だから多分、各漁港ごとにこういう料理があるはず。
その中でも、美味しくて作りやすいものは陸の家庭にも広まり、独特の名前が付けられて、町全体の名物料理になりました。
さらに有名なものは、ブイヤベースやサルスエラのように、その国のズッパ・ディ・ペッシェの代名詞にまでなりました。
スローフード出版のリチェッテ・ディ・オステリーエ・ディタリアシリーズ『イル・ペッシェ』によると、
ズッパ・ディ・ペッシェは、アドリア海側北部ではブロデットと呼ばれていますが、プーリアなど南部と反対のティレニア海側では、グアッゼットguazzetto、またはズッパと呼ばれ、質素な魚の他に、カニやクルマエビなど、甲殻類が入るのが特徴。
一般に、グアッゼットはズッパより軽くて上品。
ホウボウのグアッゼット
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トスカーナの名物ズッパ・ディ・ペッシェはカッチュッコcacciucco。
リヴォルノ風とヴィァレッジョ風が知られています。
だから、カッチュッコと呼ぶだけでなく、リヴォルノ風かヴィアレッジョ風かをつけて、地元愛を強調します。
ヴィァレッジョ風カッチュッコ。
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リグーリアはブリッダburiddaやチュッピンciuppin。
イタリア各地の主なズッパ・ディ・ペッシェはざっとこんなところかなあ。
地中海各地のズッパ・ディ・ペッシェは、とてもよく似ています。
基本は香味野菜のソッフリットに魚と水分を加えて、煮たもの。
これに唐辛子やキノコ、トマトが入ったり、といったバリエーション。
とにかくリチェッタは、家庭ごとに違うので数が多すぎて、どこから手を付けたらいいのか。
テラスで優雅にアブルツォ風ブロデットを作るおじさま。
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フライパンがテラスに作りつけなんですねー。
バーベキューもいいけど、庭でズッパ・ディ・ペッシェもいいですねえ。
それをテラコッタの器に盛り付けて食べる。
これぞ地中海!
そういえば、ズッパ・ディ・ペッシェは、鍋ではなく、幅の広い浅鍋やフライパンで作るんですねえ。
水分はトマトぐらいしか加えないので、深い鍋は必要ない。
魚の旨みが少ない水分に凝縮されて、美味しーいブロードになります。
こちらのヴァスト風ブロデットはテラコッタの鍋で煮てますねえ。
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“ラ・グランデ・クチーナ・レジョナーレ・イタリアーナ”シリーズの『アブルッツォ・エ・モリーゼ』によると、アドリア海沿岸は各街に独自のブロデットがあって、中でも有名なのは、とにかく魚の種類が豊富なジュリアノーヴァ風Giulianova(アブルッツォの北の端)と、トマトと唐辛子入りのヴァストVasto風(南の端)なんだそうです。
ヴァストのスローフード主催で行われたヴァストとジュリアノーヴァのブロデットの食べ比べ。
真っ平らなお皿に盛りつけるんですねえ。
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両者のリチェッタは次回に。
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関連記事“港のズッパ”は、「総合解説」2011年6月号に載っています。
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この前ヴィアレッジョのレストランで修業していたというシェフの店に行ったのですがリボルノより軽いと言っていました。(ヴィアレッジョ行ったことあると言ったら驚いていましたw)
返信削除コメントありがとうございます。ヴィアレッジョとリボルノの食べ比べができるとは、うらやましいですねえ。今、どんな味のズッパ・ディ・ペッシェを作っているのか、興味あるなあ。
返信削除ヴィアレッジョは、言われてみれば、あまり行かない場所ですね。そこで修行していた人もいるもんなんですねえ。
くるりでございます
返信削除くるりさんかトスカーナにも投稿してくれるなんて、ヴィアレッジョで話が続くなんて、信じられない。
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