リチェッタの日本語訳は(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)2020年5月号P.6。
丸い生地なので見た目は餃子の生地で作ったみたいなパスタですが、コラトゥーラをかければあっという間にイタリアンです。
丸いラビオリは、特殊な道具を必要とせず、コップがあればできるという手軽な形。丸く抜いた生地の中央に具をのせて半分に折って半円形(メッザルーナmezzaluna)にし、縁をフォークで押さえて閉じるメッザルーナは、もっともシンプルなラビオリ。英語ではメッザルーナ・ラビオリと言うらしいです。
簡単なアレンジのラビオリから、マルケージのラビオリ・アベルトまで、数々のラビオリのバリエーションを紹介しています。
例えば、メッザルーナ・ラビオリをカーブの面を下にして置き、中央を人差し指で押してくぼませると、メッザルーナ・スキアッチャータmezzaluna schiacciataというボート型のラビオリの出来上がり。縁の折り方を工夫したラビオリもあります。
ラビオリの場合は成型と言っても閉じ方のことです。
下の動画はトスカーナを代表するアルタ・クチーナのシェフ、アルノルフォのガエタノ・トロバートシェフのラビオリ。彼は、粉から形、詰め物、ソースまで発想力と感性を駆使してオリジナルな詰め物入りパスタを作り出している。玉ねぎなどの食材も地元産に徹底的にこだわり、生地も湿度を失わないようにしながら複雑に成型する。
シェフのラビオリは言うならば究極版なので、お手軽さとは無縁。エビのラビオリのコラトゥーラがけは、その対極にあるシンプルなラビオリ。
ガエタノ・トロバートシェフのラビオリ。
ここで詰め物入りパスタの歴史を少々。
詰め物入りパスタの本場と言われるバッサ・パダナ地方では、家庭で毎日パスタを作りましたが、金曜日はパスタの切れ端で作るミネストラ・イン・ブロード(やがて水曜日にも作るようになります)。日曜日は店で買ったタリアテッレにラグーをかけて食べました。そして
守護聖人の日や祭りの日には、パスタ・リピエーナを食べたのです。
つまり詰め物入りパスタは飛び切りの御馳走だったんですね。
なので、伝統料理から現代料理まで、ラビオリには無数のバリエーションがあります。
詰め物入りパスタ(pasta ripiena)は詰め物の種類で大きく3つに分かれます。
肉の詰め物、野菜の詰め物、魚の詰め物です。
魚(海水魚・淡水魚)の詰め物は、海や湖のそばの中~北イタリアの食文化に属し、比較的稀です。モダンな料理では好んで取り上げられています。
パスタ・リピエーナの話、次回に続きます。
おまけの動画、リストランテ・アルノルフォ。webページ
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