2023年9月21日木曜日

クロマグロの漁は、時代とともに消えていき、かつてはシチリアを象徴していたマグロ漁の文化も消えた。

シチリア西部のワインに組み合わせる、というテーマで選んだシチリア料理は、タコのサラダとなすのインボッティーティという、シチリアの特産物が主役の海の幸と野菜の組み合わせという、シチリアの家庭、農家、漁師から愛されている、さらには外国からの観光客も求めるシチリア料理のイメージにぴったりの料理ばかりでいした。(CIR)で取り上げた料理の最後の1品は、マグロのラグー・イン・ビアンコのスパゲッティです(リチェッタはP.39)。

かつて大西洋クロマグロの回遊ルートにあったシチリアではマグロが豊富に取れました。
マグロ漁は観光資源としても世界的に有名でした。
マグロ漁の村、ファビニャーナで行われていたマグロ漁、マッタンツァ。
クロマグロの数が激減し、漁自体もかなり残虐な前時代的な方法で、以前から消滅の危機にありましたが、今やシチリアのマグロ漁の文化は完全に消えてしまいました。
漁の次に消えるのは料理かも・・・。
かつてのファビニャーナのマッタンツァ。

残酷すぎて、現代のコンプライアンスで見ると、完全にアウト。
こういうの案外あります。
例えば、ぶどうを若い女性が足で踏む、というぶどう農家の習慣も、セクハラとして遠からず消えるのでは、と思っています。

かつての伝統的なぶどうの収穫。

缶詰のツナが普及して、日本では生のマグロのパスタは少数派になっていますが、シチリアでは、かろうじてマグロと言えば、生マグロ。
マグロのラグーのスパゲッティ。リチェッタは(CIR/P.39)。イン・ビアンコなのでリチェッタではトマトは入りません。

この料理をワインと組み合わせる時のポイントは、マグロの大きさ。上の動画では1cm角の角切りにしています。平均的な大きさです。
当然ながらマグロが小さいとマグロ以外の食材の風味が強くなり、大きいとマグロの中まで火が通りにくいので海の風味が残ります。


記事で勧めているのは、ポルタ・デル・ヴェントの“カタッラット”。

ポルタ・デル・ヴェントのオーナーは、15年前の開業時にシチリアの市場に受け入れられなくて悩んでいた彼の最初の顧客は日本のインポーターだったと語っています。それをきっかけに彼は新しい市場に目を向けるようになったのでした。

バイオダイナミック農法で栽培されている彼のカタッラットは、輝きのある活き活きとしたワイン。野菜のパスタにもよく会います。

このカタッラットはシチリアの名物ズッキーニ、テネルーミのスパゲッティにも合います。


-=====================================
イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
[creapasso.comへ戻る]
===================================

0 件のコメント:

コメントを投稿