2023年9月26日火曜日

パン粉は日本製のpankoと西洋のpangrattatoの2種類に分かれた。独自のパン文化があるイタリアでは、その代用品の研究も行われている。

アンチョビの話、調べれば調べるほど、イタリア料理との深いつながりが分かって、どんどん横道に逸れてしまいましたが、そもそもは、(CIR/クチーナ・イタリアーナレジョナーレ2021年7月号)の記事、“アンチョビ風味”のリチェッタ(日本語のリチェッタはP.32)の話です。
今日の料理は“ペンネ・リピエーネ・グラティナ―テ”です。
普通はペンネ・リガ―テなのに、よく見ると、ペンネ・リピエーネ。
小さなショートパスタに詰め物?
まあ確かに、詰め物したくなるような穴は空いてるけど・・・。
見たことないです、ペンネ・リピエーネなんて。

この料理のリチェッタを見ると、まず気が付くのは、パン粉。
普通のパン粉はpangrattatoですが、このパン粉はpane panko。つまり日本製のパン粉です。
以前から見かけるようになりましたが、最近は、pankoの文字もよく見ます。

下の動画はイタリア語で聞くpankoの詳細な歴史。西洋のパン粉との違いも説明しています。


イタリアでもpankoは急速に広まっているようですね。
pankoの製造方法を研究し、なぜpankoは美味しいのか、そして美味しいpankoの造り方が徹底的に研究されているようです。
そして今回のリチェッタでは、pankoの代わりに砕いたグリッシーニを使うことを提案しています。

グリッシーニ。

グリッシーニはイタリアが誇るトリノ生まれの傑作です。日本製のパン粉と対決させるにはぴったりの素材かも知れません。
ただ、毎日膨大なグリッシーニが製造されていても、どれもありきたりの味で、ピエモンテで手作りされるグリッシーニとは、まったく違いうものだそうです。
おっといけない。
アンチョビ風味のペンネ・リピエーネの話をしているはずが、グリッシーニの話になりそうでした。

今回のリチェッタ、ペンネ・リピエーネ・グラティナ―テは、ペンネににんにく、ドライトマト、アンチョビ、アーモンド、オレガノ、イタリアンパセリ、ペコリーノの詰め物を絞り袋を使ってペンネに詰めて天板に並べ、パン粉、ペコリーノ、オレガノ、イタリアンパセリを混ぜてのせ、スライスアーモンドを散らしてオーブンでグラティナーレする、というもの。
南の食材のオンパレードの中、グリッシーニのパン粉や日本製のパン粉を散らすと、一段とインターナショナルで都会的な料理になりますね。

パン粉とアンチョビのスパゲッティというのがありました。
この2つは庶民的な食材の代表格。
そもそもスパゲッティは庶民の料理として、貴族など裕福な階級には受け入れられない料理だったことを思い出します。

何度も紹介しているフェリーニ監督のバリラのリガトーニの傑作CM。その名も上流階級。

アンチョビとパン粉のスパゲッティSpaghetti con le acciughe e il pangrattatoは典型的な庶民料理。アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノのアレンジ版。

・フライパンににんにく3かけとオリーブオイル20gを熱し、にんにくにを取り除く。アンチョビ30g、パスタのゆで汁少々を加えて10分熱して溶かす。
・パスタをゆでる。
・パン粉70gと油をフライパンでトーストする。
・フライパンにゆでたパスタとレードル1杯のゆで汁を加える。さらにパン粉とゆで汁を加えてマンテカーレする。皿に盛り付けてパン粉を散らす。

庶民が安く手軽にお腹を満たすことができたパスタは、マルケージが起こした革命とヌーベル・キュイジーヌによって上流階級の食べ物と認識されるようになりました。言ってみれば今日のリチェタ、ペンネ・リピエーネ・グラティナーレはアンチョビとパン粉のパスタの上流階級版。
来月の(CIR)には、マルケージが起こしたもう一つの革命、冷製パスタの記事もあります。お楽しみに。

さて、次回はグリッシーニの話に戻ります。

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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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