2021年8月31日火曜日

ポー河デルタ地帯は牡蠣だけじゃなくて鴨も捕れる。

さて、今月の(CIR)(料理雑誌の日本語解説CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)に話は戻ります。
横道にそれましたが、今月は11・12月号のリチェッタということで、クリスマスなど年末年始のちょっとゴージャスなイタリア料理が登場します。
最初は牡蠣でした。
次の料理は鴨の胸肉のサラダです(リチェッタはP.3)。

確かに、鴨の胸肉は庶民は普段はあまり食べないなあ。
でも大丈夫。今回はスモークを使います。
ガンベロ・ロッソと鴨の胸肉のスモーク↓

今月のリチェッタは、鴨の胸肉のスモークのサラダにみかんのヴィネグレットをかけて、新年らしく、縁起物のザクロの粒を散らした1品。
チコリとエンダイブのサラダに、みかんのオレンジ色やザクロの赤い色がよく生えます。

鴨だけでなく、ジビエ全般には全くなじみがないのですが、イタリア料理界でジビエのスペシャリストといえば、イグレス・コレッリシェフ。彼の本、『カッチャジョーネ

は初心者にも丁寧な解説付き。
イグレス・コレッリシェフの最初の店、アートマン↓



ジビエの話は、まず地形の話から入ります。
鴨がいるのはどんな地形の場所でしょう。
今どきの都会っ子は、皇居のお堀にいるものと思ってるかも(www)。

イタリアでジビエの鴨のメッカと言えば、牡蠣の養殖が行われている場所としてつい先日紹介したのと同じ場所。
ポー河デルタ地帯(delta del Po)です。↓


サギや鴨など水辺の鳥の楽園のようなこの風景も、かつては病気の温床でうらぶれた地方でした。20世紀になると開発が進み、広大な地方が農地に変わっていき、水辺はどんどん減っていきました。今は保護をして環境を守っています。

夏は暑くて冬は寒く、蚊が多いこの地方は、人間には敬遠されても、水鳥や牡蠣には適していました。
デルタ・デル・ポーの生き物↓

デルタ・デル・ポーの養殖牡蠣、オストリカ・ローザ↓

ザクロは縁起物として新年には欠かせない食べ物。詳しくは来月の1月号で取り上げます。

2021年8月30日月曜日

シーフードパスタにお勧めのボンバルドーニは、ユーフォニアムという名前の管楽器のことだった。

きのうのプーリアのシェフのパスタ、さりげなくて見逃してしまうところでしたが、後で思い返してみれば、あれは貴重なシーフードパスタのリチェッタでした。

イタリアにはシーフードパスタを作るシェフは山のようにいると思いがちですが、有名なものはアマルフィのシェフが考案したパスタ・フレスカのシャラテッリぐらい。


乾麺のパスタの料理として本にリチェッタを残す人はあまりいないんです。

シェフがシーフードに合うパスタとして指定したのはボンバルドーニというパスタ。
初めて聞いたパスタです。
唯一の手がかりが、下の動画。
どうやらグラニャーノのショートパスタだということはわかりました。

さらに、ボンバルドーニとは管楽器のこと、ということもわかりました。
日本語ではボンバルドンとか、ユーフォニアムという楽器のようです。


ブラスバンドの経験者ならよく知っている楽器だと思うのですが、残念ながら、そちらの方の知識は皆無。こちらのページによると、結婚式に登場して音楽を奏でる村の楽団でおなじみのこの楽器に形が似ているというので名前がついたそうです。カンパーニアやカラブリアなど南イタリアに普及している形で、グラニャーノのパスタでは定番の1つ。
味が強くて直径の大きなパスタで、くっきりした筋があり、日曜日のご馳走のような味の強いパスタによく合います。これはまさにアルティジャナーレのグラニャーノのパスタの特徴そのものですね。
グラニャーノのパスタは小麦の風味が強いパスタで、量産タイプのようにもりもりむしゃむしゃ食べるタイプのパスタではありません。値段の高さもグラニャーノのパスタと他のパスタをはっきり分けています。
デ・チェッコはアルティジャナーレな製法を取り入れてお手頃価格の量産型パスタを作る貴重なメーカー。
バンボルドーニも作っています。

イル・ポエータ・コンタディーノのレオナルド・マルコシェフのシーフードのボンバルドーニのリチェッタは、
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2021年8月29日日曜日

今日はプーリアのグランシェフをご紹介。
まずはデチェコの本、パスタ・ヴィアッジョ・イン・イタリア
で、プーリアを代表するシェフとして料理を披露しているイル・ポエタ・コンタディーノIl Poeta Contadinoのレオナルド・マルコシェフ。
店はアルベロベッロにあります↓webページはこちら

本の中でシェフは、プーリアの料理のベースになっているのは、穀物、オリーブオイル、野菜だと語っています。中でも小麦から作られるプーリアのパンやパスタはプーリアの食卓には欠かせないものです。小麦は肉の代わりにもなります。
地元の野菜や貝のソースを組み合わせる地元ムルジェ地方生まれのパスタは、地元パスタの象徴、オレッキエッティ。

彼の店はマルケージが作ったトップレストランのグループ、レ・ソステのメンバー。プーリアのアルタ・クチーナのリーダーでもあります。

石を積み重ねた家が立ち並ぶ小さな内陸の集落のアルベロベッロは、素朴な村ですが、世界中に知られる観光地で、舌の肥えた客が世界中からやってきます。
シェフは、親から受け継いだ古い馬小屋を暖炉のあるレストランに改装して、オリジナリティを加えたプーリアの伝統料理を出すレストランにしました。
ワインは豊富に揃えました。

アルベロベッロ↓



本のリチェッタは、いんげん豆のクリーム、シーフード、黒ひよこ豆のパスタCrema di fagioli con bombardoni ai frutti di mare e cece neri。
写真はこちらのデチェッコのページにあります。
材料/6人分
 ボンバルドーニ(太いペンネ・リガーテタイプのパスタ)・・200g
 いんげん豆(ボルロッティ)・・50g
 黒ひよこ豆・・50g
 ピエンノロタイプの吊るしたミニトマト(吊るしトマト)・・150g
 ヤリイカ・・100g
 ムール貝・・100g
 ファゾラーリ(ハマグリに似た二枚貝)・・100g
 アサリ・・100g
 スカンピ・・200g(一人1尾)
 EVオリーブオイル・・100ml
 白ワイン・・100ml
 にんにく・・2かけ
 ローリエ・・2枚
 フィノッキエット・セルバティコ
 葉玉ねぎ・・1本
 セロリ・・1本
 にんじん・・1本
 イタリアンパセリ
 塩、こしょう

・いんげん豆をセロリ、にんじん、葉玉ねぎ、ローリエ、塩と一緒にゆでる。黒ひよこ豆をセロリ、にんじん、葉玉ねぎ、ローリエ、塩と一緒に一晩水で戻してゆでる。
・皮つきにんにくを油でソッフリットにし、にんにくを取り除いて貝、小さく切ったイカ、スカンピを加える。蓋をして数分熱し、ワインをかけてアルコール分を飛ばす。
手で潰したミニトマトとフィノッキエット、こしょうを加える。
・パスタをアルデンテにゆでてソースであえる。
・いんげん豆を裏漉ししてクリームにし、皿に敷く。
・その上にシーフードとパスタを盛り付けて黒ひよこ豆で飾る。油を回しかけて揚げたイタリアンパセリを散らす。

    プーリアの伝統的トマトの冬用保存方法、つるしトマトpomodori appesi↓

グラニャーノのボンバルドーニ↓




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2021年8月28日土曜日

サレント地方(プーリア)の海辺で生のシーフードを出す店が増殖中。

フランスの牡蠣に押されているイタリアの牡蠣料理にはどんなものがあるのか探してみました。
イタリア食材の入門書、『1001スペチャリタ・デッラ・クチーナ・イタリアーナ
にはこんなことが書いてありました。

プーリアのサレントではいつも牡蠣の話をしている。一生に一度はここの牡蠣(ostriche rosse)を食べてみるべきだ。
貴重で高価で、最高級のレストランでしか出していないが、内側がピンク色のロゼ牡蠣(ostrichde rosate)で外側はトゲトゲしていて赤いスポンジで覆われたような殻。
香りが強く、ヨウ素の風味があり、マルティーナ・フランカのようなスプマンテがよく合う。

要は、イタリアで最高の牡蠣を食べたかったら、サレントの一流レストランに行くべし、ということのよう。
でも、元々最も高価な貝の牡蠣を一流店で食べるとしたら、いくらかかるんでしょうか。
プーリアには、お手軽価格で牡蠣を出す店がたくさんあるみたいです。
サレントで生牡蠣を食べている動画もあるのですが、こちらはヴィエステ(プーリア北部のバーリの北にある海辺の街)で生牡蠣↓

ポリニャーノ(バーリの東のプーリアの海沿いの街)にも同名の店(pescheria)があるので、チェーン店かな。プーリアの海辺にはすごい数の店がありました。
プーリアは小麦もオリーブオイルもパンも魚も美味しい地方。
日本に行かなくても、ポリニャーノでも美味しい刺身が食べられる、とお勧めしてます。
生牡蠣を食べた反応が強烈すぎる。↓

イタリアのもう一つのブランド牡蠣、スカルドバリで養殖されているオストリカ・ローザ↓


次は牡蠣料理を出しているかも知れないプーリアの一流店ですが、プーリアの高級レストランて、全然知らないので、マルケージのトップレストランのグループ、“レ・ソステ・グループの本グランディ・リストランティ・グランディ・シェフ

とデ・チェッコがイタリア各州のトップシェフのパスタ料理を紹介する本、パスタ・ヴィアッジョ・イン・イタリア 

で、プーリア代表として紹介されているシェフを紹介します。

2021年8月27日金曜日

パリの一流の牡蠣のデグスタツィオーネを始めたローマのロッショーリ。美食の道を極めてます。

日本語解説CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレの2019年11・12月号の定期購読分発送しました。
今月は年末号です。
そのせいか量が想定以上に多くなって、webに上げるとレイアウトが崩れるトラブルが発生し、せっかく訳したのを削るのももったいなくて、ご不便をおかけしております。紙版は大丈夫です。
次号はからはちょうど1月号ときりもいので、これに懲りて1号ずつ訳すことにしました。
さて、今月のリチェッタの1品めは、牡蠣です。
ちょっと豪華なクリスマスのデイナーの1品に選ばれやすい食材ですが、牡蠣をおしゃれなイタリアンの1品にするなら、どうしますか?

牡蠣にシャンパンを添えるのは鉄板のゴージャスな組み合わせですが、下の動画でやってた牡蠣をウオッカの入ったショットグラスに沈めるなんてのはノンベエならではのゴージャスな酔っ払い方。


以前、リチェッタを訳してとても印象に残ったのが、牡蠣とブラッデーマリーの組み合わせ、ブラッディーマリー・オイスターです。

ウオッカに沈めるのと比べて、開いて皿に並べた牡蠣にブラッディマリーのソースをかけるのは、かなりお上品。
でも、今月のCIRのリチェッタは、もっとお上品ですよ。粗塩の上に盛り付けた牡蠣にジンをかけ、殻に入った牡蠣の横に青りんごのソルベットを添えるのです。(リチェッタはP.1)



ベネトのポー河デルタ地帯は牡蠣の養殖で知られています↓

中でもゴーロ(フェラーラ)の金の牡蠣は有名。


ヨーロッパではフランス産(70%)やアイルランド産(20%)の牡蠣が有名。
イタリア産の占める割合は10%。


一流の食材に常に網を張って、確かな目で選別しているローマのロッショーリ。
彼らが選んだのはフランスの牡蠣の養殖業者、David Hervéダヴィッド・エルヴェの牡蠣。↓
 

カルボナーラで有名になった『ロッショーリ』は、もともとパン屋さんだった。でも、その一流の食材を見抜く目の確かさはほんとにすごい。ローマでフランスの美味しい牡蠣を出してるんです。


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2021年8月26日木曜日

トマト農家のトマトのパッサータ作り

きのうはカルロ・クラッコシェフの市場でのトマトの意外な買い方を知りましたが、トマトの産地、カンパーニアのシェフのことも知りたくなり、ベスビオ山の麓で畑を耕しながら地元の食材を活かした料理を作るシェフ、ピエトロ・パリージの自伝的本、『ピエトロ・パリージ』

クオーコ・コンタディーノを読んでみました。

ピエトロ・パリージシェフ、レストラン・エーラ・オーラのwebページ


「18歳でイタリアを出て、フランス、スイス、コペンハーゲン、ドバイ、ギリシャ、イギリスを巡りました。お金を稼ぎたかったのではなく、イタリアの周囲の国にはどんな食文化があるのか知りたかったのです。帰国して、かつての輝きを失いつつある地元の料理に興味を持ち、再び光を当てたい、と考えるようになりました。私の故郷カンパーニアはローマの南では最大の農作物の産地で、ナポリの市民にとっても重要な農作物の産地です。若い農家の間では、不況の時代を超えて、改革や先人たちの業績の再評価の機運も高まっていました。

今はこの地方のパンとトマトはトレンディーな産物ですが、以前はすべて食べるために作っていました。そこで先祖から受け継いだ農業というルーツを見直し、農民として料理を作ることを考えたのです」
自らのことをこう語っています。

カンパーニアの農家の暮らしにどっぷり浸って、自らを農民料理人と呼ぶ人です。ミラノの世界的な高級店のカリスマシェフとは違った考えがあるはず。
フリアリエッリやモッツァレラなど地元の特産品を、生産者と料理人両方の目線で紹介する、という個性的な本、トマトについてはどんなことが書かれているのでしょう。
なにしろ農家の専門用語とカンパーニアの方言がたっぷり使われているので、なんとか解読しながらのんびり読み進んでいます。夏から秋に移り変わる季節の章を読んでみます。

LA BUATTA
南イタリアの農家では、2つのことが欠かせない。“buatt”と“pummarole”を作ることだ。これは冬のための保存食を作る2つのシンボル的儀式だ。まるで昨日のことのように覚えている。おばあちゃんはトマトに取り掛かる前にまず十字を切って、今年もこの日がやってきたことを神様に感謝する。トマトは夜明け前に採って地面で2日間乾燥させておく。子供の仕事はバジリコを摘んで洗うこと。これはきれいに洗った瓶にトマトと一緒に入れる。
大きなたらいに入ったトマトは熱湯に入れてゆでる。これをたいていが手作りの機械を通して濾す。
これをビンに入れる作業が最も難しい。主婦の腕はこの過程で分かる。
ビンに入れる量が多いほど腕が良いとされる。最後はじゃがいもの麻袋で覆い、煮沸殺菌する。じゃがいもに火が通ればビン詰めが出来上がった合図。
私の家族は数年間ブアッタ作りをしないことがあったが、その間はいつも何かが欠けている気がした。なので今は必ず毎年作っている。そしておばあちゃんと一緒に朝食をとる時、パッサータにパンを浸すと、懐かしさで満たされる。

夜明け前の暗がりの中で始まるトマトのパッサータ作り↓

当然だけど、カンパーニアの農家では、夏が終われば冬のための保存食作りに追われるんですね。
何度も語ってますが、トマトソースには、ナポリの夏のフレッシュトマトのソースと、冬のピエンノロやコンセルバのトマトソース、そしてナポリ以外の場所で作るホールトマトの缶詰のソースの3種類があります。
ピエンノロ・デル・ベスビオ↓
サン・マルツァーノのペラーティ↓
トマトの収穫↓


※(日本語解説CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)の11・12月号を発送しました。PDF版も追ってご案内します。

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2021年8月25日水曜日

パルミジャーノの主役はなすとトマト。この料理を冬に作るには・・・。

シチリア人が愛するシチリア料理、カポナータとパルミジャーナ。
最後はパルミジャーナです。
これもカルロ・クラッコシェフの本、『クールにしたいならエシャロットを使う

からリチェッタを訳してみます。なすのパルミジャーナはレベル1の料理です。
■なすのパルミジャーナparmigiana di melanzane

なすのパルミジャーナはとてもシンプルで美味しい料理で、これといって難しいものではないが、油が多すぎて重くなりがちな料理だ。さらに、なすの旬だけでなくトマトの旬の季節に作る。
どちらも夏の食材だが、冬のパルミジャーナは、じゃがいもとサボイキャベツなどで代用する。じゃがいもはピューレにしてトマトペーストの代わりにし、サボイキャベツはブラザーレしてなすの代わりにする。
この料理のポイントは、2つの食材の間にチーズと白肉のラグーをはさんでオーブン皿に重ねてグラティナーレし、スプーンを添えてサーブする。

材料/4人分
なす(私は皮をむいて使うのが好きだ)・・約400g
トマトのパッサータ・・350g
モッツァレラ・・200g
グラナ・・60g
バジリコ・・1束
EVオリーブオイル、揚げ油
塩、こしょう

・鍋に油少々とにんにくを熱し、バジリコの切り落としとパッサータを加える。15分煮て水気を飛ばし、塩。こしょうする。
・なすを厚さ0.5cmにスライスし(スライサーで均等の厚さに切る)、たっぷりの油できつね色に揚げる。シートに取って油を切る。
・モッツァレラを小角切りにし、グラナを粗めにおろす。この先は2つの方法がある。1つは伝統的なスタイル。トマトの軽いベースをオーブン皿に敷き、ナスとトマト、グラナ、モッッァレラを交互に重ねて焼き、切り分けてサーブする。
・2つめは、直径6〜8cmのケーキ型を更に置き、1人前ずつトマトのパッサータ、なす、チーズ、バジリコを直接詰める。トマトとチーズの間は離し、なす2枚(皮だけでもよい)の間に入れる。180℃のオーブンで25〜30分焼き、皿にあけてサーブする。この方法だと、リストランテ向きの1品になる。
※トマトのパッサータはサーブする2時間前に作る。バジリコの種に水を15〜20分吸わせて膨らませ、油と塩で調味する。これをパルミジャーナの周囲に散らしてもよい。
なすのパルミジャーナ↓

《スクオラ・ディ・クチーナ》レッスン5
トマトのパッサータla passata di pomodoro
作り方はただた1つ。一日の終りに屋台が店を閉めるころ市場に行き、最後に残ったトマト1箱の値段を交渉する。熟しやすい野菜なので、客は少し早めのものを欲しがるが、最後のトマトは完熟している。トマトのパッサータには完熟した、限界まで熟したトマトを使う。
最適のトマトが手に入ったら洗って4つに切り、好みで皮を取る。皮つきでも裏漉しする時皮がとれる。油少々を引いた鍋に入れ、水分を出すために粗塩少々を加えて水気を拭き取る。火にかけてゆっくり煮る。裏濾しして保存瓶に入れ、煮沸殺菌する。


レッスン5はトマトの値引き交渉のタイミングでした。
前回はなすを切るときの注意事項だったし・・・。
ほんとにクラッコ師匠は、若手に教えたいことをあけすけに率直に本にすべて書いている人です。
トマトのパッサータ↓

(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)2019年11・12月号発売しました。

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2021年8月24日火曜日

クラッコシェフがなすを切る時注意するようにとわざわざ本に書いている、ということは、昔、なすで指切ったな(www)。

なすの話、北も南も見たので、次はシェフの本から。
イタリア地方料理の本をたくさん書いている、カルロ・クラッコシェフ。
著書もたくさんありますが、今日は、「クールにしたいならエシャロットを使う。
なにやら意味不明なタイトルで、なんの本か、最初は全然わかりませんでした。
読み込んでいるとだんだんわかってきます。結局、若者のためのイタリア地方料理の入門書だったのでした。
内容はレベル1から3まであって、レベル1の“なすのミント風味”という章の“スクオラ・ディ・クチーナ”レッスンNo.3に、なすの使い方について書かれています。
それでは訳してみます。
なすのミント風味melanzane alla menta
「なすはズッキーニの花のように私にとっては太陽と夏を象徴する野菜だ。
どこかりんごのようで、なすもりんごもドルチェにもサラータにもなる。唯一の違いはなすは生では食べられないこと。」

材料/4人分
なす(長くて太すぎないタイプ)・300gが2本
ミント・・2枝
にんにく・・1かけ
EVオリーブオイル、粗塩、こしょう

・なすの新鮮さは実が締まっていることで分かる。味の強い皮が好きでないなら、完全に取り除いてもよい。
・なすは縦に半分に切って(カーブしているので包丁の扱いには気をつける)、実の中央にひし形の切り込みを入れる。塩、軽く潰した皮付きにんにく、油で調味し、小さな穴を開けたアルミ箔で覆って160℃のオーブンで約1時間焼く。
・実をくり抜く(火が通って美味しくなっている)。皮は容器として取っておく。
・実を包丁で刻む、またはミキサーにかけて皮に戻す。
・ミントは大きな葉を選んでジュリエンヌに切り、なすにのせる。
・なすの周囲にはミントの穂先を散らす。好みでなすの上ににんにく、塩少々、油を加える。

“スクオラ・ディ・クチーナ”レッスン3(なすの使い方)
紫色で小型のなすや、丸くて皮が黒いもの、長くてカーブした紫色のものなど、白いものなど、なすには少なくとも6、7品種が出回っており、昔は長いタイプのものをグラティナーレすることが多かった(現在は減っている)。半分に切って実に切り込みを入れ、パン粉、チーズ、オイル、にんにくで覆ってオーブンで30分グラティナーレすると完成。もっと大きいなすはカポナータcaponataかフンゲットfunghettoが適している。
紫色の丸いなすは薄い輪切りにして鉄板で焼き、トマトの輪切り1枚、生ハム1枚、チーズ1枚をのせてオーブンで焼くと美味しい。
小さな物は沸騰した酢水で3分下ゆでして色止めしてオイル漬けにしすると冬中食べることができる。

なすはジョーカーのような万能選手で様々な料理に使うことができるが、ルールが1つだけある。大きく膨らんだなすは水分が多いので、味が弱い。このタイプのなすは余分な水気を抜いてから使う。新鮮で質のよいなすは小型で種がない。

クラッコシェフは、昔から若手の先生のような人ですが、それてにしも、手取り足取り、詳しく解説しています。
なすがカーブしているから気をつけて、なんてアドバイスは、かつて滑って指でも切ったことがあるのではと想像してしまいます。
クラッコシェフがなすを切る。↓
それにしても、若手料理人のアニキのような性格で豊富な知識を惜しみなく次世代に伝えています。
本からの翻訳、明日に続きます。

2021年8月22日日曜日

ベネチアのなすは想像してたなすと全然違った・・・。ペルリーナなすMelanzane Perline 。

シチリアのナス料理から、地中海のなす料理の傾向が見えてきたところで、今度は北に目をやってみました。なす料理で溢れていた南伊と違って、北伊にはなす料理が全然見当たりません。唯一、伝統料理の中になす料理があったのがベネチアです。
そう言えば、ベネチアはギリシャ産オリーブオイルを大量に輸入するなど、中東とつながっていましたね。
グイド・トンマージの地方料理シリーズの『ベネチア

には、かなり変わったなすの写真が載っています。
さんざん見慣れた南の丸なすとは全く違って、細くて小さな、ベビーと呼ぶのがぴったりなミニなすです。ベネチアの潟地方で栽培されています。

ペルリーナなすのソテー↓
にんにく、唐辛子、オレガノ風味。
こんなに細いと地中海の定番なす料理の詰め物入りにするのはムリ。
でもトマトソースに入れてパスタのソースにするのには向いてる。

なぜなすのソースのパスタがノルマ風以外あまり知られていないのか不思議でしたが、それはなすの形に関係していたのですね。大きな丸なすが主流のシチリアでは、薄切りなすのノルマ風が一番作りやすかったのか・・・。

本には小指のように小さななすの写真が載っています。
本に載っているこのなすのソテーのリチェッタは・・・。
材料/4人分
長くて細いなす・・800g
にんにく・・1かけ
EVオリーブオイル・・大さじ6、塩

・なすを洗ってへたを取り除く。
・皮をやや残してピーラーでむく。縦に半分に切ってさらに縦に3つのくし切りにする。
・布巾にのせて水気を切りながら塩をして最低1〜2時間アクを出す。
・シートで水気を拭き取り、にんにく(後で取り除く)を熱した油で弱火で炒める。
・イタリアンパセリのみじん切りを散らしてサーブする。

地中海地方ではこのなすのソテーにごまを散らしてメロンに添える。
なすをメロンに添える発想はなかったなあ。
アメリカのニューヨークの北にあるなすのプランテーション



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2021年8月21日土曜日

コトレッタ、リピエーナ、ティンバッロなど、シチリアのナス料理はまだまだある・・・。

シチリアのなす料理、きのう取り上げたのはベッカフィーコbeccafico。
これは標準語に言い換えれば、情緒がなくなっちゃうけど“インボルティーニinvoltini”。
シチリアの個性的な出版社の、個性的なシチリア料理のシリーズ、“ブランカート・クチーナ・シチリアーナ”シリーズ(全4冊)の1つ、『シチリア・イン・ターボラ』と『ルスティケリーア』(ロスティッチェリーア)


には、数々のなす料理が収録されていますが、その1つがなすのインボルティーニです。
極端に言うと、お腹がぷっくりした小鳥によく似た小さなベッカティーコに比べて、もっと長くて春巻き形のシンプルな筒形の料理がインボルティーニ。
なすのインボルティーニInvoltini di melanzane。
材料/4人分
なす・・2本
パン粉・・200g
おろしたペコリーノ・・大さじ4
アンチョビ・・50g
トマトソース・・1カップ
オリーブオイル、塩、こしょう

・なすをスライスして塩水に30分さらし、油で揚げる。
・油を引いたフライパンでパン粉を炒め、ボールに移す。
・アンチョビを油少々で溶き、パン粉と混ぜる。ペコリーノの半量を加えてよく混ぜる。
・なすに詰め物をのせてインボルティーニに巻き、油を塗ったオーブン皿に並べる。トマトソースをかけて残りのチーズを散らし、200℃のオーブンで10分焼く。



シチリア・イン・ターボラ』には、ベッカフィーコ、パルミジャーナ、カポナータ、コトレッタ、パスタ・アッラ・ノルマ、メランザーネ・リピエーナといったなす料理が収録されています。
なすのコトレッタmelanzane a cotoletta
本のリチェッタは、
材料/6人分
丸なす・・2個
卵・・3個
小麦粉、パン粉
べシャメル・・200g
EVオリーブオイル、塩

・なすを厚さ1cmの輪切りにする。ベシャメル少々を散らして別の輪切りを重ね、小麦粉、軽く塩を加えた溶き卵(縁にもつける)、パン粉をつけ、しっかり抑えて閉じる。
・15分休ませて再びパン粉をつける。
・たっぷりの油で両面をこんがり揚げる。5分休ませてサーブする。


ナスのリピエーナmelenzane ripiene alla siciliana↓

シチリアの人はおじいちゃんでも料理がうまいなあ。
本のリチェッタ
材料/4人分
なす・・2本
黒オリーブ・・50g
パン粉・・50g
アンチョビ・・2尾
にんにく・・1かけ
バジリコ、EVオリーブオイル、塩

・なすを半分に切り、中身をスプーンでくり抜いて塩を振る。
・皿に伏せて置いて水分を出す。
・オリーブを洗って種を抜く。アンチョビは骨を取る。
・くり抜いたなすの実、バジリコ、にんにく、オリーブ、アンチョビを小さく切る。
・パン粉、塩、油少々を加える。
・これをなすに詰めて油を塗ったオーブン皿に並べ、油を回しかける。
・熱したオーブンで1時間焼く。必要なら水を加える。

おまけの料理はなすのティンバッロ。

なす料理のリチェッタ、明日に続く。

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2021年8月20日金曜日

なすのベッカフィーコはシチリアの名物料理、イワシのベッカフィーコによく似たなす料理。カピーシ?

シチリア人が大好きなシチリア料理、カポナータとパルミジャーナ。
どちらもなす料理というわけで、同じ地中海のナス料理を見てみました。
有名なのは、ギリシャのムサカあたり。
トルコ、レバノンと見てきて、カポナータのある特徴に気が付きました。
カポナータは肉が入らない、ベジタリアン料理なのです。
さらに、ビネガーと砂糖で甘酸っぱい味付けにしているのもカポナータだけ。
カポナータは、地中海料理の中でもかなりシチリア色が濃い、特殊な料理なのでした。
ちなみに甘酸っぱい味付けを伝えたのはアラブ人。
かなりバリエーションが豊富な料理で、家庭料理から高級レストランのシェフの洗練された1品まで、どんな料理にも姿を変えます。
パレルモ風カポナータ↓

今日は、イタリアの注目の新世代シェフ、ダビデ・オルダーニシェフのモダンイタリア地方料理書の力作、『メイド・イン・イタリー

のリチェッタをどうぞ。
カポナータcaponata

材料/4人分
ケッパー・・大さじ1
なす・・4本
セロリ・・1本、塩
《ソース》
房付きトマト・・500g
種抜きグリーンオリーブ・・100g
砂糖・・大さじ4
EVオリーブオイル・・大さじ3
ビネガー・・大さじ4

・なすを小角切りにしてザルに入れ、塩をして30分アクを出す。ケッパーを流水にさらして塩抜きする。セロリを小さく切る。
・鍋に油を熱してなすを炒める。オリーブ、ケッパー、セロリを加えて10分炒める。薄く切ったトマトを加えて1時間煮る。仕上げに砂糖とビネガーを加える。
・よく混ぜて粗熱を取り、すぐにサーブする。またはガラスの密閉容器に入れ、煮沸殺菌して保存する。

さて、シチリアには、まだ興味深いなす料理がありますよ。
その一つが、“ベッカフィーコ”です。
なかなかインパクトのある“ベッカフィーコ”という名前。
シチリア料理を学ぶと必ず出会う有名なシチリア料理でもあります。
元祖は、“イワシのベッカフィーコという魚料理です。
なすのベッカフィーコMelanzane a beccafico↓

材料
なす・・2本
玉ねぎ
レーズン、松の実
イタリアンパセリ、ミント
パン粉、ほぐしたパン、パルミジャーノ

・なすを輪切りにして塩ゆでする。
・崩れない程度に柔らかくなったら取り出す。
・玉ねぎを油でソッフリットにし、レーズンと松の実、パン粉とほぐしたパン、イタリアンパセリ、ミント(好みで)、おろしたパルミジャーノを加える(詰め物)。
・オーブン皿にシートを敷く。なすの輪切りに詰め物を少量のせてインボルティーニにし、玉ねぎ1枚を間に挟んでオーブン皿に並べる。パン粉と詰め物を散らして油をかけ、180℃のオーブンで20分焼く。


イワシのベッカフィーコに似ているというのでこう呼ばれていましたが、正確には、イワシのベッカフィーコという料理はベッカフィーコという鳥の料理に似ているので、こう呼ばれてました。
整理すると、なすのベッカフィーコはイワシのベッカフィーコによく似た野鳥料理によく似たなすの料理です。
カポナータがapponeという魚の貴族料理で、庶民は高価な魚の代わりになすで代用した、という由来がありましたが、この料理も同じような経緯があります。
そもそも、ベッカフィーコは学名Sylviidaeというスズメ目の鳥の一種、ダルマエナガ科の鳥で、ウグイスやメジロなどの一種だそうで、日本でも梅の季節にはおなじみの可愛い鳥かも。
かつてのシチリアでは貴族の猟の獲物でした。

ベッカフィーコ↓

イワシのベッカフィーコ↓

なすのベッカフィーコは薄くスライスしたなすのインボルティーニ。地中海のなすの詰め物料理は中身をくり抜いて、そこに具を詰めることが多いのだけど、薄切りなすに具を挟むというのは意外と珍しい。
ここにもシチリア人の独創性が現れている。

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2021年8月19日木曜日

ナポリ料理のなすのフンゲッティは、ビネガーと砂糖を加えないカポナータ。

南イタリアのなす料理、今日はフンゲットfunghettoです。
きのこっぽい名前だけど、なす料理。
どんな料理か見当もつかなかったけど、動画はたくさんあります。
かなり一般的な料理だったようです。
ナポリ料理だそうです。
言い換えると、ビネガーと砂糖を加えないカポナータ。


ナポリならではなのは、フレッシュトマト。
 パンにのせてクロスタータにするのが一般的ですが、ツナやモッツァレラを加えると、一層カンパーニア風に。
アグロドルチェな味付けは、まさにシチリアの味そのもの。

フンゲットは形だけ見るとシチリアのカポナータによく似てます。
フンゲットという名前だけど、きのこが全く入っていないところは、カポナータという名前の甘酸っぱいなすの料理なのに、名前になす、ビネガー、砂糖に関係ある言葉が何も入っていないカポナータに似ているかも。
一説では、なすの小角切りがきのこ(ポルチーニ)の小角切りに似ているから、この名前がついたとか。
なすのフンゲットのリチェッタは、おなじみの、グイド・トンマージの『クチーナ・ディ・ナポリ
にも、ルチアーノ・ピニャタロのリチェッテ・ディ・ナポリ
にも載っています。
今日はグイド・トンマージのリチェッタを訳してみます。
Melanzane a fungitiello/なすのフンゲッティ
材料/4〜6人分
なす・・1kg
ミニトマト・300g
バジリコのみじん切り・・1把
にんにく・・1かけ
EVオリーブオイル・・大さじ3
塩、こしょう(好みで)、揚げ油

・なすは皮ごと小角切りにして粗塩を散らし、ざるに入れて最低1時間アク抜きする。
・塩をすすいで布巾に広げて乾かし、水気を絞る。
・熱した油で少量ずつきつね色に揚げる。
・フライパンの油をあけ、新たな油大さじ3で潰したにんにくを炒める。にんにくを取り除いてミニトマトを加え、フォークの背で軽く潰して汁(スーゴ)を煮詰める。
・ナスを加えてなじませ、塩味を整える。バジリコのみじん切りとこしょう(好みで)を加える。

おまけの動画は、シチリアと同じくアラブからなすが伝わったと思われる地中海諸国のなす料理。
ギリシャのなす料理といえばこれ、ムサカmoussaka。
パルミジャーナの直径のルーツかも。


ムサカ系料理は地中海諸国に色々あるけど、カポナータタイプは意外と珍しい。そう言えば、肉が入っていないので、メインにならないのでした。
なすのパルミジャーナ↓

こうしてみると、こってり系が多い地中海のなす料理の中で、甘酸っぱいカポナータはかなり異色。
中東系から1品、レバノン風ムサカ↓

シチリアとナポリの食文化の違いを考える時、忘れられないのが、フランス料理の影響。
共に両シチリア王国の首都だったナポリとシチリアですが、フランスの影響が強いと、モンズーと呼ばれるフランス人のお抱え料理人が作った貴族のための洗練された豪華な料理があり、庶民の料理とは、はっきりした境界線が引かれていたのです。
カポナータは貴族のホウボウ料理の庶民版、というルーツでした。

次回は、これもなす料理?、なすのベッカフィーコです。

2021年8月18日水曜日

シチリアで一番人気の野菜、なす。シチリア訛りだとムリンチャーナ。

シチリア料理の話で、偶然見つけたシチリアのグルメ系ユーチューバーが、一番好きなシチリア料理はカポナータとパルミジャーナだと言っていました。
それ以来、この2品が頭から離れません。
オーブン焼きのパルミジャーナのことは猛暑の中で考えるのにはちょっと抵抗があるので、まずはなすのカポナータ。↓

カポナータとパルミジャーナの共通点は、なすです。
イタリア語でなすはmelanzane。
シチリアの方言ではmulinciana(ムリンチャーナ)。

なすはシチリア料理に最もよく使われる野菜。
カポナータとパルミジャーナ以外にも、コトレッタ、フンゲット、ベッカフィーコなどの料理があります。

でも、シチリアを代表するなす料理の傑作は、やっぱりカポナータ。
カポナータの味付けは、シチリア人好みの甘酢っぱい“アグロドルチェ風味”です。
サービス温度は温かくても冷たくてもよく、前菜にもコントルノにもなります。
作りたてより室温に冷ましたほうが美味しいのでなすが旬の夏には最適の料理。

ナスの下ごしらえ↓
種がないですねえ。日本で見慣れているなすとは違う種類のよう。

イタリアのなすには丸なすと、もっと味が濃くて軽い辛味がある長なすがある。
辛味は塩を降ってアクを出すと消える。時間がない時はアク抜きの必要がない丸なすを使う。皮には風味やビタミンなどの栄養素が豊富に含まれているのでむかない。


そもそもこの料理は、なぜカポナータと言うのか、といのはずっと謎です。
比較的有力な説は、語源は(魚のホウボウpesce cappone)ペッシェ・カッポーネで、もともとはホウボウにアグロドルチェなソースをかけた貴族の料理だった、というもの。
で、庶民の間では高価なホウボウの代わりにナスで作ったこの料理が流行った、という痛快な話。

なすはアラブからシチリアに伝わった野菜で(原産地はインド)、起源千年頃、アラブ人の医者、イブン・ブトラーンがなすを食べると憂鬱な気分が誘発されると警告し、多くの人が、それを信じていたという不遇の野菜だった。
イタリアではまずリグーリア以外の北イタリアに広まり、トスカーナやラツィオからナポリに伝わって、さらに南イタリア全域、つまりイタリア中に広まった。
特に人気だったのが、カラブリアとシチリア、つまりアラブの影響が強かった地方。

トルコやギリシャ、レバノン、エジプトといった国の料理になすは欠かせません。
アゼルバイジャンの農家のなす料理、トルコの有名なナスの肉詰め料理、カーニヤルクKarniyari↓

わんこに癒やされた〜。



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2021年8月14日土曜日

カターニア派御用達のチーズ、ラグザーノ。

ラグザーノはシチリアのイブレイ地方の料理のベースとなるチーズ。
モッツァレラと同じパスタ・フィラータのチーズですが、違いは熟成させること。


ラグーザの有名なチーズメーカー、アンジェロ・ディパスクアーレ(webページ)の熟成庫は無数のラグザーノが吊るされていて、別名、洞窟と呼ばれている。

ラグーザの食にまつわる有名人、その1、ラグーザ・イブラのリストランテドゥオモのチッチョ・スルタノシェフが作るカターニア人の好物、ノルマ風パスタ↓


パスタ・アッラ・ノルマPasta alla norma
材料/
パスタ・・500g
トマトのパッサータ・・500g
リコッタ・サラータ・・150g
種のない丸なす・・600g
長なす・・2本
バジリコ
にんにく
玉ねぎ

・パスタは手打ちの型に巻きつけるリガトーニタイプ。
・玉ねぎのソッフリットに小さく切ったトマト、塩、唐辛子、バジリコ、
オイルを加えて火にかける。
・なすは皮を一部残してむいて輪切りにし、油で揚げる。
・ペーストを作る。バジリコ60g、にんにく1かけ、松の実60g、トーストしたアーモンド80g、EVオリーブオイル100gをミキサーにかける。
・トマトを裏漉ししてトマトソースにする。
・皿にトマトソースを敷き、詰め物をしてナスを巻いたパスタを盛り付けてペーストをかける。
・おろしたリコッタをたっぷりのせる。
・ソースはスプーンで食べる。

ちょっと想像してたのと違う、かなりオリジナルなノルマでした。

カターニア↓

ノルマというのはもちろん、カターニア生まれの作曲家、ベッリーニのオペラの主役。
カターニアはパレルモのライバルみたいな、シチリアを代表する美食都市。
東のパレルモと西のカターニア。かなりバシバシやりあってて時々めんどくさい。上の動画でもパレルモとカターニアはいかに違うかを語ってます。
ラグザーノはカターニア派御用達のチーズ。
カターニア人が大好きなシチリア料理はパルミジャーナとカポナータ。

有名人その2、モンタルバノ警部
ラグーサの美しい風景や美味しそうな料理がふんだんに登場するドラマ。
ドラマに登場する場所はもはや聖地化。世界中から観光客が来る。

シチリアのロスティッチェリアの本、ブランカート・クチーナ・シチリアーナ”シリーズ『ルスティケリア


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2021年8月13日金曜日

ラグーザとモディカ。モディカ牛のミルクから作るラグザーノは、別名シチリアのパルミジャーノ。

シチリアの代表的ブランド豚、ネブロディの黒豚。
牛にも、シチリアには有名な品種がいます。
モディカ牛です。
モディカ牛の飼育↓

地中海の暑い気候にも強い品種だが、牛乳価格の低下などから飼育数は大幅に減少している。
シチリアの南東に広がるイブレイ山地の麓で飼育されている。

イブレオ高原の牧草のみで育つモディカ牛。その生の全乳のみで造られるのが、シチリアの名物チーズ、ラグザーノ。
ラグザーノはモッツァレラやプロポローネと同じ、パスタ・フィラータのチーズ。
キンセンカ、ゼラニウム、ジャスミンなど、この地方の放牧地の新鮮な草の香りが感じられる個性的な大型のチーズで、熟成期間は3〜10ヶ月以上。最上質のものは最低8ヶ月寝かせる。
ラグザーノ↓

ラグザーノは、通称、シチリアのパルミジャーノと呼ばれるチーズ。
おろしてパスタに散らす。
有名になる前はシチリアの外ではカチョカバッロとも呼ばれて、カンパーニアのチーズと混同されたりもした。

モディカは、パレルモやカターニアと共に、シチリアの食文化の核となる街。
モディカ↓
大地震で破壊されながらも世界遺産に認定されているバロックの街並み、モディカのチョコレートで有名なパスティッチェリーアや、シチリアを代表する有名シェフのレストランなど、その食文化は世界的に知られている。


時々、料理書の中の美しいモディカの写真に感動して、その場所を探すのですが、たいてい今は跡形もなく無残に崩れ去っています。

シチリア/クチーナ・ディ・カーザ・プラネタ
もモディカの美しい写真が収められている本。

シチリアのワイナリーならではと感心しました。
ラグーサはモディカのすぐ北にある街。

ラグーザ・イブラ↓

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シチリア/クチーナ・ディ・カーザ・プラネタ

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2021年8月12日木曜日

ネブロディの黒豚

今日は、ネブロディの黒豚の話。
シチリアの名物の1つとして、最近、ぐんぐん知名度を上げている豚肉です。ネブロディは、エトナ山の北東側に広がる自然公園に隣接する地方、ネブロディ自然公園で飼育されています。
実はこの地区はマフィアとの闘いでも有名。



半野生状態で飼育されるネブロディの黒豚は、期間の変化に強く、なんでも食べて、とても丈夫な品種ですが、絶命の危機にあります。
ゆっくり時間をかけて飼育するのがこの地方独特の方法で、ネブロディの外で飼育されると特徴がすべて消えてしまう。サラミや腸詰めなどに加工するが主要な製品は生ハム。
ネブロディの黒豚の生ハム↓

ネブロディの黒豚↓

豚肉はイタリアで一番消費されている肉ですが、考えてみると、シチリアの豚肉料理って、あまり知られていないような気が・・・。
サーレ・エ・ぺぺ2019年9月号』には、珍しくシチリアの豚肉料理のリチェッタがあったので訳してみます。
材料/4人分
骨付きコスタータ(リブロース)・・200gが4枚
カリチェッディ(チーメ・ディ・ラパの一種の葉野菜)・・1kg
トゥーマ・・200g
にんにく・・1かけ
唐辛子・・2本
EVオリーブオイル
塩、こしょう

・野菜を5分塩ゆでし、粗熱を取って水気を絞り、潰したにんにく1かけ、種をとった唐辛子と一緒に油大さじ2、3で強火で2、3分炒める。
・肉は骨をつけたまま厚みを開いて袋状にする。中に塩、こしょうし、野菜とトゥーマの薄切りを1枚はさむ。肉を閉じで端を楊枝でとめ、グリルか熱した鉄板で焼く。

豚肉のコスタータやブラチョーラで探してみたら、たくさんリチェッタがありました。
リブロースのリピエーノ、シチリア風↓

カリチェッディは鮮やかな緑色の野草で、白い豚肉の間に挟むと、一段と緑色が映えます。
肉はグリルパンで格子状の焼き目をつけると一段と美味しそう。
カラブリアの黒豚も有名。

黒豚は白い豚より一回り小さいが、味や栄養的には素晴らしい特徴を持っている。
半野生状態で育ち、小麦粉の餌を与えられた豚と誓って肉に不飽和脂肪さんが多く、グルテンは含まない。36ヶ月熟成の生ハムは、オレイン酸含有量が18%と世界中の生ハムの中で最も多い。
脂肪酸が豊富な生ハムは、脂身が熱を持たないように手で慎重にスライスする。

ネブロディの黒豚の生ハム↓


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2021年8月11日水曜日

エトナのワインロードと自家製パン

いやー、エトナのワインロードは、ワインに関する様々な体験ができるアクティビティーが山盛りに用意されていて驚きです。
詳しくは(webページ)をどうぞ。

下の動画はカンティーナ・テッラ・コスタンティーノTerra Costantino(webページ)。
エトナDOCの造り手で、カンティーナで試飲も行っています。
試飲に添えるパンは薪で焼いた古代小麦のパン。

シチリア南東部では、自家製パンと言えば、硬質小麦粉のパンで、昔は家庭で、週に1回焼いていた。文字通りの自家製パン↓

“昔の伝統的な”パン作り↓
今どきの自家製パン↓

材料/
0番の小麦粉・・500g
塩・・15g
水・・375ml
生イースト・・10g
蜂蜜・・10g

・材料を混ぜる。覆いをして15分休ませる。
・手に軽く水をつけ、少量持ち上げて伸ばし、中央に持っていく。このたたむ動作を15分かけて3回行う。休ませる時は布巾で覆う。
・ボールをラップで覆って16時間熟成させる。
・布巾を広げて打ち粉をし、両脇の生地を中央で合わせるようにたたみ、布巾を使ってボールに入れ、布巾で覆う。冷蔵庫で4時間休ませる。
・生地に打ち粉をし、オーブンシートにあけて布巾を取り除く。表面に十文字のクープを入れ、鋳鉄の鍋に入れて蓋をする。200〜220℃のコンベクションオーブンで20分焼く。

なんだか今どきのパンの焼き方って、私が知ってるのとは随分違うんですね。NHKでビッタビタって聞いた時と同じくらいの衝撃です。

もう一つ、最近聞くようになったのは、ペースト・アッラ・シチリアーナ。
昔はペーストと言えば、ジェノバ風かトラパニ風だったけど、シチリア風、というのが最近大躍進。
ペースト・アッラ・シチリアーナのカゼレッチェcaserece con pesto alla siciliana


材料/
カセレッチェ・・360g
トマト・・500g
バジリコ・・1束
にんにく・・1かけ
松の実・・40g
牛乳のリコッタ・・150g
パルミジャーノ・・150g
EVオリーブオイル・・150ml
塩、こしょう

・種を取ったトマト、バジリコ、潰したにんにく、リコッタ、松の実、おろしたパルミジャーノ、油、塩、こしょうをミキサーにかける。
・パスタをゆでる。
・ペーストをフライパンに入れて熱し、ゆでたパスタを入れて熱する。

ペーストをミキサーで作る様になって、一気に手軽な料理になりましたね。
ちなみに、トラパニ風は松の実じゃなくてアーモンド入り。
ブロンテのピスタチオのペーストのパスタもよく見かけます。
チーズは、おろしたプローボラならぐっとシチリア風。


ワインに話は戻って、エトナ山のワインとオイルの造り手、オリオメルリーノ。下の動画はオイルとワインの直販所、カーサ・メルリーノ。↓


ペーストの本なら、『ファッチャーモロ・ペスト


シチリア料理なら、ランカートの“クチーナ・シチリアーナ”シリーズの『シチリア・イン・ターヴォラ』


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2021年8月10日火曜日

エトナのワイン・ロード

サーレ・エ・ぺぺ』2019年9月号の記事から、もう一つ。
“エトナ山のストラーダ・デル・ビーノ”です。
ヨーロッパ最大の、とても活発な活火山だが、麓のカターニアとは数kmしか離れていない。
その火山性の土壌のせいか農作物がよく育ち、ユネスコ世界遺産でもあり、シチリアの人たちからとても愛されている山。

これまで、エトナのレモンやピスタチオについて取り上げたことがありましたが、今回は、ワインです。
エトナ山にはワイン・ロードがあり、観光客の受け入れも積極的です。
エトナのワイン↓

シチリアを代表する造り手、プラネタが、自社のリゾートホテルで世界中の顧客を相手に確立したシチリア料理の本。

シチリア/クチーナ・ディ・カーザ・プラネタ

上の動画ではシチリアを代表するワインの造り手たちがエトナのワインについて語っています。近年のシチリアワインの躍進は凄まじく、あっという間にイタリアを代表する上質ワインに仲間入りしましたが、この現象を牽引する人たちです。

そしてこのブームが生まれたのが、エトナ山の麓からでした。
ワインが成功しているということは、よそ者も大勢やってきているはずで、こんなにも危険で巨大な火山の恵みを受けている人たちは、常に団結して前進しようとしています。



地中海の海流とアフリカの熱い風が生むシチリアワイン


ぶどうは地元の土着品種で、赤はネレッロ・マスカレーゼ、ネレッロ・カップッチョ、白はカリカンテ、カタッラット。標高の高いエトナの独特の土壌と海風と、エトナ山に降り注ぐ太陽を受けて育ちます。
エトナのワインには、ビアンコ、ロッソ、ロザートがあり、ワインはエレガントで香りが良いのが特徴。
ワイン・ロード沿いの見学や試飲を受け入れているカンティーナは20軒以上。
“黒い土terre nere”と呼ばれる火山性の土壌で育てたぶどうから造られるエトナワインを、地元の伝統的なパスタや野菜料理、チーズ、ドルチェと一緒に味わうことでができます。

カンティーナの紹介は次回に。

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2021年8月9日月曜日

ラツィオとカンパーニアの伝統を持つ島、ポンツァ

昨日取り上げたガルダ湖もそうですが、
イタリアには、海と山に囲まれた魅力的な場所がたくさんあります。
サーレ・エ・ぺぺ』9月号でも、イタリアの周囲にたくさんあるそんな島の一つを紹介していました。ページ数の都合で(CIR)に訳が載せられなかった記事でした。
海と畑、農民と漁師の食文化を持ち、人気のリゾート地なのでレストランの質も高く、田舎とインターナショナルな顔を併せ持つ島です。ラツィオの沿岸沿いに散らばる群島で、ブルボン家が支配した時代に、イスキアやプロチダ、トッレ・デル・グレコから多くの人が移り住んで植民地化されたという歴史を持つために、ラツィオとカンパーニアの食文化が伝わった、興味深い島です。

島の名はポンツァPonza。
世界中に知れ渡っているイタリアの島の中では、まだまだマイナーな存在。


美しいビーチは断崖に囲まれていて海からしか行けない。
イスキアから60軒近い家族が移り住んだそうですが、どことなくイスキアに似ているような・・・。
ポンツァの歩いてしか行けない入り江にある島の魚の伝統料理を出す店。ラ・マリーナLa marina

ローマからもナポリからも近い島だって。
行ってみたいな。
島の名物を売る店、ベントインポッパVentoinpoppa。(webベージ)

今で一番のジェラテリーアは海からしか行けない場所にあるので、ジェラートを食べるために皆海に飛び込む↓

ポンツァ料理、詰め物入りイカのパスタpasta con i calamari "'mbuttunati"


ちなみにヤリイカのリピエーニはナポリの伝統料理だけど、そのパスタとなるとなかなか見つからない。
ここでは『サーレ・エ・ぺぺ』のリチェッタを訳してみます。

材料/4人分
太いスパゲッティ・・320g
下処理したヤリイカ・・4杯
卵・・4個
おろしたパルミジャーノ・・40g
レーズン・・10g
松の実・・10g
サン・マルツァーノ・トマト・・1.5kg
EVオリーブオイル、ピーナッツ油
イタリアンパセリ・・1把
にんにく・・1かけ
バジリコ
唐辛子・・1本、塩、こしょう

・トマトは皮を湯むきして種を取る。松の実をさっと炒る。
・イカの足を小さく切ってピーナッツ油でさっと炒める。
・卵を溶き、イカの足、さっとすすいだレーズン、パルミジャーノ、松の実、手でちぎったイタリアンパセリ、塩、こしょうを加える。
・イカを炒めた油少々をフライパンに入れて熱し、混ぜた卵を入れて水分をたっぷり残した炒り卵にする。火から下ろして粗熱を取る
・ベトのソテーパンでにんにくをEVオリーブオイル大さじ数杯で焦げないようにソッフリットにし、にんにくを取り除く。イカの銅を加えて焼き、小さく切ったトマトと唐辛子を加えて蓋を取って弱火でかき混ぜながら25分煮る。
・イカを取り出して混ぜた詰め物の2/3を詰め、楊枝で閉じしてソテーパンに戻し、5分熱する。
・イカを皿に盛り付けて粗熱が取れたら楊枝を取り除いて輪切りにする。
・パスタを硬めのアルデンテにゆでる。ざっと水気を切ってソテーパンに入れ、火を止めてEVオリーブオイルを回しかける。こしょう、バジリコ、イカも加えてなじませる。
イカのリピエーニ↓




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2021年8月8日日曜日

地中海の雰囲気が漂う北イタリア、ガルダ湖

デチェコのパスタの本、パスタ・ヴィアッジョ・イン・イタリア

は、タイトル通り、イタリア中の乾麺のパスタの食文化を伝える本です。
地方料理の集合体としてのイタリア料理の姿と、イタリア料理のエンブレムとしてのパスタという、イタリアが世界に誇る宝を、自慢のシェフの料理で伝えようという野心的な本です。
そしてベネト代表に選ばれたのは、ベローナのカーサ・ぺルベッリーニ↓のジャンカルロ・ペルベッリーニシェフ。

元はパスティッチェリーアだったというリストランテ。
オープンキッチンで、店名通り、シェフの家で食事をしているような気分になります。

シェフは子供の頃からシェフになることを夢見ていて、幼い頃から飲食業に接し、パリやロンドンで修行後、パリのコンクールで優勝するなどの経験を積んできました。
彼の料理は、伝統と地元の食文化を尊重し、かつオリジリティーを感じるもの。
本で紹介しているのはベネトの庶民的な定番料理、クリスマスやパスクアの料理でもあるアンチョビのビゴリがベースの料理。
この本では、ビゴリは穴の空いていないスパゲットーニと説明しています。
このパスタと組み合わせるソースは定番の“イン・サルサin salsa”アンチョビとオリーブオイル、玉ねぎがベースのソース。地元ガルダのオリーブオイルの香りが活きます。
オリーブオイルの北限で生産されているガルダのオリーブオイルの特徴はフルーティーでデリケートな香りとアーモンドの風味の、生産量が少ないオイル。
ガルダのオリーブオイル↓

ガルダ湖↓



北イタリアとは言え、やっぱりイタリアです。
ブーゲンビリアもぎり似合う。
ガルダ湖の右岸はベローナ県↓
ベネトの西の端。ロミオとジュリエットの舞台となった街。

それでは話を戻して、デチェコの本からペルベッリーニシェフのリチェッタを訳してみます。
アンチョビとフィノッキオのコンフィのスパゲットーニ、オレンジ風味です。
Spaghetti alle alici con finochio confit e profumoi di arancia

材料/4人分
スパゲットーニ・・240g
フィノッキオ・・2個
EVオリーブオイル・・500ml
粗塩
アンチョビ・・16枚
オレンジ・・1個
スターアニス・・1個
にんにく・・1かけ
オリーブオイル入りパン
セモリナ粉・・100g
揚げ油・・1㍑
野菜のブロード、塩

・フィノッキオを小角切りにして鍋に入れ、油で覆ってスターアニスと粗塩を加える。95℃のオーブンで3時間熱する。
・アンチョビ8枚の骨を取る。塩をしてザルに入れ、30分マリネする。
・フライパンにフィノッキオを煮た油、にんにく、マリネしてほぐしたアンチョビを入れて軽くソッフリットにする。
・パスタを4分ゆでて取り出し、フライパンに入れる。野菜のブロードとフィノッキオの油少々でマンテカーレし、フィノッキオのコンフィを加える。
・パスタを皿に盛り付けてパン粉とフィノッキオの葉少々を散らす。
残りのアンチョビにセモリナ粉をつけて揚げる。
・パスタにオレンジの皮のすりおろしを散らして揚げたアンチョビをのせる。


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2021年8月7日土曜日

北イタリアのグランシェフのパスタ

私には常々、パスタの本の大傑作と思っている本があります。
パスタ・レボリューション

という本です。
庶民的な家庭料理という存在だったパスタが、シェフたちの卓越した素晴らしいアイデアによって特別な一流の料理に昇華されていく過程が、シェフたちの傑作で見事に語られている本です。
一流シェフのパスタに触れたくなった時、読み返しては感心しています。
登場するシェフたちは、腕も発想力もずば抜けた人ばかり。
このところベネチアの話が続いたので、ベネチアにはどんなシェフがいるかなと思ってこの本から探してみました。
気になったのは、パスタ・パターテ・エ・セッピエという料理。セッピエとあるからベネチアあたりのシェフの料理だろう、と思ったのですが、リストランテ・リド84という、ガルダ湖畔のブーゲンビリアとオリーブの庭園に囲まれた店でした。
webページはこちら
シェフはリッカルドとジャンカルロのカマニーニ兄弟。
マルケージとデュカスの元で修行してます。
その料理は、見た目はシンプルでも調理過程は非常に複雑なもの。
早くから注目されているシェフです。

名物料理は豚の膀胱に詰めて調理するカーチョ・エ・ぺぺ。
“パスタ・パターテ・エ・セッピエ”は、パスタとじゃがいもと(パスタ・エ・パターテ)、コウイカとじゃがいも(セッピエ・エ・パターテ)という2つのイタリア料理の定番を組み合わせたもの。
イカスミの生パスタをじゃがいものパスタで巻いてカネロニにし、ノルマンディーバターでアッフォガーレするという、定番を組み合わせて視点によって全く違う料理にするという、最先端の3Dの料理を作り出しています。ソースはムール貝の汁。
このシェフ、ただ者じゃない。
店も2019年の世界のベストレストラン50軒に選ばれているようです。
気が付くのが遅かったかも。

コウイカとじゃがいも↓

材料/
下処理したコウイカ
角切りにして水にさらしたじゃがいも
タッジャスカオリーブ
アンチョビ
白ワイン・・1/2カップ
ミニトマト
にんにく・・2かけ
唐辛子
セージ、イタリアンパセリ
EVオリーブオイル、塩、こしょう

・フライパンに油、潰したにんにく、アンチョビ、唐辛子、セージ2枚を入れてソッフリットにする。
・小さく切ったイタリアンパセリの茎、半分に切ったミニトマト、イカを加え、ワインをかけてアルコール分を飛ばす。オリーブを加え、塩、こしょうする。
・水気を切ったじゃがいもを加えて蓋をし、中〜弱火でじゃがいもが柔らかくなるまで(30
分)煮る。

次は、ベローナのカーサ・ペルベッリーニ(webページはこちら)のシェフ、ジャンカルロ・ペルベッリーニのパスタ・エ・パターテ

彼は、ディチェコの地方料理の乾麺のパスタの本、『パスタ・ビアッジョ・イン・イタリア

でベネト代表に選ばれたシェフです。
彼の話は次回に。


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「日本語解説総合解説(CIR)」
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