2021年11月4日木曜日

ドルチェからパスタまで、イタリアのなんちゃって料理

ロンバルディアはミラノだけじゃない、ということを紹介して、さて次は、ロンバルディア料理の2品めです。
今月の(CIR)p.16の料理、“ウッチェッリーニ・スカッパーティ”ucccellini scappati。日本語にすれば、逃げた小鳥です。
このインパクトがある料理名、聞いたことありますよー。
どこ州の料理でしたっけ。おっと、そもそもこれからロンバルディア料理の話をするんでした。
それにしても『クチーナ・イタリアーナ』という歴史のある料理雜誌は、ロンバルディアの定番料理という記事でも、こういうひっかけ料理をチョイスするんだから、ありきたりな料理は取り上げないという老舗のプライドが半端ないですね。
あやうく引っかかりそうになったのは、トスカーナの有名な伝統料理、“小鳥のいんげん豆風fagioli all'uccelletta”。

豆をこよなく愛するトスカーナでは、いんげん豆は小鳥に例えられるんですね。

ルフィーノのトスカーナ

にはこんなことが書いてありました。
トスカーナの秋の農民料理の要、パスタ・エ・ファジョーリpasta e fagioliは、週に1回パンを焼くときに、かまどの口に、水に漬けたいんげん豆を入れたフィアスコを置いて一緒に煮た料理fagioli al fiasco。かまどの火が落ちてゆっくり冷えていく間に、豆にもじっくり火が通っていった。

フィアスコがキアンティのボトルだったりしたら、完璧。

クチーナ・トスカーナ

から、いんげん豆のフィアスコ煮fagioli al fiascoのリチェッタをどうぞ。
材料/4人分
小粒の乾燥白いんげん(カンネッリーニ、ピアッテッリーニなど)・・300〜350g
EVオリーブオイル・・大さじ6
にんにく・・2かけ
セージ・・数枚
塩、こしょう

・豆を最低8時間戻してフィアスコに入れる。水で覆い、油、塩、こしょう、スパイス、香味野菜を加える。フィアスコに栓をして閉じ、網を敷いてとろ火にかける。
豆をじっくり煮て水分を全部吸わせる。

いんげん豆の小鳥風fagioli  all'uccelletta
材料/4人分
乾燥いんげん豆(カンネッリーニかトスカネッリ)・・400g
にんにく・・3かけ
EVオリーブオイル・・大さじ3
完熟トマト5個かホールトマト400g
セージ5〜6枚
塩、こしょう

・豆を一晩水で戻し、たっぷりの水と塩で20分ゆでる。
・にんにくとセージを油でソッフリットにする。
・にんにくに焼き色がついたら豆を加え、数分後にトマトを加える。
・豆が柔らかくなったら塩、こしょうで味を整えてサーブする。


そもそも小鳥という名前がつけられた料理というのは、料理の見栄えが小鳥料理に似ているか、調理方法が小鳥の調理方法と同じ、という理由でつけられます。
今月の(CIR)の料理は、前者ですね。小鳥は一切使いません。豚のロース肉のインボルティーニです。


逃げたというのは、料理に小鳥を使っていないことへの皮肉です。
野鳥を使う予算がない場合もありますが、キリスト教の肉食を断つマーグロの日の教えを守って精進料理を食べる時のなんちゃって料理のために考え出されるものもあります。

ロンバルディアには小鳥の姿を真似た有名な料理が他にもあります。
ベルガモのドルチェ、ポレンタ・エ・オゼイpolenta e oseiです。
元の料理はポレンタを添えたジビエ料理。


シチリアにも小鳥料理に煮ているので小鳥風と呼ばれる有名な料理があります。
サルデ・ア・ベッカフィーコというイワシ料理です。


初めて知って以来忘れられないのが、サルデーニャのニョッキことマッロレッドゥス。
何に似ていると思いますか?
コロコロに太った子牛だって。


深い愛情を感じる名前でした。

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