今日はトルタ・フリッタの話。
『ガンベロ・ロッソ』の記事、「フリット・ミスト」の解説です。
トルタ・フリッタは、エミリア地方の揚げパン。
同じものが、パルマではトルタ・フリッタ torta fritta 、モデナではニョッコ・フリット gnocco fritto 、ボローニャではクレシェンティーネ crescentine という名前で呼ばれています。
それだけでなく、ピアチェンツァではキソリーニ chisolini 、フェッラーラはピンツィーノ pinzino といった具合。
あんな狭い範囲で、どうしてこんなに名前が違うんでしょうねえ。
個人的には、ニョッコ・フリットという音の響きが、ダントツに気に入ってます。
クレシェンティーネ, photo by Robyn Lee
エミリア地方では、生ハムやサラミには、この揚げたてのトルタ・フリッタが付きもの。
おいしそう~
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http://picasaweb.google.com
食事の時にパン代わりに食べたり、スナックにしたり、アペリティーヴォにしたりと、食べ方は色々。
とてもシンプルな揚げパンですが、作り方は隣合った家でも違うんだそうで。
ネット上をざっと見ても、見事にバラバラ。
こちらの人は、ひし形に切ってます。
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www.coquinaria.it
生地の大きさや厚さも人それぞれですが、特徴は、中が空洞ということ。
このシェフのトルタ・フリッタは卵入り
トルタ・フリッタとパルマの生ハムは、エミリア地方では切っても切れない関係。
ところが、パルマの生ハムはエミリア地方の外にも広まったけれど、トルタ・フリッタはおいてけぼりをくらったようですねえ。
塩気の利いた生ハムと油で揚げたパン、そして赤ワイン、という組み合わせは、確かに、あまり地中海風じゃないなあ。
かといって、中央ヨーロッパ風(ドイツとかオーストリアとか)でもないし・・・。
エミリア地方限定の味、というわけですね。
生ハムのほかに、パルマでこのトルタ・フリッタに添える定番の一つが、スパッラ・コッタ spalla cotta 。
こんなハム
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www.laporchetta.it
どうやって作るかというと、まず、豚の肩肉の塊に塩とこしょうをまぶしながら約15日間寝かせます。
これを牛や豚の膀胱に詰めて縛り、吊るして15日~1か月熟成させます。
仕上げに80度から90度で7~8時間ゆで、ゆで汁に漬けたまま冷まします。
冷めてから食べてもいいけれど、温かいものを、少し厚めにスライスして食べるのがおいしいんだとか。
パルマ地方出身の作曲家、ジュゼッペ・ヴェルディは、このスパッラ・コッタが大好物でした。
知り合いにスパッラ・コッタを贈った際に、どうやって食べればいいか、細か~く教えている手紙が残っています。
パルマのプロシュット・クルードとスパッラ・コッタ、パルミジャーノ・レッジャーノ、そしてトルタ・フリッタ。
これだけパルマの味がそろったら、ワインもパルマ産ですね。
コッリ・ディ・パルマDOCというのがあります。
ぶどう品種はバルベーラとボナルダ・ピエモンテーゼ(クロアティーナ)。
パルマの生ハム, photo by Juan E
パルミジャーノ・レッジャーノ, photo by Ivano
パルマのドゥオモ広場, photo by Francesca Fiorini
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関連誌;『ガンベロ・ロッソ』2007年8月号(クレアパッソで販売中)
“フリット・ミスト”のリチェッタは、「総合解説」'06&'07年8月号、P.11に載っています。
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