詰め物入り七面鳥のオーブン焼き。
クリスマスのカッポーネ。
去勢鶏という意味のイタリア語、カッポーネcapponeはギリシャ語で「切る」という意味の“koptein”が語源。ストレートすぎてちょっと怖い。
鶏の先祖は、ジャングルに棲む赤い鳥でした。インドで家畜化されましたが、当初は卵が目的で雄鶏は食用ではありませんでした。ギリシャに最初に伝わった雄鶏も闘鶏用。ローマでは鶏を敬って異教の儀式に用い、やがて上流階級の料理に使うようになります。
紀元前161年に、ローマでは町が汚れるから路上で雄鶏を飼ってはいけない、という法律ができました。そこで市民は裏をかいて、雌鶏を飼うようになります。雄鶏は雄同士で喧嘩をするので大量に飼うのは大変ですが、去勢をすればおとなしくなります。鶏の去勢はギリシャでは紀元前7世紀にはすでに行われていました。アリストテレスによると、当時の鶏の去勢はひなの精巣に焼き鏝を当てて行うもので、さらに蹴爪、とさか、睾丸も取り除きました。
去勢された鶏は大きく育ち、生後8か月で約7㎏になります。肉は白くてとても柔らか。去勢鶏と卵を産まなくなった雌鶏は、中世、特にルネサンス時代の宴会の花形でした。小麦で飾った去勢鶏は永遠の命の象徴とされ、金箔で覆うこともありました。一方雄鶏はブロードや詰め物になって活躍しました。
ところがここで登場するのが七面鳥です。中央アメリカ原産の七面鳥は、1520年にコルテスのメキシコ宮廷にいた神父たちがヨーロッパに持ち込みます。王族の間でもたちまち人気が出て、フランスでは1570年にシャルル9世飼育場を増やすように命令し、その30年後にはフランソワ4世がマリア・デ・メディチとの結婚披露宴で七面鳥を出すように要望しています。
ここで話はちょっと変わって若鶏のこと。
若鶏は最低90日齢、約4週間のオスの鶏。その歴史はとても古く、5千年もの間、食料としてよりシンボルとしての役割を担ってきました。インドの平野ではこの誇り高い鶏は闘鶏用として広まり、バビロニア、エジプト、ギリシャ、ローマでは儀式の主役になりました。横道にそれましたが、若鶏にも面白い歴史がありました。詳細は次回。
雄鶏の飼育。
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