カントゥッチはイタリアを代表するビスコッティ。
私のカントゥッチとの出会いは、ちょっとした衝撃でした。
私はフィレンツェのイタリア語学校に通ったので、キアンティのワイナリーへの少遠足が頻繁に行われていました。
キアンティがワインの産地、ということは、かろうじて知っていた程度が当時の私です。つまりイタリアワインのことは何も知らなかったのでした。
スイス人やドイツ人の同じ下宿のクラスメイトたちと一緒の楽しいワイナリー巡りの最中、テイスティングの時にヴィンサントと一緒に出てきたのがこのカントゥッチでした。
私は、ヴィンサントがどういうものかも何も知らずに、とりあえずカントゥッチをかじって、その固さに、イタリア人は歯が丈夫なんだなあ、と思ったりしていたのです。
すると、スイス人の郵便局員の友達が、こうやって食べるんだよ、と、カントゥッチをヴィンサントに浸して食べてみせました。
早速真似してみると、ヴィンサントをたっぷり吸ってしっとりほろほろに柔らかくなったカントゥッチは、なんなくかみくだけて、しかも芳醇な強いお酒もたっぷり味わえて、何これ!超美味しい!と、たちまち心を鷲掴みにされたのでした。
あれがイタリアの食文化に興味を持ったきっかけだったのでは・・、と思います。
イタリア料理はアメリカから伝わったスパゲッティとピッツァしか知らなかった若かりし頃、酒精強化ワインにアーモンドクッキーを浸して食べる食文化は、きらきら輝いていました・・・。
ワインにクッキーを浸すなんて、トスカーナではあたりまえの発想は日本人にはまったくないから、これだけでもカルチャーショック。
これから初めてカントゥッチをヴィンサントに浸して食べる人は、あの感動をもう一度味わえるんだなあ、うらやましい。どこの国の人から教わるか、興味あるなあ。
カントゥッチとヴィンサントの組み合わせには世界中の人が夢中になりました↓
あなたにこの食べ方を教えてくれる人は、ブラジル人かも。
イタリア料理は移民が世界に広めましたが、これはまぎれもなく世界中からの観光客が広めた食文化。
ワインにビスコッティを浸す食べ方は、イギリス人のお茶にビスケットを浸す食べ方がルーツという説もあります。
カントゥッチのルーツはトスカーナのプラート↓
保存のために2度焼いてかちこちにしたビスコッティです。
トスカーナでは食事の最後にヴィンサントと一緒にサーブします。
プラート↓
お勧めトスカーナ料理の本、“グイド・トンマージ”の『クチーナ・トスカーナ』
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