きのうのお題のサルサ・ジェノベーゼは、深く考えずに取り上げたのですが、これが、とても深い料理でした。
イタリア料理アカデミーがイタリア各地の地方料理のソースを研究した本、『スーゴとソース』
によると、“サルサ・ジェノヴエーゼ”の前身は“ラグー・ナポレターノ”。
ラグーと言えば、“ラグー・ボロニェーゼ”。
そこでボローニャのあるエミリア・ロマーニャ州のソースについて読んでみたら、こんなことが書いてありました。
そもそもラグーは硬い肉を煮込んで食べやすくするための料理。
ラグーはパスタのソースとして世界中に広まりましたが、硬質小麦の産地、カンパーニアのラグー・ナポレターノは、乾麺のソースとして広まった。そして軟質小麦の産地、エミリア地方のラグー・ボロニェーゼは、生麺のソースとして広まります。
なるほど、サルサ・ジェノヴェーゼは乾麺のためのソースだったんですね。挽肉を食べるのではなく、塊肉や香味野菜から旨味やだしをたっぷり取り出すソースです。
長時間煮込んだ肉はフォークでほぐせるくらいほろほろになっています。
下の動画はそれがよくわかります。
ちなみにこうしてほぐした肉はカルネ・スフィラッチャータと言います。
パスタ・アッラ・ジェノヴェーゼのリチェッタは「総合解説」9/10月号P.3を御覧ください。
サルサ・ジェノヴエーゼ
伝統的な、リジナルのラグー・ナポレターノに近いリチェッタは時間がかかりすぎて現代的ではないですが、「総合解説」のジェノヴェーゼは、玉ねぎをミキサーにかけるなど、もっと現代的にしたリチェッタです。
それにしても、なぜジェノウェーゼなのか。
ナポリの食文化に人一倍強いプライドを抱いているくせに、こういうところは案外おおらかなナポリの人。
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