2021年6月6日日曜日

サルデーニャの肉料理は羊飼いや農民の野生の心を呼び覚ます。

昔から多くの異文明に侵略されてきたのがイタリア、特にその沿岸部。
サルデーニャも、フェニキア人やカルタゴ、古代ローマといったおなじみのメンバーによって町や道が作られ、言葉や文化が生まれました。
新しいところでは、ピサやジェノバ、スペイン人、ピエモンテもこの島の歴史に関係しています。
そして今でも、大昔の文明や伝統が、かなり現役です。
観光地化したのは、ごく最近の新しいサルデーニャの話。
とらえどころのないこの島の魅力は、そんなことに由来しているのかも。

サルデーニャのパン、パスタ、チーズ、野草、肉は、伝統、特に農民と羊飼いの暮らしに深く結びついています。
そんなサルデーニャの料理の象徴が、ポルチェッドゥporceddu(子豚の串焼き)です。
家から遠く離れた羊飼いが、鍋も使わず、その場にあるものを使って作る料理。


串はミルトという灌木の枝です。
地面に穴を掘って、ミルトの枝や葉と一緒に子豚、猪、山羊を埋めて炭で塞いで蒸し焼きにしたりもします。

庭に穴を掘って子豚を丸焼きにするなんて、殺人の証拠隠滅にしか見えない。サルデーニャ人、たくましすぎる。

サルデーニャの宗教儀式のパン、コッコイ。磔の前にキリストが被せられたいばらの冠や、キリストを叩いたムチなどを表現しています。
手先の器用さゆえか、半端な装飾じゃ特別じゃなくなっちゃったサルデーニャのパン。


サルデーニャ料理の本には
子牛に山羊を詰めて、山羊に子豚を詰めて、子豚に野うさぎを詰めて、野うさぎにうずらを詰めた古代ローマの皇帝の料理みたいなものもあります。
とにかく奇想天外。

豚すね肉とソラマメとキャベツの煮込み料理、ファバータfavataなんて、普通すぎてものたりないかも。
見た目はすごいけど。
サルデーニャの農民になった気分で、手に入る野菜で作ります。

パスタのソースにもなります。
ファバータfavata
材料/
 乾燥ソラマメ
 豚すね肉(肉の多い上部の肉)
 ビエトレ、チコーリア
 フィノッキオ・セルバティコ
 サボイキャベツ、キャベツ
 にんにく、玉ねぎ
 EVオリーブオイル
 ドライトマト
 
・乾燥ソラマメをぬるま湯と粗塩少々で一晩戻す。
・黒い部分を切り落とす。
・たっぷりの油で粗く刻んだイタリアンパセリ、にんにく、ドライトマト、玉ねぎをソッフリットにする。
・ソッフリットに肉を入れ、焦げ付かないように水1/2カップを加えて焼く。
・8割がた火が通ったら水1.5㍑とソラマメを加えてよく混ぜる。蓋をして沸騰させる。
・ソラマメに半分火が通るまで約20分煮る。
・葉野菜と塩を加えて煮る。
・スライスしてトーストしたパーネ・サルドを1枚皿に敷き、その上に煮た野菜と肉(ファバータ)をのせる。脇にソラマメを添えてサーブする。

ファバータはパスタのソースにもなります。
パスタはもちろん、マッロレッドゥスMalloreddus o gnocchetti sardi 。
マッロレッドゥスはカンピダーノの名物。
イタリアの町を紹介する動画は都会の歴史的な町並みと高級リゾートを紹介するものだけど、カンピダーノを紹介する動画は民族衣装の美しいパレード。


一筋縄じゃいかない。

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