2023年5月22日月曜日

野菜のブロードをとる時、香味野菜の切り落としや皮は、鍋に入れるんじゃなく、buttare(ブッタ―レ)と言う。つまり捨てるということ。

今日のお題は子牛のロースト。
子牛肉のローストの特徴は、エレガントな色合い、柔らかい肉、短い調理時間の
柔らかくてジューシーな料理。
適している部位は、比較的赤身で調理時間の短い部分。イタリア語の分類だとスピナチーノspinacinoやマガテッロmagarelloなど。

子牛のロースト。

日曜日の鍋ローストArrosto in Pentola della Domenica
“日曜日の”とつけると、ご馳走感と家庭料理感がアップ。

材料/
牛肉・・塊、800g
玉ねぎ・・4個
ローズマリー1枝
白ワイン・・1カップ
EVオリーブオイル、塩、こしょう
野菜のブロード(セロリ、にんじん、玉ねぎ)

・ブロード用野菜の切り落としと野菜を鍋に入れる。粒こしょうとにんにく1かけを加えて水で覆い(塩は加えない)、蓋をして中~弱火にかけて最低1時間煮る。
・火を止めて塩味を調える。
・フォンド用に粗く切った玉ねぎを油でソッフリットにして塩、こしょうする。蓋をして弱火で柔らかくなるまで10分熱する。蓋を取って火を強め、肉を入れるスペースをあけて肉を入れ、肉に穴を開けないよう木べら2本で裏返しながら表面全体を焼き
肉汁を閉じ込める。
・全体を焼いたらワインをかけて焼き汁を強火でデグラッサーレし、アルコール分を飛ばす。ハーブ、蓋をして約2時間ローストする。
・レードル1、2杯の熱い野菜のブロードを加えて玉ねぎとハーブを混ぜ、肉を鍋の中央に置く。とろ火にして1.5時間~2時間ロートする。鍋に水分が残る程度にローストする。火を止めて蓋を取り、肉を完全に冷ます。
・肉汁が流れ出ないように前後に包丁を動かして肉をスライスし、春や夏なら玉ねぎの上に盛り付けて大さじ数杯の焼き汁をかける。冬ならフォンドに肉を入れてなじませてもよい。

カルロ・クラッコシェフが、自分の経験をイタリア料理人をめざす若者に伝えようと書いた本、『クールにしたいならシャロットを使う

には、ローストについてこんなことが書いてありました。
“Arrosto”はとても美しい言葉で、子供時代の、焼き汁も一緒のよく焼いた、とても美味しいものを表現している。昔はロスティッチェリーアrosticcerieで美味しいローストを焼いて売っていた。祝日になるとこれを買いに出かけた。
ロスティッチェリーア。惣菜の店。

私にとって定番のローストは、母が作ってくれた日曜日のローストだ。セロリ、にんじん、玉ねぎといった香味野菜を全部畑から取ってきて、小さく切ってステンレスの深鍋に“投げ込み”、数年後に鋳鉄の鍋を使うようになったら、明らかに料理は美味しくなった。鍋底には、ローズマリー、にんにく、ローリエ、少々を加えて軽く炒め、肉を加える。普段は豚肉か鶏肉だ。豚肉はreale(レア―レ/肩ロース)という頸の上にある部位を使う。少しずつ回転させながら肉を焼き、白ワインをかけてアルコール分を飛ばしてオーブンに入れ、時々裏返して焼き汁をかけながら2時間焼く。でも、この料理の素晴らしい点は、料理につきっきりになる必要がなく、勝手に出来上がるという点だ。ちょっと焼いてオーブンに入れておき、焦げないように仕上げに蓋をすればよい。私にとっては神話のような料理で、すべてが記憶にくっきり刻まれている。

それではこの本のリチェッタを訳してみます。ローストの玉ねぎ添えArrosto con le cipolle
材料/6人分
子牛レア―レ・・1㎏
トロペアの赤玉ねぎ・・2、3個
にんにく・・1かけ
ローリエ、タイムかセージ
白ワイン、EVオリーブオイル、バター

・美味しいローストを作るには、適したフライパンが必要。この場合は、鋳鉄のやや深さのあるものがよい。鋳鉄はとても重く壊れにくい素材だが、それを活かすには手入れも必要。ステンレスやアルミ、銅の鍋より調理の熱を食品にしっかり伝える。私が理想とするローストを作るには鋳鉄のフライパンが必要だ。
・肉屋では各種の肉の小片をもらう。赤身だけのローストが好きな人もいれば、ロースやもも、肩肉が好きな人もいる。柔らかさの問題は部位の問題だ。ヒレ肉は柔らかくて美味しい部位だが、仕上がりは、もっと風味豊かな部位のほうがいい場合もある。

長くなりそうなので、今回はここまで。次は玉ねぎの話。

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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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