新入荷のスローフードのスクオラ・ディ・クチーナシリーズの本、『パスタ・エ・スーゴ』は、なかなか面白い本ですよ。
これまでにも同シリーズからは、『パスタ・フレスケ・エ・ニョッキ』という本が出ています。
前者は生パスタ、後者は乾燥パスタの本です。
つまり、パスタにはフレスカ(生)とセッカ(乾)があり、さらにインドゥストリアーレ(量産品)とアルティジャナーレに分かれる、という大きな分類があり、この本では、量産品のパスタ・セッカについて詳細に語られています。
いい機会なので、ちょっと内容を訳してみます。
量産品のパスタ・セッカの代表は、もちろんスパゲッティです。
イタリアは、スパゲッティの世界最大の生産国で消費国。
ピッツァと共にメイド・イン・イタリーを代表する歴史の古い食べ物です。
シチリア西部に製麺所が初登場して以来、スパゲッティは地中海を制覇し、イタリア人を1つに結びつけつつ、世界中を植民地化していきました。
イタリア国内では、シチリアから海を経由して、リグーリア、そしてソレント半島へと伝わっていきます。
その間にジェノバ風とナポリ風(マカロニ)という2つの流派が生まれます。
乾麺のパスタの品質を決めるのは、硬質小麦、長時間の乾燥、ブロンズのダイスの3つです。
最高の乾燥方法は天日干しで、家庭で手作りするパスタもこの方法で作られていました。
アルティジャナーレのパスタの乾燥
初期のスパゲッティは、別名ヴェルミチェッリvermicelli、そしてシチリアの穴開きパスタ
ブカティーニbucatiniです。
細長い麺以外の初期の麺は、ラガーナlaganàとトリアtriaです。
天日で干した麺は2、3年保存できました。これを湯かブロード・ディ・カルネでゆでて戻すのですが、その戻し方は、アルデンテという硬さが大人気になります。
ナポリ人は、我々のゆで方にとても近い、と言いますが、具体的には、手づかみでスパゲッティを食べる姿が知られているナポリ喜劇の人気キャラクター、プルチネッラが食べているのがアルデンテのスパゲッティとも例えられる。
ただ、プルチネッラはナポリの最下層の市民の姿なんだとか。
保存のために乾燥させたパスタは、そのままでは食べることができません。ゆでて調味する必要があります。様々な形に整形されたパスタは、形ごとに最適のゆで方や調味の仕方が違います。
その点を中心にまめたのが、この本、『パスタ・エ・スーゴ』です。
そもそも小麦は、そのままでは食べることができません。
粉にして、水を加えて煮て粥状にして、酵母による発酵、加熱という複雑な過程を経て、長期間保存できて輸送できる食べものになります。
発酵させたものはパンになり、発酵させないものはパスタになりました。
このあたりまでのパスタの歴史は、パスタ・フレスカの歴史の中でも説明したことがありました。
次は、小麦についてです。
アルティジャナーレのパスタの伝統を守るグラニャーノのパスタメーカー、ジェンティーレ
グラニャーノのアルティジャナーレのパスタは、量産品のインドゥスリアーレのパスタとはまったく別物。
「総合解説」
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