2023年1月6日金曜日

ピエモンテのボルゴマネーロ村の創設者は、ブルット・マ・ブオノ王だって。なんだか伝説の賢王みたい。でもドルチェは天才パティシエのドジから偶然生まれた。

バーチ・ディ・ダーマに続き、今日はブルッティ・マ・ブオニbrutti ma buoniです。
ブチャイクだけどおいしいという、コンプライアンス的にどうなのこれ、という名前のドルチェ。きのうのバーチ・ディ・ダーマと、ネーミングセンスがそっくりな気がするのですが、ブルッティ・マ・ブオニもやっぱりピエモンテのビスコッティです。しかも、両者ともアーモンドビスケットがベースというそっくりなドルチェ。ヘーゼルナッツで作ることもあります。
ちなみに、ブルッティ・エ・ブオニbrutti e buoniと呼ぶこともありますが、マma(but)がエe(and)になるだけで、ハラスメント感がだいぶ減りますねー。
今回のリチェッタは、ポテトとサボイキャベツのブルッティ・マ・ブオニという、画期的なアレンジです。リチェッタの日本語訳は(CIR)1月号P.3。
イタリアの有名なドルチェをサラートにして前菜にし、隠し味にイワシのコラトゥーラを加えた画期的な一品。
ドルチェのブルッティ・マ・ブオニはピエモンテのボルゴマネーロBorgomanero(NO)のパスティッチェーレが地元のドルチェをベースに考え出したスペチャリタ。

下の動画はボルゴマネーロのパスティッチェリアAgabio のパスティッチェーレが語るブルッティ・マ・ブオニ。
ブルッティ・マ・ブオニは2017年2月に地元有識者と観光局によってボルゴマネーロのオフィシャルな伝統的ドルチェと定められました。ボルゴマネーロの観光局のサイトによると、ブルッティ・マ・ブオニは1869年に、ボルゴマネーロでパスティッチェリーアを開いたパスティッチェーレ・ビニャノッティBignanottiによって偶然再発見されたドルチェだそうです。なんでもパリ万博に出品予定でしかも金賞を取った天才パティシエが、ドルチェを作っている最中に、卵白と砂糖にうっかりぶつかってしまったところ生まれたのだとか。
ドじっ子にもほどがある。けど、北イタリアの食べ物にはこの手のうっかりで誕生した話がたくさんあるので、逆に信ぴょう性が高い。
動画の解説によると、ボルゴマネーロの町の創設者は、ブルット・マ・ブオノという王様とその王妃だったそうです。
ブルット・マ・ブオノ王なんて、昔話かアニメの世界の人みたいな人物ですが、そのくらい昔の話で、おとぎ話のレベルになっているのかも。いずれにせよ、中二病並みに創造力が豊かな言い伝えです。

ブルッティ・マ・ブオニのリチェッタは、
・アーモンドをトーストして刻む。
・卵白を泡立てて砂糖を加え、アーモンドに加える。さらにバニラを加える。
・3~4㎝の素朴な形になるように絞り出す。170~180℃のオーブンで45分焼く。この間、オーブンの扉にフォークを挟んで蒸気が抜けるようにしながら焼く。
・1個ずつ紙で包んで密閉容器に入れ、湿気を避けて保存する。

歴史が複雑な割には拍子抜けするくらい簡単にできるドルチェ。
それにしても、これにキャベツとコラトゥーラを加えてサラートにするアイデアは、出来上がりを見る限り、ドルチェではなくフリッターという風情。これもアレンジがアイデア次第で色々できそう。

ブルッティ・マ・ブオニ・サラーティbrutti ma buoni salati。

お好み焼きに似てるかも・・。



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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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