2024年8月5日月曜日

打倒寿司、トリッパ万歳なローマ料理。

今日のお題はローマ料理です。
ローマ料理は、ナポリ料理と共にイタリア料理のイメージを作り上げているベースになっている地方料理の一つですが、その柱は、ゲットー、テスタッチョ、カステッリの3つです。
ローマ料理は庶民的で、大勢で賑やかに楽しむ料理。そもそも昔から、『打倒寿司、トリッパ万歳!』という傾向があります。ゲットーは、ユダヤ人の強制居城地域。きのうの動画で初めて知りましたが、買い物する場所まで限定されていて、食材を仕入れるのも大変でした。

ローマのユダヤ人コミュニティーはヨーロッパ最古のもので、ユダヤ人は紀元前からローマに暮らしていました。ゲットーはテベレ河左岸の限られた狭い貧しい地区で、ユダヤ人は教皇によって多くの権利をはく奪されて虐げられていました。中世以降、スペインやポルトガルによるユダヤ人排斥が始まって、1967年の第三次中東戦争まで、ローマには多くのユダヤ人がレバノンのトリポリから難民としてやってきました。現在、ローマのユダヤコミュニティーの約50%がこうした人たち。
トリポリ系ユダヤ人はイタリアのユダヤ人の中で最も多く、ローマのユダヤ料理にも影響を与え、その結果、ローマの食材を使ったシンプルな料理に、地中海の豊かな味や香りが加わりました。
公式には1870年にローマのユダヤ人地区は廃止されましたが、アレヌーガ通りとボルティコ・ドッタヴィアの間は、今でもゲットーと呼ばれて昔の面影を残しています。

ぶっちゃけ、トリポリとか、レバノンとか、どこにあるのかも知らない・・・。

トリポリのストリートフード。

ローマのユダヤ料理と中東料理のフュージョンを出す店、“バ・ゲットー”。
常に過去を見ながら未来を展望する料理、革新と伝統がテーマの料理を出してアメリカをはじめとする世界中に広まった店。

ユダヤ料理は、宗教の戒律を守るので、動物によっては食べるのが禁じられているものがある(豚、タコ、イカ、貝などの軟体動物、馬)。血を食してはいけないという厳格な掟のため、家畜を捌く方法も定められている。調理過程や盛り付け時に肉とミルクを混ぜてはいけない、という掟もある。
 という訳で、ローマのユダヤ料理レストランでは、これらの戒律を守った料理を出しています。ラビによる点検も頻繁に行われています。

金曜日はユダヤ教の安息日、シャバットの前夜。
祝日のお菓子もラビが検査した戒律に合ったもので、ラードは使いません。:ゲットーでドルチェが大人気の店、200年以上の歴史があるボッチョ―ネは祝日のドルチェを買う人たちで賑わいます。
毎朝、巨大なコルネッティとヴェネツィア―ナ、三つ編み型の大きなブリオッシュのようなユダヤのパン、ハッラーが焼き上がります。午後はカボチャの種に塩を振ってオーブンで焼いたブルスコリーニ、ユダヤ風ピッツァなどを焼きます。
この店の人気のドルチェ、サワーチェリーのクロスタータのリチェッタは(CIR3月号P.42)。

リコッタケーキも名物。

このようにローマ料理にすっかり溶け込んだユダヤ料理。今や、ローマ料理とユダヤ料理の線引きが難しいほどです。例えば、ローマの古い料理、ブロード・ディ・ペッシェは、今ではローマのレストランの人気メニューですが、ゲットーでユダヤの女性たちが魚市場の売れ残りを集めて作りだしたもの。そういえば、ゲットーはテベレ河左岸にあり、元は魚市場でした。魚がシンボルのこの地区は、ティレニア海添いの町、オスティアからの荷物の積み下ろしがしやすい場所でした。
 職業まで制限されていたユダヤ人は、ローマのとさつ業を独占していました。内臓は、別名“クイント・クアルト”と呼ばれます。クイント・クアルトの料理が生まれたのが、ローマの2つめの柱、テスタッチョ地区です。
3つめのカステッリ地区は、ローマの端っこ、ここより向こうはローマじゃなくなると言われているローマの農民文化の中心地。

ローマ料理はディープで掘れば掘るほど面白い料理です。
そういえば、今日はテスタッチョの話するはずでした。多分次回に・・・。

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(CIR)は『クチーナ・イタリアーナ』と『サーレ・エ・ペペ』という2冊のイタリア料理の月刊誌のリチェッタと記事を日本語に翻訳した約50ページの小冊子です。
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