今月の(CIR)のグルメガイドは、マルケ州ペーザロ・ウルビーノ県の海辺の町、ファーノfanoです。
ファーノ↓
国際的でゴージャスなビーチリゾートが多いイタリアでは、マルケの沿岸はとても庶民的な親しみやすい雰囲気。
そして港町の例にもれず、ファーノの名物はブロデットこと、ズッパ・ディ・ペッシェです。
現在のファーノ風ブロデットには、伝統的なリチェッタと、海岸通りの若手が作るモダンなバージョンの2タイプがあるようです。下の動画は伝統的なリチェッタ。
ズッパ・ディ・ペッシェは、漁師が売れ残ったり、小さすぎて売り物にならない魚を大鍋で煮たシンプルで質素な料理ですが、高級魚やハーブが加わってグルメな料理になりました。イタリア沿岸部ならどこでも作られています。
北東部ではウナギが入り、リグーリアではバッカラ、中央イタリアではタコやイカ、南部では一種類の魚のズッパが多い。
さらに、アドリア海沿岸ではブロデットbrodetto、南部ではズッパzuppa、トスカーナのリボルノとその北のではカッチュッコcacciucco、リグーリアではブリッダbriddaやチュッピンciuppinと呼ぶ。
ブロデット・ファネーゼのリチェッタの日本語訳は(CIR4月号)P.29にあります。
ファーノの漁船で生まれた飲み物、モレッタmoretta。一説によると、寒い冬に漁師が体を温めるために飲んだアルコール入り(アニス、ラム種、ブランデー、コニャック)コーヒーがルーツとか。冬だけでなく、夏にビーチにやってくる観光客にも人気だそうです。
ファーノのモレッタ。
ところで、ズッパというのは語源がドイツ語だそうです。
その意味は、スライスして濡らしたパンだとか。
zuppa はロンバルド語のsupfaやフランス語のsopeとなりましたが、汁に浸したパンがつきものなんだそうです。煮汁にパンを浸すという文化がなかった私たちのズッパは、一説にはボリュームたっぷりのラーメンへと進化したそうです。ラーメンは汁ものの中では異色のボリューミーな料理。明らかに、外国のスープとは別の進化を遂げました。
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