きょうの料理はストッカフィッソのアンコナ風「総合解説」2018年11/12月号P.37。
アンコーナはマルケ州の街。
アンコーナはそもそも印象の薄い街ですが、そんな街でいちばん有名な料理が、このストッカフィッソのアンコナ風。
下の動画で料理を披露している店、ジーノは、ストッカフィッソのアンコナ風を食べるならお勧めの店の1軒。駅の近くで父親と娘がやっている店。
ストッカフィッソはノルウェーのロフォーテン諸島で昔ながらの製法で乾燥させたタラ。
ノルウェーのバッカラがイタリアで広まった経緯は有名ですが、ストッカフィッソとバッカラは別々に伝わったんだそうです。
そもそも、バッカラもストッカフィッソも干したタラの保存食。
バッカラはスペイン語のbacalaoが語源で、ストッカフィッソはドイツ語のstock fishが語源。バッカラは塩漬けにしてから干したタラで、ストッカフィッソは塩漬けにしないで天日と風で乾燥させたタラ。
北欧の人は、タラは生かスモークして食べる。
一方地中海では北国から様々な魚の保存食が輸入されていた。
特に海洋共和国として強大な力を持っていたベネチアは、北欧から大量の魚の保存食を輸入していた。さらにカトリックの金曜と四旬節の間は肉を食べないという教えもあり、どんな海のない内陸にも運べて保存ができ、安価なバッカラは、国民食になっていた。
ところが、皮肉なことに、戻すのに手間のかかるバッカラは、次第に家庭では敬遠され、現在ではトラットリアやリストランテで食べる料理になっている。
イタリアにノルウェーのスッカフィッソを広めたのは、ベネチア人のピエトロ・クエリーニという人物だということは、イタリアではよく知られている。
彼は1431年にノルウェーのロフォーテン諸島で遭難した。そこでストッカフィッソを知り、故郷に戻る際に持ち帰ったところ、イタリアにすぐに広まったのだそう。
それ以来、ロフォーテン諸島とイタリアの間の貿易が盛んに行われるようになり、ロフォーテン諸島で生産されるストッカフィッソの90%がイタリアに輸出されている。
でも、ストッカフィッソがイタリアに普及したのはこれより後のこと。伝えたのもフラマン人のバルサタル・ファン・デル・ゴーズと、全くの別人。
どんなに有名な料理でも、その由来が不明なものが多いイタリアで、これだけ詳細に歴史が伝わっている食材は、かなり異例。
ストッカフィッソには、上質のものには特別な呼び方がある。
その一つが“ラーニョragno”で、もう1つは“ヴェストレ・アンコナwestre ancona”。
最上質のストッカフィッソにアンコナの名がついているのはアンコナの人々の誇りだ。
ロフォーテン諸島のストッカフィッソ。
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