ゆでる以外の方法で加熱するパスタを見てきましたが、ゆでる以外の最もシンプルな方法、“揚げる”、が今日のお題です。
イタリアのパスタで、揚げると言えば、その代表は、というかこの料理以外知りませんが、プーリアのチチェリ・エ・トリアciceri e triaです。
記事の日本語訳は、(CIR)2月号P.27にあります。
チチェリはチェーチ(ひよこ豆)のこと。トリアはアラブから伝わったパスタの原型と考えられている幅広の平たいパスタのこと。
チチェリ・エ・トリアciceri e tria
材料/4〜6人分
乾燥ひよこ豆・・200g
水・・1㍑
重曹・・小さじ1/2
セロリ・・1本、ローリエ・・1枚、にんにく・・1かけ
セモリナ粉・・250g
・豆を水と重曹で一晩戻す。
・水気を切って鋳鉄の鍋に入れ、熱湯で覆ってゆでる。最初は蓋をせずにアクを取りながらゆでる。
・香味野菜を加え、蓋をして弱火で2時間ゆでる。半ばで湯を加え、最後に塩を加える。
・豆をゆでている間にパスタを作る。
・セモリナ粉とぬるま湯を5〜10分こねてなめらかな生地にし、ボールをかぶせて30分休ませる。
・打ち粉をして麺棒で厚さ2mmに伸ばし、生地を巻いて幅1〜2cmに切る。
・広げて長さ10〜15cmに切る。
・豆から香味野菜を取り除いて1/3を別にする。フォークで潰して鍋に戻す。
・パスタの1/3を油で揚げる。パスタの切れ端を油に入れてすぐに浮かび上がる温度が適温。
・残りのパスタは塩を加えた湯で2分ゆでる。
・豆の鍋にゆでた麺と揚げた麺を加えて混ぜる。
・皿に盛り付けて揚げた麺を添え、塩少々とこしょう、油をかけてサーブする。
パスタを揚げるという調理方法は、『パスタ・エ・スーゴ』
によると、中国から伝わり、前衛的なシェフが駆使するテクニックで、現在では、カリッとした歯ごたえを楽しむ方法の一つとなっています。主にスパゲッティに用いられています。
によると、中国から伝わり、前衛的なシェフが駆使するテクニックで、現在では、カリッとした歯ごたえを楽しむ方法の一つとなっています。主にスパゲッティに用いられています。
パスタを揚げるとデンプンに“メイラード”反応が起きます。
さらに、水分が飛ぶので、スープに入れるとスープを良く吸います。
油を使うのでボリューミーという特徴もあります。
イタリアではまったく広まらなかった手法ですが、何故かプーリアのサレント地方では、“チチェリ・エ・トリア”として広まり、宗教儀式にも取り込まれて名物料理になりました。
サン・ジュゼッペという貧しい職人や庶民の守護聖人で、キリストの養父で父性のシンボルとされている聖人の日3月19日に食べます。
かなりの重要人物なので、キリスト教国では大切な祝日で、すぐあとにある春分の日3月21日や父の日と結びついて、南イタリアでは大切な儀式として受け継がれてきました。
この日は貧しい人を村中でもてなす日。
動物性脂肪のない大量のマーグロな料理が13品用意されます。
ランパッショーネのビネガー風味やバッカラ、チチェリ・エ・トリアが並ぶディナーのテーブル。
料理は村中で作ります。
硬質小麦粉と水の生地のパスタって、大きなテーブルで姑さんたちに教わりながら造るのがピッタリのパスタですねー。
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