バリラの話題が出たところで、今月の「総合解説」から、パスタの話なんてどうでしょう。
P.22の“定番のパスタとオリジナルソース”の記事の解説です。
“アルデンテal dente”については、今さら、説明することなんてないと思っていましたが、以前、なにかの本で、“アル・デンテ”はナポリ人の好みにゆでたパスタの硬さを、ナポリ人が勝手に名付けた呼び方、という話を読んで、憮然としたことがあります。
つまりアルデンテはナポリ人の好みの硬さ、ということ。
この段階で、真剣に議論する気がなくなるなあと思っていたのですが、今月の『クチーナ・イタリアーナ』誌の見解はさらに愕然とするものでした。
まず、アルデンテは純粋主義者が好む硬さ、ときっぱり。
でも、笑えるのが、アル・デンテの他に、アッラ・ジェンジーヴァalla gengivaや、アル・キオードal chiodoなるものがあるというのです。
もしalla gengivaという言葉を知っていたら、あなたはまぎれもなく純粋主義者です。さもなければイタリア人の歯医者です。
ちなみにal denteのdenteは“歯”ですが、gengivaは“歯茎”です。
つまり歯茎で感じる程度にアルデンテよりやや長くゆでた状態だそうで。
アルデンテは腰と弾力が同時にあり、噛みごたえがある状態。
逆にアルデンテよりやや堅く、南伊の純粋主義者が好む硬さは、al chiodoアル・キオードと呼ぶんだそうです。
それぞれに、グルテンがゼラチン状になる前にゆで上げるとか、酵素の働きで消化しやすくなるとか、フライパンでマンテカーレするリチェッタに適しているとか、もっともらしいうんちくが添えられて、何の疑いもなく受け入れられそう。
だけど、生まれてはじめて聞きました。こんな言葉。
21世紀だなあ。
時代についていけない、と少し感じ始めたあなたにお薦めの本が入荷しました。
スローフードの、イタリア料理の入門書、“スクオラ・ディ・クチーナ”シリーズの、『パスタとソース』です。
詳細は次回。
「総合解説」
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