今日のお題はナポリのトマトソース。
イワシのコラトゥーラのスパゲッティの次に調べるのは、ナポリのトマトソースです。
基本的に、ナポリのトマトソースには3種類あります。
トマトソースは、ナポリ料理の本なら、どれも力を入れて紹介していますが、はっきりとそのことが分かって面白いのが、地方料理シリーズのお勧め、“グイド・トンマージの地方料理シリーズ”の『クチーナ・ディ・ナポリ』です。
このシリーズは写真が素晴らしいのですが、写真には何重にも意味が込められていて、何度も読んでいると、ある日突然、その意味に気がつくようになっています。
トマトソースも、ナポリ料理はヨーロパでも最大級の大都市から生まれた大衆の料理で、カンパーニアの農民の暮らしから生まれた料理・・・、
ということを考えながら農民(つまりトマトを栽培する人 )の視線で見ると、
トマトソースには、トマトが旬の季節の生トマトのソースと、生がなくなって保存用のトマトが出回る季節のトマトソースがある、ということに気が付きます。
さらに、カンパーニアでは生のトマトといえば、サン・マルツァーノのこと。
ナポリの王様、トマト
トマトがアメリカからナポリに伝わるまで・・・↓
新大陸で、スペイン人は、金銀財宝より貴重になるとは想像もせずに、貴族の庭園のエキゾチックな庭木としてトマトを故郷に持ち帰ります。
ところが植えてみると、カンパーニアの大地と太陽は、トマトによく合いました。
ナポリで育った新しい野菜はヨーロッパを魅了しました。
トマトに愛された街ナポリでは、トマトをおいしく食べる工夫も無数にされ、トマトによく合う料理もピッツァを始め様々考え出されました。
さらに大都市ならではの職人の街、ナポリでは、現金の代わりに農作物で支払いを受け取る人情に熱い職人たちが大勢いて、そんな農民と都会の職人の暮らしが交差して生まれた素敵なトマトソースまであるのです。
この料理が生まれたのがナポリのスペイン地区、というのも歴史を感じますね。
栽培する農家の立場になれば、トマトソースじゃなくて、サン・マルツァーノのソース、と呼ぶのは自然な発想。
昔は、保存加工用のトマトはサン・マルツァーノだけで、ソース用の最上質のトマトともされていたのですが、サン・マルツァーノの栽培は、一時激減します。
「総合解説」07/08年8月号には、サン・マルツァーノの記事がありました。
さらに上の動画でも伝えていますが、それによると、戦後、ウイルスによって大きな被害を受け、さらに病気に強いハイブリッドが開発されて(代表的な品種はローマ)生産量が激減したのだそうです。
ローマ↓
でも、この30年ほどの保護活動が実り、現在はDOPに認定される製品になりました。
サン・マルツァーノはベズビオ山の麓のミネラルと有機物を豊富に含んだ土壌と、海に近い塩気を含んだ温暖な気候の元でのみ最高のトマトに育つのだそうです。
そしてサン・マルツァーノに最適の地して選ばれたのが、ナポリとサレルノの中間にある、ヴァッレ・デル・サルノ。↓
サン・マルツァーノ
サン・マルツァーノ復活のきっかけになったのは高品質のサン・マルツァーノを探していた日本の某会社とチリオ。
チリオはホールトマトの缶詰を最初に作った会社。
さらに、そのトマトの缶詰は、フランス語で箱という意味boîteからブアッテbuatteと呼ばれた。
ナポリの美味しいと評判のトラットリアの名前の由来ですね。
「総合解説」
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