『ルフィーノのトスカーナ』
素晴らしい本なのですが、紹介する機会がなくて、ほぼお蔵入り状態でした。タイトルからも分かる通り、トスカーナの大手ワイナリー、ルフィーノが作った本です。
自ら、料理書ではなく昔話の本と説明。
リチェッタより料理の背景にあるトスカーナの料理哲学を熱く語る本です。
イタリア料理を象徴するのがナポリ料理とピッツァであるとしたら、トスカーナ料理も、イタリア料理を世界中に広めた立役者です。
その背景にある巨大な力はワインでした。
ルフィーノはトスカーナを代表するワインメーカーとして、トスカーナ料理のすべてを世界中に伝える役割を担おう、と決心したようです。
そしてトップのワインメーカーというプライドと力のすべてを注いで作り上げたのがこの本です。
キアンティ・クラッシコとルフィーノの物語
トスカーナの日常の暮らしと食文化を、美しい数々の写真と、学者たちの専門的な話と共に伝えています。
元々ワインメーカーの料理の本は素晴らしいものが多いですが、その中でもトップを目指したことがはっきり分かるレベルの高さです。
だから、内容まで格調高くしちっゃたのが、本当に残念。
格調高い話を読んでいるうちに挫折して、リチェッタまでたどり着きません。
ちょうどトスカーナのパスタの話に入っていたので、この本のパスタの章の前書きをちょっとだけ訳してみます。
パスタと言うと、世界中の人はすぐにイタリアの様々な形のパスタを連想する。
そして様々なパスタが世界中の食卓に上っている。
離乳食もその1つだ。
グランシェフのような偉大な理想がなくてもいつでもどこでも誰でも作ることができるのがパスタだ。
穀物の粉と水がベースの発酵させない生地、パスタは、古代のほぼすべての民族の栄養源になった。
中には異種のものと混ざり合いすぎて、現在の私たちが考えるパスタとはかけ離れたものもあるが・・・。
パスタは中東のチグリス・ユーフラテス川にはさまれた肥沃な三日月地帯で生まれた。
小麦や大麦が自生し、人類最初のその栽培が始まった地域、メソポタミアだ。
この文明の基本の食べ物は、パスタ・セッカによく似ているものだった。
中東で生まれたパスタは、この後数世紀かけて近隣に普及していく。
小麦に含まれるグルテンとデンプンの構造から、パスタ・フレスカはヌードル(スパゲッティ)とダンプリング(パスタ・リピエーナ)の2種類に大別されるようになる。
イタリアの場合、パスタはアラブ人によってシチリアに伝わった。
硬質小麦の栽培はそれより前に地中海全域に伝わって、すでにパスタに似たものが生まれていた。
アラブとイタリアの出会いによって1本の糸状のアジアの麺とは違うパスタ・セッカが生まれ、様々な形の無数の軟質小麦粉のパスタ・フレスカが生まれた。
トスカーナでは、イタリアの古代民族エトルリア人がマカリアmakariaと呼ばれるパスタを作っていた。
これはマッケローニmaccheroniの語源だ。
なんと、アラブ人と出会ったイタリアではパスタは様々な形に進化し、アラブ人と出会わなかった東南アジアでは、1本の細長い麺の形は変化しなかった、という説です。
イタリア人はそう思っているんですねー。
さらに、マカロニの語源はエトルリア語のマカリアという学説も披露していますが、これが長~いうんちくの片隅にさらっと語られているから出会うのが大変でした。
パスタの話、次回に続きます。
-------------------------------------------------------
「総合解説」
『ルフィーノのトスカーナ』
[creapasso.comへ戻る]=====================================
0 件のコメント:
コメントを投稿