サレントの王様、ネグロ・アマーロ。
サレント地方のネグロアマーロの収穫。
サレント半島には、ターラント、プリンディジ、レッチェ県があり、農業が盛んな地方で、ぶどう栽培だけでなく、オリーブの栽培も盛ん。イタリアやヨーロッパでは珍しい生物多様性の地で、海に向かって下る地中海性気候の地域は、風が強く、冬と夏の気温差が大きくない。この地方ではプリミティーヴォが多く栽培されている。カリフォルニアではジンファンデルという名で普及している品種。最近ロゼの生産が増えた品種で、優しいボディーがある。
サレント地方は青空のイメージだが、夏は雨が多く蒸し暑く、冬は寒い。これらはネグロアマーロの栽培に適している。
このブドウは神話にも登場する。赤は刺激的で長命なワイン、ロゼは洗練された活力に満ちたワインになる。
ネグロアマーロの栽培の歴史は、少なくとも紀元前7世紀のギリシャの植民都市の時代までさかのぼる。ネグロとアマーロという名前の語源ははっきりしていないが、ギリシャ語で黒という意味の“mauros”とラテン語で黒という意味の“niger”ではないかという説が有力。
ギリシャ語とラテン語で黒という意味なんて、なんだか超カッコイイ。でも、どんだけ黒かったの、このぶどう。ただ、イタリア語でアマーロと言えば“苦い”という意味だけど、このぶどうに苦いという意味はない、とも考えられている。実際にはタンニンなどポリフェノールが豊かなネグロアマーロは、苦みもあるのが特徴。
ネグロアマーロ。
ネグロアマーロはサレント地方のワイン農家にとっては毎日の収入源。毎週月曜の朝にレッチェのサント・オロンゾ広場にぶどうが集められ、それを貨物列車でフランスや北イタリアに運びます。
レッチェのサント・オロンゾ広場。
サント・オロンゾはレッチェの守護聖人。街の目立つ場所にあり、いつも学生や観光客などの見学者で一杯。隣には古代ローマの円形劇場があります。
古代ローマ人だけでなく、ネグロアマーロもここに集まってた。
市場がブレンド用ワインでなく、ボトル入りワインを望むようになると、多くの農家は助成金目当てでぶどう栽培をやめ、他の作物に転向してしまいます。そのためサレント地方のぶどう畑は半分以下に減少します。
そのような中で、サレントワインは復活し、プーリアワイン全体を活気づかせます。その中心となったのが、レオーネ・デ・カストリス、フランチェスコ・カンディド、コジモ・タウリーノなど。
フランチェスコ・カンディド。
さらに、グアリー二など旧貴族の新世代、北部から参入したカンテーレなども加わった。
彼らの情熱にあふれた粘り強い努力によって、ネグロアマーロは、プーリアのシンボルワインになった。ネグロアマーロ100%のものだけでなく、マルヴァジーア・ネラやプリミティーヴォ、モンテプルチャーノ、あるいは少量のカベルネ・ソーヴィ二オンを加えた香りのよいロゼもある。エレガントで重厚な赤もある。幅広い料理と合うワインで、サレント地方の料理との相性もよい。有名なロングパスタ、サーニェ・インカンヌテーラや子羊料理、などがお勧め。
サレントの産物。
カルネヴァリ・ネグロアマーロ/プリミティーヴォ。
ワインと時代の変化は強く結びついています。プーリアのロゼワインが一世を風靡した背景にも、歴史の変化があったんですね。
昔のガンベロ・ロッソの記事に、ワインと階級をテーマにした面白いものがありました。ちょっと横道の逸れるけど、次回はその話。
今日の話は(CIR2023年7月号)の記事、“プーリアのグルメガイド”のビジュアル解説です。記事の日本語訳と写真はP.16~。
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