2023年7月31日月曜日

ウナギのパスタを探していたら、マグロのオレッキエッテが見つかりました。実は夏向きのパスタだったオレッキエッテ。マグロのベストパートナーはミニトマト。

この猛暑の中で5月号の料理の話をするのは無理があるなあと、そろそろ思い始めていたころですが、お待たせしました。次号、6月号は、8/10発売予定です。
5月号のリチェッタで、ちょっと変わっていたのでレベル高すぎかもと思ってまだ紹介していないプリーモ・ピアットが何品かありますが、その一つは、
マグロのオレッキエッテです(P.3)。

時期的に、平賀源内の策略にのっかってウナギを食べたくなる季節なので、今日はウナギのパスタでもどうぞ。
バリ風ウナギのスパゲッティ。
ウナギは生きたまま比較的長距離移動できる魚で、クリスマスのような肉が宗教的に禁じられている日に食べることができる魚の一つでした。ナポリのようにウナギ料理がクリスマスの伝統料理になっている地方もあります。
バーリの魚市場でクリスマス料理の買い物をする人に、クリスマスに何を作るかインタビューする動画。

こちらはナポリの魚市場。


地方料理書シリーズの傑作、“グイド・トンマージ”の『クチーナ・ディ・ナポリ

には、ナポリのウナギ“testona”は雌で長く、ナポリの食文化を語る時に避けては通れない食材。大ウナギ/カピトーネcapitoneとして知られています。クリスマスイブの夕食の主役です、とあります。
ちょっと無理やりですが、ナポリのウナギのクリスマス料理、カピトーネ・フリットcapitone fritto。
他に、カピトーネのスカぺーチェcapitone alla scapeceは、カピトーネのフリットが残ったら、それを有効利用した料理として紹介されていました。


そしてクリスマスのウナギのスパゲッティ。

マグロとズッキーニのオレッキエッテ(CIRのリチェッタは5月号P.3)。

オレッキエッテと同じサイズに切ったマグロとミニトマト、ズッキーニは、考えれば考えるほどオレッキエッテにぴったりかも。そもそもこのソースはパスタやハーブと相性良い。


コロコロした具に合うオレッキエッテは夏のパスタとしてもアレンジしやすい。

ツナのオレッキエッテ。

マグロとミニトマトを組み合わせれば、なんでも夏向きパスタになっちゃう法則発見。


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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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2023年7月29日土曜日

ルッカには、ズッパのデグスタツィオーネメニューがあるオステリアがある。さすがはトスカーナ。発想が面白い。

5月号(CIantenR)の地方料理(P.41)はガルム―ジャ・ルッケーゼでした。
春の料理をこの猛暑の中で話題にするのは無理があるなあ、という訳で、
今日は記事の中で紹介されていたガルム―ジャや地元ルッカの料理がおいしい店の動画でも。
地方料理の記事の中にはレストランガイドもわずかながらあるので、貴重な食べ歩きの参考にどうぞ。 まずは Mecenante。

そして面白そうなのが、osteria del nini。 webページはこちら
メニューにズッパのデグスタツィオーネというのがあるそうです。

デグスタツィオーネは味見という意味のあれこれ試せる料理で、料理に合うワインを選んで各種添えてくれるワイン込みのおまかせのようなメニュー。
 料理は店のお薦めのスペチャリタを少しずつ、というのが定番。
この店は、トスカーナ料理の名物としても知られるズッパで勝負しようとしているようです。
ボローニャ県のアグリゥーリズモのレストランテのデグスタツィオーネ・メニュー。

チーズのように種類が多いものを少しずつ味見したい、という時に便利なのがデグスタツィオーネ。 
でも、ズッパのデグスタツィオーネというのは初めて聞きました。 
どんな料理を出すのか、トスカーナだけに興味あるなあ。
ガルム―ジャとパッパ・アル・ポモドーロが同じ分類だった。 

パッパ・アル・ポモドーロ。

ガルム―ジャ・ルッケーゼ。

ズッパ・アッラ・フラントイアーナ。

リボッリ―タ。



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2023年7月28日金曜日

トスカーナでは緑には50種類あるそうです。初物尽くしのズッパ、ガルム―ジャは、パンも入るけど牛肉も入る。実は裕福な家庭が貧しい人におすそ分けした料理。

今日は(CIR5月号)の地方料理から、“ガルム―ジャ・ルッケーゼgarmugia luchese”(日本語のリチェッタはP.41)です。
ルッケーゼと言うからにはルッカの料理。そしてルッカはオリーブオイルで知られるトスカーナの街。
ここまでは基本情報。でも、ガルム―ジャという名前は、あまり聞いたことないのでは。

ルッカLucca。

ルッカの伝統料理。

ガルム―ジャ・ルッケーゼ。

聞いたことのない料理でしたが、どんな料理かというと、春の初物づくしのメニューです。
記事の最初に、こんな話が出てきました。緑には約50種類ある、というのです。
もう夏になっちゃいましたが、春になると登場する野菜をちょっと思い出してください。緑色の食材、というと、思いつくのはほうれん草ぐらい、とも思いますが、ルッカの人が思いつく緑のものは、初物/primizieと結びついた料理です。初物は春になって次々に登場してくる新鮮な野菜のこと。まず、グリーンピースは、ただのグリーンピースではなく、初物のグリーンピ―スは、柔らかくて甘いグリーンピースのことです。新ソラマメは別名バチェッリbacelli(さや)という名前で呼ばれます。この季節のソラマメの本体は、豆じゃなくてさやだったんですね。他に、アスパラガスやアーティチョークと言った野菜たち。
この料理はトスカーナが得意なこれらの初物を使った田舎風ズッパです。当然パンも入ります。あとはチッチョリなどの豚肉の脂。牛肉も入ります。実は、ブルジョア階級の料理と言われてます。これをたっぷり作って貧しい人にふるまったのだそうです。
1年のうちでも初物が出そろった短い期間にしかできないという緑色の料理。ちなみに、これらの野菜が出てくると、冬のキャベツの活躍が終わります。

初物の田舎風ズッパというと、ヴィ二ャローラvignarolaが有名。一説によると、ぶどう畑でぶどうの列の間の有効利用で栽培していた野菜を使うのでこの名前が付いたとか。
ラツィオの料理として知られています。
ヴィニャローラ。



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2023年7月27日木曜日

数種類の肉や食材を組み合わせたエミリア料理には、個性的なランバルスコを組み合わせるのがポイント。

今日はランブルスコに合うリチェッタのラスト、3品めです。
さて、この料理“ピスタチオ入りポルペットーネ”ですが、日本語のリチェッタは(CIR5月号P.47)です。
まず、このリチェッタの特徴は、豚肉と子牛肉の料理であること。さらにリコッタ・ロマーナも250g入ります。言い換えれば、肉と他の食材を調和させた詰め物です。
今までペコリーノ・ロマーナは度々見てきましたが、今回はリコッタ・ロマーナ。ペコリーノじゃありません。フレッシュチーズは産地で味わうとこれが本物の味か!!!ということを知ることができます。

羊飼いのリコッタ。


さて、このポルペットーネ、つまりミートローフですが、少なくとも3つの特徴的な材料が入っています。こういう料理に合わせるランブルスコは、個性的なものがよいそうです。
飲みやすさが特徴のランブルスコですが、様々な個性のものが造られています。記事を載せた『サーレ・エ・ペペ誌』では、カミッロ・ドナーティのイル・ミオ・ランブルスコという、ネーミングからして面白いランブルスコを組み合わせています。
下の動画はカミッロ・ドナーティが瓶内自然二次発酵について語る動画。先祖から受け継いでいる醸造方法を解説する彼は、なかなかのこだわりの醸造家のよう。ミオ・ランブルスコはランブルスコ・マエストリ種のぶどう100%。ランブルスコの中では色が最も深く出る品種だそうです。

ランブルスコの締めくくりは管理組合創立50周年を祝ったというニュース。まだまだ個性的なランブルスコがどんどん造られているようですね。
そういえば、そもそもどんな料理にも合うワインというのがランブルスコのセールスポイントだったはず。個性まで加わったら、この夏はランブルスコ一択かも。



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2023年7月26日水曜日

エミリア地方では、卵入り生麺を週2、3回打つ。この地方のパスタの最高峰は、日曜日に造るトルテッリーニ。

5月号の(CIR)から、今日のお題はランブルスコに合う料理、ということでランブルスコの産地、ボローニャを州都とする エミリア・ロマーニャ州には、どんな料理や食材があるのでしょうか。

ボローニャの市場。

この動画でボロ―二ャの市場を案内している人物は、ボローニャ出身の料理人、ブルーノ・バルビエ―リさんです。彼の本、『ビア・エミリア

は、エミリア・ロマーニャ生まれの子供が料理に目覚め、やがてイタリアでも人気の料理人になるまでの物語と故郷の食文化を美しいイラスト付きで語った、なかなか面白い本でした。私はこの本で、豚を捌くときの衝撃的な様子を知りました。正直に言うと、『銀の匙』と同じくらいリアルな豚を飼う現実を知りました。生ハムの産地ならではの体験を積んで、料理人としての彼は出来上がったのですね。

ボローニャのシンボルはモルタデッラ、と語るシェフが、モルタデッラの食べ方を見せてくれます。
ボローニャはイタリア料理を構成する重要な要素。
モルタデッラを店で注文するだけでも、ちょっとしたカルチャーショックを体験できます。

ボローニャのモルタデッラ。

前置きが長くなりましたが、今日紹介したい料理は、(CIR)のランブルスコのページでリチェッタが取り上げられていた(P.46)“エルバッツォーネerbazzone”です

下の動画ではビエトラで作っていますが、(CIR)のリチェッタはほうれん草版です。こってりした肉料理が多いこの地方では珍しく、野菜が主役の料理。
いきなりあの超ロング麺棒登場。

バルビエリシェフの本には、パスタについてこんなことが書かれてました。
エミリア地方の家庭では、パスタは必ず麺棒で伸ばす。週に最低でも2~3回作る。スパゲッティのような乾麺は食べない。必ず卵入り生麺だ。庭では鶏がうろうろしていたので、卵はいつでもあった。もちろん、作り立てではなく、翌日に食べることもあったが、決してパスタは買わなかった。私の母は80歳になるが、今でも自分でパスタを打つ。これはエミリア地方の家庭の掟だ。そして、田舎では一週間で一番大切な日と考えられている日曜日には詰め物入りパスタを作る。肉をゆでてブロードをとり、このブロードでトルテッリーニを作る。
考えてみれば、生ハムになる豚と、卵を産む鶏は、この地方の農家で必ず飼育されていたのでしょう。
そしてこの地方のパスタの最高峰は、トルテッリーニなんですね。日曜日のご馳走って、ラグーを作るナポリとおんなじだ。

トルテッリーニはこの地方の芸術的パスタの一つ。

造り方を見せる店もある。



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2023年7月25日火曜日

タリオリーニをボローニャ風に言うと、ストレッテーネ。ほうれん草入りの緑の麺だと言うことなし。ボローニャの職人がラザーニャに使う麺棒の長さは見ものです。

今日は(CIR)の今月のワイン、“ランブルスコ”(P.44)から、ランブルスコと組み合わせるお勧めリチェッタの話。
1品目は“ラグー・ボロニェーゼのストレッティ―ネ・ヴェルディ(リチェッタP.45)”。
ラグー・ボロニェーゼは、エミリア地方生まれのイタリアの人気料理であるだけでなく、おそらく人気ナンバーワンの料理。公式リチェッタはイタリア料理アカデミーによってボローニャの商工会議所に登録されていて、アカデミーでは、現代の生活に合わせたリチェッタも提案しています。昔も今も、リチェッタの基本はパンチェッタ、野菜、肉を炒めてからじっくり煮込む、ということ。ボローニャのラグーをかける名物パスタはタリアテッレとラザーニャで、ほうれん草入りの緑の生地を使うのが伝統的。

ラグー・アッラ・ボロニェーゼ。ragú alla bolognese。

ちなみに肉はカルテッラcratellaと呼ばれる横隔膜のそばの赤身の部分が一般的だが、公式リチェッタでは、バラ肉、肩肉、うで肉でも代用できる、としている。

イタリア料理のもう一つのラグー、ラグー・ナポレターノ。
挽肉は入らないけど、インボルティーニを入れる。

ラグーはとろ火でじっくり煮れば煮るほど濃厚な味になる。
ナポリではラグーを煮る時の音は、“pippiare/ピッピアーレ”と表現する。
煮る時間は1~4時間。鍋は底の厚い鍋か陶器の鍋が適している。
肉は使う直前に挽く。
パンチェッタを炒めたフライパンで肉の一部を炒めてから野菜のソッフリットに加えるとジューシーで柔らかくなる。
ナポリでは、細い麺にラグーをかけるのは冒涜とされている。

個人的には、ナポリ料理のポイントはトマトだと思ってます。上の動画ではワインのアルコールが飛んだ後に、水で溶いたトマトペーストとトマトのパッサータ、またはミキサーにかけたホールトマトを加えています。これらのトマトがナポリのものが理想。
“ストレッティ―ネ”とはボローニャではタリオリー二、つまり細いタリアテッレのこと。ストレッティ―ネ・ヴェルデとはほうれん草入りタリオー二のことで、当然ながらボローニャ名物の緑のラザーニャをタリオリーニに切ったパスタだと思われます。

ラザーニェ・アッラ・ボロニェーゼlasagne alla bolognese。
ボローニャのプロの職人はすんばらしいマイ麺棒で作ります。

今日のテーマはランブルスコに合う料理でしたが、ラグー・ボロニェーゼのストレッティ―ネは同郷のサンジョベーゼも合います。
サンジョベーゼ・ディ・ロマーニャ。




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2023年7月24日月曜日

ランブルスコとプロセッコはイタリアンバブルを象徴するワイン。正確にはスプマンテじゃなくて泡がもっと少ないフリッザンテ。

パスタ・クレッシュータ(CIR/5月号P.35)の話は、モデナのニョッコ・フリットと生ハムとランブルスコは、いわば3種の神器。
今月の(CIR)のエノテカはランブルスコです。
ランブルスコは、ビールやビターの苦みが苦手な私にとっては、しゅわしゅわしてて、ほのかに甘くてフルーティーで、値段も激安のランブルスコは、生ハムと組み合わせて飲むのにぴったりの、夏の必需品です。
でも、ランブルスコはアメリカで特大ヒットしたせいで、アメリカ人が求める飲み物に姿を変えて、その結果、イタリアのコーラと呼ばれるまでになりました。この記事を読む限りでは、そのことは、イタリア人にはやや苦々しくもあったようです。
つまり、“伝統に基づく確信が消滅し、敬意の欠如によるテクノロジーが優先され、薄くて安定したランブルスコが大量に生産された”のでした。
つまり言い換えると、ブドウ農家が長年の経験から身につけた最上のランブルスコの基準が、例えば最上のランバルスコは2~3年目でオレンジ色を帯び、10年はもつが最上は7年目、ということが、アメリカの消費者の好みに合わないからと無視され、薄くて安定したランブルスコの大量生産を引き起こしたのでした。

アメリカで大ヒットする、つまり輸出が絶好調、というのは、イタリアのワイナリーが目指すアメリカンドリーム。特に、ランブルスコとプロセッコは、この絵にかいたような成功の夢物語を歩んだワインでした。

イタリアのリアルバブルで終わるか生き残るか、未来が気になるランブルスコとプロセッコ。

ランバルスコはスプマンテじゃなくてフリッザンテ。泡が少ない。
現在のランブルスコはルネサンス期だそうで、一時は落ち込んでも再生している。

ランブルスコは飲みやすくてどんな料理にも合うワイン、特にエミリア地方の伝統料理によく合う。サルーミや腸詰などにニョッコ・フリット、ティジェッレなどを添えてワインのミネラル分や塩気と豚肉の脂身や赤身を結びつけながら飲む。

泡のワインはタンクで二次発酵させるメトドシャルマ製法と、ボトル内で二次発酵させるシャンパーニュ製法がありますが、ランブルスコは瓶内で二次発酵させながら、コーラと呼ばれるほどお手軽な値段の泡です。
この記事で、ランブルスコの秘密を初めて知りました。ランブルスコが造られているパダナ平野は、多くの場所で窒素が不足しているそうです。そのため、アルコール化が完了しない。冬の間液体に残った糖分は春になって3月の新月の季節に、再発酵して泡になり、ボトル内のワインはようやく旅を再開して大人になる。新しい発酵によってできた泡は香りがよく、この地のぶどうの典型的な味のランブルスコになる。ほぼすべてフリッザンテ。収穫から2年以内に飲むワインだが、長くて7年寝かせたワインは残量糖度はなく、味はアマービレになる。

パダナ平野の三位一体、ニョッコ・フリット、ランバルスコ、生ハム。

ランブルスコ・ディ・モデナ。


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2023年7月22日土曜日

ドメニカのプランツォは家族そろって、手の込んだご馳走を、格式張らずに食べる、休日を記憶に残る1日にする伝統の食事。

昨日は、パスタ・クレッシュータ(CIR5月号/P.35)の話題から、ピッツァ・フリッタ、そしてモンタナーラと進み、ラグー・ナポレターナとドメニカのプランゾの話が出てきたところまで進みました。
そもそものきっかけは、モンタナーラMontanara。


そしてエンツォ・コッチャの本、『ピッツァ・フリッタ

に、モンタナーラのトッピングは、日曜日のプランゾ用のラグー・ナポレターナの残り、という文章を発見したのでした。

ナポリの日曜のプランゾ。

ナポリに限らず、ドメニカのプランツォ、つまり日曜日の晩御飯というのは、家族そろってご馳走を食べる日。主婦が朝から一日かけて造るご馳走を、家族の中で、楽しくいただく、格式とは無縁の記憶に残る食事だ。


そしてナポリで手の込んだ料理の代表とみなされているのが、ラグー・ナポレターナ。
ラグーは国民的料理と言える1品。アッラ・ボロニェーゼとアッラ・ナポレターナが2大ラグーだが、イタリアのほぼすべての州に個性的なラグーがある。

ラグー・アッラ・ナポレターナRagù alla Napoletana


そもそもラグーragoûtはフランス語で小さく刻んだ材料の煮込みを意味するもの。イタリア語ではragù。イタリア語のラグーには、肉、香味野菜、ワイン、トマトがベースの煮込んだソースという意味がある。誕生してからまだ2世紀だそうだ。
煮込みは硬い肉を食べやすくするために考え出された昔からある調理方法だが、ここにトマトが加わるようになってラグーと呼ばれるようになった。
上の動画にラグー・ナポレターナにまつわるエピソードが描かれているけど、傍若無人で嫌われ者の夫が妻の造るパスタソースが気に入り、みんなの仲間になっていい子にしてたら作ってあげる、と言われて改心しちゃうという、そのソースの名前が息子の名前と同じ“ラグー”だという空いた口がふさがらない物語。
なんだか子供だましの話だけど、ナポリのラグーは、ボローニャのラグーと違って鍋で塊肉をとろ火でコトコト煮込むのが特徴。

じっくり煮込む間常に鍋を見張っていることができる門番guarda portaがつくったものが最高、と言われる。
門番のラグー。

塊肉がなくても薄切りの肉を塊肉にするのがナポリ風。



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2023年7月21日金曜日

生ハムとチーズには添える揚げパンは、具を詰めるタイプとのせるタイプに進化した。ピッツェッレはナポリの揚げピッツァの進化系だけどモンタナーラという名前の方が有名。

パスタ・クレッシュータの話題、続けます。(CIR5月号P.35)
ナポリのピッツァフリッタに代表されるパスタ・クレッシュータですが、他の地方にも、色々なタイプのパスタ・クレッシュータがあります。
まずはモデナのニョッコ・フリット。
一度生ハムと一緒に食べると、もう生ハムには欠かせなくなります。
もちろん、一緒に食べるのは生ハム以外のサルーメでもOK。

個人的には、パスタ・クレッシュータと言えば、ピッツァ・フリッタよりニョッコ・フリット。(CIR)のリチェッタはP.36。

ペルージャのブルステンゴbrustengoとノルチャの生ハム、ブッラータ。
お皿みたいに大きく揚げてからカットして具をのせるタイプ。


材料/
小麦粉・・500g
ノルチャの生ハム
ブッラータ
ローズマリー
ガス入りミネラルウオーター
塩、サラダ油(ひまわり油)

・ローズマリーのみじん切り、小麦粉、塩、冷やしたガス入りミネラルウオーターを混ぜる。
・フライパンに油を100~120℃程度に熱する。
・生地をきれいな円形になるように入れる。きつね色になったら裏返して反対側も揚げる。
・180℃に上げて揚げたらシートに取って油を切り、くし切りにする。
・ノルチャの生ハムとブッラータをのせる。

トスカーナのコッコリ。

スガベイもサラミとチーズに添える揚げ生地。
ルニジャーナ地方(トスカーナとリグーリアの間)の揚げパン。棒状に成形する。
(CIRのリチェッタはP.37)


ナポリのミニピッツァことピッツェッレ・フリッテ。別名モンタナ―レmontanare。(CIR)のリチェッタはP.38。これも具を詰めるのではなく挟むタイプ。
ナポリのピッツァはトマトソースの赤い色が特徴。基本的なことなのに、他の地方の揚げパンにはない。

ナポリのピッツァ・フリッタの大家、エンツォ・コッチャの本、『ピッツァ・フリッタ

にはモンタナラやモンタナリーナのリチェッタがたくさん載っていました。
実は、ピッツァ・フリッタもモンタナーラもどちらもナポリの庶民の空腹を満たすために生まれた同じものだ、という説明を見逃していたのです。19世紀初めには、ナポリには17軒のフリッジトリーアfriggitoriaがあったそうです。

ナポリのフリッジトリア。


ピッツァ・フリッタとモンタナーラは基本的にはどちらも揚げピッツァですが、ピッツァ・フリッタは半月形に生地を折って中に具を詰めます。モンタナーラは円形で、表面に具をのせます。ピッツァ・フリッタの伝統的な具はチッチョリとリコッタ。チッチョリciccioliはラードを取った後の豚の脂身。モンタナーラは日曜日のラグーの残り。

チッチョリ・ナポレターニ。

ラグー・ナポレターナ。

ナポリのピッツェッレの美味しさは、ナポリ風ラグーにあったのかも。
リチェッタは次回。

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2023年7月20日木曜日

ナポリの朝食用ピッツァ・フリッタは細長い、半月形の通称バッティロッキオ。夕食用には満月状の焼いたピッツァを食べる。

今日のお題は(CIR)5月号から、“パスタ・クレッシュータ”Pasta cresciuta(P.35~)。
 パスタ・クレッシュータとは膨らんだ生地のこと。イタリア各地で作られていますが、中でも有名なのが、ナポリのストリートフード、ピッツァ・フリッタです。
ピッツァ・フリッタは、このブログでも何度も紹介していますが、ヴィットリオ・デ・シーカ監督の1954年のソフィア・ローレンの映画、『ナポリの黄金』のとても魅力的なシーンと結びついて世界中に知れ渡った幸福な食べ物です。
このシーンです。

監督は、ナポリの人じゃないけど、ネオリアリズモの旗手と呼ばれた人物。ファシズムに対抗したとも言われるネオリアリズモは、庶民の日常を詳細に分かりやすく描写して、この時代の庶民の考えを代弁していた。
この陽気なシーンは、ソフィア・ローレンの美しさに目が行くけど、よく見ると、店主も、その妻のソフィア・ローレンも斜め上をむいて大声で会話している。
これは、店の上の階に住むご近所の人たちを起こして朝食を取らせようと目論んでいたため。この時のソフィアのセリフも有名。
それは「venite a fare la mernda,mangiate oggi e pagate tra otto giorni・・・」
「いらっしゃい、いらっしゃい、今食べてお題は8日後でいいよ」

映画の舞台になったのは、マテルディ地区。映画のお陰でこの地区も有名になりました。

マテルデイ地区。

現代のナポリのピッツァ・フリッタ。

ストリートフード・アッラ・イタリアーナ

によると、朝食べる揚げピッツァは、battilocchio    と呼ばれる半月型の細長いタイプ。
夕食用は満月型の丸くてオーブンで焼いた

2023年7月19日水曜日

パンナコッタ・サラータをマスターするとアレンジの幅が無数に広がる。

今日は(CIR)5月のリチェッタから、パンナコッタを2品。
“いちご、ルバーブ、ライムのパンナコッタのクロスタータ”(P.11)、と、“パンナコッタのタルタルとバジルオイル添え”(P.33)の2品。
パンナコッタのクロスタータは、パスタ・フロッラのタルトにライムの皮入りのパンナコッタを流し入れて冷やし固め、いちごとルバーブのコンポートをトッピングしたもの。

パンナコッタのクロスタータにいちごなど赤いフルーツをトッピングするのは人気の組み合わせ。
パンナコッタのクロスタータ。

ルバーブといちごのコンポートは赤いフルーツの代表。
ヨーロッパでは大人気のルバーブ。
それに白いパンナコッタを組み合わせるのは自然な発想。

いちごとルバーブのトルティーノ。

今回のリチェッタは、キアニーナ牛のタルタルとパンナコッタという力技の組み合わせ。
パンナコッタにはペコリーノとブロンテのピスタチオ、そしてバジリコオイルを加えています。
この場合のパンナコッタはドルチェではなく、パンナコッタ・サラータです。

パルミジャーノ入りパンナコッタ。

パンナコッタのサーモンのタルタル添え。

ゴルゴンゾーラとマルサラのソース入りパンナコッタ。



パンナコッタのアレンジは無数にできますね。
ちなみにパンナコッタはピエモンテがルーツのドルチェと言われてます。

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