パスタのお題中ですが、今月(3月号)の(CIR)に、お題にピッタリの記事がありました。
“各地の定番パスタP.20”です。
地方料理の定番を紹介する連載記事です。
イタリアの地方料理の定番に選ばれたパスタ・フレスカは、
トロフィーエTrofie、マッロレッドゥスMalloreddus、オレッキエッテOrecchiette、ピッツォッケリPizzzoccheri、ブジアーテBusiateという、よく考えられたラインナップでした。
トロフィーエ、マッロレッドゥス、オレッキエッテは、いずれもニョッキの一種です。それぞれ、少量取った生地の塊(ニョッキ)を、潰しながらねじる、潰しながら筋をつける、潰しながらくぼませる、という加工をします。
先端が細いショートパスタ、トロフィーエは、成形という点ではとても特殊なパスタです。
生地を厚さ○mmに伸ばして幅○mmに切る、といった万人に伝わるような客観的な製法がなく、見て覚えるしかないこのパスタは、発祥地と考えられているレッコReccoを中心に、リグーリアのリビエラ・レバンテ地方の主婦の技として受け継がれてきました。地元の人に教わらないと再現できない貴重なパスタです。
トロフィーエ
すべてのパスタの形は美味しく食べるためのもの。
リグーリアの人は、このパスタにペースト、じゃがいも、さやいんげんのソースを組み合わせました。
それは、奇跡的な相性の良さでした。そしてトロフィエと一緒に地元の外へ広まっていき、イタリアの地方料理の定番パスタと呼ばれるまでになり、トロフィエの乾麺も登場して、内外に広まりました。
リチェッタは今月の(CIR-P.20)にありますが、一応、上の動画のレッコのリストランテ(昔ながらの伝統料理を出す家族経営の老舗)、オ・ビットリオ ristorante da O' Vittorio (webページ)のものも訳してみます。
ペーストのトロフィーエTrofie al pesto
材料/
《トロフィエ》
00番の小麦粉・・500g
ぬるま湯・・200ml
セモリナ粉
《ペースト》
葉の小さいタイプのプラのバジリコ・・160g
ピザの松の実・・70g
EVオリーブオイル・・70ml
グラナかパルミジャーノ・・80g
ペコリーノ・サルド・・50g
にんにく・・1かけ
《トロフィエ》
・小麦粉をフォンタナに盛り、ぬるま湯を加えてこねる。
塩、卵、油は加えない。締まった生地になったら布巾で覆って30分休ませる。
・麺台に包丁で切り込みを数本入れる。生地を左手で少量取り、作業の間、乾かないようにずっと握っておく。
・右手で生地を少量つまみ取って台に置き、手のひらの指の付け根で転がしながら細く伸ばす。
片方の端を小指の側から出し、斜め45度下に向かって潰しながらねじる。
・トロフィエという名前の由来は諸説あるが、トロフィーではなく、ジェノバでは、こするという意味のストロフィナーレstrofinareが語源、という説が信じられている。
・レッコには親指の側でねじるというマニアックな技もある。
《ペースト》
・にんにくと松の実、粗塩少々をミキサーに入れて熱を持たないように数回に分けて撹拌する。バジリコ(熱を持たないように冷凍しておいてもよい。プラのバジリコがない時は下ゆでしてミント風味を飛ばしておく)とオリーブオイルを加えてミキサーをゆすりながら撹拌する。バジリコに熱が入りすぎるとペーストが黒ずむ。グラナ、パルミジャーノ、ペコリーノを加えてさっと混ぜる。
・じゃがいもは皮をむいて厚めにスライスし、塩ゆでする。2分ゆでたらトロフィエと下ゆでしたさやいんげんを加え、3分ゆでて水気を切る。
・ゆで汁少々で伸ばしたペーストであえてバジリコで飾ってサーブする。
作るのがとてもむずかしいパスタなので、乾麺が登場するまで広まらなかったというのは納得です。
逆に手作りできる人は才能に恵まれたラッキーな人、ということができるかも。
次回はオレッキエッテです。
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