前回は、ネグロアマーロがギリシャ語とラテン語で「黒」という意味だと説明しました。まあイタリア語の黒“ネロ”がついているぶどうはたくさんありますが、
例えばピノ・ネロ
ワインの色は皮などの絞り粕をモストに浸漬させることによって生まれます。なのでぶどうの品種が重要です。プーリアのぶどうは北伊やフランスのワインの色を濃くするために使われていました。よっぽど黒かったんですね。
プーリアのぶどう農家にとって大切な収入源だった黒いぶどう。ところが瓶入りワインの需要が増えて、北伊の瓶詰業者がプーリアのぶどうのバルク買いをやめると言い出して、農家のぶどう離れが加速します。
サレントワイン復活のリーダーとなったのは、レオーネ・デ・カストリス、コジモ・タウリーのなどの旧貴族の新世代、北伊から参入したカンティーナなどでした。
レオーネ・デ・カストリスはイタリアで最初の瓶入りロゼワイン、ファイブ・ローゼスを発表します。
レオーネ・デ・カストリス
このワイン誕生の話はとても有名。第二次大戦時、連合軍のアメリカ人物資補給将校が、レオーネ・デ・カストリスのロゼワインを気に入り、それを瓶詰めするように依頼したことがきっかけで生まれました。1945年にアメリカに向けて最初に出荷されたのは1943年のビンテージのリゼルヴァ。アルコール度は14%程度ありました。
当時のイタリアは、北部をドイツ軍によって占領されていました。
ドイツ軍は何十にも防衛線を張っていたため、北と南は分断状態にあったのです。
ところがワインの瓶メーカーはすべてドイツ軍の占領地内にありました。
新しい瓶が手に入らない。
そこで取られた解決策は、地中海のひらめきとアメリカの実用主義が合体したものでした。
今では笑い話だそうですが、それはビンのリサイクルです。集められたビンの中にはビール瓶を初めとする様々な飲み物の瓶がありました。
2015年のレオーネ・デ・カストリス
ワインは12000本以上のビンに詰められて、“ファイブ・ローゼス”のラベルが貼られて出荷されました。
ファイブ・ローゼスのPV
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