2019年8月30日金曜日

ビールに息子の名前をつけて息子のお披露目もしちゃったテオ・ムッソさん。しかもそのビールが最優秀賞受賞て。

さて、今月の「総合解説」には久しぶりにワインの記事があります。
“グリリアータに合うワインとビール”です。
グリリアータと言えば、バカンスのシンボル料理。
7/8月号には欠かせないテーマです。
まずは魚のグリリアータに合うワインとビール。
元イタリアソムリエ協会長、ジュゼッペ・ヴァッカリーニ氏のお薦めです。

■カヴァッロットのピンネルPinner。
カヴァッロットはバローロで創業したカンティーナ。
Pinnerはピノ・ネロの白のこと。
組織がある締まったワインでトロピカルフルーツの強い香り。
アペリティーヴォにもなります。

カヴァッロット


■ザッカニーニ・トレッビアーノ・ダブルツォ“カザウラKasaura”

ザッカニーニは世界的に知られるアブルッツォの白ワインの造り手。
カザウラはデリケートな香りが特徴のシンプルな白ワイン。
ビンテージの翌年までに飲むタイプ。

ザッカニーニ


■ティーン・スピリット・ゴールデン・エール/レトルト
次はクラフトビール。
2011年に3兄弟が始めたエミリア・ロマーニャのレトルトという造り手の、ティーン・スピリットという上面発酵で比較的低アルコール度のビールです。

ビッリフィーチョ・レトルト

次のテーマは野菜とチーズのグリリアータに合うワインとビール。

■ファレルノ・デル・マッシコ・ビアンコ2016/カンティーネ・モイオ
まずはカンパーニアのワイン、カンティーネ・モイオのファレルノ・デル・マッシコ・ビアンコ2016。
古代ローマ時代から有名な白ワイン。
ファランギーナがベースのソフトでトロピカルフルーツや蜂蜜、白い花の香りの瓶内で軽く熟成させるワイン。
このワインを有名にしたのは造り手、モイオ家の功績、とヴァッカリーニ氏は言っています。
モイオのファランギーナ

■"イザック"/バラディン
ビールのお薦めは、バラディンのイザック。
テオ・ムッソの息子の名前をつけたビール。

パパの後ろでソワソワしながら本を読んでいるのがイザック。

ビールは若者向けが最近のトレンドだったよう。


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“グリリアータに合うワインとビール”の記事の日本語訳は「総合解説」2017年7/8月号に載っています。
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2019年8月28日水曜日

プラネタの料理は世界中のグルメな顧客の好奇心にドンピシャ。

再入荷した本、『シチリア/クチーナ・ディ・カーザ・プラネタ』のご案内です。

シチリア料理のおすすめ本です。
この本の最大の魅力は、シチリアの庶民の家庭料理が世界中のグルメ向けのエノガストロノミーを通して、洗練された料理として再現されていること。

プラネタが経営するリゾートホテル、ラ・フォレステリア・プラネタ・エステートに泊まってプラネタのワインと一緒にこんな料理を味わいたい、と読む度に思います。

以前この本のパスタ・アッレ・ヴォンゴレを訳した時、アサリにシェリー・ブリュレをかけて口を開ける、というリチェッタが、とてもゴージャスでシチリアの貴族風で、未だに記憶に残っています。

ラ・フォレステリア・プラネタ・エステート ↓

シチリア各地に広がったブラネタのワイナリーをたどるとシチリアのエノガストロノミーも俯瞰できます。↓

正直言うと、初めてシチリアに足を踏み入れた時、その食文化があまりにもローカルで、カルチャーショックでした。
フィノッキエット・セルヴァティコとイワシの組み合わせのきつい香り、油でギトギトの脾臓のパニーノなど、日本の若者が絶対口にしたことがないようなものでできていたパレルモ料理。
胃袋が慣れるまでには時間が必要でした。
ただ、この島のドルチェやパンの美味しさや、アランチーニのような、家庭的ストリートフードの傑作は、一口食べてすぐに大ファンになりました。

世界中からやってくるプラネタの顧客のための料理は、シチリア料理に対する好奇心と怖いもの見たさを満足させ、新しい食を体験できるものです。
特にお薦めなのは、イタリアのドルチェを代表するシチリアのドルチェ。

レモンのグラニータ、イチゴのジェラートのブリオッシュ、ビアンコマンジャーレなど、美味しそうなものがたくさんありますが、シチリアのドルチェと言えば、やっぱりカンノーリ。

それではプラネタのカンノーリのチェッタをどうぞ。

CANNOLI/カンノーリ
材料/10人分
チャルダ;
00番の小麦粉・・300g
ラード・・10g
砂糖・・10g
マルサラ・・15ml
赤ワインビネガー・・15ml
コーヒーパウダー(好みで)・・小さじ1/2
ココアパウダー(好みで)・・小さじ1/2
卵白(生地の接着用)・・1個
塩・・一つまみ
揚げ油用ピーナッツ油

ファルチャ;
羊のリコッタ・・250g
砂糖・・100g
ビターチョコレート・・20g
飾り用のチェリーとオレンジのカンディート
粉糖

・チャルダを作る。全部の材料を混ぜて均質の生地にし、冷蔵庫で約30分休ませて薄く伸ばす。
・直径10cmの円形に抜き、金属の筒型に巻きつけて軽く溶いた卵白を塗って接着する。
・160℃のたっぷりのピーナッツ油で中まで火が通るまで揚げる。
・きれいな栗色になったらシートに取って油を切る。
・ファルチャのクリームを作る。リコッタを裏漉しし、砂糖を加えてスパテラで混ぜる。リコッタが砂糖を吸ったら刻んだチョコレートを加える。
・サーブする直前にクリームを絞り袋に入れてチャルダに詰める。
・カンディートで飾って粉糖を振りかける。

お薦めワインはパッシート・ディ・ノートdoc

プラネタゆかりの地、メンフィ。


シチリアワインの大ブームで、“シチリアワインの奇跡”の舞台となった町。

シチリアに優れたワインを造るカンティーナはたくさんあるでしょうが、こんなに上質の料理書を出したのは、これまでのところプラネタだけ。


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総合解説
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2019年8月26日月曜日

パーネ・カラザウが造られた目的が壮絶すぎて羊飼いまじリスペクト

今日のお題はイタリアのパン。
総合解説」P.33を御覧ください。

今月のパン、その1は、“ネロ・ディ・セーガレ”nero di segale。
その2は“パーネ・カラザウ”pane carasau。

“ネロ・ディ・セーガレ”はライ麦の黒パン。
北イタリアで造られていますが、一番有名なのがアルト・アディジェのパンなので、アルト・アディジェのパンに分類しています。
ライ麦パンは、ドイツ語を話す人々が暮らす雪に覆われた山の森の中の黒パン。
アルト・アディジェのメルカートとライ麦パン↓

アルト・アディジェ、別名スッドティロルの人気のライ麦パン、シュテルブロット↓

“パーネ・カラザウ”は、サルデーニャの食文化を象徴する薄焼きパン。膨らませて半分に切る作り方が独特。

見るからに古そうな作り方。

今月のパンは、イタリアのパンの中でもアウトサイダーなものつながりです。
ドイツや中央ヨーロッパを感じさせるライ麦パンは、地中海のパンとは違うのはすぐに分かります。
では、サルデーニャのパーネ・カラザウは?
少なくとも、地中海は感じます。
でも、サルデーニャの食文化の最大の特徴、羊飼いの暮らしにどっぷり浸って生まれてきたパンなので、他のイタリアのパンと比べると、やはり異色です。

このパンは、サルデーニャ以外では別名カルタ・ダ・ムジカと呼ばれる、と言われていましたが、今回の記事にはカルタ・ムジカという別名が紹介されていました。
“ダ”がないだけで、意味が大幅に違うようです。
カルタ・ダ・ムジカは音楽用の紙=楽譜で、楽譜のように薄いという意味ですが、
カルタ・ムジカは音がする紙という意味で、割る時や齧った時に賑やかな音を立てるからだそうです。
そもそも、サルデーニャではカラザウと呼ばれているので、カルタだのムジカだのはよそ者がつけた名前。
カラザウとは、仕上げにオーブンで焼いてカリッとさせることを意味しています。
さて、このパンのどこが羊飼いなのかと言うと、移牧の時に馬の鞍で簡単に運べるようにと考え出されたパンなのでした。
1962年のサルデーニャの羊飼い

冬に出発して春に戻る長い移牧の間、唯一持ち運べた食料が、パリパリに乾いたパーネ・カラザウでした。

ライ麦パンもカラザウも、大昔から続く貧しくて厳しい暮らしの中から生み出された食べ物でした。
それにしてもサルデーニャの羊飼いの暮らしは厳しすぎる・・・。
サルデーニャの羊飼いの三男あたりに生まれていたら、グレてたかも。

サルデーニャの羊飼い文化の中心地、バルバージャ。
1969年の様子だけど、かなり不穏。

サルデーニャはアフリカ、ローマ、スペイン、アメリカと支配者の影響を強く受けてきましたが、バルバージャはそれらに抵抗し続けてきたため、独特の文化が保たれてきました。

パーネ・カラザウの変形版、パーネ・グッティアウpane guttiauは、パーネ・カラザウにオリーブオイルをかけてオーブンに通したもの。
パーネ・フラッタウpane frattauは代表的サルデーニャ料理の1つ。
ブロードや水に浸してトマトソースとペコリーノをかけてラザーニャのように使います。

グリバウドの地方料理シリーズの“サルデーニャ”には、

“にんにく風味のパーネ・グッテイアウ”のリチェッタがありました。

パーニ・グッティアウ・アッラーリオ/Pani guttiau all'aglio
・にんにくをフォークで潰し、塩、こしょうする。
・オリーブオイル大さじ8をかけて混ぜる。
・パーネ・カラザウを天板に広げてオイルを全体に均一にかける。
・180℃のオーブンで3分焼いてすぐにサーブする。

※パーネ・グッティアウはパーネ・スゴッチョラートsgocciolato(油を切った)という意味。
サラミとチーズの盛り合わせに添えたり、食事に添えたりする。

パーネ・フラッタウ/ Pane frattau


材料4人分
パーネ・カラザウ・・4枚
玉ねぎ・・1個
皮むきトマト・・600g
バジリコ・・4枚
サフラン・・1袋
ビネガー
卵・・4個
ブロード・ディ・カルネ(できれば羊の)
おろしたペコリーノ・サルド
EVオリーブオイル
塩、こしょう

・玉ねぎをみじん切りにして油でしんなり炒める。
・トマトとバジリコのみじん切り、水少々で溶いたサフラン、塩、こしょうを加えて蓋をし、弱火で20分煮る。
・鍋にたっぷりの湯を沸かしてビネガー大さじ1を加える。
・皿に卵を割り入れて1個ずつ湯に入れる。
・4分ゆでて穴開きレードルで取り出す。
・沸騰したブロードにパーネ・カラザウをさっと浸して取り出し、くし切りにして皿に敷く。
・トマトソースをかけてペコリーノを散らし、落とし卵をのせてサーブする。

※ブロードの代わりに湯でもよい。

パーネ・カラザウは、単にワインのつまみにしても美味しかったなあ。



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“イタリアのパン”の記事の日本語訳は「総合解説」2017年7/8月号P.33に載っています。
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2019年8月23日金曜日

楕円形の甘いミニトマト、ダッテリーニをチェリートマトと呼ぶのには抵抗が・・・

今月の「総合解説」7/8月号から、今日のお題はミニトマト。

小さいトマトだからポモドリーニpomodoriniとも言いますが、
丸いのと楕円形のがあるので、丸いのはチリエジーニCiliegini、楕円のはダッテリーニdatteriniと呼んで区別します。
チリエジーニはもちろんチェリーに似ているから。
ダッテリーニはデーツに似てるから。
チェリートマトはあっても、デーツトマトは無いだろうなあ。

そしていちばん有名なチェリートマトは、シチリア南東部で栽培されているパキーノPachino IGP。
ジューシーで香りが強いのが特徴。
トマトと言えばカンパーニアという現状で、頑張っているシチリア産。

そしてカンパーニアのヴェズヴィオ地区産のピッツテッロpizzutelloは先端が尖ったミニトマト。
尖ったという意味のピッツートが名前の由来。

各種ミニトマトの説明動画

トマトを半分に切る通販みたいなシーンでは、ギザ刃のナイフなら切りやすいと言ってます。
なるほど。
お薦めは甘いダッテリーニ。
皮が薄くて果肉は甘く、種が少ないのが特徴。

このようなミニトマトをサラダで食べる以外のリチェッタを集めたのが、今回訳した記事。
パスタは冷製パスタソースの定番、クルダイオーラcrudaiolaで。

ミニトマトのコンフィも定番





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“ミニトマト”の記事とリチェッタの日本語訳は「総合解説」2017年8/9月号に載っています。
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2019年8月21日水曜日

ミキサーを使いこなせて、食材を選ぶ目があればペストは超簡単。

新着本です。

ファッチャーモロ・ペスト

グイド・トンマージの地方料理シリーズ(↓)でおなじみの、二人組の著者が

“ピッコリ・スプンティーニ”という、ミニサイズの料理書シリーズから出した最新本です。
リチェッタは、ペスト・ジェノヴェーゼや、トラパニ風ペストから始まって、鮮やかなオレンジ色が美しいパプリカのペスト、カラマタオリーブのパスタにぴったりのギリシャ風、セロリの葉、フレッシュほうれん草、ピスタチオ、マッシュルームとルーコラ、ローズピンクのビーツのペスト、などの定番や
豆腐とスプラウト、ペスト・ピッカンテ、黒にんにく、アボカドとピーナッツ、シチリアの思い出、など、ユニークなオリジナルのペストも。

大部分が生の食材から作るので、食材の新鮮さが大きなポイント。
ミキサーは、スイッチを押しっぱなしにしないでパルススタイルで短時間で加熱しないように撹拌します。
オリーブオイルはほぼすべてのペストに使われる食材で、その品質が出来上がりの質を左右します。
デリケートな風味の上質のオイルを少量ずつ加えるのがポイント。
ナッツもペストには欠かせません。
ジェノヴェーゼには松の実、トラパネーゼにはアーモンドが入りますが、くるみやヘーゼルナッツ、マカダミアナッツなど、定番以外を試すのもお薦め。
ペストはパスタソースの定番ですが、じゃがいもや米、ニョッキ、ブルスケッタにかけてもOK。
ピンツィモーニオやサラダにも合います。
パスタソースにする時は、少量のゆで汁でマンテカーレしてクリーミーに。

主な注意点はこんな程度で、かなり手頃にできる料理だったと再確認。

乳鉢で作るペスト。
ジェノヴァの人じゃないシェフは、リグーリア風と言ってますね。


本でトラパニ風ペストの次に紹介されているのがピキーリョのペスト。
スペインのナヴァーラ特産のピーマン、ピキーリョを使います。

果肉が厚くて甘いピーマンで、スペインに行ったら瓶詰めを買ってきて作ってみて、と書いてありますが、なかったら赤パプリカをローストして皮をむいて種を取って代用できるそうです。
全く同じにはならないけれど、かなり美味しいそうですよ。

ピキーリョのペストPesto del Piquillo

ピキーリョ・・200g入り瓶詰め1ビン
アーモンド・・一握り
芽を取ったにんにく・・1~2かけ
フレッシュタイム
フェタチーズ・・40g
EVオリーブオイル

・ミキサーに全部の材料を入れてオリーブオイルを加えながら均質なクリーム状になるまで撹拌する。
・フェタは必ずしも必要ではない。フェタの代わりに味をみて塩を加えてもよい。
・密閉ビンに入れてEVオリーブオイルで覆い、しっかり蓋をする。
・パスタソースにする時はパスタのゆで汁1/2カップでマンテカーレする。

5分でできるそうですよ。
簡単すぎて拍子抜け。


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2019年8月19日月曜日

アサリのパスタのリチェッタは、シンプルなようで深~い

アサリのパスタの話題は度々取り上げているのですが、今月の「総合解説」P.14
にもある通り、イタリア中どこにでもあって、何州のパスタ、とはとても言いきれません。
でも、多分みんなが考えている通り、イタリア人も本場はナポリ料理だと考えているみたいですね。
ナポリ料理といえば、最近入荷した本、『リチェッテ・ディ・ナポリ

がとても興味深く、そのブログ“WINE & FOOD BLOG”が、エノガストロノミーの分野ではアクセス数がイタリアでナンバー1だというので、早速 このブログのあさりのパスタを探してみました。
そうしたら、「スパゲッティ・アッレ・ヴォンゴレの材料は3品で十分」という記事がありました。
早速訳してみます。
「それはにんにく、オリーブオイル、アサリだ。
トマトやイタリアンパセリなど他の材料はいらない。
アサリの汁の味が全てなので、EVオリーブオイルはできるだけマイルドな風味のものを選び、にんにくは軽く焼き色がつくまで焦がさないように炒める。
そしてなによりも、たっぷりのオリーブオイルがこの料理を引き立てる。
フォークで刺した時や噛んだ時に、つるつる滑るくらいがいい。

スパゲッティ・アッレ・ヴォンゴレSpaghetti alle vongole
Virginia Di Falcoのリチェッタ

材料/2人分
アサリ・・700g
スパゲッティ・・200g
にんにく・・2かけ
EVオリーブオイル・・大さじ6
粗挽きこしょう、塩

・深さのある口の広いフライパンに油とにんにくを入れてよく炒める。しっかり砂抜きしたアサリを入れる。
・蓋をして熱し、貝の口を開ける。
・2個味見してパスタの塩加減を決める。
・にんにくを取り除き、アサリの殻はきれいで大きなものを数個残して全部取り除く。
・料理のポイントとなるスーゴの濃さを調整する。
・オイルが適量で薄すぎる時は2分煮詰める。
・スパゲッティは表示時間より少なくとも3分短くゆでてスーゴのフライパンに加え、30秒なじませる。
・皿に盛り付けてこしょうを挽きながらかけてすぐにサーブする。

おすすめワイン:ビアンコレッラ・ディ・イスキア、グリッロ

なるほど、さすがは作る人の数だけリチェッタがある料理ですねー。
どこにポイントを置いているかがよく分かる料理でもあります。



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総合解説
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2019年8月16日金曜日

プーリア料理は美味しいけど聞いたことないものばかり。今日はルスティコ・レッチェーゼ

今日の料理はルスティコ・レッチェーゼ。
レッチェーゼと言うからには、レッチェの料理ということはよくわかります。
レッチェって、どこにあったっけ。
そうだ、プーリアです。
実は初めてレッチェに行った時、素晴らしいバロック建築や、バールやカフェやパン屋やロスティチェリーアと、どこで食べてもスーパー美味しい食べ物に大感激したくせに、数年後には、話題に登ることが全く無くて、すっかり忘れているという残念なくらいのマイナーさ。
ルスティコ・レッチェーゼも、聞いたことないなあ。


南のフィレンツェと呼ばれているんですね。

「総合解説」の記事は『サーレ・エ・ぺぺ』からですが、
なんとこの記事、
「ルスティコはサレント半島のストリートフードの王様だが、プーリア以外では、いやプーリアでもサレント半島以外ではあまり知られていない・・・」
と、いう自虐ネタで始まります。
レッチェではどのバールやパスティッチェリーアでも売っているそうですが、私は食べた記憶は・・・ない。

レストランのメニューには滅多にないそうですよ。
あくまでもストリートフード。

見た目はヴォロヴァンのよう。
詰め物にはトマトとモッツァレッラにベシャメルを加えます。
どう考えてもフランス風。

ナポリ料理の時にさんざん登場した、ブルボン王朝の影響です。
南イタリアは両シチリア王国(首都はナポリ)の領土でしたから、プーリアにもモンズー(貴族に仕えるムッシューことフランス人料理人)がいたのです。
フランスの貴族料理が南イタリアの庶民の料理と結びついて生まれた料理です。

ルスティコ・レッチェーゼのお勧めの店の一つ、ロスティッチェリーア・モスカータ


もう1軒、カフェ・アルヴィーノ。

パ、パラダイスだ~。





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“ルスティコ・レッチェーゼ”のリチェッタとショップガイドは「総合解説」2017年7/8月号P.25に載っています。
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2019年8月14日水曜日

サルデーニャのビーチでカボチャのスキアッチャータ、コッコイ・エ・コルコリーガを

夏になると海、ですよね。
ヨーロッパには、ブルーフラッグビーチというビーチの格付けがあります。
イタリア語ではバンディエラ・ブルーBandiera blueと言います。
世界40カ国以上で実施されている30年前から続くシステム。
2017年は342箇所のビーチが選ばれました。
当時日本のビーチは皆無でしたが、今は4箇所が選ばれているそうです。

水質だけでなく、サービスの質も評価されます。
人手が入りにくい、アクセスが困難な場所にあるビーチが多いです。
今月の「総合解説」で紹介しているのも、初めて聞いた名前の場所ばかり。

さあ、それでは行った気になれる動画をどうぞ。
まずはサルデーニャのカーラ・ゴロリッツェCala Goloritzé。

次はプーリアのヴィニャノティカ湾。

最後はカラブリアのバイア・ディ・アルコマーニョ。

どこも、周囲の自然と合わせて素晴らしいビーチですね。

さらに、「総合解説」で紹介しているビーチの名物は、ビーチで食べたら美味しそうなものばかり。

まずはサルデーニャの野菜のスキアッチャータ、“コッコイ・エ・コルコリーガcoccoi e corcoriga”

粗くおろした野菜と小麦粉を混ぜて平らに広げて焼きます。
カボチャとズッキーニ入りのお好み焼きみたいですね。
子供の頃、プールに行った帰りに食べた干しエビのお好み焼きが、まさにこんな薄焼きで、四角く切ったのを新聞紙で巻いてあったっけ。
見ただけで夏の思い出が蘇ってくるなあ。
サルデーニャ版はオーブンで焼くのがヨーロッパ的。

この動画のリチェッタは、
小麦粉・・240g
玉ねぎ・・1個
トマト・・1個
にんじん・・小3本
カボチヤ・・1/4個
ズッキーニ・・2本
オリーブオイル・・大さじ4
塩・・小さじ3

野菜と油・塩をよく混ぜて小麦粉でつなぎ、
オーブンシートで覆った天板に広げて平らにしたら
200℃のオーブンで20分焼きます。
冷めて固まったらカットします。

コッコイとはサルデーニャの装飾的なパーネ・ドゥーロの生地のパンのことですが、この料理のようなスキアッチャータもコッコイと呼ぶのですね。
コルコリーガはカボチャやズッキーニなどウリ科の野菜のこと。

プーリアのビーチの料理として紹介していたのは、おなじみ、白インゲンとムール貝のブルスケッタ。
ムール貝のブルスケッタという発想、なかったな。

白インゲンとムール貝の場合、
・にんにく2かけをEVオリーブオイルでソッフリットにし、トマトソース大さじ2を加えます。
・にんじんとセロリ各1片といんげん豆の汁少々を加えて煮詰めます。
・イタリアンパセリのみじん切りと粉唐辛子少々を加えます。
・カンネッリーニ(白インゲン)大さじ6~7を加えてなじませます。
・ムール貝20~25個を加え、蓋をして熱して貝の口を開けます。
・にんじんとセロリを取り除いてパンにのせてサーブします。

一度でいいからビーチで食べてみたい。


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“ビーチの名物”のリチェッタは「総合解説」2017年7/8月号P.22に載っています。
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2019年8月12日月曜日

タリアータとメイラード反応とフロッラトゥーラ

今日のお題はタリアータtagliataです。
「総合解説」2017年7/8月号P.18を御覧ください。
これらの美味しそうな料理の元は、牛のサーロインです。
表面の焦げた焼き色は、メイラード反応のお手本のよう。
香ばしい香りが伝わってきそうです。
スライスすると、ジューシーなアルサングレの赤身肉がぷるぷる現れて、なんて素敵な光景でしょう。
暑くて食欲がなくても、こんな料理を見ると元気が湧いてきます。

サーロインはイタリア語ではコントロフィレットcontrofiletto。
アル・サングエal sangueはレアのイタリア語。

料理学校に通ったことのない私が、メイラード反応Maillard reactionというものを知ったのは、カルロ・クラッコシェフの本、『ディーレ・ファーレ・ブラザーレ』でした。

この本は、料理の基本テクニックについて語った本です。
“焼く”についての考察の中で、メイラード反応についてじっくり語られています。
料理の基本中の基本で、学校では必ず教わるのでしょうが、私はこの本を読むまで知りませんでした。
それ以来、私の中ではメイラード反応を教えてくれた人はクラッコシェフです。

美味しいタリアータを作るには、メイラード反応の知識は不可欠。
でも、記事によると、もっと大切なのが肉を熟成させることだそうです。
家庭の冷蔵庫では限界がある肉の熟成。
調理以上にプロの仕事。
 ↓

30日と60日熟成させた肉
 ↓

美味しいタリアータ作りは、熟成のうまい肉屋を探すことから始まるのでした。
肉が手に入ったら、肉本来の味とジューシーさを引き出すように調理します。
「総合解説」には4点のリチェッタをのせています。



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“タリアータ”のリチェッタの日本語訳は「総合解説」2017年7/8月号に載っています。
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2019年8月9日金曜日

イタリア料理の大きな魅力、個性豊かな地方料理

「総合解説」の話に戻ります。
“『クチーナ・イタリアーナ』のリチェッタ”P.6~は、地方料理のリチェッタを中心にピックアップしました。
イタリア料理の大きな魅力の一つ、地方料理の世界を楽しめます。

最初の1品は“トスカーナ風クロスティーニ”。
パーネ・トスカーノは、手に入りやすい食パンで代用します。
イタリアでも、トスカーナ以外ではトスカーナのパンは手に入れにくいんですね。
パンは代用しても、脾臓は代用しないのでした。
イタリア語ではミルツァmilzaと、消化器系内臓とは思えない素敵な名前。
ちなみにバレルモ名物のパーネ・カ・メウザは脾臓のパニーノのこと。
つまり脾臓はメウザ。

私はフィレンツェに行くまで脾臓なんて、見たことも聞いたことも、当然食べたこともありませんでしたよ。
それどころか、鶏のレバーのクロスティーニも知らなかったなー(遠い目)。
内蔵をパンにのせたりはさんだりする食べ方は、考えてみると、すべてフィレンツェで初体験しましたねー。
その後、パレルモでも内臓のパニーノまみれになりましたが、フィレンツェの内臓料理は、とても食べやすかった気がします。


脾臓は子牛のものを使います。


次の地方料理はパッサテッリ。
とても個性的なプリーモで、エミリア・ロマーニャやマルケの農民料理のミネストラ。

次は、グラノ・アルソのシャラティエッリ。
グラノ・アルソはプーリアの名物ですね。
刈り株を焼いた後の畑で集めた小麦のこと。
貧しい農民の中でもさらに貧しい人々の食料でした。
現代では、小麦をトーストして人工的にスモーク香とほろ苦さを加えています。
記事にはそば粉でも代用できると書いてありました。

グラノ・アルソのパスタはプーリアを旅すればかなりの確率で出会うはず。
私はなんの知識もなかったので、色が黒い、程度の印象しか覚えていません。
もったいなかったなあ。
一方、シャラティエッリはカンパーニア生まれの歴史の短いパスタ。
この人のおかげで国際的に有名になりました。
 ↓

南イタリアのレストランや食文化を紹介する素晴らしい本、『トラディツィオーネ・グスト・パッシオーネ2

によると、シャラーレscialareはナポリの方言でたっぷりという意味。
伝統的なリチェッタは、小麦粉、卵、水のパスタですが、
地元アマルフィ海岸のサンタガタ・スイ・ドゥエ・ゴルフィのリストランテ・ロ・ストゥッツィキーノでは、シェフの父親が、水の代わりに牛乳を使ってリッチ(ある意味たっぷり)なパスタにしていたそうです。
牛乳入りパスタのリチェッタは本のP.168に載っています。
よく知られているのとは違う説です。
ちなみに、シェフのパオロはドン・アルフォンソで長く働いていました。
この町の山上にある修道院は、2つの湾を見渡せる眺望で有名ですが、歩いてしか行けないので、登って降りてくると、お腹が空いてストゥッツィキーノ(軽食)が欲しくなる、というので店の名前を決めたのだそうです。
親子でダシャレ好き?

こんなアマルフィのパスタも、グラノ・アルソを使うとプーリアのパスタになっちゃいますね。

最後にオリジナルのリチェッタから、グリーンピースのコロッケのいちごのマヨネーズ添え。
マヨネーズにイチゴが入ると、魔法のようなピンク色のソースになります。
とても小さく丸めたグリーンピースのコロッケもかわいい。
写真は「総合解説」のページにあります。

イタリアの旅は美味しい料理と出会う旅。
どの料理にも人それぞれの楽しい思い出が・・・。




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“『クチーナ・イタリアーナ』のリチェッタ”は、「総合解説」2017年7/8月号P.6に載っています。
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2019年8月7日水曜日

ナポリ料理が地方料理からイタリアを代表する料理になったのはある意味フランス料理に似ていたから

新着本のご案内です。

ルチアーノ・ピーニャターロ著『リチェッテ・ディ・ナポリ』です。


ルチアーノ・ピーニャターロさんはナポリの“イル・マッティーノ”という新聞の記者。
ヴェロネッリ賞を受賞したこともある有能なジャーナリストで、ナポリ、及び南伊の食とワインに造詣が深く、レストランやワインの格付け本の編集にも携わっています。
現代のナポリ料理を語るには、ぴったりの人。

“Napoli e cibo”と題されたこの本の前書きは、ジャーナリストらしい、こんな話で始まります。
「地方料理の集合体のイタリア料理は、ナポリ無しでは存在しない。
ナポリの食は、トスカーナの言葉、ピエモンテの政治統一、ミラノの経済のようなものだ」
その後の文章には、かつてはパリに次いで世界最大の都市だったナポリ、という言葉が度々登場します。
「大都市のナポリにはバリエーション豊かな食文化が花開き、貧しい庶民のために食べてすぐお腹が一杯になるパスタや、モンズーが作るフランスからの豪華でバロックな料理が生まれた。
ナポリのモンズー料理は、肉の代わりにマカロニと野菜を駆使した。
味の専門家の職人が作る肉体労働者のためのストリートフードも広まった。
家庭料理が家庭から外に出るとガストロノミー(美食学)が生まれる。
美食学は特定の分野に秀でた料理人のグループを生み出し、リチェッタを集める評論家を生んだ。
田舎で親から子へと口伝で伝えられていたリチェッタを、集めて文書にする必要が生まれたのだ。
ナポリ料理は、フランス料理と同じく、優秀な料理なのだった」

地方が発展して労働者階級が生まれると、地方の家庭料理が大都市の料理になります。
家庭の母親から専門知識を持った料理人へと食文化の担い手が変わり、ガストロノミーが誕生します。
なるほどです。
しかも、貴族料理が存在したナポリ。
両シチリア王国の支配者、ブルボン家の貴族料理を担ったのが、その料理人たち、モンズーです。
ナポリ料理とフランス料理の類似性を、これほどズバリと指摘されると、今までなんでそう考えなかったのか、逆に不思議になりますねー。
余談ですが、ブルボン朝が成立した時の財力は、カテリーナ・デ・メディチがイタリアから持ってきたメディチ家の財産に支えられていたそうです。
因果はめぐりますねー。

前書きはまだ続くのですが、面白いですよー。
ほとんどのリチェッタは、提供元のレストランのシェフの名前つき。
リチェッタはとてもシンプルで読みやすいです。
約650品収録と、とても分厚い本ですが、写真は一切ありません。

ナポリ料理の本をチェックする時はトマトソースのパスタのリチェッタを見るのですが、
ナポリといえばピエンノロのトマトのスパゲッティ。
この本で紹介しているのはピエンノロ2010の受賞者のリチェッタだそうです。
さらに、昔と今の2種類のリチェッタをのせています。
どこが違うかというと、パスタのゆで方。
昔のやり方でゆでている人の中には現代風のやり方には異論もあるだろう、と書いてありますねー。
これも参考になりました。
ガラ系からスマホに切り替えられない昭和世代、て感じでしょうか。
パスタのゆで方も、昭和世代はそろそろついていけなくなるかも。
現代の"passive"(受動的)なゆで方。

さらに詳細に

専門知識を追求する職人の集団が美食学を担い、親から子へと口伝で受け継がれた家庭料理でないイタリア料理が生まれるのでした。




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総合解説
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2019年8月5日月曜日

トマトソースのスパゲッティはバロックだ。

今月の「総合解説」を訳していて、一番印象に残った言葉は、
前回にもちらっと出てきましたが、『サーレ・エ・ペペ』編集長の記事に登場した名言です。

「私たちは食べたものでできている。
つまりイタリア人はトマトソースのパスタでできているのだ」

こう言い切れるには、どれだけトマトソースのパスタを食べてきたんだろうなあ。
多分、ほぼ毎日でしょうねえ。

編集長のエッセイは、あるイタリア人の作家が、トマトソースのスパゲッティを
“バロックだ”と語ったというエピソードも紹介しています。

黒川記章が奥様の若尾文子の美しさを、「バロックのような人だ」と例えたというのは有名な話。
バロックとは何かというのはとてもむずかしい話ですが、この話を知って以来、私は、バロックというのは癖のある美を言い表す言葉だと、単純に信じ切っていました。

トマトソースのスパゲッティはバロックだ。by ピエロ・キアラ。

残念ながらピエロ・キアラさんのことは何も知りませんが、トマトソースのスパゲッティがバロックだという発想の裏を考えた時、美しさ、いびつさという表面的なこと以上の意味がこの言葉には込められているのかも、ということに初めて気が付きましたよ~。
料理雑誌の編集長にイタリア人はトマトソースのパスタでできている、と言わせ、言葉のプロの作家にバロックだと言わせるトマトソースのパスタ、もちろん、シェフたちも様々なトマトソースを考え出してきました。
編集長は、様々なシェフの料理を引用していますが、最初に揚げているのがカルロ・クラッコシェフがその本『クールにしたいならエシャロットを使う』で赤裸々に語ったトマトソース。

昔、このブログでも紹介ししていました。こちら
考えてみると、イタリア人にとってトマトソースのパスタを語るということは、母親や子供時代を語ることにほかならないようで、それぞれが、最大限の評価と愛情を捧げているのがひしひしと伝わってきます。

さらに、常に新しいリチェッタを考えているシェフたちの間で、最近ではあこちで見かけるのが“acuqa di pomodoro”。
ハインツ・ベックシェフはトマトをミキサーにかけて漉して取った水、トマト水でパスタをゆでるんだそうです。

トマト水の作り方は人それぞれですが、トマトをミキサーにかけて漉すのが一般的。


編集長にとってのトマトソースのパスタは、母親が作る家庭の味だそうです。
クラッコシェフを始めとする多くのイタリア人に共通のイメージなんでしょうね。

「総合解説」にリチェッタが載っている“スパゲッティ・ピッツァ・マルゲリータ”は、コンバル・プント・ゼロのダヴィデ・スカヴィンシェフの1品。
革命的なリチェッタを集めた本、『パスタ・レボリューション』にも載っています。


かなりクセのありそうなシェフですが、
最近ではスパゲッティ・ピッツァ・マルゲリータの名前を目にすることも増えてきました。

夏の“編集長のメニュー”は、
“トマトソースのパスタ”、
“進化系パンツァネッラ”、
“チェリーモッツァレッラのマリネ”、
“ミニレモンスフレ”、
と続く、暑い季節の、家庭の思い出も感じられる都会向きのメニューでした。



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“編集長のメニュー”の日本語訳は、「総合解説」2017年7/8月号P.3に載っています。
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2019年8月2日金曜日

ナポリの赤い金ことトマトは、やばすぎる火山に挟まれた火山の落とし子でした

夏の食材の続きです。
「総合解説」P.2を御覧ください。

まずはポモドリーノ・デル・ピエンノロ・デル・ヴェズヴィオ。

7月に収穫して、こうして干すと6~7ヶ月保存できます。
何度見ても飽きないなあ。

イタリア料理の基本中の基本、トマトソースのパスタですが、これにはいくつかバリエーションがあります。

以前、ナポリ料理のお勧め本、『クチーナ・ディ・ナポリ

を紹介したときにも触れました。こちら

トマトソースの基本その1は、生トマトで作るトマトソース。
バリエーションその1は、生のトマトが出回らない季節、つまり夏以外の、干しトマトや瓶詰めトマトで作るトマトソース。

このバリエーションその1の中でも、地元にどれだけ近いかによって、手に入るトマトが違います。
ほぼ地元でのみ作ることができるのが、このポモドリーノ・デル・ピエンノロ・デル・ヴェズヴィオのトマトソース。

今月の「総合解説」P.3の記事、“編集長のメニュー”は、『サーレ・エ・ぺぺ』の編集長のエッセイを交えた料理の記事ですが、今月は、トマトソースへの考察から始まりました。

「・・・私たちは食べたものでできている。
つまり、イタリア人はトマトソースのパスタでできているのだ」

さらに言えば、ナポリ人の何%かは、この干しトマトのソースのパスタでできている訳です。
地元ではとても人気のあるトマトですが、地元以外では殆ど知られていません。

このトマトは、ヴェズヴィオ山麓の火山性土壌でのみ路地栽培されています。
春に種を巻いて7~8月に熟します。
6月20日から8月31日の間に手作業で房ごと収穫して、冬~春まで、温度と湿度が適切な場所に吊るして干します。

ピエンノロは房という意味。
トマトはポモドリーニ・デル・ヴェズヴィオ
ヴェズヴィオ山はヨーロッパで一番危険な火山と言われています。
ナポリは西に、カンピ・フレグレイという超巨大火山もあります。

スーパー火山、カンピフレグレイ、怖すぎる。
山じゃなくてカルデラ。


1001スペチャリタ』によると、

火山性土壌はカリウムや微量元素を豊富に含む豊かな土壌で、上質なフルーツや野菜ができるのだそうです。
野菜の代表がトマトです。
ヴェズヴィオの火山性土壌は、山から麓を通って海まで続いています。

ひょっとしてナポリって超危険な火山2つに挟まれた、超やばい場所なのでは。



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“今月の食材”は「総合解説」2017年7/8月号P.2に載ってています。
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