2022年7月13日水曜日

北ヨーロッパから見ると、小麦がたわわに実る地中海沿岸は、飢饉とは無縁の楽園だった。北ヨーロッパのじゃがいもは小麦と同じ価値があった。

今日はイタリアの視点のじゃがいもの話です。
ヨーロッパでは、最初は未知な食べ物として毒があるかもと引かれていたじゃがいもですが、ルイ14世が飢饉を解決するために、1785年、じゃがいもを栽培することを農民に課したり、国王の料理人ことマリー・アントナム・カレームが考案した料理によって貴族もじゃがいもを受け入れます。カレームのじゃがいも料理と言えば、クロッケッタcrodcchetta、ことコロッケが有名。イタリアでは、ナポリの宮廷料理人として知られるヴィンチェンツォ・コラードの本、『Cuoco galente』が18世紀末に伝わった時、クロッケも伝わります。
この本は、じゃがいもだけでなく、じゃがいものニョッキについても言及した最初の本となりました。じゃがいもは、ヨーロッパの英語圏の国々で主要作物になっていましたが、19世紀に疫病が広まって大飢饉を引き起こしました。
飢饉はヨーロッパの暮らしに付きまとう深刻な問題で、これを解決するために様々な方法が試行錯誤されました。その解決策の一つが新大陸の食物の栽培です。
未知のスパイスを探しに旅だったコロンブスは、唐辛子やトマトを見つけてイタリア料理に革命を起こしましたが、じゃがいもやトウモロコシは、後の北ヨーロッパの大勢の人々を飢饉からすくったのでした。
イタリアでは、リグーリアの農家は家族単位で山と平野の境目にある畑で穀物を育てていましたが、これがじゃがいもに代わっていきました。次第にポー河流域に広まり、イタリアの土壌に適した品種に改良されて、北イタリアの高地に広まっていきます。

《じゃがいもが世界を救った方法》

ナポリのコロッケは、CROCCHÈ。モンズーが伝えたフランス系料理ですが、ナポリのストリートフードの定番でもあります。

クロッケ・ナポレターニ/Crocchè napoletani


材料/12~13個分
赤いじゃがいも(乾いたタイプ)・・1㎏
ペコリーノ・ロマーノ・・50g
パルミジャーノ・・50g
バター・・30g
塩、こしょう
卵・・2~3個
イタリアンパセリ、ブローボラ

・じゃがいもを水で覆って水から30分ゆでる。熱いうちに皮をむいて潰す。
・ペコリーノ、パルミジャーノ、バター、卵を加えて手で混ぜる。
・イタリアンパセリのみじん切り、塩、こしょうを加える。
・スプーンで1杯分すくって中央をくぼませ、ブローボラの小片を詰める。俵形にし、溶き卵とパン粉をつける。スプーン大さじ1/2杯の生地で同様に作り、小型のクロッケにする。再びパン粉をつけて揚げる。
おまけの動画、ナポリのロスティッチェリーア。

ナポリのクロッケはフリッタティーネFRITTATINAやアランチーニARANCINIと共に、ナポリの惣菜店の3大フリットになっています。
ライスコロッケのシチリアのアランチーニとは違って、ナポリのフリッタティーネはパスタがベース。ナポリなら当然かも。
残り物のパスタで作るフリットとは言うけど、もちろんパスタはゆでたて。


ライスコロッケではなく、パスタコロッケ?
パスタはゆでて刻んだブカティーニ
チーズはパルミジャーノ、ペコリーノ・ロマーノ、エメンタールの3種類の硬質チーズ。
これにベシャメルとラグーを加えて丸め、衣をつけて揚げる。ナポリのフリットの究極形。


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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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