2026年4月7日火曜日

リグーリアのアンチョビ。

ピエモンテのシンボル料理、バーニャ・カウダは、アンチョビ、にんにく、オリーブオイルの3つをテラコッタの鍋でじっくり煮ていく農民料理。一見地味ですが、北の海なし州のピエモンテで、アンチョビとオリーブオイルというピエモンテとは全然縁のないリグーリアの産物を使う案外贅沢な料理。
塩漬けアンチョビは何世紀も昔からリグーリアの海からピエモンテの山を越えてランゲやモンフェッラート、ミラノへと運ばれて取引された食材。大部分はクーネオのヴァル・マイア地方で農閑期の副業として作られていました。現在ではワゴンを引いての行商は見られなくなったが、この地方で“海のパン”と呼ばれたアンチョビは、代々各家庭で受け継がれてきた伝統的な製法で手作りで塩漬けにされています。4月から10月の間に水揚げされた長さ12~20㎝のヨーロッパカタクチイワシは、水揚げから12時間以内に手作業で下処理して栗の木やテラコッタの壺に放射状に並べながら開演で覆って重ねていきます。重石を載せたら40~60日熟成させ、この間、出てきた最初の汁を塩水に変え、ガラスの筒形のビンに移すと製品の出来上がり。食べる時は流水にさらして塩抜きし、開いて骨を取り、水気をふき取る。

ヴァル・マイアは想像以上に雪が降ってた。海辺のアンチョビが捕れる場所かと思ってたけど、そうじゃなくて、冬を越すのが大変な場所でした。そうじゃなけゃ出稼ぎにはいかないか。
この山をワゴンを引いて越えたのか・・・。

リグーリアの伝統的なアンチョビの塩漬け。モンテ・ロッソのアンチョビは伝統的な手作業で塩漬けされる製品が有名。ライバルのスペインのカンタブリアのアンチョビは、これだけ手間暇かけて塩漬けにはせず、むしろ缶詰などの大量生産が有名。
スペインとイタリアは、どらも地中海沿岸という地理的共通点があって、オリーブオイルなどもライバル関係。ただ、スペインでは大地主による大規模生産が発達し、イタリアでは人間の手によるアルティジャナーレな製品が発達しました。

スペインのアンチョビの塩漬けは缶詰。


アンチョビはもちろんバーニャ・カウダには欠かせないものですが、サルサ・ヴェルデことバニェット・ヴェルデも有名。

またはアンチョビをバターと一緒にミキサーにかけてパンに塗ってもよいし、パスタソースに加えても美味しい。

アンチョビとパン粉のスパゲッティ。


アンチョビとオリーブオイルの組み合わせは、バーニャ・カウダを見るまでもなく、野菜によく合うソース。
次回はバーニャカウダに欠かせないピエモンテの野菜の話。



動画は日本語の字幕付きでご覧ください。

この話は(CIR)2023年10月号のリチェッタ《コンテンポラリーな地方料理》の解説です。日本語のリチェッタと写真はP.2~。

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