記事によると、最初のワインは農民のワインでした。元祖と見なされているのはブルゴーニュ地方のワイン。すぐ後に、貴族のワインも生まれる。貴族は自分たちで味わうためにワインを造った。最高のものは自分たちのために取っておいた。農民は良いものを売って残り物を飲んだ。その代表的な存在が、18世紀のボルドー。ボルドーワインは、イギリスの中産階級という新しい市場を獲得する。
ボルドーは貴族のワインから中産階級のワインになった。貴族の立場からすれば、中産階級にワインを提供するのには抵抗がある。しかし、時代は変わっていく。それと共にワインも変化する。流行が生まれ、批評家が登場し、試飲の技術が定義され、ワインを分類するシステムが作られた。これらはすべて、イギリスの中産階級がボルドーワインを飲むために考え出したことだった。この状況は、世界のワイン生産者にインスピレーションを与え、ボルドーワインをベースにした中産階級のワインは徐々に広まっていった。
ボルドーのワインを有名にしたものは?
そして20世紀後半には、新ボルドーが誕生する。カリフォルニアワインやイタリアのスーパータスカンがそうだ。それまで農民のワインや貴族のワインは地元だけで消費されていた。ところがこの中産階級のワインの登場によって、高級ワインの消費範囲が一気に拡大した。
スーパータスカン。
中産階級のワインには、土地や伝統との強い結びつきはない。イタリアではティニャネッロ、ガヤ、ビオンディ・サンティ、ベルタ―二、サンドロ―ネ、カベルネ・ソーヴィ二オンを使ったスーパータスカンなどがこのタイプに属する。農民のワインの造り手が、中産階級のワイン造りを始めると必ず議論が巻き起こる。その一方で、批評家たちは完璧にボルドー贔屓だ。それは彼らの判断基準が新ボルドーのワイン理論をベースにしていることからと考えることもできる。
テロワールとは。
ワインが次に迎えたのは工場生産の時代だ。ここに至って、伝統と土地との結びつきは完全に消える。世界中の少しでも多くの消費者に販売するのがこのワインの目的だ。基本的には、工場生産のワインは、オーストラリアやチリと言った新世界や、アメリカのカリフォルニアで生まれた。ギャロワイナリーは年間10億本のワインを生産しているが、これはアメリカのワイン総生産量の25%に相当する。イエローテールシリーズで知られるオーストラリアのカセラ・ワインズは、2001年創業だが、わずか数年で年間2億3千万本を製造するまでになった。
ギャッロ・ワイナリー。語るのはビジネスの話。
オールド世界と新世界ワインの違いは。
カリフォルニアワインの歴史。
小さな作り手にとって巨大企業は脅威だが、イタリアでは小規模生産者の協同組合が大企業のベースラインを担当するという協調路線が機能している。世界市場で販売されるノヴェッロやスプマンテはこのケースが多い。代表的な企業は、ドゥーカ・ディ・サラパルータ、サンタ・マルゲリータ、アンティノーリなど。
ノヴェロワイン。
シチリアのドゥーカ・ディ・サラパルータ。
今までワインを飲む時に階級のことなんて考えたことなかったけど、気が付けば旧世界のワインにどっぷり浸ってるじゃん。貴族のワインは憧れるけど、触れる機会がない。私、どうしようもなく庶民。
今日の話は(CIR2023年7月号)の記事、“プーリアのグルメガイド”のビジュアル解説が元です。記事の日本語訳と写真はP.16~。
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