イカの卵をきっかけにベネチア料理の話をしてきましたが、今日は、アドリア海の真珠とか女王と呼ばれるベネチアが接しているもう一つの環境、潟(ラグーナ)を代表する珍味の話。
それはモエケmoeche(ソフトシェルクラブ)です。潟は海と大地がミックスされた環境。ポー河の土砂が堆積されて生まれました。ベネチアはラグーナの上に築かれました。できた時からラグーナがあったベネチアは、ラグーナの使い方を熟知していました。魚は小型で、貝は、アサリ、ムール貝、ホンビノス貝(イタリア語ではタルトゥーフィ・ディ・マーレ)などが豊富に取れます。さらに、カニgranseolaも潟の名物です。
ベネチアとラグーナ
モエケは脱皮したてのカニ。殻が柔らかい脱皮直後の数日しか食べることができません。脱皮は年に2回行います。春(3月と4月)と秋(10月、11月)です。人間はこの間、カニをじっと監察して脱皮の兆候を見極めます。
granseola(ヨーロッパタカアシガニ)は地中海の宝なんだそうです。ベネチアではとても人気があり、グランソポロgransoporoとも呼ばれています。
グランセオラの料理と下ごしらえ
モエケはフリットにします。私もモエケを食べるためにベネチアに行きましたが、まだカニの貴重さもよくわかってないド素人で、エビの素揚げみたいな味だなあ、なんて思ったものです。モエケを学名で調べたら、チチュウカイミドリガ二とでできました。日本の内海にもいて、要注意外来生物なんだって。なんでも食べちゃって、世界で最も侵略的な種だそうです。
モエケのフリット
ワインがいくらでも進みます。
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