今日は魚の話。
『ヴィエ・デル・グスト』の解説です。
今日取り上げる魚はマトウダイ。
学名はZeus faber
↓イタリア語では、ペッシェ・サン・ピエトロPesce San Pietroと言います。
サン・ピエトロとは、バチカンのサン・ピエトロ大聖堂の名前の由来にもなっている聖人、聖ペトロのこと。
サン・ピエトロ大聖堂
たいていの日本人は気にもとめませんが、大聖堂の前には鍵を持つ聖ペトロの大きな像があって、キリスト教徒の皆さんの人気の記念写真スポットとなっています。
サン・ピエトロ大聖堂は、聖ペトロの墓の上に建てられたと言われています。
なにしろ聖ペトロは、イエスの12使徒の筆頭で、天国の鍵をイエスから受け取ったとされ、初代のローマ教皇とみなされている大物。
この聖人にまつわる伝説はたくさんあります。
例えば、意味は知らないけれど聞いたことがある言葉、「クオ・ヴァディス」。
これは聖ペトロが、迫害から逃れてローマを離れようとした時、ローマに向かって歩くイエスを見て言った「どこへ行くのですか」という言葉のラテン語。
また、最後の晩餐でイエスがペトロに言う予言、(イエスの弟子かと問われた時)「鶏が鳴く前に、あなたは三度私を知らないと言うだろ」という話を知っていれば、『聖☆おにいさん』で、警察からのイエスの身元確認の電話に、本当にイエスが困っているのか、それともオレオレ詐欺か疑ったペトロが、「知らないって3回言ってニワトリが鳴いたら本物じゃね?」というセリフで噴き出せます。
(『聖☆おにいさん』を知っている人なら分かってもらえるはず!)
そんな聖ペトロの言い伝えの1つに、マトウダイが登場する話があるんですねえ。
ある町で、キリストと弟子の一行が、役人に税を払えと言われます。
そこでキリストはペトロに、海に行って魚を釣ってくるように言います。
その口の中に硬貨が一枚あるから、それを納めるように、と予言するのです。
ペトロが言われたとおりに魚を釣って見ると、本当に口の中から銀貨が!
その魚には、その時ペトロがつまんだ指の跡が、黒い円形になって両面に1つずつ残ったのだそうです。
きっと片手でつまめるほど小さなマトウダイだったんですね。
マトウダイの話、次回に続きます。
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関連誌;『ヴィエ・デル・グスト』2009年1月号
“マトウダイ”の記事は、「総合解説」'08&'09年1月号に載っています。
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