そういえば『カルロ・クラッコの地方料理』
のピエモンテの章に、12月は、カルーのブエ・グラッソの品評会とボッリートの儀式だ、と書いてありました。
ピエモンテのブエ・グラッソの季節と冬の到来を告げるのが、ピエモンテ人とグランシェフが待ちに待ったこの品評会。
牛肉の王様ことブエ・グラッソ
カッルーのブエ・グラッソはファッソーネ牛など各種のピエモンテ牛の交配種。去勢後、約5年かけて大切に肥育します。ピエモンテの農家の貴重な収入源でした。bue grassoとmanzo は違うんだそうで、grassoとは言っても運動させてヘルシーな餌を与えるので脂身や肉の質がよくて柔らかくいのが特徴だそうです。
ブエ・グラッソの料理の定番は7種類の部位を使うボッリート・ミスト。
ピエモンテ風グラン・ボッリート・ミスト
カルーのリストランテ、ブエ・グラッソ
ピエモンテ牛のグランシェフのリチェッタを探してみたら、
アルタ・クチーナの団体、レ・ソステの本、『グランディ・リストランティ・グランディ・シェフ』の中にすごいのがありました。
コンバル・ゼロのダヴィデ・スカビンシェフの料理です。
料理の国際大会に出した1品で、ガストロノミアの未来を感じさせるシンプルでナチュラルな料理です。
分厚いボッコーネに切ったファッソーナ牛のヒレ肉にグリッシーニのパン粉を2回つけて焼き、象の耳と呼ばれた70年代のピエモンテ料理の傑作、コトレッタを再現しています。ガラスのコッパには焼き立てでまだ煙が出ているピエモンテの香草が敷かれています。
こうして暖炉のアロマを再現しているのだそうです。
料理の名前はVitello Fassona di razza piemontese al caminoです。
衣付きステーキという最初のアイデアをここまで広げて実現できるなんて、すごいです、このシェフ。
ダヴィデ・スカヴィンシェフのミラノ風コトレッタの暖炉風味
最近庶民的な料理ばかり調べていたので、反動で強烈なカルチャーショックです。
グランシェフはやっぱりすごい。
今でも強烈に印象に残っているのが、昔、日本のテレビ番組で、マルケージシェフと日本人の若手シェフにコトレッタ対決をさせた無謀極まりない番組。
若手シェフは教科書どおりにヒレ肉を叩いて薄く広く伸ばしたのですが、マルケージシェフは、いい肉だからと分厚いまま調理していました。
重鎮でも自由な発想ができ、自らの行為の結果をよく理解している人でした。
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『グランディ・リストランティ・グランディ・シェフ』
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