シチリア人が大好きなシチリア料理、カポナータとパルミジャーナ。
どちらもなす料理というわけで、同じ地中海のナス料理を見てみました。
有名なのは、ギリシャのムサカあたり。
トルコ、レバノンと見てきて、カポナータのある特徴に気が付きました。
カポナータは肉が入らない、ベジタリアン料理なのです。
さらに、ビネガーと砂糖で甘酸っぱい味付けにしているのもカポナータだけ。
カポナータは、地中海料理の中でもかなりシチリア色が濃い、特殊な料理なのでした。
ちなみに甘酸っぱい味付けを伝えたのはアラブ人。
かなりバリエーションが豊富な料理で、家庭料理から高級レストランのシェフの洗練された1品まで、どんな料理にも姿を変えます。
パレルモ風カポナータ↓
今日は、イタリアの注目の新世代シェフ、ダビデ・オルダーニシェフのモダンイタリア地方料理書の力作、『
メイド・イン・イタリー』
のリチェッタをどうぞ。
カポナータcaponata
材料/4人分
ケッパー・・大さじ1
なす・・4本
セロリ・・1本、塩
《ソース》
房付きトマト・・500g
種抜きグリーンオリーブ・・100g
砂糖・・大さじ4
EVオリーブオイル・・大さじ3
ビネガー・・大さじ4
・なすを小角切りにしてザルに入れ、塩をして30分アクを出す。ケッパーを流水にさらして塩抜きする。セロリを小さく切る。
・鍋に油を熱してなすを炒める。オリーブ、ケッパー、セロリを加えて10分炒める。薄く切ったトマトを加えて1時間煮る。仕上げに砂糖とビネガーを加える。
・よく混ぜて粗熱を取り、すぐにサーブする。またはガラスの密閉容器に入れ、煮沸殺菌して保存する。
さて、シチリアには、まだ興味深いなす料理がありますよ。
その一つが、“ベッカフィーコ”です。
なかなかインパクトのある“ベッカフィーコ”という名前。
シチリア料理を学ぶと必ず出会う有名なシチリア料理でもあります。
元祖は、“イワシのベッカフィーコという魚料理です。
なすのベッカフィーコMelanzane a beccafico↓
材料
なす・・2本
玉ねぎ
レーズン、松の実
イタリアンパセリ、ミント
パン粉、ほぐしたパン、パルミジャーノ
・なすを輪切りにして塩ゆでする。
・崩れない程度に柔らかくなったら取り出す。
・玉ねぎを油でソッフリットにし、レーズンと松の実、パン粉とほぐしたパン、イタリアンパセリ、ミント(好みで)、おろしたパルミジャーノを加える(詰め物)。
・オーブン皿にシートを敷く。なすの輪切りに詰め物を少量のせてインボルティーニにし、玉ねぎ1枚を間に挟んでオーブン皿に並べる。パン粉と詰め物を散らして油をかけ、180℃のオーブンで20分焼く。
イワシのベッカフィーコに似ているというのでこう呼ばれていましたが、正確には、イワシのベッカフィーコという料理はベッカフィーコという鳥の料理に似ているので、こう呼ばれてました。
整理すると、なすのベッカフィーコはイワシのベッカフィーコによく似た野鳥料理によく似たなすの料理です。
カポナータがapponeという魚の貴族料理で、庶民は高価な魚の代わりになすで代用した、という由来がありましたが、この料理も同じような経緯があります。
そもそも、ベッカフィーコは学名Sylviidaeというスズメ目の鳥の一種、ダルマエナガ科の鳥で、ウグイスやメジロなどの一種だそうで、日本でも梅の季節にはおなじみの可愛い鳥かも。
かつてのシチリアでは貴族の猟の獲物でした。
ベッカフィーコ↓
イワシのベッカフィーコ↓
なすのベッカフィーコは薄くスライスしたなすのインボルティーニ。地中海のなすの詰め物料理は中身をくり抜いて、そこに具を詰めることが多いのだけど、薄切りなすに具を挟むというのは意外と珍しい。 ここにもシチリア人の独創性が現れている。
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