2021年9月5日日曜日

ヨーロッパウナギはサルガッソ海で生まれて地中海に戻る。まるで豪華客船でクルーズでもしているような経路。

肉食を断つ習慣のあるキリスト教で、その代表的な日がクリスマス・イブ。
肉は断っても魚は食べるイタリアのイブの主役は、ウナギ、バッカラ、スカローラなど。
バーリ市民のイブのプランゾは・・↓
ポー河デルタ地方のウナギ料理↓
ヨーロッパウナギ↓


ウナギは生態がよくわからない魚ですが、謎なのはヨーロッパも同じ。
ニホンウナギはマリアナ海溝あたりで生まれるそうですが、
ヨーロッパウナギは北大西洋のサルガッソ海で生まれて海流に乗って地中海に移動すると考えられています。
河口に到達した幼魚は河を遡って目的地にたどり着き、そこで成熟するそうです。そして今度は本能に導かれて生まれ故郷の北大西洋へと戻っていき、産卵して一生を終えるそうです。

サルガッソ海なんて、聞いたことないですよねー。
wikiによると、メキシコ湾流、北大西洋海流、カナリア海流、大西洋赤道海流に囲まれた海域だそうですよ。テキーラが似合いそうなところじゃないですか。
そこから地中海まで行くなんて、豪華客船にでもくっついていくんでしょうか。

人間は、文明の曙の時代から、ウナギが最も太って海へ戻る時期を待ち構えて漁をした。
ローマ人はウナギはユピテル(ギリシャ神話のゼウス)の娘とみなして崇拝し、縁起がいいものと考えられていた。
そもそもキリスト教では、蛇はアダムとイブをそそのかして木の実を食べさせ、神に呪われて地を這う姿になったと言い伝えられているくらい嫌われた生き物だ。
その蛇に似たウナギが縁起がいいものという考えは、ローマからキリスト教へと受け継がれ、教会も食べるのを禁じなかった。むしろ、蛇に似たウナギを食べることで悪魔祓いができる、と考えていたようだ。
かなり無理矢理な解釈で、きっとウナギが大好きな教皇でもいたのではないでしょうか。
冗談じゃなく、キリスト教が公認された当初は、断食の期間(カーニバルと復活祭の間の40日間)に肉を食べたり売ったりすると死刑になったそうです。
断食とは、この期間(クアレジマ)にキリストが断食したことを忘れないようにするために肉など脂肪分のあるものを食べない、という教会が定めた決まりです。
ラードや動物性脂肪は禁止され、卵は卵白のみ許されました。
食べることができたのは、パン、ポレンタ、野菜、豆などです。
9世紀になると、魚は肉より浄化されているとしてクアレジマの間に食べることが許されるようになりますが、肉は暴食を引き起こす食べ物とみなされていてました。その後何世紀もたつうちにクアレジマの魚料理は洗練されていき、地方料理に取り込まれてモダンな料理へと変化していきます。
 イブのリチェッタを見てみると、タイ、ヒラメ、スズキ、車エビ、オマールなどが使われていて、普段よりゴージャスな食材を使った洗練されたシーフード料理のオンパレードです。
クリスマスイブは、シェフたちが魚料理の腕をふるえる日になっていました。
過去の12月の日本語解説を読み直してみると、タイのオーブン焼きのマルティーニのザバイオーネがけ、オマールのサラダ、スカンピのシャンパンリゾットetc.ちょっと豪華な料理が並んでいます。

オマールのリングイーネ↓
材料/4、5人分
オマール・・1尾、約500g
エシャロットのみじん切り・・2個
ミニトマト(パキーニ)・・500g
リングイーネ・・250g
イタリアンパセリ
塩、EVオリーブオイル

・フライパンに油大さじ6〜7を熱し、エシャロットと唐辛子1本をソッフリットにする。
・小角切りにしたトマトを加えて蓋をし、火を弱めて煮る。
・切り分けたオマールを汁ごと加え、3〜4分煮て塩味を整える。
・パスタをゆでる。
・煮汁から大きなオマールを取り出す。
・パスタを加えてなじませ、取り出したオマール、油、イタリアンパセリのみじん切りを加える。



イブの定番、スカンピのシャンパンリゾット↓

材料/4人分
米(ビアローネ・ナノ)・・320g
スカンピ・・1kg
シャンパン・・500g
バター・・70g
塩、こしょう

・バターとオリーブオイル少々で米を炒める。
・シャンパンをたっぷり加えてアルコール分を飛ばす。
・スカンピの殻に塩少々を加えてゆでてブロードを取る。
・ブロードを濾して米に加える。
・スカンピをフライパンで焼いてシャンパンをかける。
・殻をむいたスカンピを半分に切って米に加える。
・リゾットの火を止めてバターを加え、数分休ませる。
・リゾットを皿に盛り付けて焼いたスカンピを添える。

ルネサンス時代には多くのうなぎ料理が考案されて、特に海に近い場所や川や湖がある地方、ベネト、トスカーナ、ラツィオ、カンパーニアあたりでウナギ料理が広まります。
クリスマスイブのウナギを買うのは家長の役目という伝統もあります。

フェラーラ県のコマッキオ(ポー河デルタ地方)はウナギの養殖が盛んな地方↓
うなぎ料理の伝統もあり、地元の料理学校ではウナギの調理方法は48種類ある、と言っています↓

今月の日本語解説(CIR)のP.21〜のリチェッタは、イタリアの地方料理のイブの料理です。
詳しくは明日。

地方料理のおすすめ本、イタリア・イン・クチーナ

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