2021年1月5日火曜日

シチリアのカッサータの特徴は、アラブから伝わったアーモンドで作るマジパンの存在。マジパンを使わないカッサータもある。

シチリアのドルチェの話が出たところで、今日はもう1つ、シチリアのドルチェと見せかけて、実はカンパーニア(ナポリ)のドルチェという、不思議なドルチェ、“カッサータ・インフォルナータcassata infornata”の話です。
カッサータはもちろん、シチリアを、さらにはイタリアを代表するドルチェ。

カッサータ・クルード↓


そしてカンパーニアとシチリアは、フランスのブルボン家が支配する両シチリア王国の領土でした。
この国には、貴族のお抱えフランス人料理人モンズーによる、豊かで洗練された食文化が花開きました。
総合解説13/14年4月号によると、
カッサータは料理に使う型のアラビア語“quas 'at”が語源なことからも分かる通り、リコッタと砂糖というアラブ文化の遺産。
さらに、カッサータは復活祭の伝統的なドルチェとして知られています。
つまり、再生のシンボル。
現在よく知られている“クルード”タイプは、19世紀末になって考え出されました。
当時のパレルモの有名パスティッチェーレで別名王室のコンフェットゥリエーレこと、カヴァリエーリ・サルヴァトーレ・グリーが考案したこのカッサータは、フレッシュで美しく、シチリアならではの伝統食材の豊かな風味が堪能できました。
その食材は、羊のリコッタ、カラフルなフルーツのカンディート、シチリアで最高のアーモンドを使ったマジパンです。

カルロ・クラッコは、独自の経験に基づく教えが詰まったイタリアの地方料理書「カルロ・クラッコの地方料理

で、シチリアのカッサータについてこう語っています。カッサータは、カンノーリ、アーモンドペースト、グラニート、マジパンなどと同様、世界中でヒットしたシチリアの数多くの伝統的なドルチェの1つで、シチリアを象徴するドルチェだ。ノートのアーモンドやブロンテのピスタチオといった唯一無二の食材を使うが、世界中で大量にコピーされているドルチェでもある。
しかし、正統派のリチェッタというのは存在しないので、パスティッチェリアごとに独自のリチェッタで作っているのが現状。

カッサータにはシチリアの名物食材、マジパンが欠かせないが、カンパーニアではマジパンを使う習慣がない。
マジパンを使わないのが、カッサータ・インフォルナータの特徴↓

シチリア版よりもっと作りやすい。

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では、カッサータはシチリアのドルチェの中でもっとも手間がかかり、装飾が多いドルチェだが、復活祭のドルチェをもっとちゃちゃっと作りたいなら、“クチア・ドルチェ”がお勧め、と、今時の人向きのアドバイスをしている。
前日に小麦を水に浸しておくだけでよいドルチェです。


クチア・パレルミターナcuccia palermitana

12月13日のサンタ・ルチアの祝日に食べるドルチェ。
パレルモではこの日にアランチーネを食べて、クチアをデザートに食べる。
この日はサンタ・ルチアの奇跡で小麦を積んだ船がやってきてパレルモの飢饉を救ったと伝えられている。

・小麦500gを24~36時間水に浸し(24時間ごとに水を替える)、塩少々を加えた湯で圧力鍋で35分ゆでる。
・羊のリコッタ500gを冷蔵庫で一晩水気を切る。
・砂糖100g、シナモン小さじ1、牛乳少々、チョコチップ、刻んだズッカータ(カボチャのカンディート、好みで)約70gを混ぜる。これを小麦と混ぜる。
・器に盛り付けてカンディートとチョコレートで飾る。





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