2024年7月31日水曜日

羊はかなり野生が残った家畜で、自然との関わりを強く感じさせる動物。ペコリーノとマレンマ・シープドッグには2000年の歴史がある。

さて今日のお題は、イタリアが誇る古代ローマから愛されてきたチーズ、ペコリーノです。
半野生状態で育つイタリアの羊。家畜とは言え、かなり野生が残った家畜で、自然との関わりを強く感じさせる動物です。
秋の訪れとともに羊飼いたちは夏の間羊たちが食べることができる冬の牧草地を探してアペニン山脈からトスカーナのマレンマ地方の海岸へと降ります。
羊の授乳期間、つまりミルクを出す期間は、栄養価の高い餌を探せる春から夏の間に凝縮されます。夏の終わりになると、妊娠の準備のためにミルクを出さなくなります。そのため、ミルクを保存することが必要で、中~長期熟成させるチーズが創り出されました。

ペコリーノ・ロマーノ。

上質なチーズは、味覚に刺激や快感を与えます。チーズから漂う牧草の香りは質の良さの証明。料理に使うと熱くて強い、エレガントな味が引き出されます。その歴史的なイメージとは逆に、製造過程は超モダン。羊のチーズ独特のクセの強い風味も、現代人の好みに合わせて改良されています。

最新の技術も注目だけど、やっぱりすごいのは移牧の文化。

羊飼いの仕事のきつさを想像すると、後継者がいないのも理解できる。

それにしても子ヤギは可愛い。

一般ピーポーが移牧に遭遇すると、マンマ・ミーアって言うんだ。

利口な牧羊犬は、マレンマ・シープ・ドッグ。マレンマはトスカーナの移牧地。


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現在、2021年の号を販売中です。それ以前の号と、旧総合解説はシステムの変更のため販売を終了しました。
現在販売している(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)バックナンバーは、2021年1~12月号です。
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2024年7月30日火曜日

ソラマメはさやも使う、サステナブルな食材。ポイントはソラマメを生で食べる習慣。

(CIR4月号)のリチェッタの最初の1品、“ソラマメとペコリーノのスプーマ入りソラマメ”、
この料理のポイントは、さやbaccelliです。

さや付きソラマメのパデッラータ

ソラマメのさやのフリット

youtube上にはさやは捨てるな、という動画が溢れていますが、今回のリチェッタは、柔らかい新鮮なソラマメを生で食べる習慣があるイタリアならでの料理。


さやから出したソラマメは、カプリーノ、ペコリーノ、油少々、レモン汁と一緒にミキサーにかけてスプーマにします。そしてこれをゆでたさやに絞り出してソラマメに見立てる、という遊び心満載の楽しい料理です。

ここでポイントになるのが、ソラマメの相棒、ペコリーノ。
ペコリーノはメイド・イン・イタリーの食材として、イタリアを代表するチーズ。
特にローマは、古代ローマから続くペコリーノ好きで、古代ローマのレギオン軍団の兵士にも、ペコリーノが食料として支給されていました。
そもそも最初のチーズは羊のミルクのチーズでした、と、聖書やイランのペルセポリスの階段にも書かれているとか。

ペルセポリス

このチーズの材料は放し飼いの羊のミルクと子牛のレンネット、塩。
ペコリーノ・ロマーノは、その名前にも関わらず、現在は大部分がサルデーニャで造られています。
そのきっかけは、ローマの生産者がラツィオとサルデーニャの気候が似通っていることに気がついたためでした。古代ローマ時代にローマ郊外の農村で誕生したペコリーノ・ロマーノは、約2千年の歴史がありますが、19世紀末以降、製造の中心地はサルデーニャに移りました。

ペコリーノ・ロマーノは輸出量の多いイタリアのチーズ、トップ5に入っています。羊のチーズの中では1位。

羊の飼育は野生状態。羊は雪が降った時しか小屋には入らないそうです。羊が食べる植物は、気候によって違い、水も違います。サルデーニャの品種の羊のミルクから作られるペコリーノはミルクを55~68℃で長くて15秒加熱して殺菌しますがチーズ作りに必要な菌は殺さないので生のミルクの風味が活かされています。羊飼いは草を求めて季節によって移牧します。

ペコリーノとパルミジャーノの違い

ペコリーノの話、次回に続きます。

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2024年7月27日土曜日

(CIR)2022年4月号発売しました。

(CIR)2022年4月号発売しました。
定期購読分の発送は月曜日の予定です。


さて、4月号は、毎年恒例、復活祭の号です。
復活祭は、2022年は3月29日、2023年は4月9日、2024年は3月31日と、毎年移動します。
復活祭は、復活、つまり再生と春のシンボル。月刊料理誌だと、毎年4月号あたりになります。復活際の主役にの食材は、子羊と卵。これがイタリアの春と復活のシンボルです。
4月号の料理のテーマは、復活祭の伝統食材を使った料理です。
子羊と卵以外にもソラマメ、ハーブ、パン、リコッタなど、様々な食材があります。
どれも警戒で華やかな、お祭り気分のゴージャスな料理ばかりです。

ナポリの伝統的な復活祭のプランゾの料理。

伝統料理とはあまり関係なさそうな若者の復活祭の料理。

今月の地方料理はティンバッロ。南イタリアの復活祭の主役です。
クラシックバージョンとモダンバージョンのリチェッタを提案しています。こてこての伝統料理もアイデア次第でモダンになるもんです。

ティンバッロ・ジェノヴェーゼ。

さらに、パスティエーラのバリエーションと続きます。
パスティエーラは、ナポリの伝統菓子ですが、ヴェローナのコロンバのようにイタリアの復活祭のドルチェのシンボルになった1品。

ナポリの老舗カフェの名店、ガンブリヌスのバスティエーラ。

この他、シェフはパオロ・グリッファ
グルメガイドはローマ
ワインはレヴァンテの白、といった充実したラインナップです。


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2024年7月26日金曜日

イタリア料理史上に燦然と輝く名作、アン二バーレ・カラッチのあの絵の料理は、豆のズッパじゃなくて豆のトルタのボローニャ風だとまで特定されていた。

今日のお題は下の動画で解説しているイタリア料理界の超有名な絵、一度見たら忘れられないこの絵は、アンニバーレ・カラッチというイタリアの芸術界でも有名な16世紀の画家が描いた油絵。
普通は、下の動画みたいに絵画の技巧などに目が行くのですが、イタリア料理界隈の人にとっては、この人物が何を食べているのかが最大の関心事。そうそう、この絵のタイトル“il mangiatore fi fagioliマンジャトーレ・ディ・ファジョーリ(豆を食べる人)”も、別名mangiafagioliマンジャファジョーリと呼ばれるほどメジャー。

タベルナで、帽子をかぶったまま左手でパンをつかんで慌ただしそうに料理をかきこんでいる彼は、多分農民。スプーンや前のボールにたっぷり入っているのは、豆。テーブルの上には、他にねぎ、パン、ラディッキオ、ワインが載っています。
作者のアンニバル・カラッチはボローニャの人。だから多分この絵で描かれているのはボローニャあたりの農民の姿。後に彼はローマに移って活躍します。なので現在この絵は、ローマのコロンナ絵画館にあります。
上の動画では、この料理はズッパ・ディ・ファジョーリだと説明していますが、
『クチーナ・イタリアーナ2022年3月号』の記事では、“torte d'erbe”と言っています。
torte d'erbe(葉野菜のケーキ)は主にリグーリア、トスカーナ、エミリア地方に広まった料理ですが、イタリア各地にある、地元の食材を使った質素な農民料理で、持ち運びができました。
カラバッチがボローニャ出身だったことを考えると、この料理はtorta d'erbe alla bologneseだということまで特定されています。

ルニジャーナ風トルタ・デルべ。

有名な絵でも絵画の専門家と料理の専門家では、目の付け所がここまで違うのですね。
さらにここからは、料理の専門家じゃなくてボローニャ料理の専門家の出番。
ボローニャはモルタデッラとトルテッリーニだけじゃないんですよ、という最もなお言葉と、ボローニャには中世やルネサンスのこの料理のリチェッタが多数残されていて、農民料理だけではなく、貴族の料理にもあったそうです。ただし、貴族が食べるにはあまりにも質素なこの料理。ゴージャスにするために、砂糖やスパイスという超高価なものを散らしていたそうです。油は農民はラードを使いましたが、貴族はバター。正確にはバターとシナモンです。仕上げには砂糖を散らしました。味は想像とかかなり違っていたかも・・・。ただ、ドルチェ・サラートな味は、ルネサンスの流行でした。


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2024年7月25日木曜日

コモ湖畔のゴージャスホテルの分子料理、トマトのソルベットとブッラータの冷たいズッパ

火を使う料理は例え翻訳でもきつい昨今の猛暑。
今日の料理は、冷たそうな1品。
かなり昔の旧総合解説7月号で訳したリチェッタ、
“トマトのソルベットとブッラータの冷たいズッパ”
ホテル・ヴィッラ・セルベッロ―二のラ・テッラッツァのエットーレ・ボッキアシェフのリチェッタです。このホテル、どうやらコモ湖畔の、貴族御用達の5つ星の高級ホテルのよう。こんな湖畔のゴージャスホテルでこのズッパをいただいたら、涼しくなりそ~。

グランド・ホテル・ヴィッラ・セルベッロ―ニ。

エットーレ・ボッキアシェフは、イタリアの分子料理の第一人者。

ジェラートを造るシェフ。液体窒素を使う冷たい料理は分子料理の得意分野?
トマトのソルベットは、トマト、きゅうり、ピーマン、玉ねぎをミキサーにかけて塩、こしようで調味し、にんにくと油を加えて再び攪拌。これをシノワで濾してステンレスのボールに入れ、液体窒素を加えてかき混ぜながらソルベットにします。

ブッラータのズッパは、ブッラータ、牛乳、塩、こしょうをミキサーにかけてクリーム状にします。スープ皿にズッパを注いで中央にソルベットを盛り付け、生のエビとバジリコを添えて油をまわしかけます。

トマトのソルベットとブッラータのズッパは、よ~く考えればカプレーゼのアレンジ。

トマトのソルベットのカプレーゼ。

一口カプレーゼ串

モッツァレッラみたいに見える魚、メカジキで代用もできます。
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2024年7月24日水曜日

洋梨とチーズは庶民と貴族の象徴的な食材の組み合わせ。中世では洋梨は高貴で贅沢な食べ物でした。チーズは古代から羊飼いの食べ物。

今日のお題は、チーズと洋梨の組み合わせ。
グルメならみんな知ってる相性抜群のこの2つの食材の組み合わせ。
イタリア料理でもよく見かける組み合わせです。パスタにも使われます。

“洋梨、チーズ、蜂蜜、くるみのオーブン焼き”

古代から知られている組み合わせですが、これが庶民と貴族の象徴的食材の組み合わせだったとは、知りませんでした。
庶民の食材はチーズ。昔から、羊飼いや農民が作ってきた食べ物です。
そして貴族の食材は洋梨です。中世あたりから、洋梨は高貴で贅沢な食べ物とみなされていました。
貴族の間では、洋梨とチーズの美味しさを農民に分からせちゃだめだ、なんて言い回しまでありました。

洋梨のチーズ風味

洋梨とチーズ
洋梨を薄く切る。
スライスしたライ麦パンにのトミーノを塗り、洋梨をのせる。

暑くなると生ハムとメロンの季節到来。

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2024年7月23日火曜日

イギリスのプディングからアメリカの典型的なケーキになったキャロットケーキ。今や世界中に広まった国際的で歴史のあるケーキ。

今日のお題は“キャロット・ケーキ”です。
『クチーナ・イタリアーナ2022年3月号』の記事から。
そもそも、キャロットケーキは、当然ながらにんじんが主役。
そして舞台は北ヨーロッパ。
主にイギリスで中世以降に流行った料理だそうです。
当時は、にんじんは砂糖に変わる甘さを出せる食材でした。
昔はキャロット・プディングと呼んで食後に食べていました。
なんとなく昭和の香りがする懐かしいケーキですが、そのルーツはプディングだったんですね。
そしてイギリスの植民地、アメリカに伝わり、次第に世界中のカフェに広まっていきます。
1783年の11月25日は、イギリスの撤収の日。つまり独立戦争の結果、イギリス軍がニューヨークから出て行った日です。


この日、未来の大統領、ジョージ・ワシントンがキャロット・ケーキ1切れをマンハッタンのカフェで食べた、ということが、今では歴史的な出来事みたいに後世に語り継がれています。

この頃がキャロット・ケーキ大流行のピーク。カフェでは、キャロット・ケーキがりんごのケーキに取って変わりました。アメリカがキャロット・ケーキの本場みたいなことも感じていましたが、スイスにはにんじんが特産物の地方があって、にんじんの大きな国際マーケットも開かれます。

スイスのマーケットのPV

スイスの鶏のPV

スイスのにんじんの産地のマーケットのPV

スイスってアルプスとチーズだけじゃない。

ブロンクスの人気キャロット・ケーキ専門店。

キャロット・ケーキの特徴は、クリームチーズがベースのアイシング。リチェッタに加わったのは1970年のこと。


とてもシンプルなケーキですが、調べれば調べるほど話が広がるインターナショナルで歴史のあるなケーキなのでした。

今日はちょっとおまけの番外編の日。(CIR4月号)はもうすぐ販売予定です。

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2024年7月22日月曜日

“ミラノ・ア・クービ”は、“ゾウの耳”に対するマルケージのかなり明確な意見表明。

現代イタリア料理の革命児、グアルティエロ・マルケージの料理を、“ラビオロ・アベルト”、“マグロのグーラッシュ”と見てきましたが、今日は肉料理、“ミラノ・ア・クービ”です。
ミラノを象徴する伝統料理を再解釈してオリジナルな感性を加えて超現代風にした1品です。
元になった料理はコストレッタ・ミラネーゼ。


マルケージ版。彼が尊重したミラノの伝統は、肉の厚さは骨と同じ、という点。この料理の主役は骨付きの部分。


ミラノ風コストレッタは、別名“ゾウの耳”。子牛肉を叩いて薄く広げ、ゾウの耳やうちわのようにのように巨大にした料理。これは子牛肉の庶民版アレンジ。高級な子牛肉を叩いて紙のように延ばすことは、アルタ・クチーナのシェフからは反感を抱かれていました。マルケージ版は、子牛肉を分厚いまま角切りにした、ぞうの耳に対するかなり強烈な反対意見を表示。


マルケージの代表作、最後は“ドリッピング・ディ・ペッシェ”。
アメリカ人のジャクソン・ポロックの絵画へのオマージュ。彼の芸術に対する深い思いが現れた料理。

ジャクソン・ポロック


彼が切り開いた時代を受け継いだ現代のシェフたちは、どんなイタリア料理を作っているのでしょうか。来月の(CIR)で取り上げているシェフは、そんな新世代のシェフの一人。とても興味深い料理を作っています。

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2024年7月20日土曜日

ハンガリーの羊飼いのシチュー、グーラッシュの、マルケージの新解釈は・・・。

マルケージが創り出したイタリア料理の革命的料理を紹介する『サーレ・エ・ペペ』誌の記事から。今日は“マグロのグーラッシュ”です。
この料理はハンガリーのグーラッシュを見ていて思いついたそうです。

マルケージのマグロのグーラッシュ。

ハンガリーのグーラッシュ。


この羊飼いの料理に、マルケージは牛肉ではなくマグロを使いました。調理方法は一種のブラザートです。さらに、葉玉ねぎなど各素材を別々に調理して、甲殻類と赤ワインのソースを敷いた皿に盛り付けました。さっと焼いたマグロにフライパンで焼いた葉玉ねぎをのせます。ごった煮の煮込み料理ではなく、各素材に素材を活かした調理方法を用い、比類のないソースをかけた1品。

羊飼いの煮込み料理をさっと焼いたマグロや甲殻類のソースで再現するという発想は、ある意味、革命児のマルケージらしい発想なのかも。

赤ワインのソースは、赤ワイン750gと赤のポルト酒375gを沸騰させてアルコール分を飛ばし、エシャロット100gのジュリエンヌを加えて半分に煮詰める。ここに甲殻類のフォンド375gを加えて半分に煮詰めてソースにし、濾す。

最後は彼の代表作、リーゾ・オーロ・エ・ザッフェラーノ。ミラノの伝統料理、サフランのリゾットを、どんな素材の組み合わせでも、エレガントな料理にしてしまうという彼の芸術家的な感性が最大に発揮された料理ですが、(CIR)1月号によると、なんとレストランの顧客で金箔の生産者から、甥っ子を驚かせるために金箔を使った料理を作って欲しいと強引に依頼され、何も思いつかなかったのでサフランのリゾットにのせてみた、という偶然の産物だったことが暴露されています。その後数年間忘れ去られていたものが、写真家のリクエストで再現してメニューに載せることにして、大ヒットしたわけです。

リーゾ・オーロ・エ・ザッフェラーノ。

この料理によって、新しい料理人は食文化を知るだけでなく、食材も知っている人物、という考えが広まりました。つまりこの料理はイタリアの伝統を個人の感性でデザインしたものとして一世を風靡したのでした。

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2024年7月19日金曜日

伝統的な詰め物入りパスタを一新したマルケージのラビオロ・アペルトのリチェッタ

『サーレ・エ・ぺぺ』

はイタリアの人気料理月刊誌。読者層は若者で、軽快でモダンな料理を、若々しい感性で伝えています。カジュアルですが、記事の内容はなかなか専門的。2022年3月号の記事、《パスタ・リッシャかリガータか》は、伝統的なパスタと、現代のパスタの状況や最先端を知ることができるとても興味深いものでした。
3月号の特集記事《グアルティエロ・マルケージ》は、歴史的なイタリア料理界の巨匠が生み出した伝説的な料理が、どうやって生まれたかとか、そのリチェッタも紹介すると言う、かなり野心的なものでした。
今日は、その記事から彼の代表作の一つ、“ラビオロ・アベルト”のリチェッタを訳してみます。
“raviolo aperto”
材料/4人分
小さく切ったシタビラメと帆立て貝・・600g
バター・・120g
しょうが・・120g
白ワイン・・100ml
塩、白こしょう
《パスタ・ベルデ》
0番の小麦粉・・180g
ほうれん草・・80g
卵・・1個
オリーブオイル・・大さじ1/2、塩
《卵入りパスタ》
0番の小麦粉・・100g
卵・・1個
イタリアンパセリの葉・・大4枚
オリーブオイル・・大さじ1/2、塩

《パスタ・ベルデ》を作る。
・ほうれん草を塩ゆでして刻み、裏漉しする。
・小麦粉をフォンタナに盛り、中央に卵を割り入れ、ほうれん草、オイル、塩一つまみを加えてこねて均質の生地にする。布巾で覆って最低2時間休ませる。
・同様にして卵入りパスタを作り、パスタマシンで厚さ3㎜に伸ばして5㎝角の正方形に切る。
・卵入りパスタ4枚の中央にイタリアンパセリの葉を広げて置き、残りのパスタで覆う。これをパスタマシンで最初は1方向、次に逆向きに伸ばし、厚さ1㎜にする。葉が中央に来るように10㎝角の正方形に切る。パスタ・ベルデもパスタマシンで厚さ1㎜に伸ばして10㎝角に切る。
・しょうがは皮をむいてすりおろし、汁を絞って濾す。
・シタビラメと帆立て貝をバター20gで鍋でさっと炒め、塩、こしょうし、ワインをかけててアルコール分を飛ばして取り出す。
・焼き汁を半分に煮詰めてしょうがの汁を加える。冷えた残りのバターを加えてホイップしてソースにする。鍋の魚に加えてなじませる。
・パスタを塩ゆでする。
・皿にソース大さじ1を敷き、その上にパスタ・ベルデを1枚置く。その上に魚、ソース、卵入りパスタの順で重ねる。

ダビデ・オルダーニのラビオロ・アベルト。

マルケージが作り上げたのは伝統の詰め物パスタを一新する新しい詰め物パスタ。
伝統的詰め物パスタ



詰め物入りパスタ(パスタ・リピエーナ)のバリエーションは閉じ方によって生まれましたが、閉じない詰め物入りパスタを作るには、まず何より、古い考え方を放棄する必要があります。イタリア人にとっては革命的なパスタでした。

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