2024年12月23日月曜日

地中海の豚の塩漬けと、北欧のスモークの技術が結びついた豚肉の保存食、スペック。塩だけでなく、山の空気がポイント。

アルト・アディジェの料理の話の前に、今日は、アルト・アディジェの最も重要で、アルト・アディジェを象徴する産物、スペックの話です。

スペック。

スペック・デッロ・アルト・アディジェigp。1996年にigp製品になっています。

スペックは地中海沿岸の生ハムと、北欧のスモークの技術が結びついた製品。
原材料はヨーロッパで飼育された豚の赤身で締まったもも肉。イタリア産も少量使われていますが、イタリア産は脂身が多すぎるので、主にドイツ産が使われています。
そもそも豚肉は、ゲルマン系のロンゴバルド族の侵略の時代に、イタリアに伝わり、それに伴って、豚肉を保存する技術が考え出されました。周りを海に囲まれたイタリアでは、塩を使って肉を保存するのはごく自然な方法。でも、海のない山の上のアルト・アディジェでは、スモークする方法が用いられます。
もも肉を、まず秘密の配合でスパイスを加えた塩漬けにして、次に樹脂の少ないデリケートな香りのチップで低温でスモークします。仕上げに風通しのよい部屋で約22週間熟成させます。この間に肉は重さの1/3が減り、天然の薄いカビで覆われます。このカビは取り除きます。
現在のスペックは昔のものより軽く、塩分も少なくなっています。15年間で脂肪分は23%減り、塩分は5%以下になりました。

スペックはは締まった肉で軽いスモーク香、強い味の生ハムです。山の空気が詰まった食材と言われています。スライスする時は、繊維に逆らってできるだけ薄くスライスし、そのまま食べるのが一番美味しい食べ方です。室温にすることも重要なので、最低2時間前にはパックから出して空気に触れさせてアロマと味を引きだしておきます。
スペックに添えるのはチーズ、メロン、いちじく、モッツァレラ、サラダ、ゆでたじゃがいも、アスパラガス、きのこのカルパッチョなど。

山の生ハムというと、サン・ダニエーレの生ハムというのがあります。
山の生ハムの特徴は“甘さ”。フリウリのサン・ダニエーレの生ハムも、甘いのが特徴です。
このことを知って以来、山の上で造る生ハムは、地中海の生ハムとは別物だと知りました。塩だけじゃなく、山の空気も利用されていたんですね。

サン・ダニエーレの生ハム。

ユニークな生ハム、スペック。その産地、アルト・アディジェの代表的な料理は“カネデルリcanederli”

スペックのカネデルリ。

(CIR8月号P.38)のカネデルリは、モッツァレラとトマト入りでバジリコ風味。地元のインフルエンサーが作ったかなり地中海的な1品です。カネデルリは自由にアレンジできる料理。

=====================================
(CIR)は『クチーナ・イタリアーナ』と『サーレ・エ・ペペ』という2冊のイタリア料理の月刊誌のリチェッタと記事を日本語に翻訳した約50ページの小冊子です。
価格は1冊\900(税・送料込)、1年12冊の定期購読だと15%引きの\9200(税・送料込)になります。紙版と、ネット上にupするPDF版があります。PDF版の価格は\800/号、定期購読は\7700/1年12冊です。料理雑誌も販売しています。

現在、2022年の号を販売中です。それ以前の号と、旧総合解説はシステムの変更のため販売を終了しました。
現在販売している(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)バックナンバーは、2021年1~12月号です。
定期購読は2022年の号からできます。
1冊のみの注文もできます。
古い雑誌や本は在庫を探しますのでご相談ください。
本以外のお問い合わせもお気軽にどうぞ。

ご注文の場合は、こちらのフォームからお願いします。
本や(CIR)の購入方法

お問い合わせはこちらからどうぞ。

(下記のリンクがクリックできない時は左クリックして表示されたurlをクリックしてください)
=====================================
クレアパッソのブログは下記の3種類あります。
[creapasso.comへ戻る(hpはシステムのトラブルで長期間更新していません、あしからず)最新情報はすべてブログでお知らせします]

====================================


0 件のコメント:

コメントを投稿