70年代のイタリア料理は、地元の老人たちがトランプをししに集まるようなトラットリアが、上質の料理を味わい、上等のフランスワインを飲む場所になり、デザイナーが工芸品としての芸術を提唱して料理が洗練されていき、時代がどんどん変わっていきました。
そんな中で印象に残ったのが、イタリア人のフランスの食文化に対する強い憧れと敬意。
特にナポリ訛りのフランス料理の名前が、なんと、ナポリ料理の権威として知られるイッポリート・カヴァルカンティが造り出した言葉だった、という事実は、かなりショック。読者の大部分はフランス語が分からないからいいだろう、という程度で作った変わった料理の名前を書いた本が、想像以上に広まり、後の世にはナポリ料理の歴史的本と言われているんですから。
とにかくフランスに対するあこがれは、強くても、まだあまりなじみのないものだったんですね。
リストランテ・トラットリア・オステリア
そんな時代、1982年に、ツーリングクラブの主催でヴェローナの12アポストリのシェフ、ジョルジョ・ジョコとグアルティエーロ・マルケージの討論会が行われました。
彼らが競い合ったのは、伝統と革新。そしてその結果、マルケージと革新が勝利します。勝ち負けをきめちゃいけないような、すごく残酷な対決です。
美しさと美味しさが同居する時代になり、フードデザインの時代になります。
ジョルジョはヴェローナの人から愛される老舗レストラン、12アポストリのシェフ。
アポストリ
マルケージは、イタリア料理界の巨匠になり、伝説になり、2017年には彼の伝記映画も造られた。
マッシモ・ボットゥーラが語るマルケージ。
ミラノのマルケージ。
マルケージの歴史的料理。
フードデザインの時代になり、イタリアの料理人は地方主義を捨てて旅しながら経験を積み、独自の料理を考え出すようになります。
個人的には人情が溢れてるトラットリアの地方料理が大好きです。
次はこの時代の話。
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