でも独特の魅力をたたえた地域。
太陽と花に象徴されるリグーリア。その沿岸部は通称イタリアンリビエラと呼ばれ、北イタリアや北ヨーロッパ人、北米のシニアの憧れの地。↓


北イタリアは、トリノ、ミラノ、ジェノバの“工業トライアングル”を中心とする工業地帯として栄えました。
中でもジェノバの特徴は、海に面していたこと。ルネサンスやそれに続く時代の、世界の主要な港の1つでした。
そのため、リグーリア料理には各地の食文化が取り込まれています。逆に北ヨーロッパに最初に硬質小麦粉のパスタを伝えたのはリグーリア人でした。
リグーリア料理はスパイスをさほど多用しません。バジリコと中東産の松の実があれば、十分だったのです。バジリコのペーストのパスタはリグーリア人の交易の才能から生まれたパスタでした。

リビエラ・ポネンテは、ティレニア海に面してはいても、今まで見てきた南イタリアとは、かなり違う世界です。
リグーリアの沿岸部は、ジェノヴァを境にして西がリビエラ・ポネンテ、東はリビエラ・レバンテと呼ばれます。
今回取り上げるのは西のリビエラ・ポネンテ↓
工業地帯から1時間で行ける別世界。
代表的な街はインペリアやサンレモ。

リグーリアをイメージさせる典型的な食材といえば、アンチョビ、バジリコ、松の実、エキスラバージンオリーブオイル。
料理なら、フォカッチャ、ファリナータ、ペーストといったところ。

料理の話は次回に・・・。


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総合解説
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2021年1月6日水曜日

カンパーニアから世界中に広まったリキュール、ストレーガ。

きのう紹介したカッサータ・インフォルナータの食材の1つ、ストレーガが、今日のお題です。
カンパーニアのベネベント生まれで、世界中のイタリアンレストランで、カンパーニアの人が飲む食後酒として広まったリキュールです。
誕生した1860年以来、秘密の製法で作られています。
イタリアの最も権威ある文学賞の1つ、ストレーガ賞のスポンサーにもなっています。
70種類の野草やスパイスが配合されていて、サフランが入っているのでレモンイエロー色の濃い黄色をしています。
ストルッフォリやババなど、カンパーニアの様々なドルチェに使われています。

ベネベントのストレーガ・アルベルティの製造所↓

カンパーニアのドルチェのマエストロ、サルバトーレ・デ・リソ(webページはこちら)のストレーガ風味のストルッッフオリ。↓
ストルッフォリはナポリのクリスマスやカーニバルのドルチェです。


struffoli/ストルッフオリ
材料/
卵・・4個、200g
バター・・50g
ストレーガ・リキュール・・50g
水・・20ml
砂糖・・50g
塩・・5g
小麦粉・・500g
レモン、オレンジ、ミカン・・適量
蜂蜜(ミッレフィオーリ)・・500g
ストレーガ・リキュール・・15g

・小麦粉をフォンタナに盛り、卵、砂糖、塩を溶いた水、ストレーガ50gを混ぜて小麦粉に加える。室温のバターと柑橘類の皮も加えてこねる。
・なめらかな生地になったら冷蔵庫で最低30分休ませる。
・生地を直径1cmの棒状に伸ばし、たっぷり打ち粉をして長さ8mmに切って余分な粉をふるい落とす。
・180℃のひまわり油で揚げる。きつね色になったら取り出して油を切り、ストレーガ風味の蜂蜜、オレンジピールの小角切りを加えて混ぜる。
・仕上げにストレーガ少々をかけて香りを足す。皿に盛り付けてディアボリーニ(色付きコンフェッティーニ)を散らす。フルーツのカンディートで飾る。

デリツィエを始めとするアマルフィのドルチェ満載の本、『ドルチ・デル・ソーレ




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2021年1月5日火曜日

シチリアのカッサータの特徴は、アラブから伝わったアーモンドで作るマジパンの存在。マジパンを使わないカッサータもある。

シチリアのドルチェの話が出たところで、今日はもう1つ、シチリアのドルチェと見せかけて、実はカンパーニア(ナポリ)のドルチェという、不思議なドルチェ、“カッサータ・インフォルナータcassata infornata”の話です。
カッサータはもちろん、シチリアを、さらにはイタリアを代表するドルチェ。

カッサータ・クルード↓


そしてカンパーニアとシチリアは、フランスのブルボン家が支配する両シチリア王国の領土でした。
この国には、貴族のお抱えフランス人料理人モンズーによる、豊かで洗練された食文化が花開きました。
総合解説13/14年4月号によると、
カッサータは料理に使う型のアラビア語“quas 'at”が語源なことからも分かる通り、リコッタと砂糖というアラブ文化の遺産。
さらに、カッサータは復活祭の伝統的なドルチェとして知られています。
つまり、再生のシンボル。
現在よく知られている“クルード”タイプは、19世紀末になって考え出されました。
当時のパレルモの有名パスティッチェーレで別名王室のコンフェットゥリエーレこと、カヴァリエーリ・サルヴァトーレ・グリーが考案したこのカッサータは、フレッシュで美しく、シチリアならではの伝統食材の豊かな風味が堪能できました。
その食材は、羊のリコッタ、カラフルなフルーツのカンディート、シチリアで最高のアーモンドを使ったマジパンです。

カルロ・クラッコは、独自の経験に基づく教えが詰まったイタリアの地方料理書「カルロ・クラッコの地方料理

で、シチリアのカッサータについてこう語っています。カッサータは、カンノーリ、アーモンドペースト、グラニート、マジパンなどと同様、世界中でヒットしたシチリアの数多くの伝統的なドルチェの1つで、シチリアを象徴するドルチェだ。ノートのアーモンドやブロンテのピスタチオといった唯一無二の食材を使うが、世界中で大量にコピーされているドルチェでもある。
しかし、正統派のリチェッタというのは存在しないので、パスティッチェリアごとに独自のリチェッタで作っているのが現状。

カッサータにはシチリアの名物食材、マジパンが欠かせないが、カンパーニアではマジパンを使う習慣がない。
マジパンを使わないのが、カッサータ・インフォルナータの特徴↓

シチリア版よりもっと作りやすい。

 ダヴィデ・オルダーニシェフが新世代のイタリア料理を提案する力作本メイド・イン・イタリー

では、カッサータはシチリアのドルチェの中でもっとも手間がかかり、装飾が多いドルチェだが、復活祭のドルチェをもっとちゃちゃっと作りたいなら、“クチア・ドルチェ”がお勧め、と、今時の人向きのアドバイスをしている。
前日に小麦を水に浸しておくだけでよいドルチェです。


クチア・パレルミターナcuccia palermitana

12月13日のサンタ・ルチアの祝日に食べるドルチェ。
パレルモではこの日にアランチーネを食べて、クチアをデザートに食べる。
この日はサンタ・ルチアの奇跡で小麦を積んだ船がやってきてパレルモの飢饉を救ったと伝えられている。

・小麦500gを24~36時間水に浸し(24時間ごとに水を替える)、塩少々を加えた湯で圧力鍋で35分ゆでる。
・羊のリコッタ500gを冷蔵庫で一晩水気を切る。
・砂糖100g、シナモン小さじ1、牛乳少々、チョコチップ、刻んだズッカータ(カボチャのカンディート、好みで)約70gを混ぜる。これを小麦と混ぜる。
・器に盛り付けてカンディートとチョコレートで飾る。





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