2021年2月26日金曜日

プーリアやカラブリアなど南伊各地の食文化も取り込んでいるシチリア料理。

なんとなく地味な気がして紹介していなかった本、ピアッティ・ディメンティカーティ』。

ちょっと読んでみたら、イタリアのじいちゃんばあちゃんたちの自慢の料理が、イタリアも日本も、親戚はおんなじだなあ、とほっこりするエピソードと共に語られていいて、なかなかいい本ではないですか。

パスタの続きをもう少し訳してみます。
きょうの料理は、まず、ニーナおばちゃんのパスタLa pasta di zia Ninaです。
ニーナおばちゃんはマリアおばちゃんの妹で、ニーナもマリアも可愛い孫のフランチェスコを実の息子のように、というか王子様のように溺愛していました。
なので、フランチェスコのためのご馳走は決して欠かしませんでした。
フランチェスコの好物の1つが、このオレッキエッテです。
ニーナおばちゃんぱ、このバーリ風オレッキエッテは本物の家族のリチェッタで、観光客向けのチーメ・ディ・ラパのオレッキエッテとは違う、と言っていました。
バーリ風、とは言ってますが、シチリア風のカリフラワーのパスタです。

材料
カリフラワー・・小1個
オレッキエッテ・・500g
パンチェッタ・・150g
にんにく・・1かけ
EVオリーブオイル
《仕上げ》
おろしたペコリーノ

・カリフラワーを小房に分けてゆで、8割火が通ったらオレッキエッテを加えてアルデンテにゆでる。
・パンチェッタを小さく切ってにんにくと一緒にたっぷりの油でソッフリットにする。
・ゆで汁少々を別にする。パスタとカリフラワーを取り出し、ソッフリットに加えてなじませる。ペコリーノを添えてサーブする。

オリジナルのプーリアのチーメ・ディ・ラパのオレッキエッテ↓を観光客向け、と言い切るシチリア人のプライドの高さ!


基本的にチーメ・デイ・ラパを使えばプーリア風で、カリフラワーだとシチリア風らしい。
白いカリフラワーとパスタで、色味が少ない料理なので、パンチェッタの存在感が大。

次は、ストロンカトゥーラpasta dei poveri別名貧しい人々のパスタ
カラブリアに詳しい医者のラファエレ・レウッッィ先生のリチェッタです。

17世紀半ばには、アマルフィ海岸からの小麦の商人はジョイア・タウロの港にやってきて、港で小麦を粉にして売っていたが、移動の際に小麦の粒がこぼれ落ちた。貧しい人たちは未精製のこの小麦を拾って食べていた。
この全粒粉から作ったパスタがストロンカトゥーラstroncaturaと呼ばれたパスタだ。
このパスタの一般的なソースは、古くなったパンを有効利用したパン粉と安くて手に入りやすいイワシだった。
ストロンカトゥーラは姿を変えながら現代まで伝わっている。

この種の話は南イタリアの各地にあるなあ。
カラブリアじゃアマルフィから伝わったパスタとして知られています。

カラブリアのジョイア・タウロは大きな港↓


材料/
オイル漬けイワシ・・5尾
EVオリーブオイル
固くなったパン粉
唐辛子
にんにく・・1かけ、塩

・小さなフライパンにたっぷりの油、ちぎったイワシ、にんにくと唐辛子のみじん切りを入れて熱する。
・別のフライパンで粗く刻んだパン約大さじ5を炒める。油は加えない。
・パスタをゆでてイワシでであえてパン粉をチーズのように散らす。
ストロンカトゥーラ


最後はスパゲッティ・スペッツァーティの魚のブロードがけGli spaghetti spezzati al brodo di pesce

マリアおばあちゃんは、フランコが帰ってくるといつも「フランコが帰ってきたからパスタを作らなくちゃ」と言っていそいそとフランコの大好物のこのパスタを作った。
パスタは必ずスパゲッティで、漁師の網に残った骨の多い小魚でブロードを取った。

材料
スパゲッティ・・300g
下ごしらえして鱗を取った小魚・・600g
玉ねぎ・・1個
EVオリーブオイル・・150g
トマト・・4~5個
水・・1L強
イタリアンパセリ、オレガノ
塩、こしょう

・玉ねぎを薄切りにして油で炒める。小さく切った小魚とトマトを加える。イタリアンパセリのみじん切りとオレガノ少々、塩を加えて水で覆い、コトコトじっくり煮る。
・濾してブロードを取る。
・ブロードに折ったスパゲッティを入れてゆでる。塩味を整えて粗挽きこしょうを散らす。

おばあゃんの愛情がたっぷり詰まったスープパスタです。
本のほぼすべての料理が親戚の思い出で彩られていて、素敵な一族がうらやましくなります。

シチリア料理はプーリアやカラブリアなど、南イタリアの近隣の料理もうまく取り込んでいる。



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ピアッティ・ディメンティカーティ
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