2025年12月19日金曜日

農民のワインの歴史、そのルーツはブルゴーニュ。

プーリアのロゼワインを調べていて、ワインの流行の変化には社会の大きな変化が強く関わっていることを知りました。ロゼワインが流行した背景には、プーリアのぶどう農家の主流だったブレンド用ぶどうの栽培から、ボトル詰め用ワインへと、社会のワインの需要が大きく変わる時代の背景がありました。これにより、プーリアの農家は大きな変化を求められました。その結果生まれたのが、当時のプーリアのロゼワインのブームだったのです。
実は昔の(CIR)、旧総合解説を調べるうちに、2007年のガンベロ・ロッソ3月号に、“ワインと階級”というとても興味深い記事があったのを見つけました。記事のサブタイトルには、“ワインを階級で分類すると、ワインの歴史が見えてくる“、とあります。
その記事は、
「最初のワインは農民のワインだった。かつて地中海でぶどう畑を持つ農民は、みんなワインを造った」という文章で始まります。20年近く昔の記事ですが、懐かしさもあって読んでみると、とても面白かったので、その記事を紹介します。

記事はこう続きます。
「上質な“農民のワイン”」の元祖とみなされているブルゴーニュ地方には、有名な修道院がいくつかある。そこでは修道士たちが書き記した手書きの本によって、ワイン造りの知識が蓄積されていった。また18世紀末から19世紀半ばにかけて、起こった革命は、多くの農民に畑を所有する機会をもたらした。

ブルゴーニュ。


地中海のワイン。

8000年前のワインのアンフォラが発見され、ワイン誕生の地と見なされているジョージアの遺跡。

ぶどうの汁を発酵させただけではなく、それを容器に詰めて遠くに運び、交易品にすることによってワインは生まれました。ジョージアにはキリスト教が伝わっていました。ワインはギリシャの植民都市に広まり、神話の世界にも取り入れられていきます。ギリシャ人はキリスト教徒のワインの知識に、さらに新しい知識を加えました。
ワインが人間の歴史と関わる時、それは決して偶然ではなく、当然の結果と言えるような必然性がありました。

ギリシャのワイン。


 ブルゴーニュの農民は、自分たちの畑で昔から育てていたぶどうを使ってワインを造った。赤はピノ・ノワールとガメイ、白はシャルドネとアリゴテだ。樽はオークの小樽を使ったが、それは木の香りをつけるためではなく、大樽では大きすぎたからだった。
農民が作る近代ワインは、ブルゴーニュからフランスの他の地域に広まり、やがてイタリアのランゲやドイツのモーゼルへと伝わっていった。

ランゲのワイン。


農民のワインは土地と強く結びつき、伝統的なぶどう品種と醸造技術を用いているのが特徴。ぶどうの出来は気候に左右されるため、農民の立場はもろく、リスクも大きかった。ワインの値段はは流通業者によって決められた。1960年代まで、イタリアのほぼすべてのワインはこのようなワインだった。それ以降、徐々に変化が訪れる。中でもランゲのバローロ地区では1900年代初めから、優れた造り手たちが登場した。
ブルゴーニュから続くイタリアのワインの歴史は次回。

今日の話は(CIR2023年7月号)の記事、“プーリアのグルメガイド”のビジュアル解説です。記事の日本語訳と写真はP.16~。
===================================================
(CIR)は『クチーナ・イタリアーナ』という地方料理の本としては最高の雑誌のリチェッタと記事を日本語に翻訳した約50ページの小冊子です。毎月日本語に翻訳している力作です。イタリア発の地方料理の情報は、昔の有名書籍が売り切れて入手困難になっている昨今ではとても貴重です。
価格は1冊\900(税・送料込)、1年12冊の定期購読だと15%引きの\9200(税・送料込)になります。紙版と、ネット上にupするPDF版があります。PDF版の価格は\800/号、定期購読は\7700/1年12冊です。

現在、2023年の号を販売中です。それ以前の号と、旧総合解説はシステムの変更のため販売を終了しました。
現在販売中の定期購読は2023年版。
1冊のみの注文もできます。
古い雑誌や本は在庫を探しますのでご相談ください。
本以外のお問い合わせもお気軽にどうぞ。
雑誌と(CIR)併せて定期購読の場合は割引の特別価格になります。

ご注文の場合は、こちらのフォームからお願いします。
本や(CIR)の購入方法

お問い合わせはお気軽に、こちらからどうぞ。

(下記のリンクがクリックできない時は左クリックして表示されたurlをクリックしてください)
===================================================
クレアパッソのブログは下記の3種類あります。

(hpはシステムのトラブルで長期間更新していませんでしたが、サーバーが終了するようなので、今月で閉鎖しました。ブログは残ります。)最新情報はすべてブログでお知らせします。

===================================



0 件のコメント:

コメントを投稿